つれづれ、北野坂探偵舎 トロンプルイユの指先 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.60
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本棚登録 : 272
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041021651

作品紹介・あらすじ

突然気を失った小暮井ユキがめを覚ますと、そこは雨坂続の傑作『トロンプルイユの指先』の舞台だった。 異質な世界に迷い込んでしまったユキは現実の世界に戻ることができるのか? シリーズ最大の謎解きが始まる!

感想・レビュー・書評

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  • 幽霊の世界はこのシリーズを貫いているものなのだろうが、はっきり言って、本当に必要なものかどうか疑問に感じる。小説、才能といったものが大きなテーマだから、ずばり正攻法でいく筆力がこの作者にはあると思う。この巻の幽霊の世界はごちゃごちゃしているし、筋の運びもそう。面白くない。

  • 「巨大で漠然とした問題」
    目覚めない理由とは。
    いつ離れたのか分からないが、呼ばれた時に簡単に離れることは出来ないはずなのに何故居ないのだろうか。

    「天才の定義」
    幽霊達と生きるもの。
    尋ねたいことは尽きなかったとしても、これだけ一方通行な対話になると聞く気も失せてしまいそうだよな。

    「トロンプルイユの指先」
    原稿を届けるために。
    一つの物語として完結させるためには、まずは登場人物たちの役割を決めてからではないと始まらないよな。

  • 歴代のトップが現代のトップじゃない。文体は時代と共に変質している。半世紀前の人間に宛てたテキストをありがたがっている連中は、小説の本質を知らない。(146ページ)

  • パスティーシュが出ていないけど気になる。
    ほとんど異世界の中で話が進んで退屈。そういえば、サクラダリセットもそうだった。
    終盤に差し掛かっているのに今ひとつ盛り上がらないように感じる。

  • 過去作覚えてない。探偵してたっけ?なんだかまわりくどい繋ぎの回だった。

  • 小説とは?作家とは?読者とは?編集者とは?というこのシリーズで語られてきたものが、ここにきて、という感触でした。まるまる一冊非現実でしたが、満足!この後どうするかなあ。

  • このシリーズを読み始めた頃は作家と編集者が、探偵事務所に持ち込まれた事件を「小説に仕上げるならこんな結論に違いない」という視点で謎解きする構成だったはずが、いつの間にか壮大なファンタジーになっていた。
    抽象的な理論のぶつけ合いのようなこの展開も良いけれど、最初からこの構想をもって書き始めたのかな?

  • 幽霊の世界に取り込まれて、紫色の指先に関わる諸々がメインになって、ややこしさは前巻より戻って来てしまったけれどそのややこしさを楽しめた。作中で語られる天才ふたりの小説は作者の理想でもあるのかな。傾向としてどちらも作者の著書と重なる部分も多い気がして、且つ嫌味なく寄り添えた。時間のずれは明らかになった瞬間にくるんと反転するみたいで引き込まれたし、六歳のノゾミが何だかうっすらと不気味なことも興味を惹かれる。騙し絵みたいな芸術っぽさを感じた。終盤の紫色の指先との問答は森博嗣さんの百年シリーズの女王様を連想した。

  • 続きを借りようと思ったら図書館に無かった。なんてこと!というわけでこちらは購入。帯に2016年にシリーズ最終巻発行とか書いてあったけどそちらはまだ出てない模様。…う~ん、頑張っていただきたいなぁ。

    というわけで続さんの小説世界へGo、みたいな話。サクラダリセットで言うと夢見る少女の夢の中へ行った時のお話しみたいなものかなぁ?あちらと違い、現実に出てきたキャラと特殊空間に残ったキャラが変更した辺りが今後の展開の面白そうな所なんだけど… 続きはいつだろう?(笑)

    ここにきてナルホド、だからユキさんは巻き込まれたのねぇという辺りを実感。それにしてもなんか緊張した母子関係だなぁ…と思ったり。会いたくない訳ではないんだろうけど。
    とりあえず、完結編を早く!と望むところです。

  • 北野坂探偵舎シリーズ第5弾。
    『トロンプルイユの指先』に出てくる描写とそっくりなレトロビルを訪れて、小暮井ユキは意識を失った。目を覚ますと、そこに広がっていた町並みは『トロンプルイユの指先』の舞台そのもので……?

