颶風の王

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著者 : 河崎秋子
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041029619

颶風の王の感想・レビュー・書評

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  • すごく好きな物語でした。作中では「花島」とされている島は根室の「ユルリ島」。検索しながら読んで動画を見つけた時は思わず心が震えてしまいました。


    6世代の家族と馬の物語。庄屋の娘ミネとアオの壮絶な命のやり取り…。捨造の北海道開墾の圧倒的な自然の力を前にした人々。さらに間に戦争も入り日本在来馬の品種改良など日本在来種の馬たちの血が消えていく様に衝撃を受けました。時代の流れには逆らえない。消えていってしまうものの力強さが美しかった。


    品種改良や風力発電など人間の身勝手さがチラチラッと差しこまれていて心が痛んだ。


    ミネから始まった、ひかりたち一族の血はたぶん途切れることはないであろうけど、アオたち在来馬の血は花島の最後の牝馬で途切れてしまう…。馬と人の関係、時代の流れが光やほの暗さを見せて胸を打ちます。(名もない最後の一頭の牝馬と、ひかりの邂逅シーンは一瞬でしたが永遠にも似た美しい場面でした)。


    表紙の黒く広がる大地に黒い煙のような雲、そこに一頭の馬。風の音と馬のいななきがが聞こえてきそうです。タイトルも表紙も素晴らしい。出会えて良かった一冊です。フォントがあまり好きじゃない。それだけがちょっぴり残念。




    心に残ったシーン
    “一個体の恐怖や強烈な経験は遺伝子レベルにまで刻み付けられ、子世代に受け継がれてその種を脅かすマイナスの環境要因を判別するのに役立つといった説だ。”210ページ

    “動物は自らを殺さない。生きることに執着する。”206ページ

  • 作者の表現力に、久々に鳥肌の立つ思いで引きこまれました。馬が要の物語なので、とくに馬についての描写が重要だけど、それがすばらしい。自然の表現も目に浮かぶようでした。
    捨造の母のたどる運命が第一章。北海道に開拓移住した捨造は、内地から連れてきた馬を、増やしていきます。
    あるとき、半数の馬を失った捨造たちの一家は根室を離れざるをえなくなります。
    自然の脅威や戦争、一家に訪れる運命を、「オヨバヌ」ものとして静かに受け入れること。しかし、受け入れるにはあまりに過酷な運命でした。ここまでが第二章。
    そして、第三章は現代。捨造のひ孫にあたるひかるは大学生。祖母和子が倒れたことを契機に、ある決心をします。このあたりもドラマティックでした。
    そして、これまで馬と関わりなく暮らし、祖母の話の中だけで知っていた馬との対面。そこでひかるが下した決断とは。
    現代の生活が平穏なので、曾祖父捨造や祖母和子のようにドラマとしては迫力に欠けてしまいますが、私はここで、もっと捨造の話や、根室の漁師の話なども織り込んで欲しかった。最後になって、先祖の存在感が薄らいでしまったような気がしたのです。
    それでも、久々に出会った、すばらしい作品にはちがいないです。
    作者は別海町在住で、牧場で羊を育てています。ここも自然環境が厳しい土地ですね。
    この作者から次なる作品が生まれるのを、心待ちにしています。

  • 颶風って気象用語で猛烈な風のことなんですね
    初めて知りました
    明治から現代へ
    馬を軸に紡がれた家族の物語
    北海道の原野の厳しい自然描写は作者が暮らし仕事をされているからこそのものでしょう
    みんなすごい
    馬もすごい
    読んでいて寒くなったのには困りました(〃艸〃)

    ≪ およばない 人馬共に 懸命に ≫

  • 章の切り方が絶妙でその後を想像させてくれて面白かったです。
    骨太でシンプルな文章が好みでした。

  • 北海道の大きな自然の中。馬と共に生きた家族。
    スケールが大きくて、自然と生きること、馬と生きること、環境の厳しさ、生きることの厳しさ。
    読みやめることが出来ず、ひたすらに読み進んだ。

  • 地も海も空も、人の願いが『オヨバヌ』ところ
    人がここで生き、山海からじきもつ(食物)を得るうえで、致し方のないこと。
    六世代に渡る語り、馬と人との絆、 捨造の奇跡の出生に心を打たれた。
    最後のシーン、孤島に取り残されてもなお、颶風にも臆することなく立ち誇り、
    命尽きるまで生き抜こうとする(アオの子孫)馬の姿が見えたとき、慟哭した。

  • 読んで良かった。
    六代に渡る人と馬との絆のお話です。絆なんて簡単な言葉では表せないかもしれない。
    颶風の王。このタイトル、しびれますね。かっこいい。
    書き出しがものすごく印象的で、書き終わりもすごくて、理想の本を読めた気分です。ほくほく。

  • 雪崩で遭難して馬の肉を食べ生き延びた女とその子孫の馬と生き抜く物語。

    とてつもなく大きな感動の波の中で浸り中です。
    素晴らしい!

  • 新聞の書評欄で読んで、興味を持ち
    iBooksで無料の立ち読みをして
    読みたいなと思って、とうとう読んだという感じ
    明治の世から、平成のいまの時代まで
    血のつながりが物語を動かしていく
    捨造の人生が切なくて苦しかったけど
    力をもらったような気持ちもある
    読んでよかったな、と思う小説でした

  • 冒頭文で心をぐっとつかまれた。
    人と馬の絆。

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颶風の王の作品紹介

馬も人も、生き続けている――。東北と北海道を舞台に、馬とかかわる数奇な運命を持つ家族の、明治から平成まで6世代の歩みを描いた感動巨編。酪農家でもある新人がおくる北の大地の物語。三浦綾子文学賞受賞作。

颶風の王のKindle版

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