つれづれ、北野坂探偵舎 著者には書けない物語 (角川文庫)
- KADOKAWA/角川書店 (2013年12月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041011232
作品紹介・あらすじ
大学生ユキが出会ったのは、演劇サークルに所属する大野さんと、シーンごとにバラバラとなった脚本に憑く幽霊の噂。「解決しちゃいませんか?」とユキは持ちか けるが、駆り出されるのはもちろんあの2人で……。
感想・レビュー・書評
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作家の雨坂続と喫茶店オーナー佐々波蓮司の二人が探偵として、未完成の脚本の謎を探り、新たな再生を生みだす希望の物語だ。この二人は、一見子供っぽいところがありながら、すごく大人なんだよなあ。いろいろなもののストーリーが見えてしまう雨坂には、私などはなかなかついていけない。天才肌の探偵のようだ。小暮井ユキやパスティーシュとか女性は登場するが、まるっきり若々しい気持ちみたいなものが表されていないのが、ちょっと現実感を薄くしているかもしれない。
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余計なことがらを排してさっくりまとまった一冊
劇中劇をするとこの作品の
というよりこの作者の作品の劇的であることに自覚的であることがよくわかる
鏡に映して対称を照らすのと同じく
小説の題材にもならないありふれた事柄に映して
お話になるだけの出来事は
いかに日常と対称して劇的であるべきか
そんな創作に当たり前の意識ない作品のいかに多いことか -
「バッド・クォートに憑く幽霊」
マフラーの色だけが。
どこまで聞かれたら答えればいいのか、これを明確に説明していなかったからこそバレてしまったのだろう。
「TO MY SISTER」
出会いは最悪であり。
物語としては不完成なものだったとしても、幼い子との遊びの中でバットエンドは流石に描けないだろうな。
「アナグラム・プログラム」
抱いていた違和感は。
無意識だったのかもしれないが、触れられたくない部分だったからこそ会話の中でも遠ざけていたのだろう。
「著者には書けない物語」
二つの選択肢がある。
最後まで物語を創りきれなかったとはいえ、バラバラにしておいても読み手の解釈でなりたつのは才能だろ。 -
感想を書くのを忘れていました。少し読み返して、今更ながら感想文を書いています。
順番がわからない脚本。どれが正しい順番なのだろう、という純粋な推理要素も含みつつ、結果は想像を越えてくるお話です。
自殺した天才脚本家の宵野ランについて探る中で、
レイニーの人柄(幽霊柄)がよく伝わり、一気に親しみやすくなった気がします。なんとなく悪者な印象でしたが、案外そうでもないかもしれないと思い始めました。
話の合間に入ってきた海辺の地縛霊のノゾミちゃんと、そのお兄さんの会話が刺さります。見えていないのに語りかけるシーンを想像するとグッとくるものがありますね。 -
二人のキャラクターや背景も明らかになってきて、なかなか楽しめた
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シリーズものと気付かずに読んだ
だけど、関係なく面白かった
これから前に戻っても多分問題なさそう
なかなか良いのでシリーズ全部読む
そう言えば、関西の話なのに関西弁出てこないからあまり関西っぽくない
神戸の話だとこんなもんか
あとバスティーシュが気になる -
一作目から引き続き読了。今回のはなしはなかなかパズル性が高かったような気がする。ラストにてレイニーの正体が分かりかけたような…。トロンプルイユの指先、ちょっと気になる。本当にそんな本があれば良いのに。続編あるならば待ち遠しい。早く読みたい一冊。
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河野裕のつれづれ、北野坂探偵舎2を読みました。
小説家の雨坂とその元担当編集者で今はカフェ経営をしている佐々波が登場するミステリーの2作目でした。
佐々波は幽霊が見えるという能力があり、この世に未練を残している幽霊が物語に登場します。
今作では大学の演劇部で未完成の戯曲を遺して亡くなった人とその人に関連する幽霊が登場します。
また、雨坂が過去に大きな事故にあったことが明らかになってきました。
いまは脇役として登場する少女の幽霊が今後の物語の主役になってくるのではないかという予感がします。
河野裕の小説は難解な部分があって、通勤読書のkonnokにはちょっときついと感じてしまいますが、それでも物語を追いかけてみたいと思わせる魅力があります。 -
