ジェノサイド 下 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.30
  • (1170)
  • (868)
  • (305)
  • (57)
  • (12)
本棚登録 : 7123
感想 : 642
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011270

作品紹介・あらすじ

研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けるのは、人間という生き物が作り出した〈地獄〉だった−−。現代エンタテインメント小説の最高峰。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  下巻では、コンゴ(アフリカ)、日本、アメリカを軸に展開が加速し、そのスケールの大きさや躍動感が増す、秀逸の超弩級エンタメ小説と言えます。

    ○ピグミー族の驚くべき知能をもった3歳児は、超人類として人類を支配するのか、それとも人類が抱える諸問題の救世主なのか? 共存か排除か?
    ○人類は、国家間・民族・宗教対立など、どこまで戦争殺戮を繰り返すのか?
    ○イエーガーの部隊はコンゴを脱出できるのか?
    ○研人は、不治の病の特効薬を完成できるのか?

     これらの関係が徐々に濃密に増幅し、スピード感を含め伏線に伏線を張った展開に、ハラハラドキドキ感は上巻以上です。実に面白く読み切りました。
     文庫上・下巻計800ページは、無駄のない充実した読書タイムにつながり、読了後に満足感・充実感に浸っていました。

     人間の、残忍・醜悪な側面と慈悲深さ・崇高な側面を考えてしまいました。本来、多面的な要素を持ち合わせている人間だからこそ、読み手は心を揺さぶられます。また、科学技術の進歩に伴って、生き方としての「不易と流行」も考えるよい機会となりました。
     「ハイズマン・レポート #5 人類の進化」は、私たちへの警鐘でしょうか?
     未読の方がいらっしゃいましたら、超おすすめです!

  • 凄い!!

    上下巻の2冊を2日で読了。

    先を読まないと居られない程の期待感。

    久々に味わった、ワクワク、ドキドキ。

    ドキドキしすぎて次のページが捲れない。
    怖い。でも期待が凄い。

    彼らはどうなるのだ?


    コロナで旅行にも行けない毎日。
    せっかくのお盆休みだというのに、家の周りを散歩するのと、必要最低限の食材日用品の購入以外の外出がままならない今。

    何するの!?

    読書でしょ!!

    いや、この本、名前は知ってましたよ。

    この作家さんも大好きだったのに、何で今まで読んで来なかったんだっ!?ってくらいの面白さ!!!

    超大作映画見終わったより凄いカタルシス。
    久々、超大当たり。

    凄いわ。。。。

    休み終盤に来て、凄い作品に出会えた。。。

    放心状態。。。
    素晴らしい!!!

    • 地球っこさん
      bmakiさん、おはようございます。

      放心状態わかります!
      わたしもこの作品、大興奮しました。
      マイ殿堂入りのお気に入り本の一冊です。
      bmakiさん、おはようございます。

      放心状態わかります!
      わたしもこの作品、大興奮しました。
      マイ殿堂入りのお気に入り本の一冊です。
      2021/08/15
    • bmakiさん
      地球っこさん
      おはようございます。
      ありがとうございます(*^^*)
      まるで映画を観ているような、壮大なストーリーでした!
      マイ殿堂...
      地球っこさん
      おはようございます。
      ありがとうございます(*^^*)
      まるで映画を観ているような、壮大なストーリーでした!
      マイ殿堂入りですか!私もそのくらい興奮しました。
      次の本が読めなくなるくらい、まだ興奮しています(*^^*)
      2021/08/16
  • かなりの時間を掛けて、ようやく読みきりました。とても壮大な物語で、それでいて清々しい読後感に浸っています。

    昔はSF=スペースファンタジーの略なのかな?とか思っていた私ですが、サイエンスフィクションと知ってからも中々イメージが沸かずにいました。
    でも本作『ジェノサイド』は科学、創薬、戦争、歴史、人類学、情報など、本当に幅広く膨大な知識量に埋もれながらも、ただただ命を救いたい!!と言う気持ちによって人は偉業を達成する物語が主軸となっています。

