百年法 (上) (角川文庫)

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著者 : 山田宗樹
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年3月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (467ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041027097

百年法 (上) (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 永遠に生きたいかと問われれば答えはNOだ。
    死ねないなんて考えたくもない。
    でも、この小説のようにHAVIがあったとしたら。
    年を取ることなく生き続けることが可能で、死ぬ時は安楽死が保証されているとしたら…。
    生存期限が残っているうちはいつ死んでもいいと思えていたとしても、残り時間がわずかになれば私も小説の中の人達のように「死にたくない」と思うのだろうか。
    ずっとその点を疑問に思いながら読んでいた。
    死を前にした人の反応と、人の死をコントロール出来る人が見せる残酷さ。
    これはリアルなのだろうか。
    この物語はとても怖い。

    下巻はどうなるのか。
    怖いけれどとても気になる。
    ハッピーエンドは有り得ない気がしてしまうけれど、見事に裏切ってほしい。

  • 『人はみな、各々の思い込みの中で生きている。意識の光の当て方で、いかようにも変化する世界。心の中にだけ存在するファンタジーの世界だ。

    だが、いかに意識を変えても、変化しない世界もある。永遠不変。それが真実の世界だ。しかし人々は、ふだんは真実の世界のことなど考えもしない。まるでそんなものなど存在しないかのように振舞っている。だがそれは、人々の意思に拘らず、厳然と存在する。誰も否定はできなない。

    嫌でもそのことを思い知らされるのが、死の瞬間だ。死という圧倒的真実の前には、いかなるファンタジーも無意味と化す。だが同時に、死があるからこそ、ファンタジーは命を保てる。』

    めちゃくちゃ面白い。
    (上)の最後の部分、ぞわっとくる。

  • 子供の頃、藤子不二雄の「モジャ公」という漫画があった。宇宙冒険するまんがだが、その中に、不老不死の星の話があった。
    死ぬことができないその星の住人は、虚ろで覇気のない生活をしていた。他の星から来た主人公たちは、この星では起こらない「死」を持っていて、一大イベントとして危うく処刑されるところだった。
    そんな話だった。ずっとその話が頭から離れなかった。

    この本では、不死ではないが、不老処置HAVIにより永遠に生きることができる世界を描いている。ただ、百年法によってHAVIを受けてから百年後に必ず死ななければならない。
    本当に不老になった時、どのようなことになるのか、じっくりとシミュレーションしている。少し強引なところもあるが、概ねこうなるのだろうと思える。

    この世界、どのようになるのか。下巻が楽しみ。

  •  終戦後、アメリカから不老技術”HAVI”を導入し不老不死となった日本。しかし人口調整のためHAVIを受け入れた者は100年後に死ななければならない通称”100年法”も制定された。そして2048年、最初の100年が迫ろうとしていた。

     100年法をめぐっての政治家の暗躍に国民それぞれの揺らぎ、そして国家を飲み込むうねりというものがとてもよく表現されていたと思います。壮大な設定ながらリアリティを持って読み進めることができました。

     上巻では第一部、二部、三部の一章までが収録されているのですが、その構成が巧いなあ、と思いました。と言うのも第一部は100年法が執行間近の2048年、
    第二部では時代が飛んで2076年、第三部はそれからまた20年ほど後、と時代は飛び飛びながら、
    最小限の描写で読者に時代の大きな変化を理解させるあたりが(特に48年から76年の間で社会に大きな変化が訪れています)非常に巧いと思いました。いくらでも書きこもうと思えば書き込めるところだ思うのですが、そこをダラダラと書き込まないことで、
    世界観の説明に終わらず、各登場人物たちの死へ向けての葛藤がしっかりと書き込まれていたと思います。

     死にたくないけど永遠に生きたくもない、そんなセリフが小説内に出てくるのですが、読んでいる自分もその言葉に最も共感できました。

     単に人口が多くなるから、という理由だけでなくやっぱり老いであったり死という区切りが無ければ、世界や人間関係にいつか我慢できなくなってしまうのではないかと思います。
    でもこういう風に思えるのも自分がまだ若くて死が実感できないからであって、作中のように若い肉体のまま死を強制させられる立場になるとまた変わってくるのでしょうか。

     そう考えると老いや病気やけがで体が弱ってしまうのは、死に対する覚悟や心の準備のための期間なのかもしれないな、とも思います。

     政治部分の描写で恐ろしく感じたのが、自然な流れで独裁政治が完成してしまっていることでしょうか。これも100年法の設定を生かしたものなのですが、とても綺麗な流れでそうした政治体制が出来上がってしまいます。

