つれづれ、北野坂探偵舎 著者には書けない物語 (角川文庫)

著者 :
制作 : 平沼 正樹 
  • KADOKAWA/角川書店
3.42
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本棚登録 : 533
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011232

作品紹介・あらすじ

大学生ユキが出会ったのは、演劇サークルに所属する大野さんと、シーンごとにバラバラとなった脚本に憑く幽霊の噂。「解決しちゃいませんか?」とユキは持ちか けるが、駆り出されるのはもちろんあの2人で……。

感想・レビュー・書評

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  • 作家の雨坂続と喫茶店オーナー佐々波蓮司の二人が探偵として、未完成の脚本の謎を探り、新たな再生を生みだす希望の物語だ。この二人は、一見子供っぽいところがありながら、すごく大人なんだよなあ。いろいろなもののストーリーが見えてしまう雨坂には、私などはなかなかついていけない。天才肌の探偵のようだ。小暮井ユキやパスティーシュとか女性は登場するが、まるっきり若々しい気持ちみたいなものが表されていないのが、ちょっと現実感を薄くしているかもしれない。

  • 「なんだ!この萌えるコンビ!!」第二弾。
    一作目の依頼者が入学した大学の演劇サークル“ラバーグラス”の伝説の脚本家が遺したバラバラの脚本。その脚本の謎を解いて欲しいと、元編集長で探偵の佐々波と小説家雨坂続に依頼が入る。
    二人がその脚本を演じる事になり、雨坂に合わせて演じながら正しい道へと導くストーリーは意外で驚いた。信頼し合ってないと続かないストーリー。こういう所が萌えるコンビと言われる所以か。うん、嫌いじゃない。
    佐々波と雨坂の関係性も少しずつ明らかにされてきて、ますます続きが気になる。

  • 余計なことがらを排してさっくりまとまった一冊
    劇中劇をするとこの作品の
    というよりこの作者の作品の劇的であることに自覚的であることがよくわかる
    鏡に映して対称を照らすのと同じく
    小説の題材にもならないありふれた事柄に映して
    お話になるだけの出来事は
    いかに日常と対称して劇的であるべきか
    そんな創作に当たり前の意識ない作品のいかに多いことか

  • 「バッド・クォートに憑く幽霊」
    マフラーの色だけが。
    どこまで聞かれたら答えればいいのか、これを明確に説明していなかったからこそバレてしまったのだろう。

    「TO MY SISTER」
    出会いは最悪であり。
    物語としては不完成なものだったとしても、幼い子との遊びの中でバットエンドは流石に描けないだろうな。

    「アナグラム・プログラム」
    抱いていた違和感は。
    無意識だったのかもしれないが、触れられたくない部分だったからこそ会話の中でも遠ざけていたのだろう。

    「著者には書けない物語」
    二つの選択肢がある。
    最後まで物語を創りきれなかったとはいえ、バラバラにしておいても読み手の解釈でなりたつのは才能だろ。

  • 感想を書くのを忘れていました。少し読み返して、今更ながら感想文を書いています。

    順番がわからない脚本。どれが正しい順番なのだろう、という純粋な推理要素も含みつつ、結果は想像を越えてくるお話です。
    自殺した天才脚本家の宵野ランについて探る中で、
    レイニーの人柄(幽霊柄)がよく伝わり、一気に親しみやすくなった気がします。なんとなく悪者な印象でしたが、案外そうでもないかもしれないと思い始めました。
    話の合間に入ってきた海辺の地縛霊のノゾミちゃんと、そのお兄さんの会話が刺さります。見えていないのに語りかけるシーンを想像するとグッとくるものがありますね。

  • 二人のキャラクターや背景も明らかになってきて、なかなか楽しめた

  • シリーズものと気付かずに読んだ
    だけど、関係なく面白かった
    これから前に戻っても多分問題なさそう
    なかなか良いのでシリーズ全部読む
    そう言えば、関西の話なのに関西弁出てこないからあまり関西っぽくない
    神戸の話だとこんなもんか
    あとバスティーシュが気になる

  • 一作目から引き続き読了。今回のはなしはなかなかパズル性が高かったような気がする。ラストにてレイニーの正体が分かりかけたような…。トロンプルイユの指先、ちょっと気になる。本当にそんな本があれば良いのに。続編あるならば待ち遠しい。早く読みたい一冊。

