鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐

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著者 : 上橋菜穂子
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年9月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041018897

鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐の感想・レビュー・書評

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  • 下巻、ぐんっと物語に引っ張られて一気読み。
    読み終えた後、満足感と寂しさが混じった気持ちにじんわり浸りました。

    ヴァンとホッサル、2人の主人公が出会い、語らうシーンが印象的でした。
    若き天才を魅了するヴァンにしびれます!

    上橋菜穂子作品に描かれた壮大な世界にぐわぁっと飲み込まれてしまっていたせいか、感じたことを上手く文章にできないことが悔しいです…ううう…。

    守りたいものができたとき、強くありたいと思うときに、ぐっと背中を押してくれる物語だと思います。
    ぜひ、もう一度読み返したいです。

  • 「父が言っていた。人というのは哀しいもので、なにをやっても、どこかに悔いが残るもんだと」
    下巻で一番印象に残った言葉は、そんなに自分にとって新しい言葉ではなかった。
    新しい考えを教えてくれた言葉は他にもあったし、この物語の広がりにもただただ驚いた。
    今までも自分は混沌の中を生きているのだと感じてきたけれど、「混沌」という言葉に入れて個々を見てこなかったもの(恐ろしいもの、美しいもの、愛おしいもの)のことを受け取りやすい物語にして語ってくれた。
    自分が生きている世界にも、自分の身体の中にも、たくさんの命と心があって、全てが違う存在で。
    途方もなくて何から考えていけばいいのかも分からない。
    でもこの物語の広がりを感じることは必要なことだったと思う。
    そしてその上で最初に引用した言葉にやはりどうしようもなく心動かされてしまう。
    それは自分の行いについても、他人の行いについても、同じなのだ。
    この物語の中で生きている人々は誰も自分の命を捨てていない。
    望みに向かって生きた結果の死はあったけれど、物語の都合で行動していた命はなかった。
    そして全ての行いは善でも悪でもなくて、正しくも間違ってもいないんだと思う。きっと。
    善いことだ。正しいことだ。と信じられる生き方をしても他者を傷つけるし、命を奪ってしまう。
    だから何をされても仕方ないとか、そんなことを言いたいわけではないけど、全ての行いにその命の思いがあるということを知っておきたい。
    その行いを悔いる心を相手も持っているんだということも。
    そう信じられるようになりたい。

  • 上下ともに分厚いハードカバーなのに紙が薄く、ページ数が多かった.登場人物も多めで、独特の読み方をさせる固有名詞も多かったので、一時中断したときはコレ誰だっけ(汗と巻頭にある人物の名前一覧を見返した.でも、親切にルビがふってあったので、そこまで混乱せずに読むことができた.
    鹿の王というタイトルから「一番」とか「強い」とか「権力」ということばを想像していたけど、実際はそうではなくて、仲間が生き延びるために勇敢に戦う者、犠牲になるもののことをいうのだということに、深い感動を覚えた.
    いつの時代も為政者は己の国、民族、慾のために動くことが多い.そんな中、民族を超えて、利害を超えて、病に立ち向かおうとする人々の物語だった.
    いろんな奥深さが潜んでいる作品.時間が経ってもう一回読んだらまた違う感想が湧きあがってくるのかもしれない.
    再読したらまたここの感想を変更するかも.

  • もうなんと言うか、思いが溢れすぎて言葉がうまくまとめられない。
    それほどまでに壮大で深いテーマの物語だったと思う。
    ファンタジーで架空の世界のお話なのに、現実にまるであるかのような緻密に作られた世界観の凄さは今回も健在。

    まさに上橋ワンダーザワールド!!

    一体上橋さんの頭の中はどうなっているやら・・・
    病・医療・政治・民族同士の争いと繋がり。
    そこに広大な自然に住む獣達が複雑に絡まりあって、正直凄く凄く重いテーマだと思う。
    でも、そんなことも微塵も感じさせないほど一気に物語に引き込まれて最後まで駆け抜けるように読んでしまったというか読まずにはいられなかった程惹きつける魅力を放つ物語にすることのできる上橋さんはやっぱり世界のファンタジー作家だと思う。

  • 好きな終わり方だった。

    「還って行く者」
    ただそれだけの終わりだったら、言葉にしづらい嫌な読後感が残ることになっただろう。

    それだけではない終わりに、(あぁ〜読んでよかった)という読後感がある。

    それぞれの「想い」に突き動かされて「死」を選んでいく。
    「死」を見つめるからこそ生きる覚悟と希望が生まれていくのだなーと噛みしめる。

    面白かったです。

  • 著者の作品ずっと楽しみにしていました
    大人向けです
    「守り人」「獣の奏者」よりもっと大人向けです
    世界観
    すごい
    生きることのすべてが織り込まれている
    だけど 時間がとれなくて一気に読めなかったから
    地名・人名・民族・動物がごちゃごちゃになり、もう一度読まなければと思う
    ラストの余韻がずっと響いている
    《 立ち向かえ 病も支配も もがきつつ 》

