夏美のホタル (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041016879

作品紹介・あらすじ

写真家志望の大学生・慎吾。卒業制作間近、彼女と出かけた山里で、古びたよろず屋を見付ける。そこでひっそりと暮らす母子に温かく迎え入れられ、夏休みの間、彼らと共に過ごすことに……。心の故郷の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 前回読んだ森沢明夫さんの「虹の岬の喫茶店」がすごくよかったので、続けてこの「夏美のホタル」を読みました。(あれ?英語の勉強から逃げている??)

    いやー よかったです。

    あとがき や 解説 もすごくよくって。
    それ以上のものがここに書けない・・・

    少しだけメモ
    テーマは家族。
    親がつけてくれた名前は子供への贈り物。
    恵三(3つの恵:この世に生まれてくる喜び、親に愛される喜び、伴侶と一緒に子供の幸せな姿を見る喜び。)
    ありがとう:自分の子供に産まれてきてくれて。

    作者はバイク乗り(私も)
    バイクの気持ちよさをしっかりと知っている。
    自然の感じ方も。

    「人間ってのは、何かと何かを比べたときに、いつも錯覚を起こすんだって。だから、自分と他人を比べない方がいいって。」

    「才能ってのはな、覚悟のことだ。」

    森沢明夫さん これからも読んでいきたいと思います。。

    • 松子さん
      いっちゃん、おはようございます(^^)

      すごい、いっちゃんバイクに乗るんですね!
      春や秋の季節、ツーリングに行くのかなぁ?というバイクで走...
      いっちゃん、おはようございます(^^)

      すごい、いっちゃんバイクに乗るんですね!
      春や秋の季節、ツーリングに行くのかなぁ?というバイクで走っているグループを見かけては
      いいなぁ〜!素敵だなぁ!と熱い視線をおくっています!
      いっちゃん、素敵女子ですねっ(≧∀≦)
      憧れますっ
      2022/12/18
    • いるかさん
      まっちゃんさん こんにちは。

      バイクは大学時代からずっと乗っています。
      気持ち良いですよ。
      でも、マラソンの先導のような安全運転で...
      まっちゃんさん こんにちは。

      バイクは大学時代からずっと乗っています。
      気持ち良いですよ。
      でも、マラソンの先導のような安全運転です~
      2022/12/18
  • 房総の山村を訪れた慎吾と夏美の成長の物語であり、日常の何気ない幸福をたくさん掬いとって気づかせてくれるストーリー。
    何しろ私の地元なので、蛍やカワエビや渓流そのものが近くにあります。
    気候が温暖なのか、どちらかというとユル~い県民性もそのものズバリでした。
    その村人、ヤスさん、地蔵さん、雲月さんとの温かく豊かな交流も物語の大きな魅力でした。
    親子の絆など物語を貫く主題はあるのですが、私は慎吾が少しずつ成長していく姿に共感しました。
    他人との競争、自分だけ置いてかれる、思う通りにならぬ焦り。そこを抜けての自分なりの生き方の発見は多くの人が経験するのではと思います。
    読みやすく一気に読了できました。
    実は私は埼玉県の比企丘陵の山あいがとてもすきなので今度でかけようと思いました。

  • 森沢さん初読になります。
    (表紙の可愛さでこちらを一番手に)
    子供の頃の夏休み、田舎、ばあちゃんちを思い出すような、優しいお話でした。
    最近、ミステリーや、仕事系小説を読んでいたから余計新鮮な気持ちに。

    幼稚園の先生の彼女と写真家目指してる彼氏の恋愛物語?なのかと思いきや、全然違いました‥

    登場人物みんな良い人、虫の声や自然の音や色が本から聞こえてくるような描写はすごいなと。

    人間ってのは、何かと何かを比べたときに、いつも錯覚を起こす、だから自分と他人をあまり比べない方がいいってフレーズ、
    他人と比べちゃうと自分に足りないものばかりに目がいっちゃって、満ち足りているもののことを忘れちゃうってフレーズ、
    自分の名前は親の形見となるというフレーズ
    素敵だなあ。

    お母さん、産んでくれてありがとう!って暖かい気持ちにもなれる(お母さんには言わないけど笑笑)

    ばーちゃんの家の庭にプール出してくれて遊んだりした記憶や、ばーちゃんが話しかけてくれるイントネーションが読みながら思い出されて、
    もう、早くばーちゃんに会いたい!
    小樽が電車で行ける距離なら、いいのにな。

