刑事マルティン・ベック 笑う警官 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041010174

作品紹介・あらすじ

市バスで起きた大量殺人事件。被害者の中には殺人課の刑事が。若き刑事はなぜバスに乗っていたのか? 唯一の生き証人は死亡、刑事マルティン・ベックらによる、被害者を巡る地道な聞き込み捜査が始まる――。

感想・レビュー・書評

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  • 阿津川さんの読書日記から読みたくて。期待以上の面白さ。普段警察ものを読んでないので、章ごとに視点が変わりそれぞれの地道な捜査が事件の核心に迫っていく様子は新鮮で目を離せない。とぼけたユーモアと時代感で元祖?北欧ミステリーにはまる。

  • なぜこうも北欧ミステリというのは陰鬱な雰囲気が似通ってくるのか。
    ヘニング・マンケルといいアーナルデュル・インドリダソンといい。
    もう何かお家芸のようにすら感じる。

    なので、仕事熱心でも家庭面、生活面ではいささか不完全な男マルティン・ベックを冠する本シリーズだが、その辺もなんか他の北欧作品に似ているようで、どちらかというとグンヴァルド・ラーソンという無頼漢を置いているところにむしろ茶目っ気を感じ、自分としては他の北欧作品にはない魅力を感じた。

    『阿津川辰海 読書日記』から手に取った本書。
    原作は1968年刊で、1972年に英語版から訳された旧訳版がそれまでの日本国内での『笑う警官』だったが、2013年に原著であるスウェーデン語からの新訳が企画されたとのこと。
    いわゆる警察ものの型。
    強烈なひらめき・洞察力を持つ名探偵、名刑事が牽引するではなく、個性を持ったメンバー達それぞれの地道な捜査を通じ、真相に辿り着くボトムアップ型の物語。
    奇をてらったところがないだけに、何年経っても褪せぬ読み心地を保有し、名作と謳われ続けるのだろう。

    シリーズ全10作中、4作目の本書が新訳一発目。
    次は1作目の『ロセアンナ』になるという。
    このまま10作目まで新訳で読めるのかとわくわくしていたのだが、なんと6作目以降は新訳企画がストップしてしまったとのこと。
    残念すぎる。

    是非再開して欲しいものだけど、高い、売れない海外ミステリ。
    なかなか難しい希望だろうな。
    買わない自分が言うのもなんだけど。

    • 111108さん
      fukayanegiさん、こんにちは。

      fukayanegiさんは北欧ミステリーたくさん読まれてるので良し悪しわかるのでしょうが、阿津川さ...
      fukayanegiさん、こんにちは。

      fukayanegiさんは北欧ミステリーたくさん読まれてるので良し悪しわかるのでしょうが、阿津川さん書評から初めて手を出した私にとっては、この作品意外と明るくて驚きました。
      雰囲気は常に寒々として薄暗いのですが、捜査員達のキャラが面白くて。
      今手元にないのでうろ覚えですが、方言丸出しの助っ人とか、はじめに事件起きたバスを発見した2人のダメダメ警官とかいい味出してる人達多くて次作も期待してましたが、何と途中で途絶えてるんですね〜残念。
      2023/02/11
    • fukayanegiさん
      111108さん、こんにちは。

      意外と明るい!これはまた対照的な印象ですね!
      でも確かにそうですね、この作品は特におもしろ要素満載な...
      111108さん、こんにちは。

      意外と明るい!これはまた対照的な印象ですね!
      でも確かにそうですね、この作品は特におもしろ要素満載なキャラが多いので、思い込みに引っ張られた感はあるかもです。
      方言丸出しの助っ人、喫茶店で警察であることもばればれだし、終始地元に帰りたいとぼやいてるし、なんなんと思っていたら何気に捜査でファインプレーとか。

      そうなんです、新訳は途中で途絶えているみたいなんです。
      英語から訳した版はあるにはありますが、古くて中々手に入らなそうですし。。。
      とりあえず、5作目までは図書館にありそうなので、ぼちぼち読んでいってみようと思っています。
      2023/02/11
    • 111108さん
      fukayanegiさん