    本当に読めて良かったです♪
    まさにSF小説の名作ですね♪

  • いやー!すごかった!圧巻だった!
    上巻が良いところで終わり、そのまま波に乗って下巻を読み始めたら止まらなくなった。緻密に計算された壮大なストーリに脱帽。

     本格的にゴンゴ共和国からの脱出が始まる下巻。コンゴ・日本それぞれに刻一刻と迫りくる敵とミスの許されない状況にハラハラドキドキだった。
     コンゴからの脱出シーンでは戦争のリアル(残酷さ、無惨さ等)が細部まで描かれていて、少年兵に起きた凄惨な出来事など胸が締め付けられる場面がたくさんあった。常に緊張感に包まれ、戦場にいる人々の身体的・精神的苦痛は計り知れないものがあるのを感じた。

     一方、日本でも危ない橋を渡りながらも韓国人留学生の協力を得て新薬開発に取り組んでいく研人。上巻では頼りなく見えた研人が、人助けのために全力を尽くし最後まであきらめない姿は応援したくなったし、研究者としての成長に感動した。

     スピード感満載のまま様々な真相が明らかになり、あっという間に読了。
    そして末尾の解説もすごかったし、参考文献やインタビューの数にもビックリ。著者のこの作品にかけた想いや誠実さを知り、あたらめて高野さんのファンになった。
     この作品は小説好きのみんなに読んでみて!とオススメしたいものになった。

    • hiromida2さん
      satokoさん、こんにちは。はじめまして。
      高野和明さんの本作は、以前にはじめて読んだのですが、仰る通り…圧巻!
      私も大好きになった一冊で...
      satokoさん、こんにちは。はじめまして。
      高野和明さんの本作は、以前にはじめて読んだのですが、仰る通り…圧巻!
      私も大好きになった一冊です♡
      ゴンゴと日本の切替と繋がりが絶妙でした。
      最初分からなかったことが、どんどんハッキリしてゆき、無我夢中で読んでしまった記憶があります。
      ラストは涙が溢れました( ; ; )
      本当にお薦めの小説ですよね。
      おススメされていて…思わず頷けてコメントしてしまいました。
      ありがとうございます♪
      また本棚お邪魔します、今後ともよろしくお願い致します(о´∀`о)
      2022/04/06
    • satokoさん
      hiromida2さん

      こんにちは、初めまして♪
      コメントありがとうございます(o^^o)

      ほんと、ゴンゴと日本の繋がりが絶妙でしたよね...
      hiromida2さん

      こんにちは、初めまして♪
      コメントありがとうございます(o^^o)

      ほんと、ゴンゴと日本の繋がりが絶妙でしたよね!私も最初は先が見えなくて分からないまま読んでいて、次第に状況がわかってきたら読むの止まらなくなりました☆
      最後も良いですよね(/ _ ; )さっそく友達にもオススメしてしまいました笑

      hiromida2さんの本棚よく拝見させていただいてますが、素敵な本や映画がたくさんで参考にしてます(*^^*)
      こちらこそ、今後ともよろしくお願いします♪
      2022/04/07
  • 映画観てるみたい(文字しかないけど^^;)。
    ほんまに映画化されんかな?
    ハリウッドで、たっぷりの製作費で、
    主演は、
     アフリカ側が、クリス・プラットさん、
     日本側が菅田将暉さん
    なんかで…

    っと思えるような作品でした。
    エンターテイメント性たっぷりで、面白かった。

    PS
    この後、高野和明さんの作品は、ほぼ網羅してしまった^^;

  • これが高野和明さんの作品なのか。
    この1作しか読んでいませんが間違いなく傑作と確信できる1冊だった。

    『人間』を善悪問わずさまざまな人物像で描いていてまさにドラマチック。

    時折はさまれる戦闘描写や戦争背景は凄惨すぎて読むのが辛くなることもあり、殺し合いの中心地になったコンゴでのピアースの一言「戦争が、こんなに怖いものだと知らなかった」に涙した。

