- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041025109
作品紹介・あらすじ
ホームズが捜査を手伝わせたベイカー街別働隊の少年が惨殺された。手がかりは、手首に巻き付けられた絹のリボンと「絹の家」という言葉。ワトソンが残した新たなホームズの活躍と、戦慄の事件の真相とは?
感想・レビュー・書評
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小学生の頃、学校の図書館にはシャーロックホームズ、アルセーヌルパン、明智小五郎などの推理小説が人気だったが、私はどうも洋物にとっつきにくさを感じていて、江戸川乱歩の明智小五郎シリーズばかり読んでいた。
大人になっても読む機会がなかったけど、アンソニー・ホロヴィッツがコナン・ドイル財団から認定された、シャーロックホームズの続編ということで読んでみた。
ワトスンが「絹の家」事件を過去を振り返る形で始まります。今までホームズシリーズを読んでなくても楽しめると思いますね。
さらに、続編の「モリアーティ」も興味あるのと、本作の「緋色の研究」から読まねばいけないと思う今日このごろでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホーソーン&ホロヴィッツのシリーズを読んだときから気になっていた本書。
コナン・ドイル財団から"61番目のホームズ作品"と公式認定されているという情報だけで期待値が上がります。
ホームズとワトソンの元を訪れた依頼人は美術商の男。
彼の周囲に現れるという不審な男の調査を進める中で、ベイカー街別働隊の少年の1人が死体となって発見される。
無残に殺された少年の手首に結ばれた、白い絹のリボンの意味とは?
そして依頼人の事件との関連性は?
…もう思いっきり引き込まれて読んでしまいました。
なんだか映画を観た後のような読後感が残るのは、著者が脚本家としても活躍されているからでしょうか。
正典でお馴染みの登場人物たちがたびたび登場するのにもわくわくさせられました。
北原尚彦氏の解説では、いろんなホームズ物のパスティーシュが紹介されていてそちらもおもしろそう。
それに本家ホームズも未読のものがまだまだあるので、読むのがますます楽しみになりました。 -
映画化して欲しい。映像で観たいなぁ。
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ホームズの下宿を相談に訪れた美術商の男。
アメリカである事件に巻き込まれて以来、不審な男の影に怯えていると言う。ホームズはベイカー街別働隊の少年たちに捜査を手伝わせるが、その中の一人が惨殺死体となって発見される。
手がかりは手首に巻き付けられた絹のリボンと、捜査のうちに浮上する「絹の家(ハウス・オブ・シルク)」という言葉…。
ワトスンが残した新たなホームズの活躍と、戦慄の事件の真相とは?
(あらすじより)
コナン・ドイル財団がシャーロック・ホームズの続編と公式に認定した唯一の作家アンソニー・ホロヴィッツの作品です。
これまでカササギ事件やモリアーティ、メインテーマは殺人と3作読んできたけど外れない。
すごい作家だと思います。
伏線の張り方と、ミスリードがすごく上手な人だと思います。
気持ちよく掌の上でコロコロしてくれます。 -
アンソニーホロヴィッツは、死に憑かれている。
『カササギ殺人事件』『モリアーティ』『絹の家』と読んできて、私の感じたことである。
ミステリなのだから、殺人事件がおこるのは当然だ。
だが、それ以外に、なんだか人を死に触れさせたがる。
その人、もう死んでいるんですか?
その人、近々死ぬんですか?
その人、殺されるんですか?
よりによってその人が! から、通りすがりの人までが、死んだり、死んでいたり、死に憑かれたりしているのだ。
前半がなかなか読み進まなかった。
理由は二つ。
まずは、これがシャーロック・ホームズのパスティーシュであること。
ホームズパスティーシュにままあることだが、いちいち「正典」(コナン・ドイルの書いたホームズ譚を熱烈なファンはそう呼ぶ)のあれこれをとにかく盛り込む。
なんとかの事件と、かんとかの事件の間の、何年頃の話であるとか、
住居にあがる階段は17段であるとか、
あの人物はこうしていて、この人物はなんとこんな状態であるとか、
そういったものをあらゆるところに挿入する。しなければならない。
それが読みどころであり、作者の読ませどころでもあるのだが、正直、ちょっと重い。
さながらずっしりしたフルーツケーキだ。
美味しく食べ堪えはあるのだが、どんどん進められはしない。
そして、二つ目の理由。
作者の社会観が透けて見えるのだ。
ホロヴィッツが21世紀のこの世の中に、どんな批判的見解をもっていてもかまわない。
しかしそれを20世紀初頭の、コナン・ドイルの描いた人物に語らせるのはどうだろう?
中産階級のドクターや、他の人物たちが、作者と同質の批判精神をもっているとは、私にはとても考えられない。
作者の厭世的な批判は、自身の作中でいくらでも述べればよいのである。
そんなこんなで前半は読み辛かった。
それがようやく後半になって、ギアが変わったように面白く読むことができた。
それにしても、シャーロック・ホームズのファンというのは恐ろしい。
全てのファンがとは言わないが、ファンの中のファン、信者、思い入れのあふれる人々は、とかく評価が辛いのだ。
もちろん高評価をつけたファンもいるが、厳しいレビューを見るにつけ、世界中のファンに対して「どうぞ、シャーロック・ホームズの新作です」と差し出すのは、勇気も知力も体力も要っただろうと想像できる。
私も色々述べた口ではあるが、この『絹の家』を一大事業だったと評価しよう -
ホロヴィッツのシャーロック・ホームズものパスティーシュということで読んでみた(ただし読んだのは文庫判ではなく、2013年刊の通常判、なぜかブクログ検索では出てこない)。いや、なかなかうまい。こういう作品があるのだから近作の「メインテーマは殺人」の出来もうなずけるというものだ。とはいえ、筋書きはどうということもなく、設定にかなり無理があるうえに展開もドタバタだが、それをいえば本家のホームズ譚だって純ミステリ的にはどうかというところがたくさんある。それでもなお、読んでいて胸がわくわくして引き込まれてしまうのは、ひとえにホームズとワトスンの魅力のせいだろう。そのうえ本作では脇役のハドスン夫人やレストレード警部、イレギュラーズの面々はもちろん、マイクロフトやモリアーティまで登場するというサービスつきだからたまらない。コナン・ドイルじゃなくてもいいからもっともっとこういうのを読みたいと思わせる。
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シャーロックホームズの公式続編。ここしばらくハマっているアンソニーホロビッツの作品という事ですぐに買ったが、期待を全く裏切らない出来栄え。この作家は本当に凄いと思う。これまでの正典と並んでもほとんど違和感はない。強いて言うなら、犯罪が現代風な気もする。コナンドイルが生きていた時代には考えられなかったような犯罪ではないかと思う。でも充分な出来で、楽しめた。相変わらずの質の高いミステリー。オススメです。
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本当のホームズの続編を読んでいるような気持ちになる。ストーリーの起承転結も見事で、最後の謎解きは実に見事だった。単独のミステリー作品としても十分に読み応えがあった。