千年ジュリエット (角川文庫)

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著者 : 初野晴
  • 角川書店 (2013年11月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041010808

千年ジュリエット (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ハルチカシリーズ4作目。

    チカちゃんて、スゴイ。今まで、フツーとか思っててごめん。いや、一生懸命なところは可愛いしがんばれって思ってたけど、チカちゃん、実は天然にスゴイ子だったんだ。

    吹奏楽部のメイン活動は休止して、文化祭にまつわるお話たち。個人的に好きなのは、演劇の脚本のエンドがないまま、脚本家が失踪してしまった「決闘戯曲」。当日になって、どういうエンドだったのかを探るお話です。それが、脚本の中で語られるミステリーを解決する種明かし部分なので、上演するためには、なんとか解くしかないわけです。謎自体は、物語と思えばコロンブスの卵的結末だけど、命のかかった決闘と思えばその知恵と機転の切れ味に唸ることになる。

    日常系ミステリーといえど謎を解くわけなので、どうしても探偵役やその周囲には、理屈っぽさとか説明くささがついて回ることになりかねないのですが、このシリーズでは、ごくごくフツーの女子高生チカちゃんがいい意味でバカを入れていて、頭でっかちになりがちな部分を緩めていると思います。

    チカちゃんはそういう役目なんだと思っていました。

    が、この1冊のラストの1篇、そのまたラストでガツンとやられました。

    「黒玉でもいいじゃん、打ち上げられなかったらただの玉」

    若くって、楽天的であまり物事を深く考えるタチじゃないからこそのセリフかもしれない(むしろそうなんだろうと思う)。でも、特にこれといった問題のない環境で健康に育ってきたとしても、ナチュラルにそう思って、失敗恐れずに前向いて歩ける人ばかりじゃないよね。ハルタなんかも、私にはまだ奥は見えてこないのだけれど、チカちゃんのそういう部分が眩しく思えることってあるんじゃないかなって思う。それで救われるか、苦々しく思うことになるのかは、受け止める側次第。

    ハルチカは引き気味で、吹奏楽部の外の人たちのお話ばかりですが、どれも「一歩前へ踏み出す」物語に思えます。青春だ。だけど、それが必要なのは、現在進行形で「青春」な人ばかりではないと思う。

  • ハルチカシリーズ、なにが一番好き?って言われれば、パッと浮かぶのは『タイトル』このシリーズ、タイトルが全てすき。とくにこの『千年ジュリエット』この響きだけで何だか切なくて泣きそうになる。いつも重たい謎が渦巻いているけれど、『千年ジュリエット』は胸が締め付けられたよ。でも切ない、悲しいで終わらないのがこのハルチカシリーズ。今回もちゃんと笑顔になれるラストでした。

  • 「ハルチカ」シリーズです。
    当作は文化祭のお話なので、日野原会長とブラックリスト十傑の登場率が高いです。
    表紙は山中verで、これはマレンなのか?

    ◆エデンの谷
    芹澤さんが吹奏楽部に入部しています。
    まだ部に馴染んでいなくて、片桐部長とは衝突しています。
    片桐部長が一番芹澤さんを気に掛けているんだよね。
    チカちゃんは「芹澤さんともっと仲良くなりたーい☆」という感じです。
    最近は「芹澤さんラブ」じゃないか?
    成島さんとも仲良く喋るシーンが見てみたいわ。
    成島さんはマレンと一緒にいるイメージが強いです。

    草壁先生が師事していた先生の孫娘・真琴が登場します。
    二人のあまりの親密さに、ハルタは嫉妬の炎を燃やしています。

    山辺氏が残したピアノは価値のあるもので、真琴の父親が借金返済の為に売りに出そうとしていた。
    しかし、ピアノの鍵がなくて、「鍵の在り処は真琴に託した」と祖父は言っていた。
    真琴が祖父から譲り受けたものはピアニカのみ。
    分解しても特におかしなものはなかった。

    ピアノの鍵盤を真琴のピアニアに移していたので、ピアノの価値は下がっていました。
    「鍵をなくした」というのはワザとなのかも。

    真琴さんも音楽家としては致命的なハンデがありました。
    だからこそ、芹澤さんに厳しいことを言ったようです。

    頼もしい指導者が出来て、吹奏楽部としては環境が良くなりました。
    後に、ハルタの実家に真琴さんが居候するそうです。
    今以上に女性に幻滅してハルタが真性ゲイになったらどうするのよ。

