- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041030073
作品紹介・あらすじ
鳥取県境港に育った水木しげるは幼いころ島根半島によく出かけていた。夢に現れた出雲族の青年の言葉に導かれ、隠岐に水木しげるのルーツを辿り、出雲神話に隠された壮大な謎に迫る、水木版・古代出雲史!
感想・レビュー・書評
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「出雲王朝があった」という立場から、古事記と出雲国風土記を再編して作り上げた水木版古事記である。巻末の参考文献が60冊以上並んでいて、一生懸命研究しながら描いたことかうかがわれる。ほとんどが5年前から3年前の作品であり、水木さんホントにお元気だったんだなあ、と思った。
所々考古学的な知見も混ぜていて、ジオラマの写真をそのまま絵にしたようなものもあるが、そこに出てくる人物は水木しげるフィルターを通っていて生き生きとしているし、鳥の姿をしているシャーマンの姿など(49p)は、文献以上によく調べているように感じた。
困るのは、多くの所に専門的な正確さがあるのと同時に、好い加減な所も多々あるのである。出雲王朝が新羅の国に侵略されて「播磨や吉備が獲られた」などと簡単に書いていて、おいおいそんな根拠は何処にもないよ、と言いたくなる。出雲王朝説は、そもそも非常に根拠が薄いと私は思う。もちろん、国譲り神話のもとになった大きな「争い」はあったと思う。しかし大和王朝の前に、出雲が西日本一帯を統一していた根拠はない。
まあ、それはいいとして、水木しげる版の豊かな神話表現は、他の漫画版の古事記ともまた違い素晴らしかったのは確かだ。
今度「古事記を訪ねる島根の旅」を計画しているが、そのためのいいシュミレーションが出来た。
2015年12月22日読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
仕事で水木さんの調布のお宅に伺ったことがある。(僕は出版関係ではありません。)
子供の頃、テレビで最初のモノクロの鬼太郎を見ていた世代。
古代史は好き。水木さんは境港出身で、故郷の無念を露わそうとした漫画を購入。でも子供の頃は水木さんの絵はチョッと苦手だった。今、こうして見るとクセのある絵が凄くイイ。それから、女性を描くのが苦手だなと改めて思う。
朝鮮半島から来たアメノヒボコが播磨を占領したという解釈は賛成。普通、オオクニヌシが播磨まで勢力を伸ばしていた証拠とされる但馬国風土記だけど、普通に読んだら占領されたという解釈の方が正しいと思う。
悪魔くんとか、水木さんの漫画を改めて読んでみようかなと思っている。 -
古代出雲民族が、天孫族に征服される神話(古事記他)の劇画化。
古事記の解説書よりもわかりやすい。 -
せっかく出雲に行くしと思い、別の書籍で古事記をさらってみて、興味がわいた。水木しげるロードにあるお店で購入し、帰路のお供に。神様ってぶっとんでて面白い。
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水木しげるは、鳥取の境港育ちで、出雲神話には関心が高かった。番外編には、古代出雲青年とおぼしき人物が何度も夢枕に立ったので、古代出雲のことを書こうと思ったということ。実話かどうか分からないが。
参考文献の多さからも徹底的に調べて書かれた作品であることが伺える。細かく描かれているのでとても勉強になった。
大和朝廷ができる前は、オオクニヌシが日本の天皇であり、国譲りとして古事記で書かれていることも、そんな単純でなかったということで、出雲大社の建立の背景についても触れられている。古代の歴史にふれる良い機会になった。 -
2016.07―読了
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分かりやすく読みやすい、面白いです。
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旅行前の予習に最適。読んでよかった。
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時系列が分かりやすい
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古事記の内容+出雲の歴史
水木しげるロードを歩き、出雲大社に参拝した旅行の帰りに空港で購入。漫画としては字も多く、内容盛りだくさんで、理解するのはけっこう大変。他の古事記本を読んでいなければ、途中で挫折しそう。
これから読む人には、神様おぼえなくても大丈夫!最後に目玉のおやじ出てくるからがんばって!と伝えたい。
#出雲松江旅行本 -
マンガでわかりやすい
出雲に旅行に行く前に予習として読んだ。 -
古代出雲の成り立ち、その後の国譲りなどなど、漫画なのでさくっと読める。
日本最古の一族出雲に対して印象が変わった。 -
読了。
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<閲覧スタッフより>
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所在記号:文庫||726.1||ミス
資料番号:10230835
