欲と収納 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011836

作品紹介・あらすじ

欲に流されれば、物あふれる。とかく収納はままならない。母の大量の着物、捨てられないテーブルの脚に、すぐ落下するスポンジ入れ。家の中には「収まらない」ものばかり。日常生活のプロが描く整理整頓エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルどおりの、書き下ろしエッセイ。
    本と着物を処分できない気持ちは、良~くわかります。

    子供の頃にはまだ、物が多すぎて困っている人などいなかった、というのはよくわかる同じ世代。
    物が手に入ると嬉しくて、捨てるのはもったいない。
    バブル期も経験してン十年、いつしか持ち物がどっと増えたが、どうやって片付けたらいいか知らないのだ‥

    紙や書類の整理など、悪戦苦闘が語られ、片付く部分もあり、いつまでたっても残っている部分もあり。
    着物好きがたどる道も具体的にわかるので、このへんが抱腹絶倒。
    そうそう、和装下着や着付けの小物など、試行錯誤しているうちに増えちゃうの。今の着物好きの悩みよね。
    どれか捨てようかと思っても、なかなか選べないと来てる。
    ま、収入が桁違いなので~
    上等なお着物をこんなに大量に買う気分はわからないけど。

    お母さんが群さんの収入を当てにして、やたらと高価な着物を欲しがるようになってしまったとのこと。まあ買ってあげられるだけの力があったから‥
    お母さんが入院したので家の片付けに行ってみたら、ろくにたたみもせずにしまい込んでいたので、かなりの着物がカビていたとは。うわーうわー。
    着た後に、せめて一日干しておけば、ずいぶん違ったでしょうに。
    この悲憤はわかります‥

    でも他のときも、群さんって、何だかいつも怒っているような?
    そこがちょっと不思議になりました。

  • 群ようこさんのものの整理にまつわるエッセイ。
    生きるために必要なもの、豊かさを感じながら生きるために必要なもの、それらとどう向き合い扱っていくのか。群ようこの場合、として着物や本や書類や服について書かれています。
    捨てなくちゃ、と思い始めた著者の元へ送られてきた母の着物。量もさることながら、その状態の悪さに怒りが収まらない。
    「母親にとって着物は、外に出て見栄を張るための道具でしかなかったのだ。」
    「人は自分の分不相応のものは持ってはいけない」
    タイトル通り、欲と収納について考えるきっかけをくれる、さらっと読める一冊でした。

  • 「収納」上手か否かって、生まれ持ったセンスだとつくづく思う今日この頃である。
    振り返れば幼い頃から片づけベタな私であった。妹と共同の子供部屋だから片付かないのだと言い訳し、部屋が分かれたら、部屋自体が狭いからだと言い訳し、晴れてひとり暮らしとなり9帖と広めの間取りに引っ越せたのに、縦長で使いづらいからと言い訳し…そうして転居を繰り返すたび、どうやら自分は片付けのセンスが欠落しているようだと気付いた。数年しか住んでいないのに引越しのたび一苦労。業者に見積もり依頼をすると必ず「物が多いですね~」と言われる。ん~わかっちゃいるのだ。物が捨てられないのに買い物が好きなもんだから、必要以上に物を持ちすぎてしまう(特に洋服、本)。それが私の最大の難点なのだ。
    だから本書が出たとき、帯文句の「物は買いたい。でも収納できない。」を読んで、私のことかと思いました。
    群さんは自宅が仕事場であり、職業柄、執筆の為の資料など、捨てられないものがたまりやすい状況にあるのは仕方のないこととは思う。確か着物もお好きだものね。昨今よく出ている片付けノウハウ本のような、わかりやすい結論は求めてないので、似たような状況にある方がどのような経緯を経て多少よくなったかが知りたかった。
    諸事情により、お母様の着物の在庫まで抱えなくてはならなくなったのはお気の毒でした。私は着物に全く興味はないけれど、着物の収納方法や肌着の種類など、洋装とは全く異なる奥深さは興味深く読みました。
    着物の他にも、洋服、靴、バッグ、家電、生活用品、紙類、本…と様々な項目があるが、ついつい買いこんでしまった経緯や、処分にあたってのドタバタ(うまくいかずに結局ゴミのまま部屋の隅にあったり)といったエピソードがいちいち面白い。天然木のテーブルの脚を、「朽ち果ててくれれば…」という気持ちでベランダの隅に放置して6、7年は経過しているが、朽ち果てる様子はないとのくだりには、噴いてしまった。(気持ちは分かります!)
    「こうすれば物は増えないよ」というアドバイスの一つに、本は図書館を利用すればよいというのがある。私の場合は収納問題もさることながら、金銭的事情もあってよく本を借りるけど、図書館利用は群さんのように「いまひとつ本に愛着がわかない」と考える方もいるのではと思う。「本」の章は、群さんのこだわりが色々感じられて一番面白く読めた。本当に本を愛する方なのだと思いました。
    洋服の収納については、あとがきに参考にできそうな情報が記されていたので、それは折を見て実践してみたいと思う。
    「若いときは体力で物量に対応できるのだけれど、体力が物量に負けるようになると、毎日しんどくてたまらない」
    いずれそういうときが来るんだよなと考えさせられました。定期的に実家に不要な物(捨てるに忍びない服や本)を押し付けててごめんなさい!年を重ねて片付けが億劫になったときに困らないように…身の丈に合った物の量を考えなければなりませんな。