    日野原会長とチカちゃんのやり取りが好きです。
    日野原会長は絶対にチカちゃんを気に入っていますよね。

    ◆失踪ヘビーロッカー
    タクシー運転手とチカちゃんの視点で物語が進行します。
    タクシー運転手の息子に関する話は、後の伏線になっています。

    タクシー運転手がロッカー少年を清水南高校まで届けることになった。
    見た目は派手だが礼儀正しい少年に、運転手は好感を抱く。
    しかし、何が原因なのかは分からないが、少年の態度が変わり、おかしな指示をしてきた。

    ロッカー少年はアメリカ民謡クラブの部長・甲田だった。
    甲田は「ブラックリスト十傑」の一人だが、誰からも信頼されている優等生でもある。

    文化祭の舞台に立つ時間が迫っているのに、甲田が到着していない。
    甲田は真面目なので、ステージに穴を空けるという無責任な真似をする筈がない。
    ハルチカはアメ民のメンバー・清春と共に、甲田の身を案じる。

    まさか、毒ヘビが紛れ込んでいたとは。
    文化祭の会場に毒ヘビが逃げないように、甲田さんが配慮していたようです。
    甲田さんはギリギリでステージに立てましたが、清春くんの出番はありませんでした。
    草壁先生の提案で、清春くんと他二年生のメンバーは仮で吹奏楽部に籍を置くことになります。
    清春くん達も来年の大会に参加するかもしれませんね。

    「甲田」や「清春」って、ロックな名前ですね。
    芹澤さんの空回り振りが憎めません。

    そして、安定の日野原イズム。
    ソファに座って「パフォーマンスで癒せ」という注文は何なのよ。

    ◆決闘戯曲
    演劇部と絡んでいます。
    演劇部の秘蔵っこが脚本を途中まで作った状態で失踪します。
    残された演劇部とハルチカが通し稽古をすることで、どんな結末になるかを推理します。

    片目と右手が不自由な男が決闘で勝つ方法は果たしてあるのか。
    脚本を書いた学生の先祖二人は、共に不利な条件で決闘に勝っていた。
    立会人が狡賢いんですよね。
    立会人達は共に、詐欺師だったり賭けの才能があったりします。
    大きな階段で決闘をすれば、条件によってはお互いに怪我を負うことなく勝てるというオチです。

    甲田さんによって東京Xにされたハルタや、演劇部のコ達にアメを配るチカちゃんにクスリとしました。
    名越は裸になりたがりなのか?
    赤フンやら前バリやら…。

    ◆千年ジュリエット
    この話だけは、トモちゃん視点で進行します。
    難病に罹った女性達が集まり、恋愛相談のサイトを立ち上げます。
    彼女達は恋愛経験が乏しいものの、だからこその独特な答えを返していました。
    それが好評で、次々と相談が寄せられます。

    トモちゃんはマレンに会う為、清水南高の文化祭に向かいます。
    途中で、トモちゃんは「ブラックリスト十傑」達に遭遇します。
    甲田さんに至っては、トモちゃんに一目惚れしてしまいます。
    朝霧はトモちゃんの正体に気付いたのかしら。
    名越は気付いていないようですが、マヤは感づいた様子です。

    トモちゃんの正体は、「失踪ヘビーロッカー」に登場していたタクシー運転手の息子でした。
    引きこもったのは性同一障害だからかな。
    オヤジさんは、どう接していいか分からないですよね。

    トモちゃんこと智之には、智子という幼馴染がいた。
    智子は難病に罹ってしまい入院する。
    それでも二人の交流は続いて、智子は病院内にウェブカメラを仕掛けることを提案する。
    カメラを通して、智之は恋愛相談の答えを考える女性達を眺めていた。

    「写真立てに花」と書いてあったので、「誰かは既に亡くなっている」と思っていましたが、それが智子だったのか。
    智子は以前、病院に慰問に来ていたマレンに恋をしていたので、智之は会いに行ったのでした。

    男の娘というオチですか。
    可愛いらしいけど、体に触れば分かるレベルなのね。
    制服にマフラーとレギンスという格好は普通はしないですよね。
    三年も引きこもっていれば髪のカットはしていなさそうなので、ウィッグの必要性が感じられません。

