男役

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.63
  • (26)
  • (47)
  • (55)
  • (11)
  • (0)
本棚登録 : 398
感想 : 77
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041025253

作品紹介・あらすじ

男役トップになって二日後に事故死して以来、宝塚の守護神として語り継がれてきたファントムさん。一方、新人公演で大抜擢されたひかるを待ち受ける試練とは――? 愛と運命の業を描く中山可穂版・オペラ座の怪人!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 研究科3年で新人公演の主役に抜擢された、永遠ひかる。
    憧れの男役トップ・如月すみれと同じ役に、喜びとプレッシャーを感じて……。

    宝塚歌劇を描く。

    舞台で事故死した、伝説の男役ファントムの、魂と情念。
    宝塚という、女性だけの閉鎖的な環境での、嫉妬や研鑽。

    独特の世界観が面白かった。

    タブレット端末が登場する現代のはずが、文章が古くて、まるで昭和の小説のよう。
    その古めかしい文体が、ねっとりした作品の世界に合っていた。

  • 自分がどっぷり宝塚にハマっていた故に、こういう宝塚を舞台にした小説は突っ込みどころが多くて満足できない。と思いつつ、やはり読みたくて借りてしまいました。
    不慮の事故で公演中に亡くなった伝説のトップスターの幽霊と、入団3年目で新人公演の主役に抜擢された生徒と、その二人を取り巻く人間模様。
    読み始めて思ったのが、「あ、ちょっと世代が上すぎるかな」。いや、表現方法がねぇ…スターに流し目をされたら身に覚えがない人でも妊娠してしまいそうになるとか。表現方法が古め(^_^;)宝塚を舞台にした小説に有りがちなパターン。内容はファンタジーというか、古き良き宝塚の物語に有りそうな感じで、特に激しく心も動かされず(良くも悪くも)。
    公演のモデルにしているのが「哀しみのコルドバ」かな?とか、細かい所で楽しめました。

  • 中山可穂さん、初めましての作家さん。
    すごく面白かったです!

    私にも遠い昔、宝塚に憧れていた少女時代がありました。
    世は空前のベルばらブーム、母がファンだったこともあり、
    身の程もわきまえず、音楽学校を受けたいなんて夢見たことも。

    好きだったスターさんが退団されてから久しく、
    「最近はこうなんだ~」と驚きながら読みました。

    宝塚が舞台の物語なので、好みは分かれるところかもしれませんが、
    素敵な夢物語でした。

    あの舞台を観ると、しばらくは放心状態になるほどの
    絢爛豪華な夢の世界。

    内容の不思議さも、
    これって友情?それとも恋なの?といった微妙な感じも、
    宝塚らしくて面白かったです。

    なまじ宝塚に詳しくないほうが
    ファンタジーとして楽しく読めるのではと思います。

  • 宝塚歌劇団の仕組みや知識を知ると、より一層面白みを感じることができるのでは無いだろうか。
    舞台事故で亡くなった伝説のトップスターと、早くから抜擢されるもののトップスターになるまでに17年かかった月組トップスター、そして入団3年目にして新人公演にてトップスターと同じ役を演じることになった生徒のお話。
    実際に舞台事故により亡くなった娘役さんもいることから、本当にこの作品のようなことがあったのではないかと彷彿させるような不思議な感覚に陥った。
    読了後も余韻が続き、新しい作品が読めない。

  • 会社のヅカオタ先輩からまんまと宝塚にはめられてしまったニワカですが、宝塚を舞台にした小説があると知り、手に取りました。
    不慮の事故で劇中に命を落とし、以来大劇場の守り神として皆を見守る「ファントムさん」と、現役トップスター「パッパさん」こと如月すみれ、研究科三年の永遠ひかる、3人の男役の物語。
    「男役が惚れるのは男役だけや。」という台詞に納得。宝塚の男役ってかっこよすぎて本気で好きになってしまったりしないのだろうか…と時々思ったりする。憧れや尊敬から、恋愛感情を抱いてしまうこともあるだろうなぁ。
    また、トップスターの孤独、パッパさんが宝塚を退団した後どう生きればいいのかと悩む姿も印象的だった。そうだよなぁ…トップに限らず、タカラジェンヌの命は短い。ファンとしてはずっと見ていたいだろうけど、宝塚を退団したら、もうその人は女優であって、理想を詰め込んだ男役ではなくなってしまう…複雑。
    フィクションとはいえ、宝塚の内部を覗けたようで楽しかった。続編も読もう。

  • 図書館。著者の作品が好きなのと、前々から勧められていたので。
    よかった。めちゃくちゃよかった。ストーリーだけを追えば、なんとファンタジックな、なんと少女趣味なと言われかねないのを、著者の紡ぐ本当に美しい文章と眼前に肉迫するようなイメージをもって、これほどまでに悲しくて愛おしくて美しい作品にするなんて。クライマックスからラストにかけて、もしかしたら走ってきたように息が荒くなっていたかもしれない。そして葬送。
    私に宝塚趣味はないけれど、こんなにも愛され、美しく描写される宝塚、おそるべし。

  • アニメ「かげきしょうじょ!」から宝塚について知りたいと思い、手に取った。
    ファントムさんが一貫して存在するものとして描かれていたが、違和感なく作品に馴染んでいる。
    男役というのは宝塚でしか存在できない、として寂しさが残るラストだった。
    読み終わったあと、女性誌でコーナーを持つ七海ひろきさんのことを思い出した。宝塚を卒業した後も男役として芸能界で活躍する、という道を切り開いているのかなと思った。

  • 宝塚大劇場には50年の昔に公演中に悲劇の事故で亡くなったトップスターの亡霊ファントムさんが棲みついており、生徒の間ではあらゆる伝説が語り継がれていた。
    研3で新公主演に抜擢された永遠ひかるは責任や仕事にいっぱいいっぱいの毎日の中、舞台での失敗をファントムさんに助けてもらった時から、その存在を感じ始める。彼女はファントムさんの事故の時の相手役の孫で、ファントムさんは自身の死後、宝塚から目を背けるように退団して以来50年間一度も劇場に来ない永遠ひかるの祖母を心配していた。

    軽いノリですぐ読めちゃうし、宝塚あるあるもあって、まあまあ楽しく読みました。でも、秘密の花園である宝塚の内部事情を一般人の妄想で描かれるのはちょっと痛いし恥ずかしいのでした。とは言えちょこちょこ小説として面白いドラマもあったかなあ、何回か不覚にも涙ぐむ場面もありました。ただ、ひかるの成長物語と思いきや、ラストはすみれの男役像の完成で終わるし、で、何の話だっけ?となりました。作者あとがきには宝塚の『男役』へのオマージュ、とあったけどファンの妄想以上の何かが書けていたかと言われると何とも…

  • あっという間に引き込まれて読み終わった。宝塚の世界、プロという意識、読んでいて心地よく、最高の作品だった。

  • 能にお題をとった作品集ではじめて中山可穂さんを読み、おお、美男美女ばかりがくりひろげる修羅。
    独特の美意識の感じられる文章と世界観。
    これをうけいれられるかどうかは、独特なだけに好き嫌いがわかれるだろうけど、わたしはけっこう好きだなーと思いながら手に取った、今作。

    宝塚。

    まさに美男(?)美女、美しいものしか生き残れない愛の国。
    これが、この著者にめちゃくちゃあっている気がしました・・・。
    おもしろかった・・・。
    宝塚を題材に取った漫画、小説はいつも興味深く読んでいるけど、特にこれはおもしろかったなぁ。リアルなファンタジーの世界が感じられた。

全77件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中山可穂の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×