     作中の官僚の言葉で、民主政治でも国民は間違うことがある、といった趣旨の言葉があるのですが、それが非常に実感を持って思い出されました。

    そしてその官僚が続けて言った言葉が、間違うことがある国民を正しい方向に誘導するのが政治の仕事とあります。では果たしてこの誘導が正しかったのかどうか、それはまた下巻でのお楽しみ、といったところでしょうか。

    第66回日本推理作家協会賞
    第10回本屋大賞9位

  • 上下巻、数日で一気読みしました。エンタメSF的な設定が好きな人には間違いなくおすすめ。
    人類が永遠に生きられる技術が開発された、近未来の日本が舞台。
    社会が停滞するため、法律で制限を付けようという官僚たち、自分の生命を法律で決められたくない国民たち、議員たち…百年を超えても生き続ける拒否者たち…

    個と、行政と、国民という集団の選択、百年法派反百年法派という対立する立場のそれぞれの思惑、ミクロな視点とマクロな視点から「百年法」という制度が考えられていて、面白かった。

  • 不老化処置を受けた日本が舞台。
    近未来SFの様な。

    こんな法律は嫌だなー。まず、自分の死ぬ日が明確になっているのが嫌。
    命は無限であってはいけないなと再確認。
    有限であるからこそ、明日を頑張れるんだよなぁ。

    皆がみんな若い姿なのも不気味。
    おじ様、熟女好きにはたまったもんじゃないでしょうね。

  • もう一つの戦後という感じでしょうか。
    とても興味深く面白いです。

  • 戦後、不老不死処置を受けることにより老いや死のなくなった日本共和国。
    不老不死処置を受けて百年経ったら安楽死を受けることが法律で定められている。

    不老不死を扱う物語は特に目新しいものではないが、設定がきちんとしているからか面白く読める。

    導入部で自動運転の車のようなものが描かれており、日本製の出来が悪いとされている。それに比べて韓国や中国製のものは性能が良いとなっていて、そんなわけがないだろうにと失笑していたら、日本の機械の精度が落ちたのは、身体こそ若いままだが精神の衰えた日本人ばかりになり技術や開発の能力にも衰えが顕著になってきている危険な状態にあるということを表した文章ということがわかる。
    それはそうだろうけれど、同じように韓国や中国も不老不死になっているのなら、同じように衰えた人間ばかりなので大差ない性能になるだろうと思ったりする。

    IDカードがなければ生活出来なくなっている日本は、近頃話題のマイナンバーが導入され、全ての日本に住む人間がマイナンバーカードを持たされて、それがないと買い物も病院に行くことも何も出来なくなるのかもといった妄想めいた想像をさせる。
    今のところマイナンバーは、単に確定申告などの手続きに用いるのみのようだけれど、いずれ銀行口座や健康保険証と紐つけをするとも聞くので満更妄想と笑っていられない気もする。

    ところで、皆さんマイナンバー通知の封書届きましたか。
    我が家には先日届きました。

    不老不死の問題をどう着地させるのか気にしながら下巻へ。

  • 不老不死の投与をうけたら100年後には生存権も人権も失わなければならない。

    という、もうひとつの日本を舞台にした話。

    上下巻の厚さにおののくなかれ。
    あっという間です。
    ストーリーの構成がいい。

    100年法を施行するために奔走する官僚の遊佐。
    一般的な低層のOL蘭子。なんだかきな臭い刑事それぞれの視点で始まり、100年法廃止の是非を問う国民投票へ。
    ちょっと大阪の住民投票を思い出しました。

    国民の利己的な気持ちが国を滅ぼすこともある。

    官僚としての信念を貫く遊佐はかっこいいけど、上巻のラストはドキドキです。

  • 不老不死を実現させた人類に訪れる存亡の危機.これぞ小説の醍醐味だろう.読むほどにこの世界に沈み込める.早く下巻を読もうっと.
    以下あらすじ(背表紙より)
    不老化処置を受けた国民は処置後百年を以て死ななければならない―国力増大を目的とした「百年法」が成立した日本に、最初の百年目が訪れようとしていた。処置を施され、外見は若いままの母親は「強制の死」の前夜、最愛の息子との別れを惜しみ、官僚は葛藤を胸に責務をこなし、政治家は思惑のため暗躍し、テロリストは力で理想の世界を目指す…。来るべき時代と翻弄される人間を描く、衝撃のエンターテインメント!

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不老不死が実現した日本。しかし、法律により百年後に死ななければならない――西暦2048年。百年の生と引き替えに、不老処置を受けた人々の100年目の死の強制が目前に迫っていた。その時人々の選択は――!?

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