あこがれ: 石川啄木詩集 (角川文庫 し 1-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041019061

作品紹介・あらすじ

明治三十八年、浪漫主義華やかなりし頃、一人の天才詩人が颯爽と詩壇に登場した。熱烈な賞賛をあびた詩集『あこがれ』、作者は岩手県渋民村の青年・石川啄木。青春の歓喜や孤独を歌った二十歳の若者は、しかし故郷を追われ、終わりなき漂泊の旅に出る…。その『あこがれ』から、傑作の誉れ高い晩年の詩稿ノート『呼子と口笛』まで、生涯にわたる数々の詩の中から精選した、啄木詩集の決定版。

感想・レビュー・書評

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  • (2012.11.07読了)(2005.10.29購入)
    【11月のテーマ・[石川啄木を読む]その①】
    岩手県の生んだ偉人と言うと、宮沢賢治、石川啄木、原敬、新渡戸稲造、等が挙げられるのだと思います。宮沢賢治は、童話作家ということで、割と多くの読者がいると思います。絵本やアニメ映画にもなっています。僕もいくつかの作品を読みました。
    石川啄木となると、いくつかの短歌を教科書で習ったり、テレビ・新聞などで、取り上げられるのを見たり聞いたりという程度で、彼の作品をじっくり読むということは、あまりないのではないでしょうか。(彼のファンでよく読んでいる方には、ごめんなさい。)
    僕も、郷土の偉人でありながら、ほとんど読んでいません。
    今年(2012年)は、石川啄木の没後100年なのだそうです。1912年4月13日に亡くなっています。26歳だったそうです。処女詩集「あこがれ」を自費出版したのは、19歳のときです。
    いまでは、10代のうちに認められて本を出す人もちらほらいますが、それにしても驚きです。解説で俵万智さんも「『あこがれ』は、肩に思いきり力の入った詩集だ。言葉をあやつる才能を、これでもかこれでもか、と見せつけてくれる。」と書いているように、19歳にしては、格調が高く、誇張の多い表現を多用していて、とても読む人を彼の詩の世界に入りこませてなどくれない内容、と思います。
    俵万智さんも「誌を読む一人の読者としては、感心よりも感動を、作品に求めたい。」と言っています。『あこがれ』には、残念ながらそのような作品は、入っていません。
    この本には、処女詩集『あこがれ』以後の作品も収められていて、そこには、彼の短歌と同様の親しみやすい作品もあります。そこにたどり着くには、本の半分分を我慢するか、後半だけ読むか、ということになります。後半を先に読んで、後で最初に戻るのもいいかもしれません。
    たとえば、後半のほうにある「蟹に」という作品は、以下のようにはじまります。
    潮満ちくれば穴に入り、
    潮落ちゆけば這ひいでて、
    ひねもす横にあゆむなる
    東の海の砂浜の
    (後略)

    【目次】
    詩集『あこがれ』
    『あこがれ』以後
    詩稿ノート『呼子と口笛』

    年譜  山岸郁子
    解説  俵万智

    ●「落葉の煙」より(117頁)
    過ぎぬ、ほろびぬ、夢のあと。
    今ただ冷ゆる灰のこし、
    のぼる煙も、見よやがて、
    地をはなれて、消えて行く。
    ●「水無月」より(175頁)
    砂山は長くつづきて、水無月の
    日は照りかヘリ、砂は蒸す。
    海草の香はいと強く
    流れぬ。あはれ。日に酔ひて
    啼くなる鳥の磯雲雀、
    歌はも高し。
    ●「馬車の中」より(180頁)
    花咲かず、雨の降る日の
    街をゆく馬車の中なる
    年若き我は旅人。
    わが泣くをとがめ給ふな。
    函館の少女子達よ、
    煙草吹く年寄達よ、
    情ある乗合人よ、
    わが泣くをとがめ給ふな。

    ☆石川啄木さんの本(既読)
    「ROMAZI NIKKI」石川啄木著、岩波文庫、1977.09.16
    (2012年11月7日・記)

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