  • 一度読んだだけでは、物語が頭の中で消化しきれない!
    正直言って難解。難しい。
    守り人や奏者より大人向けな印象でした。
    もはやファンタジーなのか。

    簡単に言ってしまえば、動物と医術なんだけど。
    何だろうなー、この答えの出ないもどかしさみたいなの。

    謎の病が発生した岩塩鉱から生き延びたヴァンとユナ。
    その治療法を探す天才的医術師ホッサル。
    東乎瑠の移民に故郷を奪われるアカファの人々。
    それぞれの民と深くかかわる固有の動物。

    終わり方が何とも言えない。
    ヴァンとサエとユナで寄り添い合って生きていてほしい。

  • 結末までヴァンのように走り抜けるように読んだ。
    人が自然に加わることで変わっていく生態系。そこで生きていくことのむずかしさ。人の傲慢、人の愛しさ。
    ヴァンが最後に選んだことが正しいのかは、私にはわからない。けれどユナとサエの存在が彼に救いの光を与えてくれる。ホッサルはこれからも、自分のやり方で道を進んでいくのだろうと思う。
    これは誰が何と言おうと希望の物語だ!
    だって、ヴァンにはユナとサエがいる。だから、ユナの一言に笑いながら大丈夫なんだ、そう思った瞬間に涙がこぼれて止まらなかった。

  • 初読みの作家さん。正直、上巻はなかなか読むのが大変だった。特に登場人物の名前が難しく(馴染みのない響き、似てる名前)ストーリーの進行も読めなくて(精神世界の話が出てきたり、医術の解説があったり、何となくちぐはぐな感じ)だが下巻に入りやっと筋書きが読めて、ようやく本の世界に入り込めた。タイトルから予想する内容とは全く別物。ファンタジーという括りは相応しくないような。もっと骨太。

  •  さらわれたユナを追うなかでヴァンは、岩塩鉱の事件以降自分に芽生えた不思議な力に興味を持つ民族と出会う。一方でホッサルは”黒狼熱”騒動の裏にあるものに徐々に近づいていく。そしてついに二人が邂逅を果たし……

     上下巻通して、ものすごい読み応えでした! 

     まず描かれるのが、帝国と少数民族の対立。大国による支配や征服で故郷を失ってしまった人々。そうした人々の怨嗟が騒動の背景にあります。

     行き場のない怒りや悲しみ、そして各民族の宗教観が複雑に絡み合い、事件に結びつきます。構成の組み立て方、伏線の回収も見事です。読んでいて点と点がつながっていく感覚は、一流のミステリにも劣らないと思います。

     そうした少数民族の問題は、現実世界にも存在します。そして、それが原因の紛争やテロがあるのもまた事実です。そうした問題に対し、この小説はどう答えを出すのか。

     ヴァンはホッサルから、自身の身体の変化について説明を受けます。ホッサルは身体には病気のウイルスや細菌が入ってきたとき、それと戦う兵士たちが身体の中にいると説きます。

     しかし、ヴァンの場合は、身体の中に入った黒狼熱の菌が、身体の中の兵士たちと共存しているのではないか、とホッサルは仮説を立てます。それを聞いたヴァンは自身の身体と国家に共通点を見出します。

     生きるには身体の機能がしっかりと働いてくれることはもちろんですが、外からも常に栄養、時には菌を取り入れないと生きていけません。抗体を作るためには、一度菌が身体に入らないといけないからです。

     国もそのように、様々な民族を取り込みつつ大きくなります。そして、そうした民族も取り込まれて生きていくうちに、大きい国の保護が必要になってくるのです。こうした持ちつ持たれつで、国は成り立っているのです。

     医療小説の面と歴史ファンタジーの面が、こうした一つの形につなぎ合わされます。その説得力とメッセージ性に不思議な感動を覚えました。

     そして終盤ヴァンは、自身の不思議な力に関する選択を迫られます。力を持つ者の責任として、個人のための選択をするか、集団のための選択をするか迫られるのです。

     寂しい終わり方になることを覚悟したのですが、ラストのユナたちに救われました。厳しい運命に立ち向かえるのは、やはり人の絆の強さだと再認識させられました。

     描写と設定が細かいので、読むのに少し苦労するところもありましたが、終盤はその苦労の甲斐あり夢中になって読み進めてしまいました。

    2015年本屋大賞1位

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鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐の作品紹介

何者かに攫われたユナを追うヴァン。同じ頃、医術師ホッサルは移住民に広がる謎の病の治療法を探していた。ヴァンとホッサル。ふたりの男たちが愛する人々、この地に生きる人々を守るため、選んだ道は――!?

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