スリーピング・ブッダ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 169
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041019412

作品紹介・あらすじ

敬千宗の大本山・長穏寺に二人の若き僧侶が上山した。対照的な二人は修行の日々で様々な問題に直面する。宗教に翻弄される二人が辿りついた理想郷とは。腐った仏教界をぶっ飛ばす、青春パンク小説!

感想・レビュー・書評

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  • 表紙のイラスト、「激情パンク小説」という帯の言葉。お坊さんを目指す若者の葛藤や成長を爽やかに読ませてくれるのかな?…
    最後重っ。
    篠田節子の「仮想儀礼」、荻原浩の「砂の王国」みたいなカルトが現れた~(T-T) 中心にいるのはいつも女。虐げられたり傷を負った女の集団。祭り上げられる男。コントロール不能になって暴走。テンプレか。
    ストーリーも登場人物もよくて、わくわく読み進めた最後にモンスター出て来て、不意を突かれてダメージ大です。ハッピーエンドが見たかった。
    宗教を取り巻くリアルは甘くない、ということか。
    きっとこれからも、生涯かけて生きるとは、信仰とはを考え続けていくんだな。しんどい生き方選んだんだな。がんばれ!!

  • 普段のやまだないとさんの絵柄は、岡野玲子さんの絵柄とは全く似ていないのだが、ちょっとヤサグレた表情でエレキギターを抱えた雲水の表紙絵は、どうしても「ファンシィダンス」を想起させてしまう。物語もお山での修行を描く前半は既視感を感じてしまった。珍来(デブ)もいるし。

    ただ、若干テンプレ感がある前半の方が物語としては安定しているように思う。山を降りた後、怒涛の展開を見せる後半は、テーマが重い分、細部が描ききれていない気がした。ページ数的には決して短くはないのだが、隆春、広也、厳俊と視点も三分割されており、それぞれ、とくに広也が何を考えているのか掴みかねてモヤモヤしたまま読み進めてしまった。

    既存の寺システムに依存せずに宗教家としてあり続けるには困難を伴うはずだ。ましてやカルト教団の教祖に祭り上げられてしまった広也にとっては。そんな中で、ラストの広也と隆春の坐禅に少しだけ希望を見出せるのは、隆春の生き方にしなやかさを感じるからだろう。

  • 岡野玲子さんの漫画「ファンシィダンス」を想像して読み始めたんだが、宗教とは?という壮大なテーマに出会い面食らった。表紙はやまだないとさんだったのか。 義父母が亡くなってから、宗教に接する機会は以前とは比較にならないくらい増えた。その上で頷く部分もあったし、初めて知ることもあり、非常に興味深い。涅槃寺を作った3人は、結局各々違った道を進むことになった訳だが、何れも煮えきれない気持ちになった。

  • 本の後ろに「青春パンク小説」とあり、このイラストなので、とても気楽に読める小説だろうと。
    たしかに気楽に読めた。

    「人間にはどうして宗教が必要なのか」を考えてしまう。
    答えは見つからなかった。
    しかし、それこそが答えなんだろう。
    宗教が存在する意味は、人それぞれである、ということだ。

  • 想像していた物語とは全く違いました
    が、面白かったです!

    海外留学している時に『あなたは何を信じて生きてるのか?』と何人かの留学生に聞かれたのを唐突に思い出しました
    答えられませんでした

    今も、答えられません

  • うーん、時折考えさせられるフレーズがあって、そういう話なのかと

  • 表紙のパンクさとはかけ離れたストイックな話
    山寺での修行までを描く前半と山を下りた以降の後半で構成されるが、前後半のギャップの凄さにも吃驚
    個人的には前半はわりと展開は凡庸なうえ、古いしきたりや腐敗っぷりに辟易し少々読むのが辛かったが、
    後半のある種容赦ない重たい展開は非常に面白かった
    爽快感は皆無だが、宗教とは何か?何故必要なのか?というテーマに
    ただのエンタメとしてではなく、ご都合主義なハッピーエンドにも甘えず、
    しっかりと向き合った意欲作だったと思います
    正直難しいが、考えさせられた

  • 何ともジャンル分けし辛い一冊(^ ^;

    読み始めて割とすぐに
    「人が二人いれば争いが生まれ
     三人いれば派閥が生まれる」
    という言葉がずっと頭に浮かんでいた(^ ^;

    タイトルからも表紙絵からも分かる通り、
    お坊さんが主な登場人物。

    当たり前ではあるが、「坊主として生まれる人」はいない。
    寺の跡継ぎとかで「坊主になるべくして」なる人はいるが、
    みなそれぞれの事情や思惑を抱えて、
    修行をして坊さんに「なる」ものだ。

    そんな、当たり前ではあるが、普段仏教と縁遠い私には
    全く意識していなかった現実を見せられるところから始まる。

    ある者は(順当に)実家の寺を継ぐために、
    ある者は「職業として」安定を求めて、
    本山での修行に参加する。

    本書は、前半の「本山での修行」パートと
    後半の「自分の寺での葛藤」パートに分けられる。
    それぞれに、それぞれの人間関係があり、事件があり、
    悩み、葛藤し、成長し、時に流され、時にやけになり...
    とても「人間的な」ドラマが繰り広げられる。

    何となく、坊さんとか「宗教家」というのは、
    煩悩から解脱した「聖なる存在」と思いがちだが...
    と言うか、私は漠然とそんなイメージを持っていたが、
    どうしてどうして坊主の「現実」は生臭く、
    「表の顔」では聖人ぶっている分一般人よりエグいくらい(^ ^;

    でも、それが現実であり、よく考えれば当たり前か。

    本当に修行ばかりしまくって、
    それこそ霞食って生きてるような人(それは仙人か)は、
    私のような俗物の目に留まることはあるまい。
    我々「一般人」が触れる坊さんというのは、
    「葬式仏教」と言うくらいで、葬式や法事の時くらいで。

    それら「職業坊主」は、仕事として仏事を行っている訳で、
    普通に消費税払って買い物してるし、免許の更新もするし、
    「生活」は我々と何も変わらない(はずだ)。
    まぁ、税金の優遇くらいはあるとしても(^ ^;

    ...と、本の内容と関係の無い感想ばかり書きたくなる、
    それくらい本書の「坊主描写」がリアルと言うことか(^ ^;

    ストーリー中に色々なことが起こるが、
    不思議と「あらすじ」を書きにくい印象(^ ^;
    話の「筋」と言うより、登場人物の心の動きを読む、
    そういう本なのだろう、きっと(^ ^

  • 新しいジャンル

  • 読友サンおすすめの本。
    全く触れることのない仏の世界や仕事を知ることが出来て、面白かった。
    ・・・けど、う~ん最後の宗教的な流れにチョット残念。
    でも、それが悪いんじゃなくて廃れた寺を再生する3人が奮闘したまま終わった方が、私的にはスッキリ読了出来たかも・・・。

    仏門仲間の色々な出来事には、ウルッときた。

    「死んだ者が生きてるもんの事なんて知らねーよ」って
    ホントに、その通り(笑)

    うん!!やっぱり面白かったな(笑)

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著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016~2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編  マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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