    タクシーの運転手に既視感があったのは、自分の父親だから。
    すぐに分からなかったのは、滅多に顔を合わせていなかったからでした。

    トモちゃんにはクラリネットの才能がありそうなので、来年に入学する可能性もあるのかな。

  • 最後には謎を解決してくれるけど、答えをズバッと言ってくれる訳じゃないんよね~w
    さくっと書いて、ほら分かるでしょ?みたいな。笑
    新しい。笑

  • ハルチカシリーズ第四作。再読。
    第四作とは書いてあるが、位置付けとしては番外編というか寄り道編というか。
    大会を終え、間もなく三年生が引退するという秋。文化祭の直前から文化祭当日の二日間に起きたあれこれ。
    顧問の草壁先生を良く知っているらしき演奏家の女性が持ち込んだ、楽器の鍵の行方の謎。
    ヘビメタバンド部長のライブ直前の逃走。
    演劇部が疲労する劇の未完の結末。
    そして末期患者たちで作ったジュリエットの秘書掲示板と、彼女たちの知人の秘密。
    ハルチカ、草壁先生の謎解きもあるが、そこは一歩引いて主役はバンドリーダーや演劇部や謎目いたトモちゃんに譲っている。
    やはり清水南高校はある意味天才たちの集まりだし、純粋で良い子たちの集まりだ。
    生徒会長・日野原が引退するのが寂しい。彼の後継者は大変だ。
    また新しいメンバーか増えそうで、そして頼もしい大人も増えそうで楽しみ。
    次も再読してみる。

  • 高校デビュー吹奏楽部の女子高生ヒロイン(演奏はまだまだ拙いもの)は、
    幼なじみ&天才的な演奏者男子学生と共に、
    素晴らしい顧問の想いに応えるべく、吹奏楽部の甲子園的な大会への出場を目指し、
    様々、演奏者として有望ながらも部に入っていない生徒たちの悩みや痛みを解決し、部員を増やし、夢へと突き進んでいく――。


    以上、そんな内容の『ハルチカ・シリーズ』4作目。


    作者の初野晴さんは、他作品のレビューでも少し書いたように、痛みや孤独に対する優しさや温かさを描くのが優れていて、作品の温かさに幸せを感じます。
    このシリーズでも青春作品でありながらも、青春作品レベル以上の、痛みや孤独に対する優しさや温かさからの涙の感動があり、
    その上で青春作品の明るさや楽しさが加わり、素晴らしい面白さを産み出しています。

    まだシリーズの最後まで読んでないので、最後まで読むと変わる可能性も有り得ますが、
    4作読んだ時点では、誰にでもオススメ出来る神作品シリーズです(^-^*)/

  • エデンの谷の、おじいちゃんの最期の一言が笑える、いや、泣ける。
    最期にスナフキンに残した形見も。
    一作が単独で読めるけど、いろいろ繋がってるので、読み返して確認したりして。油断できない。
    色んなところで、繋がって、少しづつ進んでるカンジ。

  • ハルチカシリーズ第4巻。3巻で感じた、書きすぎない技術に増して、一人称視点の書き方が飛躍的に向上しているように読める(何様)。前巻でも片鱗は見せていたが、この巻では「私」がいつも「現在のチカちゃん」ではないため、いきなり出てくる「私」が誰だかよく考えながら読み進める必要がある。その上プロットツイストで時間、空間が飛び回るため読み応えが抜群に良い。
    この巻で草壁先生の空白の年代が明らかになるかな、と思っていたのだが、スナフキンが出てきた程度で、まだまだ謎に包まれている。焦らし上手な上にオチが斜め上なので先を読まずにいられない良書。
    巻末の「解説」にも書かれているように、「千年ジュリエット」のテーマは継承。戦争、政治、家族、継承。この巻の4遍は前作までとも被る社会問題が取り上げられている(これも継承?)。遺産相続+家庭崩壊+障害、引きこもり+部活相続、人種+血統+戦争、入院病棟+引きこもり+LGBTQ+。相変わらず、盛りだくさんすぎます。シリーズ物でここまで段々と良くなる小説が他に思い浮かばない。

  • ハルチカシリーズ第四弾。

    ▼収録作品
    「イントロダクション」
    「エデンの谷」
    「失踪ヘビーロッカー」
    「決闘戯曲」
    「千年ジュリエット」

  • 文化祭をテーマにした短編集。
    今までの長編の流れを汲み取りつつ、ハルチカ以外の主人公目線で話が進む。

    相変わらず面白かった!

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千年ジュリエット (角川文庫)の作品紹介

文化祭の季節がやってきた! 吹奏楽部の元気少女チカと、残念系美少年のハルタも準備に忙しい毎日。そんな中、変わった風貌の美女が高校に現れる。しかも、ハルタとチカの憧れの先生と何やら親しげで……。

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