    凄すぎて感想は書き出すとキリがないが、なにはともあれ色々と心を動かされるものがあった、最高に面白かった。

    この先、おすすめの小説は?と聞かれたら間違いなくその1冊に「ジェノサイド」を挙げると思います。

    最後に、作者の構成の上手さには脱帽です。

    • ひろさん
      ultraman719さん、はじめまして!
      ホントに面白かったですね!
      この作品から他の高野和明さんの本に手をだすと思います!。同じ道をたど...
      ultraman719さん、はじめまして!
      ホントに面白かったですね!
      この作品から他の高野和明さんの本に手をだすと思います!。同じ道をたどります笑。ありがとうございました♪
      2023/11/24
    • ultraman719さん
      もう「踏切の幽霊」も読んだので、早く作品描いて欲しいです。
      もう「踏切の幽霊」も読んだので、早く作品描いて欲しいです。
      2023/11/24
    • ひろさん
      好きな作家さんの新作はいつも待ち遠しいですよね。次はどんな作品になるのかなぁ?私も楽しみにします。
      好きな作家さんの新作はいつも待ち遠しいですよね。次はどんな作品になるのかなぁ?私も楽しみにします。
      2023/11/25
  • 何と感想を書いたら良いのか。
    読み終わった今、長い長い戦いを終えた彼らと同じく達成感でいっぱい。

    私は「小説は楽しむために読む」という主義。ただ本書はそういった娯楽も十分に感じさせつつ、人の価値観・信念のレベルにまで訴えかけるメッセージがあると感じた。

    下巻は正反対の二つの視点が読者を揺さぶる。
    遺伝子変異によって超人的な頭脳を持った子供・アキリ。彼を抹殺しようとするアメリカ政府や武装集団から逃げ、アフリカ大陸を脱出しようとするイェーガー一団。
    一方日本では警察に追われながら、治癒が不可能な難病のための薬を開発する研人とジョンフン。

    武装集団が行うジェノサイドの描写は本当に残酷で、心をえぐられる。悪の極み。
    「人間なんかに生まれなければよかった」と思いながら死んでいく少年兵。
    なぜこんな事が起こっているのか?
    なぜ戦争は無くならないのか?
    なぜ同じ人間がこんなに尊厳を踏みにじられ、死ななければならないのか?
    そして金儲けのために戦争を命令するアメリカにいる高官たち。核爆弾のボタンを押すのは、一滴の血も流さない彼らだ。
    人間はどうしてこんなにも愚かなんだろう…と読者を容赦なく絶望させる。
    (それにしても、大統領をこんなにも姑息で傲慢なキャラクターに書いて大丈夫なんだろうか…宗教の違いも虐殺の大義名分になってるとかあるし、アメリカ国籍の人が読んだらどう思うのかしら)

    その絶望からよろよろと立ち上がるように、もう一方の新薬の開発に光明が射し始める。
    病気に苦しむ子供のために、寝食全てを投げ打って薬を作る研人。迫る期限。無理だ、と弱音を吐きたくなる気持ちを何度も奮い立たせる。
    相棒・ジョンフンが韓国人というのもニクイ。過去に縛られず、お互いを助け合いながら進む二人。正に人間の善とも言える側面だ。

    少しややこしいのはアキリをどうするか問題と、新薬開発の問題の二つがごちゃごちゃに入り混じっているところ。
    ところがそれも突然一つに繋がる。
    後半少し謎解きミステリー要素もあり。
    そうして二つの点が少しずつ、少しずつ近づいていく…


    人間は常に善と悪の間で揺れ動く。
    食欲と性欲の満ち足りたものだけが、世界平和を口にする。人間が地球上に生きている限り、平和な世界は訪れない…
    確かにそうかも知れない。日本にいたって、安全とは言い切れなくなってきた今日この頃。
    だけど私は非常時こそ他人を思いやれる人になりたい。善く生きようと努力したい。
    そのために平時から自分を磨きたいと思った。

    解説を読んでぶっ飛んだ。
    高野さんはこの作品にリアリティーを持たせるために、徹底的に嘘をついた、と。
    その嘘の精緻さ。本物と見紛うほどの偽物を見せてくれた。
    騙してくれてありがとう!!まじ楽しかったです!!