    • vilureefさん
      こんにちは。

      私も整理整頓苦手です(^_^;)
      大人になり掃除の習慣は身につけましたが片付けはまだまだ・・・。
      ものは増やさないの...
      こんにちは。

      私も整理整頓苦手です(^_^;)
      大人になり掃除の習慣は身につけましたが片付けはまだまだ・・・。
      ものは増やさないのが一番ですよね。
      目下の悩みは子供が日々持ち帰るお絵描きや工作の類、あとアルバムの整理!!
      もはやお手上げです。
      2014/03/02
    • メイプルマフィンさん
      vilureefさん:時期的に子供が学校のものをどっさり持ち帰る頃ですね~。
      うちは小学校卒業なので、中学生仕様に子供部屋を変えていかねば...
      vilureefさん:時期的に子供が学校のものをどっさり持ち帰る頃ですね~。
      うちは小学校卒業なので、中学生仕様に子供部屋を変えていかねばならぬのですが、
      遅々として進まず…。
      ああ、自分の物ですら片付けがままならないのに(笑)
      本当は、好きな本は全て所有して本棚にきれいに並べて眺めるのが夢ですけどね~。
      ブクログの本棚で、所有した「つもり」になるのが今のところはベターなのかな。
      2014/03/02
  • 群ようこさんの「収納」「片付け」に関するエッセイ。
    テーマは、着物、洋服、靴・かばん、書類、などなど。

    この本も、近年の群さんのエッセイ本通りの内容であった。
    つまり、「なんとかしなくちゃ~」と思い悩み、「少しの努力」はするんだけど、抜本的解決は到底見込めず、特に解決することなく終わる・・・トホホ的内容だ。
    当然、着物の章ではお母様への文句あり。
    同じ話を何度も聞かされてるうち、ただの一読者である私が、群ようこさんのことを「親戚のおばさま」的に思えてくるのです。
    あ~また同じこと話してるよ、その話もう聞いたよ、的な。
    これが、私の群ようこエッセイの楽しみ方になりつつあります。
    あと、木加工品(テーブルの足?)をベランダに出しておいて「いつか朽ち果てないかなぁ」と朽ち果て待ちなのは笑った。
    枯れ枝みたいに朽ち果てることはないから、諦めて粗大ゴミとして処分してください笑!

