PSYCHO-PASS サイコパス 上 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041020357

作品紹介・あらすじ

2112年。人間の心理・性格的傾向を数値化できるようになった世界。新人刑事・朱は、犯罪係数が上昇した《潜在犯》を追い現場を駆ける。本書には、朱らに立ちはだかる男・槙島の内面が垣間見える追加シーンも収録

感想・レビュー・書評

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  • キャラクター原案を大好きな天野明先生がされているということもあり、いつかはアニメを観たいと思っているのですが、今回小説から入ってみました。アニメを観てないと理解しづらいのかなと思ってましたが、そんなこともなくこの近未来、巨大監視ネットワーク「シビュラシステム」に支配された「完璧な国」「完全な社会」に入り込むことが出来ました。

    シビュラシステムによって測定された精神状態「サイコ=パス」さえ大丈夫なら何も心配することはない。シビュラ判定によって決定される適性な仕事に就けば間違いない。「シビュラ」に逆らわない限り自分の人生が悲惨なものにはならない……
    「シビュラ」に管理されていることが当たり前の世界で生まれ育てば、そんな世界に対して何も疑問は持たないし、考えることもないのではないでしょうか。それはある意味、とても楽で幸せな生き方だよなぁと思います。
    潜在犯でありながら「シビュラ」を維持するために«執行官»となり捜査の前線に立つ刑事たち。彼らと行動をともにする新人監視官の朱。彼女は、そんなシステムの矛盾に気づきはじめたのではないかと思います。「シビュラ」は本当に正しく完璧なのだろうか。
    私にもじわじわと焦りにも似た不合理さが迫ってきます。「シビュラ」によって守られている安全な世界にいると錯覚に陥っているのかもしれない。「シビュラ」によって自分たちは支配され操られている世界を「正しい」「完璧」「幸せ」と履き違えているのではないか。
    朱にとって、その最大な心の揺れは槙島と対峙したときだったと思います。犯罪者であるはずの男に、システムは犯罪者と認めず、潜在犯を撃つことが出来るドミネーターにはロックがかかります。かといって、槙島の投げた猟銃で殺せばシステムに反したこととなり、自分で殺したこと、つまり殺人者となってしまうのです。

    シビュラシステムは本当に正しいのか。正しいこと、正しくないことを自分で考えずシステムに委ね、その意のままに動くことが人間の正しさなのか。そもそも「シビュラ」に支配されているこの世界では、人の意思は必要とされていないではないか。

    犯行現場の惨劇さには二の足を踏んでしまいますが、それでも人間が生きていく上での本質や道理、矛盾、様々な問いかけを投げかけられているようで、上巻で放り出すことが出来ません。

  • 読み始め、余りの未来過ぎる話に着いていけず。
    え??なに??って頭の中がグルグル(笑)

    中盤以降に、やっと設定が理解出来てw
    だんだん面白くなり読む手が止まらなくなりました。

    狡噛慎也・・・カッコよすぎる!!
    下巻が楽しみ♪

  • 近未来の警察アニメのノベライズ。細部まで緻密に計算された設定は見事。次々と起こる事件が少しづつ繋がりを見せて行く展開と迫力のあるアクションシーンの描写が面白い。

    舞台は22世紀の日本。潜在的な犯罪者は犯罪係数により判定されるという過剰なまでの犯罪抑止システムに支配された社会。潜在犯を取り締まる執行官と監視官…そんな中で次々と起こる極悪非道な殺人事件…事件の背後に居る悪の正体は…主人公の監視官・常守朱のもとで、常に前線で悪と対峙する執行官・狡噛真也の過去とは…

    ノベライズは、あの傑作『ゴルゴダ』を描いた深見真。

  • 「サイコパス」のノベライズということで気になって購入。
    深見真の著書は何冊か既読であり、サイコパスのアニメも楽しんだ一読者として忌憚ない意見を述べれば十分楽しめた。他のレビューではからい意見も多く、文章がただの説明文という厳しい見方もあったが、むしろこの作品には極力無駄を排して贅を削ぎ落したストイックなこの文体がよく合ってたと思う。
    アニメのダイジェスト版と言ってしまえば否定できないが、朱の咬噛への「いささか鋭すぎる気がした。この人がナイフなら鞘まで切ってしまいそうだ」という第一印象、雑賀の講義を受けた帰りに咬噛に服装を褒められるアニメにはないアドリブ、宜野座視点で回想される咬噛と宜野座の出会い、同じ課の仲間たちへの縢の心情など、アニメでは描写しきれなかった痒いところに手が届く掘り下げも行われていてファンならにやっとできる。
    六合塚の性的嗜好や弥生の葛藤など、ノベライズで初めて明かされるプライベートも多い。
    槙島の愛読書のタイトルにも言及されており、「あらかじめ裏切られた革命」など、その都度の状況や進行する事件との関連性を考察するのも知的な興奮を覚える。

    ノベライズは主に朱視点で進むが、宜野座や咬噛の視点にも飛び、より群像劇として個々のキャラクターのドラマが引き立っていた。
    朱→咬噛の複雑な感情や微妙な乙女心、政隆と宜野座の親子間の確執にも描写が割かれており、前述のコンビに思い入れがあるなら是非読んでほしい。

    ラスト、麦畑で咬噛と槙島が対峙するシーンの文章の美しさは必見。
    神話のような壮大さで、この作品の幕引きにふさわしい。

  • SFと見せかけて近い未来の示唆と思わせられるくらいリアル

  • 「自分で決断したことに責任を持つ」
    当たり前のようでとても厳しい。どうしても責任転嫁しがち。

    当たり前なんだけど、全てを機械に判断してもらっていると自分で考えて責任を取ることがほぼなくなる。
    相手の立場に立って考えるとか相手の事情を考えるとか・・・今でも余裕がないとおざなりになっていることが、日常になってしまうってことかな。実は、もうそうなりつつあるのかな。

  • アニメのシーンを深く知れてよかった。最後の執行官たちの何気ない日常の風景に心を抉られた。朱がシステムに違和感を感じる過程が描かれていて、シビュラシステムの合理的かつ理不尽なところが私たちに「自分で決定することの大切さ」を教えてくれる。

  • 改めてこの世界観めちゃくちゃ好み。

    この作品って本当にいろんな方面から気づきを得ることができると思ってるんだけど、文字にされた時にさらにはっとさせられることがあって、読んでよかったなとなった。

  • 設定が面白い

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著者プロフィール

2000年に第1回富士見ヤングミステリー大賞を受賞、2002年角川Next賞を受賞。代表作は『ヤングガン・カルナバル』シリーズ、『ゴルゴタ』、『GENEZ』シリーズなど。『魔法少女特殊戦あすか』原作、『ちょっとかわいいアイアンメイデン』原作、『王様達のヴァイキング』ストーリー協力。TVアニメ『PSYCHO‐PASS』1期、『PSYCHO‐PASS 劇場版』(ともに虚淵玄と共同脚本)にて、ニュータイプアニメアワード脚本賞受賞。TVアニメ『ベルセルク(2016)』シリーズ構成。

「2017年 『バイオハザード ヴェンデッタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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