怪しい店

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 143
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041021415

感想・レビュー・書評

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  • 「怪しい店」:前段の「エルシー」が伏線と思えば関係のない話。筋に整理が欲しい。フ―ダニットだが、人間分析に深みが感じられない。
    潮風理髪店」がなぞは残ったままだが、いい感じ。
    古物の魔」古物は持つべき人を待ち、その出会いを作るのが古物商 東京バンドワゴン」にあったような言葉

  • 燈火堂の奇禍みたいな、クスリと笑える話が有栖川作品の中では結構好きかも。

  • タイトルのとおり、店をメインにした中短編集。発売当初に買って温存してしまった。不思議なタイトルだなと思いつつ『暗い宿』を連想したがそのとおりだったらしいことにちょっと嬉しくなった。全編大阪府警。

    アリス軸で火村が事件を解決する話2編、ちょっとした日常で想像する謎解き2編、犯人視点が1編とさらりと読める一冊。
    『潮騒理髪店』はなんて理想的なお店でもったいないなぁとしみじみしてしまった一方で、『怪しい店』にでてくる「みみや」のなんと恐ろしいことか。「みみや」が何か書くのはなんだか未読の方にもったいないので省くが、人は善意も悪意も隠し持っているのだな、とつくづく感じた。そういう点では『古物の魔』の「店」としての理念がしっかりと根付いているものこそ良いなぁ、などとミステリ以外であれこれ考えてしまった。謎解き云々より、店、物、人の関係性を描いた連作小説として読んでいたかもしれない。
    人と物は呼んで呼ばれて結ばれる、私は今回もこの本に出会えて良かったと思う。

  • 火村アリスシリーズ。
    今回はタイトル通り、様々な店を舞台にした短編集です。「暗い宿」が宿を舞台にしてる短編ということで今回は「店」なんだとか。宿の方は未読なので今度読んでみたいと思います。

    で。
    まあいつも通りのすっきりと読める一冊。大がかりなトリックとかそういう感じでもないし、話によってはいわゆる「日常の謎」だったりもしますし。ていうかこのシリーズで日常の謎って初めて読んだかもしれない。
    なんとなくサクッと読めるミステリミステリした短編集って疲れてる時にちょこっとだけ癒される。自分だけかもしれませんが。

  • 作家アリスシリーズ。店をテーマにした短編集。
    「潮騒理髪店」の情景が素敵だった。たまには殺人事件から離れてリラックスしてる火村先生を見るのもいいなぁ。
    「ショーウィンドウを砕く」ではラストに少しぞっとした。アリスも立ち入ることのできない領域に一体どんな闇を抱えてるんだろうなぁ火村先生は。
    「怪しい店」あるあるああいう謎な店。アリスの変な店突撃レポートとかあったら面白そうだなと思った。読んでみたい。
    全体的に殺人の動機がいまいちな印象だったけど、安定して楽しめる作家アリスシリーズでした。
    火村が捜査会議の時ノートパソコンを使っていたりフェイスブックが登場したりと火村とアリスは年を取らないのに時代はちゃんと進んでいて色々文明の利器が登場するのが面白い。

  • 作家アリスシリーズと認識していましたが、最近は火村英生シリーズという表記をよく見ますな。

    「店」をテーマにした短編集。骨董品店、古書店、理髪店、そして怪しい店も。テーマを限定することでパターン化するどころか、ミステリとしての幅が広がっているのはさすがです。ミステリとしては掟破りの犯人特定やら、日常の謎っぽいものやら、倒叙ものに安楽椅子探偵めいたものまで。今回もミステリの面白さをしっかりと味わいました。
    お気に入りは「潮騒理髪店」潮騒の聞こえる海辺の古めいた理髪店を舞台にしているだけでも素敵ですし、火村准教授の日常が垣間見れるのが趣き深いです。

  •  有栖川有栖の小説ははじめて読むのだけれども、いやー夢中になって読んだ。ページを捲る手が止まらない。気が付いたら一日で読み終わっていた。火村シリーズになっているらしいが、火村の印象は、強く感じない。このヒムアリコンビよりも、犯人達とか事件の状況が面白い。にしても、自分を登場人物に使うって凄いな。
     舞台は京都や大阪なのだが、谷町筋とか出てきて、普通に登場人物が近所を通っているので、地理に関してはとてつもなく親しみがわく。
     それに一編一編、とても文学的で味わい深い。特に最初の「古物の魔」は、最後に買い手が値段をつけて売るオチに、古物商の面白さが出ている。女に溺れ、遺言状で脅迫しつつ古物の魔への恨みを抱いた犯人やその人間模様なのに、それでも古物の魔は続く……そのところが渋い。骨董と金を巡る複雑な関係を結構深く書いているように思った。
    「ショーウィンドウを砕く」で火村がどんな人間かわかる。犯罪をする人間と犯罪そのものにしか興味がなく、人間や命の尊厳なんぞ二の次にしか考えていない冷徹な本性がオチとして出てくる。
     潮騒理髪店は、「氷菓」で放送の呼び出し一つで万引きまで推理する回を思い出した。殺人事件ではない。犯人は呪いをかけるために髪を集めていたが、理髪店の終わりを聞いて心が変わり、電車の風で散らす。なんとも良い映画を見終えたようで、素晴らしかった。
     怪しい店は、よくわかる。大坂には本当によく解らない店がある。「駄菓子 霊能」とか看板に書かれていたり、ソニーの会長が来ている店ですとか、それ絶対嘘やろと。赤ちゃんの名付けとかも、怪しい木造一軒家にあったりする。そういうのは日本橋からも、京橋からも、谷町からも、徐々に失われていった。マンションがじゃんじゃん立った。そういうのをちゃんと目撃していた最後の世代が私達だろう。有栖川さんはきっと怪しい店をめちゃくちゃ知っているはずだから、大阪にはほんと怪しい店多かったですよねと、話を聞きたくなった。

  • 火村シリーズ最新作は、『店』をテーマにした短編を集めた連作集。
    各短編に登場するのは、骨董屋、古本屋、床屋などだが、表題作にもなっている『怪しい店』は、『みみや』と屋号のついた『人の話を聞くだけの店』。この設定がミステリ的にも重要になる。
    考えてみれば何をやっているのかよく解らない店はあるもので、昔、新宿にも、商売の内容が想像もつかない屋号の会社があった。いつの間にか看板も消えていたが、読んでいて、ググっても出てこなかったし、四季報にも載っていなかったあの会社のことを思い出した。

  • テーマは「店」。5作がすべて違うパターンで、楽しい本です。「潮騒理髪店」は、猫丸先輩が出てきそう。

  • 店を中心としたミステリの短編集。
    最初の話が割と好きだった。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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