    この本が出版されたのは平成26年1月。
    私が手にした本は、平成27年10月の8刷であった。
    約1年半で、このエッセイ本が8刷!?
    この出版不況において、やっぱり群ようこさんは強いんだなぁと実感。

    ところで、この本の中に、大ベストセラー「人生がときめく片付けの魔法」(byこんまり)が出てくる。どうやら、群さんも読んだらしい。
    私も、話題になった当時、片付けの魔法を読みました。
    私はこの本の影響で、着ていない服、読み終わった本、全部処分できた。結果、一個も困っていない。むしろ、何を捨てたのかすら忘れてしまったほど。こんまりに感謝している。
    だから、この本を読んでも「どれもときめくんだよな~」「どれもかわいい~」と言って着物&動物のプリントを処分できない群ようこさんは、本物の着物マニア・動物マニア?
    もしくは、実はたいして困っていない(=そこまで片付けたいと思っていない)人?
    どっちかというと後者かなぁ。

    あと、群ようこさんのエッセイで必ず登場する「バザー」という単語。
    現代で、バザーってやってるのでしょうか?
    確かに昔は、地元の小学校でバザーやるというと、読み古された本や、誰かが着たであろう服、お中元の残りみたいなものがたくさん出品されていた。それはそれで子どもながらに楽しかった記憶。
    でも、今はバザー自体やってるの見たことないし、フリーマーケットするにしても、よほどきれいな物やハンドメイドの新品でないと、そうそう売れないと思う。
    だから、群さん本で「バザー」という単語が登場するたび、「その品物は本当にバザーに出品されているのだろうか?」と思ってしまうのです。
    漢方薬局の次に教えて欲しい、バザー引取業者である。

    あとがきは「もう捨てるものはない」と言い切れるような生活を送りたい、という言葉で終わっていた。
    御本人が一番わかっていると思うけどさ・・・
    あえて言うね、絶対無理だろう。

  • 確かに物欲がすごい。一般の人はこんなに収集できないので、共感はできない。嫌いじゃないけど、面白くもなかったです。多くの女性作家によるエッセイは、自分がいかにセンスが良く素敵な生活を送っているかを自慢する傾向があるのは分かっているし、そして自分はそういうのを読むのにうんざりしているはずなのに、デザインとか帯とかに惑わされてつい読んでしまう。今回も。

  • 本が減らない話は自分の事かと思いました。
    少し前に処分したはずなのにまた本棚から溢れている状態を何度繰り返したことか。同じような悩みを持つ人は沢山いるのでしょうね。
    お母様の着物の話は読んでいて悲しくなりました。自分のお金では無いから高価な着物も手入れはぞんざいになってしまうのか。衣紋掛けに掛けることすら出来ないなんて…。

    楽しい気分で読めない話も多かったです。

  • 本好き&所蔵家にとって悩みは同じ・・・
    他は処分できても、本だけは処分できない・・・

    群さんと同じだからと
    増え続ける本の収納の悩みを
    他人ごとにしてみる・・・

    床全体に敷き詰めたら、本のタワーは少しは解消されるだろうか

  • 増え続けていく荷物に頭を悩ませ一念発起して処分を考え出す人も多いと思う。その多くの人と同じで、なかなか進まなかったり、かえって荷物が増えてしまったり、一部分はきちんと片付けが進んだりの日々を描くエッセイ

    お母様の着物の扱いの項では、きちんとした後始末など洋服に比べて大変な事が多く(慣れている人にはそうではないのだろうが)文化として衰退するのもさもありなん、と思った。

    作家さんなので本は必要なものでもあるが、本当に大変だろうなあと。個人的には古本屋に持っていけば、その本の命が長らえて誰かに喜んでもらえる可能性があるという点で「本を燃やす」という行いはもったいなく思えてしまう。

    何もない暮らしに憧れても実際はなかなか難しい

  • 読み終わったら、というか、読んでる途中で自分も片付けをしたくなる本でした。

  • 序盤はどうしようかと頭を抱え、スイッチ入るとどんどん手放し始める。片付けってそういうもので、わたしもモノが増えては手放しを繰り返しています。その波が徐々に穏やかになっていって、暮らしを整えられるといいのですが。
    でも、ある程度の物欲があった方が人生楽しいかなとも思うのです。

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著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。「無印物語」で人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』など著書多数。

「2023年 『老いとお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

群ようこの作品

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