  • 河野裕のつれづれ、北野坂探偵舎2を読みました。

    小説家の雨坂とその元担当編集者で今はカフェ経営をしている佐々波が登場するミステリーの2作目でした。
    佐々波は幽霊が見えるという能力があり、この世に未練を残している幽霊が物語に登場します。

    今作では大学の演劇部で未完成の戯曲を遺して亡くなった人とその人に関連する幽霊が登場します。
    また、雨坂が過去に大きな事故にあったことが明らかになってきました。
    いまは脇役として登場する少女の幽霊が今後の物語の主役になってくるのではないかという予感がします。

    河野裕の小説は難解な部分があって、通勤読書のkonnokにはちょっときついと感じてしまいますが、それでも物語を追いかけてみたいと思わせる魅力があります。

  • 登場する演劇部の大学生たちが軒並みいけすかない(照明さん以外)のに若干閉口した。アート系こじらせ青少年にありがちな人物像ではある。前作を読んだのがかなり前だったので、大枠の設定をすこーんと失念していて苦労したが、これは当方がいけないので作品に責任はなし。

  • 読書録「つれづれ、北野坂探偵舎著者には書
    けない物語」3

    著者 河野裕
    出版 角川文庫

    p38より引用
    “ 雨坂続ー小説家は現実の情報を「設定」
    として、物語を創る。推理ではない。あくま
    で物語だ。だから、突飛な内容でも平然と語
    る。
     佐々波蓮司ー編集者は物語の矛盾点を指摘
    する。ストーリーが自然なものではなかった
    なら、あるいは現実と僅かでも齟齬があった
    なら、詳細にそれをつつく。
     小説家が創り、編集者が崩す。崩れたらま
    た創り直す。こうして二人は真実ににじり寄
    る。”

    目次より抜粋引用
    “バッド・クォートに憑く幽霊
     TO MY SISTER
     アナグラム・プログラム
     著者には書けない物語”

     小説家と元編集者でカフェオーナーの探偵
    所長を主人公とした、長編ミステリ小説。
    シリーズ第二弾。
     大学に入学し、サークルの勧誘に追いかけ
    られている、小暮井ユキ。そんな彼女に勧誘
    を躱すコツを教えてくれた女性は、劇団員を
    しており…。

     上記の引用は、小暮井ユキから持ち込まれ
    た依頼について話し合っている、主人公二人
    のスタイルについて。
    自分の行動を修正してくれる、信頼できる相
    手がいれば、全力で物事を前に進められそう
    ですね。
     二人の過去が少し明らかになる巻、今後の
    物語の展開を楽しむために、重要な部分では
    ないでしょうか。

    ーーーーー

  • 前作と違って複数の事件の積み重ねではなく、彼らの過去に関わる大学でバラバラな脚本を正しく並べ一つシーンを加えるという依頼の長編になっていました。分割された脚本が手元にあるわけではないので、読むだけで自分の頭で前後関係を考えながらつなげて理解するのはなかなか骨が折れましたが、クライマックスの舞台上の緊迫したシーンはとても楽しめました。二人の過去や少女の正体などかなり明らかになっているのですが、ラストシーンを読むとまだまだこれからの気がします。登場人物達の作る独特の雰囲気が好きなので続きも楽しみです。

  • 前作のことは殆んど覚えていなかった。雨坂と佐々波のやり取りとか枝葉の部分は楽しめたけれど、本筋とか深い部分はよくわからなかった。お芝居の話はすきだけれど、そういう部分もあまり入り込めなかった。終盤のお芝居が希望に転換する部分はすっきり出来て良かった。読んでいて視点が迷子になったり、幽霊のレイニーが見えている人といない人の把握がおろそかになってしまったり、「彼」や「彼女」が誰を表しているのか咄嗟にすんなりとはわからなかったりした辺り、文章はさらさらと読めるのに難しかった。

  • シリーズ二冊目。
    主人公らしき立ち位置の少女が大学生になってた。出しゃばられると結構ジャマそうな存在を上手に使っているなぁという印象。でもやっぱりパスティーシュさんがイイ。

    ようやく主要人物の人物像と過去が明らかにされ、さあ次の巻で本格的に動き出すのか?という所。
    それにしても雨坂先生は結構メンドクサイファンが多いんだな… まあ本人もそんな感じだから類は友を呼んでいるのか?

