翻訳百景 (角川新書)

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著者 : 越前敏弥
  • KADOKAWA/角川書店 (2016年2月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041018637

翻訳百景 (角川新書)の感想・レビュー・書評

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  • 越前敏弥さんのブログはたびたび読んでいたのだが、このたび、ブログの記事+お仕事に関するあれこれがまとめられるということで手に取った。

    前半は「文芸翻訳ってどんなこと、プロの翻訳者はどんな作業をしなければならないか」について、ご自身の訳書で発生した作業や経験を例にとって触れられている。作品を訳するうえでの苦労話は翻訳家さんのエッセイでの定番素材なのだが、この本のように、「出版翻訳は個人の作業であって個人の作業ではない」という面が取り上げられているのは、翻訳者さんのご著書ではあまり見かけないように思う。編集者さんのアシストや、翻訳学校の生徒さんからのアイデア出し(授業というよりワークショップ的な)、共訳者チームとの訳語・設定すり合わせ作業などがリアルに描かれるので、文芸翻訳の勉強をしようかと考えていらっしゃるかたが見落としている局面を知ることができ、意外にプラクティカルなのではないか。個人的には、大森望さんの『新編 SF翻訳講座』と併せて読めば、翻訳という作業、作品についてかなりクリアに見えてくるのではないかと思っている。

    後半、特に最後の章は、書店イベントで見聞きした内容と重複するものが多いのだが、「はじめに」で述べていらっしゃることにすべてつながる。実数3,000人といわれる翻訳書の読者を増やすため、その魅力を伝える機会を増やしていくのはなかなか一筋縄ではいかないし、翻訳書の訳者名を覚えているのはその中でも一握りで、大部分が「『ハムレット』面白かった!」と作品名だけ記憶して終わる。広げにくい間口、残りにくい名前という試練(というのかな)を何とか打開していくための取り組みが紹介されるのは、今までの翻訳者さんのエッセイでは見られなかった。越前さん以外にも、翻訳者さんによる海外文学の紹介イベントや小冊子を目にする機会が少しずつ増えてきたということから考えると、この本で紹介される読書会や書店イベントは、朝ドラ的表現をすれば"First Penguin"的な動きだったんだろうと思う。

    和訳に関して、卑語的なサンプルが出ているのでそのあたりの受け止めかたはいろいろあると思うが、私はぎりぎり許容範囲(たぶん)。

  • 翻訳について小難しく書かれている本かと身構えて読んだが、
    とても読みやすく、楽しみながら読むことができた。
    またそれだけでなく、濃い霧の中をさまよっているような状態の自分の心の中に一筋の道を照らしてくれたような、厳しくもあるが温かい励ましをいただけたような、そんな気持ちにもなった。
    読みながら、本の中に線を引きたくなる箇所がたくさんあった。私のように翻訳に携わりもっと上を目指している者はもちろんだが、どんな職業でもスキルアップを目指す人々にとっても指南となる箇所が多くあったのではないかと思う。
    私自身、英文科出身なのですが、学生の頃読んだ、というか、読まされた古典文学はどれも難解で(笑)いや、きっと私の読解力が悪すぎただけなのだろうけど。。。それ以来海外文学は避けて通る羽目となった。
    しかし越前氏の訳書「ダ・ヴィンチ・コード」を読んだことがきっかけで、海外小説にも手が伸びるようになった。
    言葉の力って偉大だ。選んだ言葉ひとつでその作品の良し悪しに影響する。読者の心にどれだけ響くかも変わってくる。読者をその作品の世界へと誘い魅了できる文芸翻訳という仕事ってやっぱり素敵だな。

  • 色々な翻訳の方法 解釈のことば使いなど面白い

  • 書店で見かけて購入。同名のサイトも面白い。

  • 「試験は努力して落ちることが最良、努力して受かるのは二番目に良い、最悪は努力しないで受かることだ」という話が最も面白かった。
    翻訳の上達には日本語、英語の双方で質の高い文章に絶えず接するよう努力しなければならないことがわかる。
    ただ、翻訳のノウハウを期待した読者はやや期待はずれになるのではないかと思う。

  • 文芸翻訳者の裏側がわかって面白かった。

  • CL 2016.7.22-2016.7.24

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:801.7||E
    資料ID:95160123

    越前敏弥氏は、ダヴィンチ・コードを訳した売れっ子翻訳者ですが、翻訳文学をもっと多くの人に読んでほしいと積極的な活動家としての一面があります。この本を読むと、海外ミステリー小説を読みたくなりますよ!
    (生化学研究室 大塚正人先生推薦)

  • 最も興味を引いたのは、編集者のチェックが入った原稿と、決定稿の比較。同じ意味の訳文でも、訳し方、表現によって、印象がかなり変わる事が一目瞭然で、翻訳の奥深さがストレートに分かる。一語一語に対する研究と、原典の風味を損なわない感性。翻訳には、それまでの人生体験が活きてくるという言葉も全く大袈裟に聞こえない。編集者や下訳者、また逝去した名訳者など、同業者の仕事の質の高さと、彼らへの敬意も伝わってきた。一点、色々トピックを詰め込んだ為、一冊としての統一感には欠ける。

  • 久米書店

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翻訳百景 (角川新書)の作品紹介

原文の「歯ごたえ」を残しながら、いかに日本人に伝わる言葉を紡ぐのか――「名人芸」が生まれる現場を、『ダ・ヴィンチ・コード』訳者が紹介。本を愛するすべての人たちに贈る、魅惑的な翻訳の世界への手引き。

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