いのちの食べかた (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041013328

感想・レビュー・書評

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  • 同僚に勧められた本。
    肉食に関する話だと思ったら、日本の歴史や差別の話にも拡がっており読んでよかった。と場見学もしたい。
    同名別監督のDVD作品があるので観る予定。

  • キレイに加工・包装された食べものに囲まれて、なんの気なしにいただきますと言って口に運ぶ。でもやっぱり、それじゃいけないと思わせてくれました。
    いのちは巡るもの。何かをたべないと生きていけない私たちにとって、避けられない葛藤が描かれています。
    読んだ後はきっと、スーパーで売られる食べものを、いや、世界を見る目ががらりと変わるはず。

  • とてもわかりやすい文章でしたよ。

    最初は肉や食べ物の話が中心で、表紙のイラスト通りの内容かと思いきや、日本の歴史が充分に盛り込まれた1冊になっていました。

    話が二転三転して落ち着くところに落ち着く様になっています。

  • 分かりやすく、でも大切なことに目を向け気づかせてくれる本。

    毎日食べている肉はどこから来たのか。
    頭では分かっていても無意識に目をそらしていた現実、関わる皆さんの思い。

    ベジタリアンになれない私はせめて、買ったお肉頼んだお肉には責任を持ってありがたく命をいただこう、食べ残したり傷ませたりしないよう適正な量を選び、精いっぱい美味しい料理に変身させようと思った。

    小・中学生は夏休みの課題図書にしても良いかも。

  • ルビが前編にあって、子供にも読みやすいです。
    ただ、中学生以上には、読み易す過ぎると感じるかもしれません。章にも別れていて、分かりやすいです。
    知らないことで思考停止になるなというのが繰り返される、伝えたかったことかなと思います。

    終わりの辺りの、穢れや部落差別問題、戦争の話などが、少しいのちの食べかたとはそれてしまったかなと思ってしまいましたが、その部分も面白く、考えさせられる部分が多いです。
    映画監督の伊丹万作さんの「戦争責任者の問題」
    も視点が興味深かったです。誰がではなく、誰もが責任者だったのだという理論。

    中学ぐらいで、ソーセージを作る時に、ソーセージを肉から作る部分の映像をみて作ったことがあるので、血入りのソーセージがドイツにはあって、ポトフとかにそれを入れて食べる。コレがまさにこの本に書かれてることに近いなぁと思い出したり、差別問題は、本編に出てくる狭山事件について議論する場所があったりしたので、忘れてしまった部分を思い出して、また考える機会になったと思います。
    原題our daily bread 邦訳いのちの食べかたというドキュメンタリーが、直接関わりあるのかなぁと思っていたのですが、内容は近い部分があるけど、別の監督が作った映像に、内容をみてから同じタイトルのドキュメンタリー映画として、公開されていたようです。こちら見られてないので、この映画も機会があればみてみたいです。

  • 「大きな肉のかたまり(豚角煮とか)を見てテンション上がる人には、超美味しそうじゃん」
    と、品川と場を以前見学させていただいたとき思いました。
    大きなコンベアー、大きな肉のかたまり、大きな包丁、あちこちから出ている水蒸気…。危険が伴う仕事の最中なのに、見学者にも気を配ってくれる優しい職員の方々が多くて、あたたかい気持ちになったことをよく覚えています。
    この本でも解体作業の様子がよくわかりますが、興味を持った方にはぜひ自分で見学に行ってほしいです。自分が良い経験だったと思っているので。

    本書の内容としては、食肉、部落差別について、考え方の基本になることが分かりやすく解説されています。子どもに向けた語り口ですが、大人にとっても良い入門書になりそうです。自分達が食べるために殺しているのに、なのに何も知らない、じゃあ知ることから始めよう…というスタンスで、価値観の押し付けにならないようにと配慮を感じる文体でした。
    知識的な面でも、農耕の起源、部落の起源など諸説あることについても、基本を抑えつつ1つの説に偏らない説明でした。
    ただ実際子どもにこの本への興味を持たせるのは…ちょっと自分では上手くやれる気がしません。説明が丁寧だし、おさえてほしい部分(自分達が食べているのだから…)は何度も繰り返しているので、少しくどい部分もあります。それくらいじゃないと子どもには伝わらない、のかも知れませんが。
    大人が読んで、この本のスタンスや語り口で子どもに語っていくしかないのかなぁ。

  • 人間が生きていく上で、他の生物を殺し食べていく必要があることは、どうしようも無く仕方が無いことではあるが、そのことから目を背けて生活していてはいけない。
    牛や豚は工場でスライスされパックして作られるのでは無く、生きた牛や豚を殺して加工されてスーパーに並ぶのである。そんな当たり前のことを忘れずに生活していかなくてはならない。

    良い本だとは思うが、こどもが読んでもうまく理解できないのではないか。
    こども向けに書いていて実はおとなが読む本である。

    私はと言うと、ひょっとして著者と考え方が似ているせいなのかも知れないが、なにか目新しものを感じない。部落民に関する記述も同様である。知識としても目新しいものはあまりない。牛豚の具体的な屠殺方法は初めて知ったが(^^ゞ

  • 私たちはなんて多くのことに気づかないふりをしているんだろうとしみじみと思いました。

  • (レビュー・感想というより、読むに至った経緯)
    代官山TSUTAYAに行った記念に何を買おうかと迷い、食の本棚に目を通して、とりあえず購入した本。

    著者は食肉を通して、始終「知ること」が大切だと語っている。見てみぬふりをするのではなく、知って考える事が必要だと。

  • 母校での教育実習で私が驚いたこと。それは子どもの描く’川魚’でした。画面の中では,スーパーの鮮魚売場でパック詰めされたかのような,ピンと背筋が伸びた魚が,川の中を泳ぎ回っていました。
     私が子どもの頃,川は遊び場であり,ザリガニや小魚を捕まえていました。
     一方今は,公園にゲーム機器を持って集まる姿が見られ,川は遊び場でなくなりました。
     豚を育て,食べるといった,「いのちの授業」が注目される時代に。(Yさん)OPAC→http://libopac.lib.juen.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=1000013304&key=B142058639723881&start=1&srmode=0

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著者プロフィール

森 達也(もり・たつや)
1956年、広島県呉市生まれ。映画監督、作家。テレビ番組制作会社を経て独立。98年、オウム真理教を描いたドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。佐村河内守のゴーストライター問題を追った16年の映画『FAKE』、東京新聞の記者・望月衣塑子を密着取材した19年の映画『i-新聞記者ドキュメント-』が話題に。10年に刊行した『A3』で講談社ノンフィクション賞。著書に、『放送禁止歌』(光文社知恵の森文庫)、『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』『職業欄はエスパー』(角川文庫)、『A2』(現代書館)、『ご臨終メディア』(集英社)、『死刑』(朝日出版社)、『東京スタンピード』(毎日新聞社)、『マジョガリガリ』(エフエム東京)、『神さまってなに?』(河出書房新社)、『虐殺のスイッチ』(出版芸術社)、『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』(ミツイパブリッシング)、『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』(講談社現代新書)、『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)、『増補版 悪役レスラーは笑う』(岩波現代文庫)など多数。

「2023年 『あの公園のベンチには、なぜ仕切りがあるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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