    蛇足ですが、最後に私が大好きなジョンフンのかっこいい台詞トップ3を発表して終わります。

    1位→「僕が薬を持ってリスボンまで飛ぶ」
    2位→「その金を次の開発資金に回そう。誰も手をつけない、希少病がターゲットだ」
    3位→「無理だ、とは言わない人たちが、科学の歴史を作ってきたんだよ」

    うおおおお
    すきだーーーっっ

  • すごく面白い。
    登場人物が多いので序盤は少したいへん。
    後半の盛り上がりがとてつもない。
    日本、アメリカ、アフリカでの出来事が徐々に交わり、飽きることのないスリルが幾度となく起こる。

  • 解説にもありましたが、エンターテインメント作品としてのドキドキ感は存分に味わえました。
    一方で、少年兵との凄惨な戦闘描写などを読み、人類が繰り返してきたジェノサイドは、自分と同じ人間がやってきたことなんだと思うと、今この瞬間も、自分の生きている地球上で未だに起こっていることが悲しく、虚しくなりました。

    それでも、エピローグにあった、我々人類を ”ジェノサイド(大量殺戮)を行うヒト” と定義したハイズマン博士に対して、ルーベンスのユーモアを交えた反証の場面は、少し顔を上げさせてもらえたやり取りだったと思います。


    アキリに投げかけたこの研人の言葉、胸に刻みました。
    「もう安心だよ。ここには戦争はないからね。この国の人たちは、もう戦争はしないと決めたんだ」

  • 良く分からない医学用語や会話が出てくるが、不思議なもので特に問題となずスラスラ読める。13階段からお気に入りの高野和明の小説。

    なんだか自尊心が傷ついたような感覚。うまく説明できないのは、自尊心がまだ生きているからか。


    以下、ネタバレ含む(備忘録)。

    現人間の知能を凌駕する新人類の存在を巡る物語。
    救われた命と失われた命。目を背けてしまいそうな残虐な描写が多数ある。

    複数の主要人物それぞれの視点から描かれる。
    名も無い学生、元グリーンベレー、政府内の人間等々。登場人物達は物語に関わる動機を持っており、導かれるように逃れられない危機を迎えることになる。
    国家、政府、個人の感情渦巻く活劇は目が離せない。誰かの為に命を懸け、誰かの為に命を守り、戦い抜くことを決意した主人公たちは、未来に何を見出したのだろうか。

    現人類はいずれ淘汰される運命にあるのだろう。永遠の繁栄なんて無いことは確実なのに、やっぱり空想の世界にいるような感覚。せめて希望くらいは抱いていいよね。生き物だもん。仕方ない。
    そんなことを考えてしまう作品だった。

    読了。

  • 上巻に引き続きスピード感がある展開でドキドキしながら読み進めた。
    アフリカでは人間の残虐さが恐ろしく描かれていて、恐らくこの描写の数々は現実に起こっていることなんだと怖気が走った。
    一方日本では警察から隠れて、タイムリミットが近付いて焦る中での新薬開発。
    人助けの為に一生懸命な二人を応援しまくった。
    アメリカでは権力者に隠れて真相を探るべく動いている人がいる。
    段々と明かされる協力者の正体や、過激になっていく戦争に、下巻もあっという間に読み終わった。

    人間性について、とても率直に描かれている作品だった。
    そしてすごい知識量!
    新薬開発に関する専門用語は半ば読み流していたけど、格好いいなと思った。
    病気の子を持つ親が薬に希望を持つところは涙が出た。

    残酷な描写も多かったけれど、とてもおもろしかった。

  • 上巻を読んでから早く続きが読みたくて。映画のようなスケールで緊張感も半端ない。研人の父からの最後の手紙には感動。非常に面白かった。

  • 「蒙を啓く」

    やはり面白かったし、考えさせられる物語だった。

    高野先生の思想的な偏向を指弾する向きもあったが、それほど気にならなかったのは、自分がやや左寄りだからなのかも知れない。

    人は距離が離れると人を殺す心理的な負担が減る。密林でイエーガーらが殺す少年兵は名をオネカといった。そして彼が兵士となるむごたらしい経緯が描かれている。こうすることでオネカの死が読者にとってより残酷なものとなる。
    対して仲間のミックはどうか。時折歪んだ倫理観を見せるミックが射殺された際、どこか溜飲の下がる思いが少しでもなかったろうか。ミックの素性が詳しく描かれなかったのは、意図的ではなかったかと個人的には思うのだ。

