百年法 (上) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041027097

感想・レビュー・書評

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  • 不老化処置を受けた日本が舞台。
    近未来SFの様な。

    こんな法律は嫌だなー。まず、自分の死ぬ日が明確になっているのが嫌。
    命は無限であってはいけないなと再確認。
    有限であるからこそ、明日を頑張れるんだよなぁ。

    皆がみんな若い姿なのも不気味。
    おじ様、熟女好きにはたまったもんじゃないでしょうね。

  • もう一つの戦後という感じでしょうか。
    とても興味深く面白いです。

  • 戦後、不老不死処置を受けることにより老いや死のなくなった日本共和国。
    不老不死処置を受けて百年経ったら安楽死を受けることが法律で定められている。

    不老不死を扱う物語は特に目新しいものではないが、設定がきちんとしているからか面白く読める。

    導入部で自動運転の車のようなものが描かれており、日本製の出来が悪いとされている。それに比べて韓国や中国製のものは性能が良いとなっていて、そんなわけがないだろうにと失笑していたら、日本の機械の精度が落ちたのは、身体こそ若いままだが精神の衰えた日本人ばかりになり技術や開発の能力にも衰えが顕著になってきている危険な状態にあるということを表した文章ということがわかる。
    それはそうだろうけれど、同じように韓国や中国も不老不死になっているのなら、同じように衰えた人間ばかりなので大差ない性能になるだろうと思ったりする。

    IDカードがなければ生活出来なくなっている日本は、近頃話題のマイナンバーが導入され、全ての日本に住む人間がマイナンバーカードを持たされて、それがないと買い物も病院に行くことも何も出来なくなるのかもといった妄想めいた想像をさせる。
    今のところマイナンバーは、単に確定申告などの手続きに用いるのみのようだけれど、いずれ銀行口座や健康保険証と紐つけをするとも聞くので満更妄想と笑っていられない気もする。

    ところで、皆さんマイナンバー通知の封書届きましたか。
    我が家には先日届きました。

    不老不死の問題をどう着地させるのか気にしながら下巻へ。

  • 不老不死の投与をうけたら100年後には生存権も人権も失わなければならない。

    という、もうひとつの日本を舞台にした話。

    上下巻の厚さにおののくなかれ。
    あっという間です。
    ストーリーの構成がいい。

    100年法を施行するために奔走する官僚の遊佐。
    一般的な低層のOL蘭子。なんだかきな臭い刑事それぞれの視点で始まり、100年法廃止の是非を問う国民投票へ。
    ちょっと大阪の住民投票を思い出しました。

    国民の利己的な気持ちが国を滅ぼすこともある。

    官僚としての信念を貫く遊佐はかっこいいけど、上巻のラストはドキドキです。

  • 何とも大胆な発想の、SFエンターテイメント。
    肉体は若いまま永遠に生きられる不老技術HAVIを手に入れた人類!しかし、同時にその処置を受けた百年後には、強制的に死ななければならない。他国に遅れ、その百年法がまだ成立していない日本が舞台。
    法が成立しなければ国力が停滞し、やがて崩壊消滅。日本はこの危機をどう切り抜けるか。
    今後どう展開するか、興味が尽きない。

  • 第二次大戦、日本は六発の原爆投下により降伏、度重なる空爆のために焦土と化した国土。そこからの復興の過程でアメリカから導入された肉体を老化させない技術により、“永遠の命”を得た日本国民は、しかし人口調整のための“HAVI を受けてから100年で死ななければならない”生存制限法“百年法”に同意しなければならない。
    2048年。HAVI を受けてから、初めての100年を迎える日本では、まやかしの永遠にすがる人々、己のことのみで国家を顧みない政治家、100年のその日を受け入れようとする戦争経験者である官僚、死から逃げるためになりふり構わない警官、さまざまにそれぞれの100年目がやってくる。

    文章は淡泊。簡潔。分かりやすく、近未来であり、不老の技術などのSFであるけれど入っていきやすい。
    時間の流れによって高潔の意思も惑うし、平凡な生活に流され倦んだ希望を重りに歩いてきた女は自らの意志で100年の幕を引くことを選び取る。

    前半、気になる終わり方をしているのですぐ読み始めたい。

  • 原爆が6発、戦争の最後に日本に落された。その戦争を経験した日本はアメリカの不老技術、HAVIを導入した。回りでばたばたと人が死んでいく戦争を経験した日本人だったらだれでもそれに縋りつきたくなるなるのは当然だと思う。
    しかし、皆が皆、不老になったらどういう事になるだろう?
    この作家さんはそれをうまく表現していた。
    日本国民全員が若く、年寄りが居ない。100歳まで生殖能力があるし、病気・事故さえなければずっと生きられる。
    でも、そうなると、人口は莫大になり、食糧不足に陥る。この物語では昆虫食になっていた。家族はファミリーセットと言われ、子供たちがHAVIを受けれる年齢になると家族感が薄れて家族を解消するのだ。孫が祖母と恋をするなんて事もありえてくる。

    そこで百年法という法律が、HAVI導入に際して決められた。
    100年たったら安楽死をする。とサインをしてからHAVIを受ける。
    最初は100年後の事。と思っていた国民だったが、100年目が近付くにつれ、初年度適用者達は精神不安定になっていく。そして政治家たちは自分たちが死なないように法改正をしようと国民投票をする。

    死にたくない人達と、死なないと飽和状態になって仕事もなにもかも先人特許で若者があぶれてしまうと危惧している人達の攻防。
    一時はその勝敗も決まり、平和が訪れたかに見えたが時代の流れに早くもその法律も合わない物になって行った。

    下巻はどうなっていくのかな?

    印象に残った言葉
    『欲望と直感で迷ったら、直感を信じろ』
    『死という闇があるからこそ、生の光が強くなる』

    死があるから、今を精いっぱい生きようとおもうんだよな~。

  • 山田宗樹が描いた日本の未来の姿。物語は、いきなり2048年から始まる。近未来SFのような幕開けなのだが、テーマは非常に深刻である。

    不老化処置を受けた国民は百年後に死を迎え入れなければならないという『百年法』巡る政治の舞台と、それに翻弄される人びと…

    最初は山田宗樹作品としては、あまりに突飛な設定に戸惑いを覚えるのだが、読み進むうちに現実味を帯びて来る。それだけ物語の設定が素晴らしく、ストーリー展開も非常に面白いのである。

    現代日本でも高齢化は国の財政負担を増大させると同時に核家族化による孤独死など深刻な社会問題になっている。本書に描かれる不老化技術が浸透する未来の日本は、まるで現代日本の高齢化問題をディフォルメしているかのようだ。

    下巻では果たしてどのような結末が待っているのだろうか…

  • 下巻に続く!

  • 上巻を読んで感想なんて、そんな無粋なことは出来ません!
    (今までふつーに書いてる

    め、面倒じゃないからね(笑)

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著者プロフィール

1965年愛知県生まれ。筑波大学大学院農学研究科修士課程修了後、製薬会社で農薬の研究開発に従事した後、『直線の死角』で第18回横溝正史ミステリ大賞を受賞し作家デビュー。2006年に『嫌われ松子の一生』が映画、ドラマ化される。2013年『百年法』で第66回日本推理作家協会賞を受賞。その他著作に『ジバク』『ギフテット』『代体』『人類滅亡小説』『存在しない時間の中で』など。

「2022年 『SIGNAL シグナル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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