登場する演劇部の大学生たちが軒並みいけすかない(照明さん以外)のに若干閉口した。アート系こじらせ青少年にありがちな人物像ではある。前作を読んだのがかなり前だったので、大枠の設定をすこーんと失念していて苦労したが、これは当方がいけないので作品に責任はなし。
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読書録「つれづれ、北野坂探偵舎著者には書
けない物語」3
著者 河野裕
出版 角川文庫
p38より引用
“ 雨坂続ー小説家は現実の情報を「設定」
として、物語を創る。推理ではない。あくま
で物語だ。だから、突飛な内容でも平然と語
る。
佐々波蓮司ー編集者は物語の矛盾点を指摘
する。ストーリーが自然なものではなかった
なら、あるいは現実と僅かでも齟齬があった
なら、詳細にそれをつつく。
小説家が創り、編集者が崩す。崩れたらま
た創り直す。こうして二人は真実ににじり寄
る。”
目次より抜粋引用
“バッド・クォートに憑く幽霊
TO MY SISTER
アナグラム・プログラム
著者には書けない物語”
小説家と元編集者でカフェオーナーの探偵
所長を主人公とした、長編ミステリ小説。
シリーズ第二弾。
大学に入学し、サークルの勧誘に追いかけ
られている、小暮井ユキ。そんな彼女に勧誘
を躱すコツを教えてくれた女性は、劇団員を
しており…。
上記の引用は、小暮井ユキから持ち込まれ
た依頼について話し合っている、主人公二人
のスタイルについて。
自分の行動を修正してくれる、信頼できる相
手がいれば、全力で物事を前に進められそう
ですね。
二人の過去が少し明らかになる巻、今後の
物語の展開を楽しむために、重要な部分では
ないでしょうか。
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前作と違って複数の事件の積み重ねではなく、彼らの過去に関わる大学でバラバラな脚本を正しく並べ一つシーンを加えるという依頼の長編になっていました。分割された脚本が手元にあるわけではないので、読むだけで自分の頭で前後関係を考えながらつなげて理解するのはなかなか骨が折れましたが、クライマックスの舞台上の緊迫したシーンはとても楽しめました。二人の過去や少女の正体などかなり明らかになっているのですが、ラストシーンを読むとまだまだこれからの気がします。登場人物達の作る独特の雰囲気が好きなので続きも楽しみです。
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前作のことは殆んど覚えていなかった。雨坂と佐々波のやり取りとか枝葉の部分は楽しめたけれど、本筋とか深い部分はよくわからなかった。お芝居の話はすきだけれど、そういう部分もあまり入り込めなかった。終盤のお芝居が希望に転換する部分はすっきり出来て良かった。読んでいて視点が迷子になったり、幽霊のレイニーが見えている人といない人の把握がおろそかになってしまったり、「彼」や「彼女」が誰を表しているのか咄嗟にすんなりとはわからなかったりした辺り、文章はさらさらと読めるのに難しかった。
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シリーズ二冊目。
主人公らしき立ち位置の少女が大学生になってた。出しゃばられると結構ジャマそうな存在を上手に使っているなぁという印象。でもやっぱりパスティーシュさんがイイ。
ようやく主要人物の人物像と過去が明らかにされ、さあ次の巻で本格的に動き出すのか?という所。
それにしても雨坂先生は結構メンドクサイファンが多いんだな… まあ本人もそんな感じだから類は友を呼んでいるのか?
脚本家は京都で芝居を書いているのだろうか、と期待させる終わり方。それにしても誰もコテコテの関西弁を使わないので地名が出てこないと関西が舞台という気がしない作品だな、このシリーズ。 -
今回の幽霊はレイニー
ノゾミも登場し、11年前の事件の一部が明らかに。 -
探偵舎だけれど、あまり探偵な感じはない。
2016/8/23 -
【収録作品】バッド・クォートに憑く幽霊/TO MY SISTER/アナグラム・プロぐむ/著者には書けない物語
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天才小説家と、幽霊が見えるという元編集者が謎解きをする素人探偵シリーズの第二弾。流行りのキャラクター重視かと思いきやそこまで極端に誇張されておらず、かと言ってミステリーと呼ぶにはロジカルでもなく、輪郭がはっきりつかめないのに何故か続きが気になるシリーズです。
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二人の過去が前回よりもさらに深く見えてくる…