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古事記とともに古代日本を理解する上でわかりやすくまとめられた内容。素戔嗚と大國主の神を中心に描かれており天照の狂信者は怒る部分も有るのだろうが、僕はひじょうに納得しながら読めた。国の成り立ちや国家というものを理解するための良い予備知識になると思ふ。漫画として描かれた点は非常に評価の高い点だと思う。
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古代出雲歴史博物館で購入。誰が誰の子どもで何をして,という系譜がわかる入門本みたいなものがないかと探してみたら,これがあった。マンガなのでさくっと読める。諸説あるようなので,これが唯一の正解ではないようだけど,ちょうど件の博物館も出てくるしで,展示の復習としてとてもよかった。
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予想通りというか、漫画のわりに難しい。
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島根に旅行に行って、出雲大社にも参拝して、出雲の歴史を肌で感じて、ちゃんと神話のことも勉強しようと思った。地元の本屋さんに並んでいたので購入。マンガだし分かりやすくて読みやすかった。入門編&水木しげるの熱い思いが込められた本だと思いました。
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古代出雲に興味もあり、古事記にもチャレンジしようと前々から思ってもいたが
何しろ難しいので、この漫画からトライ。水木しげるさんの飽くなき追及と勉強で描かれた古代は、やっぱり難しい。たくさんの神様が入り乱れやっとの思いで読了。
もう一度読みなおさなきゃ。 -
最後、屁の報告で終わるのが水木サンらしくてよい。
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出雲から美保関あたりの神社を友人についてまわったばかりで、記憶も新しく関心しきりでした。行く前に読んでいれば、また違った視点で観て回れたのではないかと思います。知的好奇心を刺激されました。
この本は、先生がお年をめしてからの本だと思いますが、先生のパワフルさが溢れています。いくつになっても意欲的に取り組む姿勢に、人のパワーは年齢に非ずだ!と勇気をもらいました。 -
どこまでが神話でどこからが史実なのか、突拍子もない展開に驚きつつもますます古代に興味を持ちました。一見憶えにくく眠くなる名前の長い登場人物も、水木さんに描かれれば記憶に残って理解しやすい。
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最後の京極夏彦氏とのやりとりが面白い。
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水木しげるさん2012年の作品。最晩年の仕事ね…と思ってちょっと調べたら、水木さんは本当に亡くなる間際までほかにもたくさん漫画描いてらしたんですね。すごい。
さて内容はタイトルの通りなのだが、なんでもこの30年来、古代出雲族と思われる青年が水木サンの夢枕に立っては自分たちの無念を訴え続けてきたのだそうで、水木サン自身のルーツとも関わりの深い古代出雲のありし日の姿、そして国譲り神話の真実、これを描くのは自分の使命であると考え研究を続けてきたということである。
古事記はいわば勝者の言い分、そこで語られなかった真実を追い求めるという立場がはっきりしているので、ロマン溢れる読み心地で楽しめます。
でも内容の真偽のほどや、へ~情報よりも、水木翁が古代霊にせっつかれながら色々調べてこれを描いたっていうできごと全体が、なにより楽しい。
出雲での(弟子?の京極夏彦氏を伴っての)フィールドワークにも熱心だし、参考文献には2010年代出版の本も並んでいるし、精力的である。
そして、真面目なのにくすっとくる語り口。独特。 -
この手の漫画の極北は「ぼおるぺん古事記」だが、
本書は出雲神話という観点で貫かれている。
さらにいえば出雲人の無念さが動機にあるので、飄々とした中にペーソス漂う。 -
追悼読書用に、娘も親しんでいる古事記の時代のお話を。
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この辺のことは、弱いです。自分。
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最後に現れた番外編にたどり着くことで
随分と理解を深めることができたけれども
それでも情報が少なすぎて物足りない
できればもお一歩踏み込んでほしかった
例えば心の声とかナレーション等で
裏情報を描き込むことで
状況の選択肢を増やしてほしいし
水木流のストーリーを盛り込んでもらえればと残念だ
タタラ族に付いても唐突で
なぜ川を汚すのかとか
どこから来てどんな考えを持った民の可能性が強いのかなどの
空白が気になるし
縄文人についても暮らし振りと衣服のギャップに違和感があるし
何時どこからこの島に辿り着いたのかと思いを巡らすための
手掛かりがほしいし
一番の問題は
スサノオに始まり大国主の命に至る出雲族の立ち位置だろう
又高天ヶ原と天孫族の関係は同族同士なのか?
異なる種族なのか?
縄文人と出雲族と天孫族の関係は?
更には東北の民やアイヌの民や熊曾などの存在とどう関わるのか?
それにしても
大判の本で読めばこの描き込まれた精密な絵を
もっと楽しめたと残念に思う