12巻から9年の時を越えての最新刊。
連載再開時のNewtypeを見たファンを唖然とさせたロボットのデザイン変更及び名称変更は、コミックでもその違和感を遺憾なく発揮した。FSSにGTMが混じったのではなく、GTMによるFSSの侵略と呼ぶに相応しい路線変更だ。
今までもヘッドライナーだの騎士だのシバレースだのといろいろと細かい語彙の変更はあったが、根本から覆す本巻は、もはや完全に作者の独りよがりである。
慣れ親しんだデザインを変更する必要はない。
呼び慣れた呼称を変更する必要はない。
特に後者は、混乱を引き起こすだけのこと。例えばドラ○もんの秘密道具のデザインと名称が変更されたら、誰だってぽかん、となるだろう。それほどの変更だ。完全に読者を置いてけぼりにする仕様変更には呆れかえった。
更に、漫画を描くことから何年も離れていた弊害か、キャラクターの性格も微妙に変わってる。加えて、漫画としてのコマやページの見せ方、科白の判りやすい言い回しなどが劣化している。
例えば、
アウクソーは廃棄すべきだと主張する桜子、その下のコマでミースが涙を浮かべたと思ったら、同じページの次のコマでいきなりモラードがアウクソーは残す、と言い切る。否定意見を出すにしても、それまでの流れをぶった切り過ぎている。咄嗟にモラードの科白が頭に入ってこない。これが以前なら、ミースの泣き顔の後に皆が躊躇っているコマを入れ、次のページに引くようにモラードが「いや・・・」とかなんとか否定を入れ、次のページで「アウクソーは残す」などとどーんとインパクト強く話の流れを持っていったハズだ。
他にも、
ちゃあとジーク、メヨーヨ皇帝のくだりは、ちゃあの人格が崩壊していて安定しない。おまけに一瞬茶を飲んでちゃあがひとりで怒ったり笑ったり失礼なことを言ったりしているだけで友好締結ってなんだ。子供じみた仲直り劇が国際的友好の一端とか失笑ものである。
ロスト・マグダルのくだりも全体的にダラダラしていて、行動が判りにくい。
総じて、デザインや名称の変更はともかく、群像劇に関しては今まで通りにしたいのだろうが、作者の漫画家としての技倆が落ちているので面白くなかった。
最後に主人公ふたりが出てきてなにやら次には大きな展開がありそうなのでちょっと期待したいところ。