- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041012284
作品紹介・あらすじ
とある高校のバスケ部員椎名康は、屋上から転落した少女に出くわす。しかし、少女は忽然と姿を消した!? 監視された空間で起こった目撃者不在の“少女消失”事件!審査員を驚愕させた横溝賞大賞受賞作登場!!
感想・レビュー・書評
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いやぁ~、ずっと気になってた本やったけど、
自分の好きなテイストで
予想通り面白かった!
驚愕の結末に
間髪入れずに二度読みしてしまいましたよ(笑)(^^;)
いきなり冒頭、
学校の中に有りながら
女の子との逢瀬を楽しむための秘密の場所、
『背徳の死角』でのエロティックなシーンで
読者を掴むあざとさは(笑)
新人とは思えない確信犯ぶりやし。
本作の語り手であり、主人公の
椎名康は
バスケ部に所属する高校二年生。
イジメに遭った過去を持ち、
人と上手くコミュニケートすることができずにいる。
その反動からあらゆる女子と深い仲となり、
なんと、教師ともできてるという高校生にあるまじきダーティーっぷり(笑)
そんな椎名が遭遇した
校舎の屋上から女子バスケ部のエースが転落するという痛ましい事故。
その後血だらけのまま
現場から忽然と消えた被害者の謎を解くために椎名は、
別件で学校への不法侵入事件を追っていた
同じクラスの放送部員、樋口真由と
孤独な戦いに挑んでいく…
常に学校では
読書とヘッドホンで武装し、
絶対零度の視線を持つ、
クールというよりフローズンな美貌の
高校二年生の放送部員、樋口真由。
この可愛すぎる探偵役の
樋口真由のキャラが抜群にいいんですよ(笑)
熱くなりすぎず、はしゃぎ過ぎない
メインキャラであるこの二人の
距離感やクールな佇まいが
ミステリアスな推理劇にピタリと合ってるし。
それはまさしく、米沢穂信の古典部シリーズや
乙一の傑作『GOTH』に代表される
冷めた主人公たちの系譜。
自分が一番近いと感じたのは『GOTH』の質感かな。
その消失トリックや
この作品の売りでもある大ドンデン返しのオチに
読者の間では賛否両論あるみたいだけど、
では、ミステリーに必要なものって
いったいなんなんやろ?
魅力的な探偵役、
緻密なプロット、張り巡らされた伏線とその回収の鮮やかさ、
読者の裏の裏をかくトリックの妙、
驚愕のドンデン返し、
まぁ、いろいろあるけど、
様々なヴァリエーションのトリックが出尽くした今、
オチだけをとって批判するのはフェアじゃないし、
個人的には謎解きミステリーだからこそ、
『ちゃんと人が書けてるかどうか』、
ここが大事なんだと思うのです。
オチがどんなにスゴくても
共感できないキャラや物語性が弱いと
謎への興味も
それを解きたい気持ちも薄れるし(笑)、
松本清張の『点と線』や『砂の器』、
宮部みゆきの『火車』や『理由』や
東野圭吾の『白夜行』、『 容疑者Xの献身』、
伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』、
レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』など
名作と呼ばれるミステリーはみな、トリックや結末の妙だけではなく
犯罪の裏に隠された人間の愚かさや哀切さに心が動かされるんですよね。
そういう意味でも
今作は華やかで溌剌と見える高校生たちの
隠された痛みをリアルに暴き出し、
登場人物たちそれぞれが持つ苦悩が胸に迫る
新人のデビュー作としては申し分ない出来だし、
ミステリーというより
優れた青春小説と呼べる作品だと思います。
もちろん、事件が起こるまでが長すぎるとか(笑)、
漫画的御都合主義だとか、
デビュー作なだけに粗も荒さもあるけど、
バスケシーンの迫力は特筆すべきものだし、
細部までディテールにこだわり
リアルさを出す手法は
有川浩にも通じる上手さだし、
樋口真由を主人公にした第二弾も近日中に文庫化されるとのことなので
是非とも次も読んでみた
いなぁ~♪ -
2020/03/18読了
#このミス作品19冊目
2個前に読んだ本とまさかのオチ被り。。
ただストーリーはすごく面白かった。
伏線回収は強引なところがあるが
答えが分かった上でもう一度読んだら
違う楽しみ方ができる作品だと思う。 -
中学時代だけどバスケ部だったので、バスケのシーンは読んでて懐かしかった。
この手の叙述トリックは読んできてるけど、これは気づけなかったなぁ。でもいつもの分かった時のスッキリ感は全然なくて、むしろ逆で。
不自然な点や疑問点が多かった。
バスケの部分で評価+1 -
