Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ (5)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 199
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041031445

作品紹介・あらすじ

沙条愛歌の手に堕ちたサーヴァントを残し、ついに全ては退場。いま彼女の瞳に映るは愛するセイバーのみ。彼女の望みが叶う――。奈須きのこが綴った「Fate」の原典から8年前を描くスピンオフ小説、完結!

感想・レビュー・書評

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  • 最初に断言します。
    面白かった!!!!!

    シリーズ通して言えば他のレビューでさんざん酷評されてる通り大きな欠点や難点はあります。
    その最たるものはエピソードが時系列順に並んでおらず頻繁に視点が入れ替わるため読者が混乱すること、戦闘シーンの省略などですが、それらを差し引いても声を大にして面白かったと言いたい。
    けれどこの感慨は全巻通して読んでこそ得られるものだと思います。
    志半ばに散っていったマスターや英霊たち、各陣営の視点で聖杯にかける願いや心情が長々と語られ掘り下げられたこそ、最終巻にして漸く正義の味方に覚醒したプロトアーサーの主人公としての震えるほどのかっこよさが輝く。

    正直に白状すると、FGOで人気のプロトアーサーの魅力がいまいち理解できませんでした。

    確かにかっこいいとは思うのですが、最弱でありながら正義たらんと足掻き続けたバーサーカーや最後の瞬間まで優しい大英雄の包容力を見せて惚れ直さざる得なかったアーチャー、孤独に苦しみ愛を求めて彷徨い続けたアサシンらに比べて弱さや歪み、苦悩や葛藤などの人間味が感じられず、女の子が恋する「完璧な王子様」の定型が一人歩きして感情移入が難しかったです(愛歌視点での記述が主で、アーサー自身の内面が記述される事がごくわずかだったのも要因です)

    それが本巻を読んで、まさしく主人公……!と考えを改めました。
    嘗て幼子が救われる世界を夢見たアーサーが、綾香との邂逅を通して見失いかけていた本当の願いに気付く時点で熱いのですが、既巻で散っていった六騎の英霊が遺した想いや託した願いが、ここぞ!という場面で生きてきてそれぞれのファンはもうたまらない。

    誰一人として無駄な死と消滅はなく、アーサーが真の騎士道を果たす原動力であり続けた。死者が生者の背中を押した。

    刮目すべきはP255からの神展開!!!!
    燃えずにいられまいか!!!!!!!!!!

    王道といえば王道、お約束といえばお約束ですが、そんなのどうでもよくなるくらい興奮しました。
    愛歌自身は聖杯戦争を自分とアーサーの恋の彩り程度に考えていましたが、この物語が七人七騎の在り方と生き様を描いた群像劇であり、アーサーの無双に依らず、一人一人が主人公だったと思い出させてくれる展開にじんとこみ上げてきました。

    「右手で充分だ。
    七騎もいれば。」

    ネタばれになってしまうので詳細は伏せますが、癖が強く好き嫌いが分かれる文体なのは事実としても、ここに続く文章を読めただけで感無量でした……

    今巻は既巻で省かれがちだった戦闘シーンも比較的詳細に熱量をもって書かれているので、バトル好きもお気に召すと思います。個人的には娘を思うごく普通の父親だった沙条父にほろりとしました。

    FGOで好きなサーヴァントが登場するけど評価が微妙なので買おうか買うまいか迷ってる方、そのサーヴァントが本当に好きなら買って損はないです。もっと好きになります。
    サーヴァントの心理描写は本当にこまやかに描かれているし、マスターとの掛け合いやサーヴァント同士のやりとりでその魅力を再発見できると思います。

  • アーサーが愛歌に視ていたのは、きっとモルガンだったのかもしれない。けれど、モルガンとは違う彼女、瞳に湛えられたのは「狂気」としてアーサーの目に映っていたのだろう。
    何よりも純粋な綾香を守るために彼はマスターである愛歌を殺した。ブリテンの崩壊は変わらない事象、それを覆すよりも彼は一人の少女を守りたかった。王として、人として……
    アーサーがアルトリアとは違う形でブリテンの崩壊を認める経緯。面白かったです。
    アーサーがFateでは一番好きです。

    ただ、桜井作品は読み辛い……

    ※商品カテゴリがマンガになっていますが、小説ですのでご注意を。

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