    一気に「紫色の指先」に近づく1冊。
    中盤まであまり読み進まなかったけれど、謎解きパートはやはり面白い。

  • 今回一気に物語が進展し、最終局面に向かって行った。
    紫色の指先とついに邂逅。
    まさか連れて出るっていうオチになるとは思わなかった(笑)
    まず、ユキがここまで重要な立ち位置になるとは予想してなかった。
    星野唯斗ことほっしーとの接点がまさかここまで引っ張ってこられるとはね。
    多少無理矢理感有る気がしないでもないけど、キャラをここまで使うのは良いなと。
    紫色の指先がイメージと全然違った。
    もっと自我を強く持っている幽霊なのだと思ってたら真逆だった。
    自我が無いわけではないけど、極端に封じ込め自我らしきものが表面に出ていない。
    連れだしたことで自我を取り戻せるのかな?

    というか、続、やっぱり残っちゃったか。
    まあそうなるかなって薄々思ってたけどさ。
    それにしても、続は本当に他人との距離感がアッサリしているというかなんというか。
    聡一郎と少しくらい衝突するかなと思ってたけど、やっぱ無かったか。
    聡一郎の方がむしろ続を意識していて拗らせたら衝突していたかもな。
    まさかあんなに意識しているとは思わなかった。
    勝ちたい、と思う程に。

    ノゾミちゃんは結構怖い子だった(笑)
    ほんとに6歳で死んだとは思えない程の知性だな。
    そういえば、続ってノゾミちゃんのことを良い子とは表現したことなかったな。
    ただ頭の良い子、と。その意味が今回ようやく分かった。
    ちょっと背筋が寒くなるくらいにはノゾミちゃんの策謀には引いたというか(苦笑)
    良い子って訳では決してないなあれは。
    確かに頭の良い子、だな。


    いよいよ、トロンプルイユの指先の続編を続が書き始めた。
    次巻で完結っぽい?
    あと1冊くらいかなって作者が言ってたけど…。

  • シリーズ5冊目。ついに「紫色の指先」の正体が見えてきて、いきなり物語が動いた印象。つじつまの合わない展開もおもしろかった。「幽霊と人間は共存できるか?」紫色の指先の世界を覗いてみて、ちょっとアリなんじゃない?と思ったけど、代償が大きいかな…?異世界(?)で展開された今作でしたが、この状況で現実世界に戻って、果たしてどんな事が起こるのか?雨坂はどうなる?ラストになるらしい次回に期待が膨らみます!

  • 幽霊たちの暮らす場所。そして‟紫色の指先”と対峙する。
    今回は小説と読者について考えさせるところが多かった。(あ、いつもか?)
    物語の結末を壊すものはなんだ?
    見えないものを照らす光はどこだ?
    終わりのない物語を知らしめるのは誰だ?
    サン・ジェルマンの薬に癒せない病とはなんだ?
    バッドエンドが確定するのはいつだ?
    次の巻が最終巻かー。すべての疑問が解消されるのだとしたら、すごく心地いい結末になるのではないかと期待。

  • わかりにくい暗喩や言葉遣いや言い回しがたくさんあって、わかりにくいのに言葉がきれいで話にぐいぐい引き込まれました。小説の話は、難しいですね。天才の定義とか哲学的な話が相変わらず多くて息を飲みます。こういう捉え方があるかー、と、新しい視界が開けます。
    今回は時間が行ったり来たりして時系列がわかりにくかったです。そして幽霊たちそれぞれの思惑も複雑でわからないことだらけで謎がたくさんですね。時間が完結?っぽいので、早く読みたいです。最後のオチが!そうだよね、そうなるよね、と納得しつつも、このあとどうなるのか不安で仕方ないです。相変わらず河野先生のお話しはすてきでした。

  • わーあーあー…そういうオチ!?
    タイトル的にそろそろ終盤なのかしらと思ったら、まだまだ続きそうで一安心なような、これからどうなっちゃうの?とドキドキもしつつ。
    思惑の糸が張り巡らされていて続きがほんと気になりますわ。
    最初はよくあるカフェ探偵物だと思ってたのにね!
    こんな展開になるとはー。

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著者プロフィール

徳島県出身。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)に始まる「階段島」シリーズなどがある。

「2023年 『昨日星を探した言い訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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