WOLF ウルフ

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.09
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本棚登録 : 108
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041027400

作品紹介・あらすじ

謎の巨大獣に家畜が襲われる事件が発生、やがて被害は人間にも及ぶ。フリーライターの有賀の調査により浮かび上がったのは絶滅したはずのオオカミ…。亡霊の如く現れたWOLFと人間の闘いを描くサスペンス巨編!

感想・レビュー・書評

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  • 浪漫溢れる一冊。

    舞台は奥秩父。

    残された足跡、連続する不可思議な事件。

    まさか、絶滅したとされるニホンオオカミ?
    謎を追っていく物語。

    タイトル、表紙で掴みはバッチリ。

    オオカミ知識と共にページを捲る手はどんどん進んだ。

    身勝手な人の行為、野生動物を人為的に絶滅させることの難しさは心にザラッと響くし、有賀親子の言動、行動、全てを冷静に受け止めていく姿は好感が持て気持ちが良い。

    あの歴史に残る飛行機事故、トラウマを巧く絡ませていたのも印象的。

    今までのシリーズの中で一番現実感、浪漫溢れる作品。

  • 人間の愚かさと自然の偉大さを思い知らされる作品。

    シリーズを通して 有賀 雄二郎-雄輝 親子が さらに絆を深めて活躍し息子に全幅の信頼を寄せてるとか……(涙)


    題名からして ここで長年の相棒「ジャックが……」って 思ってたが…今回の活躍は少な目でした。
    (私の中では雄二郎シリーズではなく、ジャックシリーズと思ってる)

    表紙もさることながら、終わり方(結末)も悲しいが…美しい終わり方でした。

    有賀雄二郎(ジャック)シリーズ 最終章に確実に近づい来てるのが少し寂しくもある……
    (最終章は:「イエティ~雪男」かな?などと勝手に想像してますが…)

    次作も大いに 楽しみです。

  • 絶滅したと思われているニホンオオカミの話?あまりこういう動物主体の小説は読んだことなかったから、新鮮な感じ。自然の偉大さや人間のちっぽけさがよく伝わってくる。

  • インスタで発見し【秩父オオカミ】に関するストーリー内容で気になった『WOLF』(柴田哲孝)。

    今までに読んできたオオカミ本で得た【絶滅生物のロマン】を持ちながら、

    本書で【人的被害をもたらすようになったオオカミへの対処】について読んだので、

    なかなか複雑な気持ちになりました…。

    他にも思う事はいろいろ以下◯点。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    ❶オオカミに関する場所への旅行の振り返り

    《三峰神社》《大神神社》《大台ケ原》《吉野桜》がオオカミを知る動きの中で出てくるのですが、とても懐かしかった。

    旅行ガイドブックではなく本をキッカケとする旅ができるようになったんだよなとしみじみ…。

    ❷日本行政について

    「世論を気にし、何か事故があったら誰が責任を取るのかと責任論に終始する。そして、最後はいつもうやむやにされる。」

    という文章が幾度か出てきて、オオカミ以外の事でモヤッとした。

    ❸ニホンオオカミの新たな情報GET
    「元来、ニホンオオカミには、その分類について二つの学説が対立していた。北海道のエゾオオカミに近いハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)の別亜種とする説と、まったくの別種とする説である。現在は別亜種説が主流にはなっているが、ニホンオオカミを記載したオランダの動物学者コンラート・J・テミンクや今泉吉典は独立種にすべきと主張していた。
    だが、"ニホンオオカミ"が二種類存在していたとしたら……。」

    …と読んだ時は面白いと思ったなぁ。

    小説は「IF」について読めるから面白い。


    ❹生態系バランスの難しさ

    【生態系を守るための外来種移殖】が【生態系を破壊する元凶】になってしまった例を初めて知ったかも知れない。

    (例: ⑴サソリの駆除を目的として小笠原に移入されたオオヒキガエル→貴重な昆虫や小動物を喰い荒らした。
    ⑵ ハブ対策で沖縄に放獣されたマングース→ヤンバルクイナなどの天然記念物絶滅危惧の原因


    ❺日本人の肉の呼称
    「花札で10月の紅葉には鹿が合わされるだろう。だから鹿肉を"モミジ"と呼ぶんだ。」

    ……と超貴重な情報入手した。花札だったのか!!!