    この作品が優れているのはそうした問題意識を読者に抱かせる点だと思う。

    最後には肺胞上皮細胞硬化症の薬が完成し、ジャスティンと小林舞花は救われた。しかし大団円とはいかない不穏さも感じた。人類の滅亡が少し先延ばしになっただけなのかも知れないと。
    エマもアキリも子供らしいあどけなさはあるが、同時に残忍さも併せ持っている。イエーガーがネメシス作戦に加わるように候補者を次々と消したのも彼らだった。

    わずかな希望があるとすれば、研人や正勲のような、他人のために、見返りもないのに危険な橋を渡った人たちの存在だろう。
    ハイズマンはそういう人々を「進化した人類」と表現した。

    人類の善行を引き出すのは、パーンズが感じたような「視線」なのかも知れない。
    それは高度な知性を持つ新人類や、子供、ご先祖、あるいは神の視線だ。
    おそらくバーンズと我々は地続きで存在している。我々の行いが「進化」に資するか否か、その視線は厳しく問うているのだろう。

    少し前に「サピエンス全史」が話題になった時、NHKで特集が組まれたのを少しだけ観た記憶がある。それによると、ホモサピエンスの中に、ネアンデルタール人の遺伝子も含まれているらしい。
    それを観て、種の違いを越えたロマンスみたいなものを想像したものだ。
    願わくば、人類の進化がゆるやかに溶け合うようなものであると良いなと思った。

  • 【感想】
    感染症のはずが、新人類の出現により、いきなりSFチックになったところは「あれ?」と思ったが、
    ばらまかれた伏線は見事に回収されていったな、と感じた。
    普通は決して交わることのない、日本の普通の大学生と軍人というマッチングも、何とか無事着地していた。笑

    今の人類とチンパンジーの差が、今の人類と新人類なのかと思うとと些か怖い気もしたが・・・
    また、普通の薬学部の学生が人類を救う新薬を創り出す!という設定には無理を感じつつ、
    物語が綺麗に収束していったのは何か安心しました。

    何はともあれ、面白い作品だったと思う。


    【あらすじ】
    研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。
    一方、戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けていたのは、人間という生き物が作り出した、この世の地獄だった。
    人類の命運を賭けた二人の戦いは、度重なる絶対絶命の危機を乗り越えて、いよいよクライマックスへ―
    日本推理作家協会賞、山田風太郎賞、そして各種ランキングの首位に輝いた、現代エンタテインメント小説の最高峰。

  • フィクションではあるけれどこの先起こる可能性は0ではないと思った。
    人間の社会の仕組みってこれでいいのか?と考えさせられた。

    ■権力者
    権力者が横暴で利己的になるのは、もともとそのような資質の人間がなるからなのか、善良な一市民でも権力を持つと変わってしまうのか。
    国民や人類のことを本気で考えてくれる人が上に立つことはあり得ないのか。
    今の日本の政治家を見ると全く明るい未来を感じられない。
    アキリが見たらどうするんだろう?

    バーンズも副大統領のように自分も殺されるのではと不安になったり、社会のインフラを乗っ取られて多くの国民が人質に取られていてもアキリを殺すことをやめなかったり…
    ルーベンスが思ったように、アキリが人類を滅ぼすように願う気持ちも少しわかる

    ■兵器
    副大統領がミサイルをくらったように、兵器を作る・使うからには自分に降りかかっても自業自得だ
    安全な場所で見たくないものは見ずに戦争を起こす権力者は絶対に許されない

    科学者や研究者も大きな力を生み出すときにはそれによって何が起こるのか考える必要と責任がある
    興味や探求心だけではいけない

    ■創薬
    世の中には色々な形で人の命を救っている人達がいる。
    治療法の無い病気に挑み、新たな治療薬を生み出すことは研究者にとっては一番のやりがいだと思う。
    そういった人達の日々の努力が医療を進歩させていると思うと本当に頭の下がる思いになる。
    大きく見ればウイルスとの生存競争に知恵で勝ったということ。
    人間同士で殺し合うなんて、そんな人達に対する侮辱でしかないよなぁ