    脚本家は京都で芝居を書いているのだろうか、と期待させる終わり方。それにしても誰もコテコテの関西弁を使わないので地名が出てこないと関西が舞台という気がしない作品だな、このシリーズ。

  • 今回の幽霊はレイニー
    ノゾミも登場し、11年前の事件の一部が明らかに。

  • 探偵舎だけれど、あまり探偵な感じはない。
    2016/8/23

  • 今回は雨坂自身、雨坂と佐々波の過去、ノゾミちゃんが何者か、について色々と判明した巻だった。

    朽木続の方が、朽木が本当の苗字なんだよな、雨坂?
    雨坂という姓は、高校時代佐々波と親交のあった大学教授の助手をしていた雨坂の姉の姓。
    それも結婚したから、朽木から雨坂に変わってた。
    その結婚後の姓を何故弟である続が名乗っているのか、そこがまだ分からないとこだな。
    それに、恐らく本名である朽木続を存在しない者といい完全にペンネームと思っての作者は本の中だけに留まるべきという発言。
    教授と雨坂姉と雨坂とノゾミと佐々波を乗せた車が交通事故に遭って、雨坂と佐々波以外死亡した。
    雨坂に至っては6年間眠り続けて、奇跡的に目を覚ました。
    そして、雨坂の母親と思われし紫色の指先の霊。
    その過去の亡霊、過去に囚われ続けている自身と周りの者のストーリー、そこには過去に囚われているのはあくまでも朽木続であり、6年後に目覚めた自身は雨坂続と名乗って区切っているのかなと考察。
    ノゾミは雨坂姉の娘で、雨坂の姪っ子に当たる。
    これには納得した。
    あの聡明さと関係の深さを思わせる雰囲気、親族だよなやはり。

    それにしても、雨坂は高校の頃から天才だったんだな。
    五十音順からの逆五十音順で小説を書き上げてしまうなんて…。
    それも内容が深くまだ読書に造詣の無かった読み手であるレイニーと佐々波を引き込むほどの力。
    そして、結末はノゾミの読み物になるからとノゾミ向けのハッピーエンドにされた。
    雨坂、ほんと天才だったんだな元々。

    今回のキーとなるレイニーが、その頃の佐々波と雨坂にタイムリーで関わってたとはな。
    偶然にしては凄いな。
    レイニーと言えば、何故佐々波達を呼び出したのか気になるところ。
    もしも、あの呼び出しに応じていなければ事故に遭わなかったのでは?
    この部分、いつか分かるのかな。

    そのレイニーが今回もう一人のキーである、ユキの進学した大学にある劇団サークル、ラバーグラスの全盛期時の脚本家宵野ランだったとは。
    そのゴーストライターをしていたのは、依頼者大野の兄という(笑)
    この合せ具合は少しこじつけすぎかなと思ったけど、色々と噛み合う気持ち良さがこのシリーズの良い所なのかな。
    てっきり大野兄は亡くなったのかと思ったら、ちゃんと生きてた良かった。
    レイニーも、これで報われたかな。
    レイニーの心霊現象は自分の才能を継げる者に姿が見える、佐々波みたいな例外除く。
    だから、レイニーが見えた大野兄にはそれだけの才能がちゃんとあって、ただゴーストライターに留まるだけの存在ではないことをレイニーも理解してた。
    そして、本物になることを望んでもいた。
    けど、それは宵野ランには通じてなかったのかもな。通じていたら、違った未来があったのかも。
    宵野ランは彼なりにレイニーがより自由に才能を発揮出来る者とであってほしかったから、あの舞台と脚本をレイニーに捧げたんだな。

    レイニーが最後にノゾミになんて伝えたのか気になる。
    母に合う手段なんてあるんだな。
    ノゾミの心霊現象はどんな感じなのだろう。

    図書館で4巻まで借りたので読もう。

  • 【収録作品】バッド・クォートに憑く幽霊/TO MY SISTER/アナグラム・プロぐむ/著者には書けない物語

  • 天才小説家と、幽霊が見えるという元編集者が謎解きをする素人探偵シリーズの第二弾。流行りのキャラクター重視かと思いきやそこまで極端に誇張されておらず、かと言ってミステリーと呼ぶにはロジカルでもなく、輪郭がはっきりつかめないのに何故か続きが気になるシリーズです。

  • 二人の過去が前回よりもさらに深く見えてくる…

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著者プロフィール

徳島県出身。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)に始まる「階段島」シリーズなどがある。

「2023年 『昨日星を探した言い訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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