    ❻キノコ情報

    「ナメコが群生する場所の近くには、マイタケが見つかることが多い。」

    …と物語中にキノコ狩りが出てくる本を読んだのは初めてかもしれない。

    ❼強い猟犬を作る方法

    昔はよくやってたそう。

    欧米では、75%以上オオカミの血が入った狼犬を"ハイパーセント"といって特に高額で取引され、

    FCI(国際畜犬連盟)認定はサーロス・ウルフホンドと、チェコスロバキアン・ウルフドッグの二種のみとのこと。

    さらに本書の事件原因であるオオカミ種との交配について調べてみたら、

    『狼 その生態と歴史』(平岩米吉)によれば、犬と狼の交配の企画は、すでに4世紀ごろからあった事をアリストテレスが書いていたらしい。

    ❽動物による人的被害

    その根っこを辿っていくと、食糧を取り尽くしてしまう人間に行き着くというのはなかなか複雑な気持ちです…。

    ❾秩父という土地

    「埼玉県内から北は群馬県、西は長野県、南は東京都の奥多摩町にまで広がる秩父山地はあまりにも広大」と読むと、

    三峰神社に行くために訪れたエリアはほんの一部だった事がわかった。

    そして「秩父周辺は石灰岩の鉱山が多い。つまり、石灰質の山です。このような場所には鍾乳洞と呼ばれる石灰洞……つまり、洞窟が多いんです。」と読んだ時には、

    秩父にしろ、フジイチにしろ、貴重な鍾乳洞に行けてない事を痛感。行きたい…。

    さらに「秩父市は、京都祇園祭、飛騨高山祭と並ぶ日本三大曳山祭のひとつ"秩父夜祭"の本場だった」と読んで、

    面白そうなお祭りがある事を今更ながらに知りました。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  • 今までの作品と比べると、これといって盛り上がる箇所が無かった気がした。
    ユウキが大人になったな~って(笑)シリーズ読み続けてるので、感慨深い。

  • 柴田哲孝 著「WOLF」、2015.2発行。読み応えがあり、様々なことを考えさせられます。自然の掟、厳しさ、人間の傲慢さ、動物と人間の関り方・・・。自然界の食物連鎖のの頂点に立つ「ニホンオオカミ」(山犬)「野犬)の生き様を描きつつ、人間はいかに自然と、動物たちと共生するかを問うた力作と思います。観光事業を大事にしたいがため、事実に目をつむってしまう役所の話、空自のミサイルで墜落した?御巣鷹山のJAL-123便で魂を失った元自衛官の話も含まれています。ただ、ひたすら生きる「ウルフ」の生き方、感動しました!

  • 読破できず。合いませんでした

  • どこまでが真実なのか分からないが、とにかくリアルだった。

  • 結局、人間が悪いんだな。

  • 2015/11/10
    移動中
    継続して読んでいく中で、世代交代を感じられるのは
    なかなかもって幸せな感じだ。

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著者プロフィール

1957年、東京都出身。日本大学芸術学部写真学科中退。フリーのカメラマンから作家に転身し、現在はフィクションとノンフィクションの両分野で広く活躍する。パリ〜ダカールラリーにプライベートで2回出場し、1990年にはドライバーとして完走。1991年『KAPPA』で小説家デビュー。2006年、『下山事件 最後の証言』で第59回「日本推理作家協会賞・評論その他の部門」と第24回日本冒険小説協会大賞(実録賞)をダブル受賞。2007年、『TENGU』で第9回大藪春彦賞を受賞し、ベストセラー作家となった。他の著書に『DANCER』『GEQ』『デッドエンド』『WOLF』『下山事件 暗殺者たちの夏』『クズリ』『野守虫』『五十六 ISOROKU異聞・真珠湾攻撃』『ミッドナイト』『幕末紀』など、多数ある。

「2021年 『ジミー・ハワードのジッポー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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