    スケールの大きな話で圧倒させられた。
    自分が生きている内に起こるのか分からないが、フィクションだと言いきれないところが怖くも感じた。

  • 下巻も上巻の興奮をそのままに一気読み。
    とても面白かったです。

    誰が敵で誰が味方なのか最後までよく分からない設定な上に、
    下巻で明らかにされる新たな事実に驚きの連続。。
    新しい生命体や架空の病気などのSF的な話と現実を
    著者が最適なバランスでミックスして料理してくれています。
    ですので、全然、SF的な臭いがしません。

    もちろん、突っ込みどころが全くない訳ではありません。
    けれど、その突っ込みを跳ねのけるほどの面白さと壮大なスケール、
    見事なミステリーの結末…。
    今からでも読み直したいくらいです。

    著者はこの本を通じて何が伝えたかったんでしょうか。
    ・コンゴでのジェノサイド(大量殺人)
    ・アメリカの一方的な正義の押し付け
    ・通信の傍受
    ・希少疾患への製薬会社の対処法
    感じることは人それぞれでしょうが、
    こんなに面白い話を通じて、世界のリアルを認識させてくれるなんて。。

    最後の解説を読んで、著者がこの本を書くために
    200冊くらいの本を参考にしたと書かれていて、
    まさに自分の好きなタイプの小説だ…と妙に納得してしまいました。
    さらに、この本の着想を得たのが立花隆さんの本(文明の逆説)だとは…。
    立花隆さんの本も読んでみたくなりました。。

  • ついに読み終わってしまった…。
    衝撃の大作でした。
    殿堂入りです!

    【あらすじ】
    アフリカのコンゴで進化した超人種が誕生し、人類滅亡を恐れたことから、アメリカ主導での超人種抹殺計画(ネメシス計画)が企てられる。しかしネメシス計画の表向きは、人類滅亡の可能性を秘めたウイルスとその感染者、見たこともない生物の抹殺であった。その実行部隊の隊長が主人公のジョナサンイエーガー。しかしジョナサンは超人種と対峙した後に、本来の計画を知らされ困惑する。さらに息子のジョナサンが不治の病を患っていたのだが、その特効薬を日本人の古賀健人が作製させており、超人種は自分をネメシス計画から救出すれば息子は助かると仄めかし、イエーガーは超人種をアメリカの魔の手から救出するため超人種側に寝返る。一方、日本人の薬学部大学院生の古賀健人は父が残した研究室とその運営を極秘で引き継ぎ、難病の薬を製作することに。健人もまたCIA、FBI、警視庁に追われる身となり、逃げながら難病の薬を作ることになる。
    イエーガーと健人、超人種を介して交わることのない二人の運命が徐々に近づいていくうちに伏線が次々と回収されていくサスペンスミステリー。

    【感想】
    健人は薬学の研究生であることから、様々な実験器具や専門用語が使われていた。自分も理系の研究室に所属していたので、懐かしい響きの理系のワードでワクワクした。徐々に難病の薬の完成に近づいていく様が読んでいて、心躍るものがあった。
    イエーガー側はスピーディーな戦闘シーンにドキドキしながらも、途中コンゴの武装組織の大虐殺の話は酷すぎて浮き沈みの激しい内容だった。
    そして何よりも超人種対アメリカの緊張感も凄まじく、スケールがデカ過ぎる話に、「これ本当に日本人が書いた作品なの?」と疑問に思ってしまった笑
    よく感想でハリウッド映画みたい!ってあったけど、本当にそうでした。これだけ楽しませてもらった高野和明さんの文才に敬意と感謝です!