学園モノにおいて心理描写を描くことは必須で、ミステリとなるとそのうえで魅力的な謎が必要になる。今も昔も変わらないセオリーにおいて、変化をつけないと目に止まらなくなってしまっている。ラスト近くにこれまで信じていたことがグニャと曲がる感覚は当時としては斬新だったろうなぁ。
-
いろいろツッコミどころはあるけどかなり強引な展開だったなぁ。
事件の解決の仕方もずいぶんなご都合主義だし、大体が校舎の3階から転落した女子高生?がかなり出血してるにも関わらず自分で歩いて失踪しちゃうって。なんだかいろんなものが気持ちの中にモヤモヤと渦巻く物語だった。 -
このミステリーがすごい2012年版6位。前半は最高。自分はスポコン青春小説がもっとも好きなジャンルではまった。スラムダンクを彷彿させるバスケットシーンの臨場感と少しワイルドな男女のやりとりを描写する筆力がハンパないし、全く真相が見えない謎と相まってほんと一気にページが進む。ただし、後半の謎ときになって、本格ミステリー色の比重が高まり現実味がなくなってしまう。そっち系のトリックが複数からみあって複雑すぎ。登場人物の魅力が変質してしまいなんだかもったいない。ミステリーとしても良く練られてレベル高いんだけど、前半と後半の連続性がなくなってしまっており、ミステリーはもっと少ないめにして青春小説色をもっと前面に出して欲しかった。サクリファイスもそんな感じだったけど、こっちは、さらにトリックが凝ってる分、小説としての焦点がぼけてしまってる気がする。とても惜しい。
-
読んでいると妙につきまとう違和感は強引な伏線のせいだったのか。
ミステリーとしては星2つレベルながら、高校生達の日常生活や不安定な関係性の描写に光るものがあり星4つレベル、総合すると3つかな。
こんな構成にしなくても面白い作品が書けそうなポテンシャルを感じるので、むしろネタバレした後の次回作の方が期待できるかも。 -
トリック自体には驚いたが、その類のトリックを望んでた訳ではなかったので、残念。個人的には好きになれなかった。青春小説としてもミステリーとしても中途半端な印象。
kwosaさん、
ホンマ遅くなりましたが
あったかいコメントありがとうございます!
あはは(笑)
いやいや、我がミステリー小...
kwosaさん、
ホンマ遅くなりましたが
あったかいコメントありがとうございます!
あはは(笑)
いやいや、我がミステリー小説の師匠であるkwosaさんに
そこまで共感していただけるなんて
恐れ多いっスわ~(汗)
ネタやトリックだけに重点を置きすぎて
何かゲームの中にいるような
生身の人間を感じさせない物語が
どうも苦手なんですよ(´`:)
ミステリーである前に
一つの物語として感動できるか、
心を動かされるかが
自分にとっては重要だし、
いいミステリーの条件なんで。
あっ、コレ書いてたら
第二弾めっちゃ読みたくなってきたんで(笑)
明日図書館行ってきます!
いま『夏服パースペクティヴ』を読んでいる頃でしょうか?
第二弾!? ってどうするんだろ、って思っていたのですが、いろ...
いま『夏服パースペクティヴ』を読んでいる頃でしょうか?
第二弾!? ってどうするんだろ、って思っていたのですが、いろんな意味で巧みな書きっぷりにニヤニヤしますよね。
ミステリって形式の性質上、仕掛けが見事であればあるほど、物語の手触りがどうしても人工的になりがちです。
しかし、そこに見事に血を通わせ人物が活き活きと躍動し、また怒り、悲しみ、人生を生きているような作品に出会うともうたまりません。
夢中になってどきどきしながら「ああっ!? やられたー!」と言いたい(笑)
ああ、僕も本が読みたくなってきました。
図書館行ってきます!
kwosaさん、連チャンコメント
感謝感激です!(T_T)
『夏服パースペクティヴ』読みましたよ~(^^)
実験的で複雑な構成...
kwosaさん、連チャンコメント
感謝感激です!(T_T)
『夏服パースペクティヴ』読みましたよ~(^^)
実験的で複雑な構成ながら
ミステリーの醍醐味を存分に味わえました!
次は短編集だったかな?
ああ~、分かります!
連城さんのミステリーなんて
人工的になってしかるべきやのに、
作品に漂うあの情念や叙情的な香りはなんなんでしょうね(笑)
まさに錬金術を見せられてる気分になりますよ~(笑)
あと騙される喜びって
ミステリー好きなら絶対ありますよね(笑)
読みながら騙されることを今か今かと待っていて、
今もうすでに騙されているのに
読んでる自分はまったくそれに気づいていないという(笑)
そんな職人芸。
kwosaさんは図書館はお近くですか?
関西にいるときはいつも図書館が近くになかったんやけど、
東京に来て
今は歩いて3分で市役所と図書館があるんで、
かなり重宝しています(笑)
いい出会いあったかな?