      何というか、とぼけててクスッとした笑いを誘うんですよね!
      原作からの直訳版で4作目が最初っていうのは、この話が一...
      fukayanegiさん

      何というか、とぼけててクスッとした笑いを誘うんですよね!
      原作からの直訳版で4作目が最初っていうのは、この話が一番良い出来だったってことなのでしょうか?他はどうなのかな?途中で途絶えてるって‥と思ってしまいますが、『ロセアンナ』から探して読みたいと思います♪
      2023/02/11
  • 「マイ・シューヴァル」、「ペール・ヴァールー」共著の長篇ミステリー作品『刑事マルティン・ベック 笑う警官(原題:Den skrattande polisenn、英語題:The Laughing Policeman)』を読みました。

    ミステリ作品は「カミラ・レックバリ」、「ラーシュ・ケプレル」、「カーリン・イェルハルドセン」に続きスウェーデン作家の作品… 北欧ミステリの魅力にどっぷり浸かっていますね。

    -----story-------------
    アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞、警察小説の金字塔を新訳で!

    反米デモの夜、ストックホルムの市バスで八人が銃殺された。
    大量殺人事件。
    被害者の中には、右手に拳銃を握りしめた殺人捜査課の刑事が。
    警察本庁殺人捜査課主任捜査官「マルティン・ベック」は、後輩の死に衝撃を受けた。
    若き刑事はなぜバスに乗っていたのか?
    デスクに残された写真は何を意味するのか?
    唯一の生き証人は、謎の言葉を残し亡くなった。
    捜査官による被害者一人一人をめぐる、地道な聞き込み捜査が始まる―。
    ----------------------


    1968年に発表されたスウェーデンの警察小説「マルティン・ベックシリーズ」の第4作… これまでは英語版からの訳出だったようですが、本作はスウェーデン語から翻訳された新訳版です。

    ストックホルムの市バス… 2階建てのバス・ダブルデッカーで何者かがマシンガンを乱射し、乗客全員が銃撃され、8人が死亡、1人が重体となる事件が発生、、、

    死者の中に「マルティン・ベック」の後輩で若き刑事「オーケ・ステントルム」が被害者の一人として発見された。


    最初に現場へ到着したソルナの警官「クリスチャンソン」と「クヴァント」が車内を踏み荒し、犯人の証拠が消されてしまったこともあり、捜査は難航、、、

    若き刑事はなぜバスに乗っていたのか?
    デスクに残された写真は何を意味するのか?
    唯一の生き証人が死の間際に残した謎の言葉の意味は?

    中盤くらいまでは新たな謎ばかりが提示され、この事件は解決するんだろうか… と登場人物の刑事のように不安になりましたが、、、

    「マルティン・ベック」は、「ステントルム」が容疑者を尾行しているうちに事件に巻き込まれ、この事件が「ステントルム」が捜査していた事件と関わっていると推理し、「ステントルム」が単独で調査していた過去の未解決事件(10数年前の娼婦殺人事件)の真相を探ろうとします。


    そして、娼婦殺人事件での新事実(犯行に使用されたクルマがルノー4CVではなくモリス・マイナーだった等)が判明することで、一気に解決に向かいます、、、

    これって、「ステントルム」は既に気付いていたことなので、キチンと上司に報告していれば、こんなに捜査が難航することもなかったんでしょうけどね。


    本作品、被害者が9名と多いことや、過去の娼婦殺人事件では29人もの男性が関わっていたりして、その周辺の人物も加えると、非常に多くの人物が登場… しかも、スウェーデンの地名、人名は覚えにくい、、、