  • 海外ドラマのような壮大な舞台で展開される物語、ミステリー要素もあるがエンターテイメント作品。

    まったく関係のなさそうな主人公二人が、徐々に関連性がみえてくるところがワクワクしてくる。最後の怒涛の展開、ついにゴールするかっという達成感が素晴らしく、読後感は最高でした。

    ラストの主人公の一人のセリフが大好き。

  • 「そうきたか!」というのか読み終わった(正確には読みながら)感想。
    非常に緻密な取材を重ねて練り上げた作品であることを実感。ブクログを通じて素晴らしい一作に出会えたことを感謝します。

  • 再読!

    大好きなお話です。
    他の方の感想にあるように映画観てるみたいな気になります。
    ハラハラドキドキ...

  • 上巻からの一気読み、2020 年最後にすごい作品を読み終えました。

    いやぁ〜面白かったぁ〜。

    とにかくスケールがデカい、なのに緻密って反則です。

    今月ユヴァル・ノア・ハラリ「ホモ・デウス」を読み終えた時にサピエンスはどこへ向かうのか?と感じたが、ある意味でその先が描かれていた気がします。

    『人類滅亡の可能性 アフリカに新種の生物出現』
    巻頭で語られた謎に挑む主人公は日本の大学院生で薬学を専攻する研人と難病に犯された息子を救う(治療費を稼ぐ)為に傭兵として戦うアメリカ人のイェーガー。

    舞台は研人がいる日本と、極秘missionの為にイェーガー以下4人のチームが送り込まれたコンゴ、そして世界一の権力を持つアメリカ大統領がいるワシントンD.C.。

    ランボーを彷彿させる戦闘シーンに宇宙人を想像させるサピエンスの進化形。

    3つの流れが急激に大きな1つのうねりとなり、重なり合うスピード感と迫力、それを一層リアルに体感させてくれるそれぞれの視点の切り替え。

    圧倒的な取材力と地球を舞台とした壮大な人類の物語。

    読み終えた読者にしか体験出来ないこの感覚。

    文句なしの☆5つ。



    説明
    内容紹介
    研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けるのは、人間という生き物が作り出した〈地獄〉だった--。現代エンタテインメント小説の最高峰。
    内容(「BOOK」データベースより)
    研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。一方、戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けていたのは、人間という生き物が作り出した、この世の地獄だった。人類の命運を賭けた二人の戦いは、度重なる絶対絶命の危機を乗り越えて、いよいよクライマックスへ―日本推理作家協会賞、山田風太郎賞、そして各種ランキングの首位に輝いた、現代エンタテインメント小説の最高峰。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    高野/和明
    1964年生まれ。2001年に『13階段』で江戸川乱歩賞を受賞し、作家デビュー。『ジェノサイド』で山田風太郎賞、日本推理作家協会賞を受賞した他、「このミステリーがすごい!2012年版」「週刊文春ミステリーベスト10」の1位を獲得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 面白かったー!!っていう読後感に浸れる本。ページ数は400ページ弱と少ない文量ではないけど、上巻と同様にすごいスピードで話が進んでいくから読んでいて飽きることが全くない。薬を作るシーン、戦闘シーン、コンピュータなどの専門用語がたくさん出てくる場面でも作者の人がめちゃめちゃ取材して書いているからわかりやすいし何よりもリアル。
    安っぽくなりやすそうなホワイトハウスやCIA内のシーンも何故か安っぽさがない。すごすぎる!とにかく読みやすいし読んでいて飽きないしめちゃめちゃおもしろい!これに尽きる

  • 2024.1.1読了
    壮大なスケール。
    先が気になって読む手が止まらないものの
    ハラハラしすぎて小休憩も多めに。

  • 町田の古ぼけたアパートの一室に隠れ、不治の病『肺胞上皮細胞硬化症』の新薬の開発に没頭する研人。

    一方、『肺胞上皮細胞硬化症』の息子の治療費を稼ぐため、傭兵となった、イエーガーたちはコンゴから並外れた知能を持つアキリとピアーズ博士とともに、日本を目指す。

    アメリカ・ホワイトハウスのバーンズ大統領は『メネシス作戦』として、アキリの殲滅を図ろうとする。

    どうやって、コンゴから日本まで移動しようというのか⁇

    正勲は本当に味方なのか⁇
    坂井友理は何者なのか⁇
    スパイは誰なのか⁇
    正勲は本当に最後の最後まで裏切るのではないかと…

    ゲーマーを使って、秘密裏に副大統領を暗殺してしまうなんて…
    F22の4機編隊をメタンガスを使って、全滅…
    アメリカでの火力発電所へのサイバー攻撃…

