人間の証明 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.78
  • (25)
  • (36)
  • (29)
  • (9)
  • (0)
本棚登録 : 490
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041025994

作品紹介・あらすじ

ホテルの最上階に向かうエレベーターの中で、ナイフで刺された黒人が死亡した。棟居刑事は被害者がタクシーに忘れた詩集を足がかりに、事件の全貌を追う。日米共同の捜査で浮かび上がる意外な容疑者とは!?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ご冥福をお祈りします。

  • これは凄い小説だ。
    読後、思わず心の中でつぶやいてしまった。

    「Mama do you remember?」という印象的な音楽と、黒人の子ども、そして風に舞って落ちてゆく麦わら帽子のシーンを、昔TVで見たことを鮮烈に覚えているが、映画も観ておらず、小説も読んだことがなかったが…。

    特に最終章に向かうクライマックスは、登場人物のモノローグで語られ、少しずつ真実に迫ってゆき、最後に一つの大きな物語を終結させる。

    読み手は結末に向け、隠された真実を刑事と共に追い続けるかのような気持ちになってくる。そして徐々に明らかにされてゆく過去、それぞれの切羽詰まった思いに胸を打たれてしまう。
    とりわけ、人間の情愛、怨恨、欲望や自己保身が計算されたように交差し響き合う後半部分は、引き込まれるかのように読み進んでしまった。
    いつの時代にも共通する人間の哀しさと、自分の中にもある醜さを呼び起こされるような作品だった。

    本書の初版は1977年。50年近くも経過した作品とは思えない。
    考えてみると、「事件発生に続く後半の謎解き」という流れは、本書への解説として寄稿している横溝正史の作風にも通じるものがある。この頃はこのような骨太な作品が多かったように思う。

    文句なしの星5つだ。

  • 2013年6月から真面目に読書を始めて200冊目!!
    古いながらも映画やドラマその他もろもろ映像化された名作!!
    読破して理解した。淡々と物語と進む…でもどうつながっていくのか…
    冷静に興味をそそりながら最後は安心と共に悲しい気持ちになった複雑な作品。
    私はオススメします。200冊目に相応しい作品でした!!

  • 全体的にストーリーの組立が良く出来てるなーと思いました
    最初読んでる内はどう言う風に進んで行くんだろう?と思ってましたが、登場人物それぞれの人間性が出てきてリアルな展開に引き込まれていきました
    最後はまさにタイトル通り「人間の証明」となり、今一度人の心の底にある物を改めて考えさせられる内容でした

    「全て失ったが1つだけ残したものがあった」この一文がこの作品のタイトルに込められた思いの全てを表しているんだろうなと深く心に刻まれました

    事件の真相ばかりに気持ちが行ってましたが、終わりに向けての複数の伏線の回収も見事でした

    ただ、難しい表現が多かったのと、性的な表現が好きじゃなかった、、、と言うか多く感じたので☆-1で

  • 『女妖記』西条八十を読んでネットを関連検索したら
    さんざん聴いたので耳に残っている

    「母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?」

    が飛び込んできて
    『人間の証明』森村誠一をまだ読んでいない事に気づき、やもたてもたまらず。
    やはりおもしろかった。ほんと、話題が爆発している時には読まない天邪鬼。
    有名な霧積温泉がキーワードだが、ここにも富山の八尾町が登場して
    おわら節がでてくるのが偶然の妙。

    *****

    感想は古い文庫本で読了したもの

  • ずっと昔から読みたいと思っていたが、救いがない作品だった。DNA鑑定やNシステムが無い時代の捜査は大変だったなぁ。

  • 戦後のアメリカと日本と人種差別。
    恭子に人間の心が残っていたというのが納得できなかった。
    最後の方でどうしても新しい家族を守りたかったから的なことが動機として書いてあったが、しょせんは商売道具としか思っていなかったんじゃなかったのか?
    大切にしてなかったので子どもに執着がない女として書いてくれた方が納得がいったと思う。
    守りたかったのは自分の名誉と地位なのであんなにも子どもを思っていた的な後半の描写は違和感があった。

  • 棟居刑事は刺殺された黒人の事件を捜査するが、次第に過去の因縁や様々な人間の業をも手繰り寄せてくる。
    緊張の高まりに伴って、徐々に謎が明らかになり、最後には周到に用意された意外性が待っている。
    名優、松田優作さんが出演してる映画版もいつか観てみたいな。

  • 話があっちゃこっちゃ飛んで、
    短編集だったっけと、確認したほど、
    前半はこちゃこちゃしてた
    それが実は盛大な伏線だったとは!!
    最後の最後まで回収しきって
    スッキリ最高に楽しめた作品でした!!

  • 「母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?」。西条八十の詩集を持った黒人が、ナイフで胸を刺されて殺害された。被害者は「日本のキスミーに行く」と言い残して数日前に来日したという。日米合同捜査が展開され、棟居刑事は奥深い事件の謎を追って被害者の過去を遡るが、やがて事件は自らの過去の因縁をも手繰り寄せてくる―。人間の“業”を圧倒的なスケールで描ききった、巨匠の代表作にして不朽の名作。

全42件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

森村誠一
1933年1月2日、埼玉県熊谷市生まれ。ホテルのフロントマンを勤めるかたわら執筆を始め、ビジネススクールの講師に転職後もビジネス書や小説を出版。1970年に初めての本格ミステリー『高層の死角』で第15回江戸川乱歩賞を受賞、翌年『新幹線殺人事件』がベストセラーになる。1973年『腐触の構造』で第26回日本推理作家協会賞受賞。小説と映画のメディアミックスとして注目された『人間の証明』では、初めて棟居刑事が登場する。2004年に第7回日本ミステリー文学大賞受賞、2011年吉川英治文学賞受賞など、文字通り日本のミステリー界の第一人者であるだけでなく、1981年には旧日本軍第731部隊の実態を明らかにした『悪魔の飽食』を刊行するなど、社会的発言も疎かにしていない。

「2021年 『棟居刑事と七つの事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森村誠一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×