鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041018880

感想・レビュー・書評

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  • 人為的なパンデミックを狙っている犯人がいる?なんて書くと凄いハリウッドのパニック映画みたいだけど、そんなうわべじゃなくてもっと本質的なところを突いてくる感じがするのが凄いなぁ、と。

    下巻も楽しみです。

    2017.8.5

  • こんな未だ見ぬ広大な自然とそこに息づく生物の世界が広げられるなんて、上橋さんの頭の中はいったいどうなっているんだろう…!鹿の息遣いや朝露の輝き、澄んだ空気までも伝わってくる。人の生死、病とどう向き合ってきたのか。民族や人物の設定が複雑で理解するのに時間がかかるのが難点。ユナちゃ、可愛い。

  • ・よかった点
    制度とか信仰とか生活とか、各民族の混じりあう世界観が綿密だなあと。新旧の支配層と勢力拡大に伴う軋轢とか現実的すぎて頭が痛い。生命か魂かの医療問題とかは、明確な答えがなくて両方頷けるなあと思った。

    ・よくなかった点
    地理が覚えられなくてページをうろうろ。地図とか挿絵とかあればいいのにと思う。せっかくなので用語集も付けといてほしい!あと己の想像力の貧困は棚に上げて、各々がどんな人なのかもうちょい記述があってもよかったかなあと思う。

    ・総評
    架空の国、呪い的な人はあるけどでもベースは現実世界の医療歴史ファンタジーって感じ?
    読みながら高校時分の世界史と生物の授業をうーっすら思い出した。役者たちも事件も現実から上手に切り取られてる、でもどこかで見たことがある、だから他人事とは思えない。
    そういう意味では夢があるとか独創的とかじゃなく地道でやっかいな話だなあと。主人公それぞれのピンチがどう転んで2人がどう出会うのか。何だか単純なハッピーエンドにならなさそうなんだけど締めはどうなってしまうのか。下巻を読むのに気合を入れようと思った。

  • 病や薬がどの様に出来るのか。病で死ぬ者と生き残る者がいるということ。口に入れるものの重大さ。生き伸びることへの基本が物語に散りばめられている。そして実在するかのような圧倒的な世界観!スゴイ、の一言。

  • 本を手にしてから開くまでに時間がかかったのですが、読み始めたらスイスイでした。
    このお話の根底にあるものは復讐なのか、はたまたもう二度と手にすることはないだろうと思っていた愛を手に入れることなのかまだわからないけれど、最後まで読んだ時に何か感じるものがあるだろうな、という予感がします。
    作者がどんなことを伝えたいのか、すごく楽しみです。
    早速、下巻を読みたいと思います。

  • 彼女の作品を読むのは初めてだけれど、壮大なる舞台を設定しつつ、細かいところまで描写ができていて驚かされます。村上春樹が小説家は嘘をつくのが商売みたいなことを言っていたけれど、空想だけでこれだけの世界を作り上げることができるのはものすごい才能だと思う。この物語は冒険小説であったり、医療科学の話であったりと、多面性があって飽きさせません。ここまでのところはオススメ小説。特に彼女ファンだったら必読かな。グイグイと読ませます。一気に下巻に突入。

  • ファンタジーを久々に読んだけど一気に読破!面白かった、、、想像力を掻き立てられるラストも終わり方として良かったと思う。

  • 優れたファンタジーはこの世界と合わせ鏡。

    のめり込むように読んだ三日間、別の世界にいたような気がする一方で、私たちが暮らすこちらの世界の問題も垣間見た気がする。

    細菌、民族、生と死。

    人間の想像力に驚かされ、その普遍性に私たちは心動かされる。

  • (……背には 我が仔……)
    己が血の末でなくとも、あの子は、我が子だ。なにより大切な我が子だ。

    生きる希望も意味も失い、死に場所を求めて闘いに身を投じるも生き延びてしまったガンサ氏族の戦士・独角の頭 ヴァン。
    幼子のユナと出会い守る者の為に生きる道を選ぶ。
    黒い獣に襲われ生き残ったヴァンとユナには身体の変化とともに不思議な絆ができる。
    妻子を亡くした過去を持ちその悲しみが癒えることはないと考えるヴァンだが、前述の引用のシーンには胸が熱くなる。
    故国オタワル王国の貴人であり、優秀な医術師ホッサルは西洋医学にも似たアプローチで病と闘う。そして、かつて王国を滅ぼしたと言われる黒い獣がもたらす黒狼熱(ミッツァル)の謎と治療法を探ることに。
    この2人がどの様に交錯していくのか物語が向かう先に何が待っているか、下巻が非常に楽しみだ。

  • 上橋作品の面白さは、歴史や現実社会との絶妙なリンクだと感じている。この作品では帝国の征服プロセスや移住民の生活、そして重要なテーマとなる疫病の描写がリアルで、架空世界のファンタジーなのにまるで歴史に存在したかのような感覚を覚える。疫病の発生で混乱する世界の中で獣の魂を宿してしまった戦士ヴァンと、病の根元に迫ろうとする天才医術師ホッサルがどのような形で出会うのか、下巻を読むのが楽しみだ。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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