    ※YouTube 田舎の実家 どこか懐かしい ばあちゃんち 環境音
    を聴きながら

  •  本書は「ザ・日本の夏!」 そう、井上陽水の『少年時代』の世界です!(これ、前にも書いたな)
     山里、蝉の声、川遊び、スイカ、花火、そしてホタル‥。日本の原風景が郷愁を誘い、心に温かく優しい風が吹きます。

     大学生で〝写真家の卵〟慎吾と幼稚園教諭・夏美が主人公です。二人がたまたま立ち寄った山里のひなびた雑貨屋「たけ屋」。ここでひっそりと暮らす老親子との交流を描いた物語です。

     自然、光、音、建物の佇まいなどの情景が浮かび、登場人物の温かな心情、年長者の含蓄のある言葉、ほっこり感と癒され感が胸に迫ります。もう、森沢ワールド全開です。

     著者の実体験を元にしたフィクションとのことですが、情景と人物描写が実に秀逸だと思います。
     夏の描写にワクワクしながらも季節は移ろい、(蝉の声ひとつ取ってもアブラゼミからヒグラシへ)日暮れが早くなっていく、あのもの悲しい感じ‥。
     この寂しい感覚に、人との別れを重ねる展開の上手さには恐れ入ります。

     親子関係が重要なテーマですが、肩肘張らずに軽やかに読めます。また、人として大切にしたいことを、さりげなく教えてくれ、読後に温かく優しい気持ちになれる一冊でした。

  • この物語は、主人公の幼稚園教諭の夏美23歳と、その恋人のカメラマンを目指す大学の写真科に通う慎吾がバイクで千葉の房総の山奥の古びた雑貨屋の「たけ屋」でトイレを借りたことから、84歳のヤスばあちゃんと彼女の息子で体が不自由な62歳の息子の恵三さん(地蔵さん)と知り合い、その年の夏中、二人が「たけ屋」の離れを借りて過ごすことになったことから始まります。
    夏美と慎吾は川で蛍を初めて見ます。
    そして、うなぎやどじょう、沢ガニを獲って食べたり、沢ガニは一匹だけ夏美がペットにして飼っちゃったり、他にもウグイ、オイカワ、コイ、フナ、エビ、セリ、ミツバ、クレソン、山菜などその場で全部とって食べたり、のんびりとした田畑の風景も広がっています。

    作者あとがきによると、これは作者の森沢さんも同じようなことを体験されたからこそ描けたことらしいです。

    そして食卓を毎日四人で囲み話にも花が咲きますが、そこで夏美と慎吾は地蔵さんから、どうして妻子と別れたのか、ヤスばあちゃんも知らない本当の話を聞きます。

    そして、中盤、思いもよらない展開になります。
    なんで、こういう展開になるのかなあ!!ひどい!!とその時は思いましたが、最後まで読むととても温かな涙のでるお話でした。

    サブキャラクターとして最初と最後に登場する、仏像師の榊山雲月さん、他の人たちも、皆いい人たちばかりの好感のもてるお話でした。

    解説にもありますが、ページをめくる度に確かにサプライズ続きの感動のストーリーでした。

  • ⚠️半分まで読んだらは自宅で読むことをお勧めします

    通勤中に読んで失敗
    朝から涙を堪えるのに必死でした

    普通の人たちの普通の生活の大切さを森沢明夫さんはいつも伝えてくれます

    今回は親子の絆、他人だけど親子のようになれる人との出会い

    特に川遊びをしているシーンは、羨ましいと思うほどの貴重な経験だと思います

    人の優しさや思いやりはこういうことなんだよって、この本からじわじわ伝わってきます!

  • 久しぶりに昔通った本屋さんに行ったら、中にスターバックスが出来てました
    噂には聞いていましたが違和感しかありません
    古い人間です

    でも思い返してみると駅から続く坂の途中にあった昔ながらの古本屋さんによく通っていた頃に、手に入れた本を家に帰るまで待ちきれずに同じ通りの喫茶店に入って読んでいました
    いや〜新しいビジネスモデルだな〜って思ってたんですがよく考えたら同じことですよね

    『馴染みのモデル』なんちて

    さて『夏美のホタル』です

    バイクのツーリングの途中でたまたまトイレを借りに寄った古い商店に住む親子との交流から…ってそんなん実際にあるのかよ!って思ったら森沢明夫さんの実体験がスタートでした
    あるんかーい!というね

    それにしても森沢明夫さんは実体験を出発点にして発想を膨らましてみたいな物語が多いような気がします
    もちろん発想力も素晴らしいんですが、それだけいろいろな体験をしてるということでもあると思うんですよね
    きっと好奇心のおもむくままにいろんなことに臆せずチャレンジする方なのかな?って感じました
    見習いたい