    アキリとエマの知能には驚かされる。
    彼らならなんでもできるだろう。

    今、彼らがいるなら、どこかの大統領を事故のように消し去ることもできるだろう。

    本当に彼らが平和主義者であることを願う。
    我々を簡単に絶滅させることだってできるのだろうから。

  • 面白かった。舞台がアフリカ・アメリカ・日本ですが、緊張が分散されることなく、どうなるのかと言うワクワク感を持たせたまま最後まで読み切れました。動物界で同じ動物同士で大量殺戮が出来るのは人間だけと言うのは、本当にその通りですね。冴えない青年が父の意志を継いで、大きな仕事に挑むところは、好きです。戦闘シーンも迫力があります。物語で語られているようなことが、あり得る、いや必ずあるのではないかと思わせます。はるか将来なのか近い未来なのかわかりませんが。大著ですが飽きることなく中弛みすることなく読了できました。

  • 気になって買った一冊。

    下巻になってどんどん面白くドキドキした展開だった。

    どうなって終わるのかまったく想像出来なかった。

    今まで世界を舞台にした小説を読んでなかったので、こうゆうスケール壮大な話も面白いなとも思った。

    上巻の感想でも書いたが、まるで映画を見ているような小説でした。

  • アフリカの内戦、薬学、人類学。。。。

    難しいことも多かったが、不思議と入りやすかった。

    前半は只々面白くて、ページをめくるのが止まらない。アフリカの位置関係が知りたくてGoogle map見ながら読んだ。ミトゥリの森やその他町の名前も実際にあって、全く知らない場所だったけど、位置関係と、民族同士の関係知ることができた。ピグミーのことも聞いたことはあったけど、初めて触れた気がする。

    後半、子どもの兵士の所で読むのやめたくなった。

    ヒトって何だろう。
    日本語では人って支え合って「人」みたいな金八先生みたいな。よく考えると、日本人らしい漢字。
    でも人も中国文字か。

    「ヒト」だとそういう生物種なんだなーって思う。
    「寡なければ則ち必ず争う」生物。

    とにかくすごい。
    すごくいろんな事を深く調べたんだろうなと。この本を読んでなかったら、一生気づかなかった世界がいくつもあったきがする。

    読んでよかった。

  • 前半部分で見え隠れしていた全容が徐々に明らかになってくる。そのミステリ的な側面と戦争小説のシビアな側面が同時に進行され前半部分は結構しんどい。後半以降は一気にスピード感を増していき、息もつかせぬ展開になる。そうなるとエンタメの最前線のような面白さが出てくる。このタイムリミットサスペンスは高野さんお得意の手法。ご都合主義のようなところも多々あるのだがストーリーを魅惑的に且つ大胆に読ませる傑作である。

  • 「恐ろしいのは知力ではなく、ましてや武力でもない。この世でもっとも恐ろしいのは、それを使う人格なんです」


    アクション映画を観ているような読み心地。
    戦争を扱った作品なので残忍な描写は覚悟していたものの、ミステリーの殺人事件を読むよりリアルで苦しかった。
    特に戦場の舞台になっているコンゴの少年兵たちが印象に残っている。

    本書に登場する進化した人類は、現実世界では進化したAIとして近い将来生まれるだろう。
    その時私たちの味方であることを願いたい。

    興味深い作品ではあったのだが、作者の歴史の解釈の偏りが気になり☆3。

    戦争とは何か、正義とは何か考えさせられる一冊だった。


    こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
    ・アクション映画が好きな人
    ・SFが好きな人
    ・戦争を扱ったストーリーが好きな人
    ・考えさせられる話が好きな人

  • 作者の渾身の力を感じることができました。上下巻あるのに全く隙がない。行間が立体的でやっぱり場面展開が秀逸。星5は私は2冊目です。是非、読んでみてください。

全642件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高野和明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×