今日はいぬの日

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 91
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041030318

作品紹介・あらすじ

飼い主一家に虐げられ、辛い日々を過ごす白犬のヒメは、流星群の夜、庭に落ちた不思議な石を見つける。 その石をなめたヒメは、なんと人間の言葉を話せるように。 ヒメは言葉巧みに、家族を操り始めるが……。

感想・レビュー・書評

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  • 犬繋がりで読んでみた。
    可愛いらしいイラストとは程遠いストーリーに驚いた。
    散歩にも連れて行かず、ブラッシングもシャンプーも皆無。挙げ句は、餌すら忘れてるヒメの家族。
    ある日、不思議な石を舐めたことで人間の言葉を話す力をつけたヒメは、家族、そして人間への復讐へと動きだす。
    子供の頃、私のワガママから飼い始めた犬がいた。
    中学になり部活が忙しくと、散歩は父に任せきりになってしまった記憶が甦り、後悔の念が。
    コロナ禍の今、ペットを飼う人が増えていると聞く。
    猿の惑星並みに、人間への復讐心に燃えるヒメ。
    愛情をたっぷりかけられていたら、こんな事にはならなかっただろうな。
    色々考えさせられた。

  • 苦しい。つらいのに手が止まらず一気に読んでしまった。生き物を飼うなら愛すのが当然だと思っていたけれど、そういかなかったヒメといぬたちの話。パニックホラーだと思えない愛されなかった恨みの切実さが苦しかった。
    単行本版のタイトルについている「今日は」の「今日」は、ヒメが友達の期待をした日、置いていかれたあの日、そして息絶えた今日、なんだな……。
    改めて動物に真摯に向き合わないといけない、と思った。ここまでの覚悟を決められないので、生き物を飼うことはないだろうけれど。スズちゃんが救われたのか、呪えなかったことに絶望したのか、わからないけれど愛されていてそれを理解していてよかった。

  • コロナ禍で犬猫を飼い始めて飼いきれなくて手放す人が多いという今こそ読んでほしい本。
    食事も与えられず散歩にも行けず家族中から無視されている日本スピッツのヒメ。ある時庭に落ちてきた石を口にしてから人の言葉が喋れるようになった…。
    表紙の印象と違ってホラーっぽい話なのかなとは思って読み始めたものの、(あながち間違ってもいないのだけれど)最近めっきり涙脆い私は涙が止まらなかった。過去に動物と暮らしたことのある人ならもしかしたら共感してもらえるかもしれない。過去に暮らした子たちは悪くない生涯だったと少しでも思ってもらえただろうか、そんなことを考えてしまう。

  • 可愛い表紙とタイトルに釣られて読んでみたら、なかなかハードな物語だった。この発展しすぎた社会で動物と共存していくっていうのは本当はもう無理なのかもね。
    ラストもいいようには向かわないだろうと思わせるブラックな終わり方。

  • 犬の反逆。
    人語をしゃべる犬が仲間を集める。
    虐待した飼い主を惨殺。
    反抗は唐突に終わる。誰かに犬の思いは伝わったのか。

  • 物言わぬ飼い犬たちの気持ち。
    怖ければ震えるし、嬉しければシッポを振る。
    もしも本当に、ある日犬が喋り出したら…。
    想像力を働かせて「今」そこにいる子が何を思っているのか考えてみる。時間もお金もかかるけれど飼うと決めた以上は最期まで付き合う、ヒトはその覚悟を問われている。
    言うなれば、この本は世界中で飼われている犬や猫たちの「権利宣言」といっても過言では無いと思う。

  • この可愛い絵に騙されたぜ!
    ヒメは好きになれないし、ミコトには死んで欲しくなかったけど
    話とは別にいろいろ考えた。
    いつもいじめたミルちゃん…もっとかまったげれば良かったな。
    土手で過ごしたブラッシング懐かしいな…

  • 意図したわけではないけど、猫の次は犬の本。
    我が家でもスピッツを飼っているので、スピッツが主人公なんだ~と軽い気持ちで手に取った…んだけど、あまりにも辛すぎる内容だった。なんという表紙詐欺…(笑)
    家族に愛されず、人間を恨むようになるヒメ。こんな不幸な子ばかりじゃないと思いたい。ミコトのように、飼い主に愛し愛され幸せな生涯を過ごす子の方が多いって思いたい。でも、簡単に生き物を捨てたりする身勝手で馬鹿な飼い主がいるというのも、毎日殺処分される犬や猫がいるというのも、目を背けたくなる現実だ。結局誰も報われない話で、悲しいやら、腹立たしいやら、色々と打ちのめされる内容だった。

  • 図書館で装丁借り。
    ひさしぶりに最初から最後までヒメちゃんに入り込んでしまい号泣したおしました。ホラーのカテゴリですが、これはホラーではなくて社会小説。隕石らしきものを食べたことで知能が発達し人語を話せるようになった不幸な犬の話。前半は怒り&悔し泣き、後半は悲しくて悲しくて、全編とおしてふつふつと怒りがこみ上げる作品ではあります。かなりのネガティブエナジー活性化。ヒメたちが”センター”襲撃するくだりは、フランス革命をスタートさせたバスティーユ襲撃を思い出しました。折角小説なんだからそのまま、革命が成功していれば厭な読了感が後ひかなかったのかもしれませんが、非常に辛い話です。実際、ヒメがやろうとしたことはヒメ自身がインマチュアでビジョンがなかったために失敗となりましたが、これがもっと長期で政治的な働きかけができれば結果は違ったと思います。また比喩的要素も多分にあるのでこの”犬”のところに色々と当てはめる事でまた色々考えさせられることも多いです。
    まったく違う系統ですが、ディーンRクーンツの『ウォッチャーズ』を再読したくなりました。化学実験で知能を発達させて人語を綴れるようになったレトリバー犬アンシュタイン、こちらも泣けますが、もうちょいラヴァブルな感じですな。

  • 前回のカニに引き続き犬!これはもうテッパンでしょう。怖くて泣けて可愛くておぞましい。独特のセンスが癖になります。キャロルの「犬の最良の友」を思い出しました。

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