    子どもに対した生まれてきてありがとうってのは共感しかないですよね
    ほんとありがとう

  • ただでさえ小さなヤスばあちゃんが、どんどん小さくなっていく姿がやるせなかった。しかし、それは老いの現実で、その分自分がしっかりしなくてはと、そうやって成長させてもらえるんだと。やはり、小さくなったなぁと最近感じる自分の母を見て感じます。
    都会からやってきた若い男女と、片田舎でひっそり暮らす年配の親子の触れ合い。
    森の匂い、川のせせらぎ、美しい自然に囲まれ川遊び、山菜取り、竹の子堀り。ホタルブクロの白い花びらの中に入った蛍、是非見てみたい。
    恵三さんヤスばあちゃん、見ず知らずの人を泊めるなんて…と、この世界観の中ではそれを言っては無粋ですね。
    恵三さん美也子さん夫婦は、本当はずっと寄り添いたかったに違いない。しかし、
    「この世界は、目にみえているものだけがすべてじゃないんだよな」
    老い、病気、最期に向き合うこと…が、慎吾、夏美との夏の思い出とともに綴られていた。慎吾夏美にとっては青春であり、その対比が良かった。
    忘れかけていた心の余裕を気づかされるような一冊だった。

  • ☆5

    森沢明夫さんの作品を読むのは本作で20作目になるのですが、読めば読むほど「森沢ワールド」にはまっていっております...!!(きっともう抜け出せません!)

    ヤスばあちゃんと地蔵さんの優しさと愛情にたくさん包まれながら読了した本作ですが、途中で何度も涙が出そうになりました。
    地蔵さんから教わった「三つの恩恵」の意味と「ありがとう」という言葉を大切に生きていきたいと思いました。

    優しくてあたたかい、けれども儚い...素敵な物語でした❁⃘*.゚

  • はぁ〜良かった〜本当癒される〜〜
    森沢ワールドどっぷりの温かい内容だった。

    実体験をもとに構成されたフィクションとのことだが、まさに日本の古き良き夏の情景が瞼に浮かぶような作品。
    仏師雲月のプロローグは「おっ、何だなんだ?夏美のホタルだよなぁ?」と頭が?になったが、この雲月の存在によってプラスαの奥深い趣をみせてもらえた。

    森沢さん作品でお馴染みの
    風鈴の、凛… 凛… で心が弾み、
    ヤスばあさんと恵三さんの話口調「〜よぅ」で
    『北の国から』の五郎さんを想起して癒され、
    「たけ屋」での川遊びにウキウキし、
    釣果のテナガエビにウナギに淡麗辛口の冷酒で
    すっかりほろ酔い気分
    更に、毎日温泉に浸かり放題って、
    もう想像するだけで
    「幸せ〜♪」の一言に尽きる。

    親子の愛と絆がしっかりと描かれた作品で、瞼が何度も熱くなった。季節の移ろいに感じる哀愁ただよう描写など、人と自然が絶妙に合わさり心温かく読み終えた。
    読後は、自分の名前が少し変わってみえるかもしれない。

    余談だが、慎吾と夏美の結末だけは、夏美の告白からではなく慎吾から先であって欲しかった。後出し感が少し残念だった笑


    以下、あとがきが素敵だったので記載

    人生は、ひたすら出会いと別れの連続です。
    どうせなら、別れがとことん淋しくなるように、出会った人とは親しく付き合っていきたいですし、そのためにも、いつか必ず訪れる別れのときを想いながら、自分の目の前に現れてくれた人との「一瞬のいま」を慈しみたいと思います。

    • ちゃたさん
      こんばんは。ちゃたと申します。私もこの本にはまりました。癒しというかマイナスイオンで心が一杯になりました。こんな素敵な後書きがあったのですね...
      こんばんは。ちゃたと申します。私もこの本にはまりました。癒しというかマイナスイオンで心が一杯になりました。こんな素敵な後書きがあったのですね。読み飛ばしていたのでしょうか、「別れがとことん淋しくなるように」この言葉心に刺さりました。ありがとうございました(^o^)
      2023/12/15
    • はなちゃんさん
      ちゃたさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます♪
      いつもお世話になっております。

      そうなんです!森沢さんは、あとがきも素敵で胸に刺...
      ちゃたさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます♪
      いつもお世話になっております。

      そうなんです!森沢さんは、あとがきも素敵で胸に刺さりました。
      自分に巡り合う出会いと別れを、こんな風に考えて生きていきたいものですね
      (о´∀`о)
      2023/12/15
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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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