    ということで、理解しながら読むのに苦労しました。


    最後はスッキリしましたけどね。



    以下、主な登場人物です。

    「マルティン・ベック」
     警察本庁殺人捜査課主任捜査官

    「レンナート・コルベリ」
     警察本庁殺人捜査課捜査官

    「グンヴァルド・ラーソン」
     警察本庁暴力犯罪課捜査官

    「フレドリック・メランダー」
     ストックホルム警察暴力犯罪課捜査官

    「エイナール・ルン」
     警察本庁暴力犯罪課捜査官

    「エーク」
     警察本庁殺人捜査課捜査官

    「イェルム」
     ストックホルム警察鑑識課主任

    「オーケ・ステントルム」
     警察本庁殺人捜査課捜査官

    「ペール・モンソン」
     マルメ警察捜査官

    「ウルフ・ノルディン」
     スンズヴァル警察捜査官

    「オーサ・トレル」
     ステンストルムの恋人

    「アルフォンス・シュヴェリン」
     被害者中唯一の生存者

  • 警察小説はこのような淡々と進む感じが好き。淡々と進むけど、感情はとても伝わるし、展開も緩急あってとても良い。

  • 雰囲気は色で言うと灰色かな
    ちょうど表紙も灰色になってる
    バスの中で起きた大量銃殺事件。なんの変哲もない凡庸な刑事たちが、この陰惨な事件を追っていく
    捜査するにつれていくつかの事実が浮かび上がってくるが、それらの関連が分からず、なかなか霧は晴れない
    終盤になってやっと点がつながりひとつの線になったとき、読んでるほうにはある種の感動がある
    派手さを抑えた地味な作品だが、非常に面白かった

  • レベル高い

  • ストックホルム郊外で起きた市バス乗客皆殺し事件。被害者の中に殺人課の刑事が!犯人は誰なのか、なぜこんな事件が起きたのか、マルティン・ベックをはじめとする捜査官は地道な捜査を始めます。シリーズ初読ですが、全く問題ありませんでした。個性の強い刑事たちに惹かれ、ぐいぐいと読み進めました。警察小説の金字塔と言われるだけのことはあります。謎解きよりも、それぞれの専門性を活かして地道に当たった捜査員の捜査が組み上げられていく…それを追いかけることが、そして彼ら自身が、本当に愛おしかったです。楽しい読書タイムでした。

  • なぜだか以前から、タイトルだけは知っていました。どうしてでしょう?とくにミステリーや警察小説が好きというわけでもないのに・・・。無意識のうちに頭の中にタイトルが刷り込まれているというのは、それだけ人気を博した本だったのでしょうね。
    調べてみると、1968年に刊行され、1970年にエドガー賞長編賞を受賞となっていたので、50年ほど前の作品だということがわかり驚きました。どうしてそんな昔の小説のタイトルが頭ン中に刷り込まれていたのか、いまもってよくわかりません。北欧の作家ですぐに思い浮かぶ名前といえば、トーベ・ヤンソンくらいなものなのに。
    んで、読んでみると、警察小説の金字塔といわれるだけあって、やっぱり面白かったです。ずいぶん後半になるまで捜査に進展がないものの、まったく飽きさせられることがないのは、事件にかかわる警官たちの個性がよく描かれているからでしょうネ。それと、当時のスエーデンが抱えていた問題、世相などが、それとなく散りばめられているからではないでしょうか。
    本作は、シリーズ4作目だそうです。シリーズの初めから読んでみたいと思いました。



    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • まさか今まで読んだことなかったなんてことはない。
    新訳が出たから再読してみた。
    やっぱりいいわ~!!

    現代ミステリーの原点はここにあり、いまだにここを超えるもののほうが少ない。

    なにしろ描写がうまいね。背景も人物も。
    ありきたりじゃないとはこういうこと。

    まずは4作目が出て、これからは順を追って出るそうだ。
    そーこなくっちゃ♪

    なお、旧訳との比較はできない、もう忘れちゃったよ。

  • 大雨の夜にバスで起こった大量殺人事件。手がかりがないまま、マルティン・ベックと個性豊かな仲間たちによる地道な捜査が展開される。読みながら、一緒に捜査をしているような臨場感があり、最後、見事な解決に爽快感さえ感じる。

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著者プロフィール

1935年、ストックホルム生まれ。雑誌記者・編集者を経て65年から10年間ペール・ヴァールーとマルティン・ベックシリーズを10作書き上げる。ストックホルムに詳しく、マルティン・ベックシリーズの陰の主役ストックホルムの町と人々の暮らしの卓越した描写はマイの功績。現在ノルウェー語、デンマーク語、英語の翻訳者。

「2017年 『バルコニーの男 刑事マルティン・ベック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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