乙女の日本史 文学編 (角川文庫)

  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041031650

作品紹介・あらすじ

教科書で習ったあの名作も、乙女の目線で読み解けば、こんなにスキャンダラスで面白い。肉食系女流歌人に、悶絶ラブレターを書いた文豪まで。書き下ろしコラム「明治〜平成・イケメン文豪図鑑」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • これまでの通説には、「オッサン史観」が多い!と思う。
    どうも男性優位的な解釈が多く、それってなんか違くない?と思うこともしばしば。
    それをガツンと言ってくれる本書は、我が意を得たり!
    とはいえ......。自分に都合のいい解釈だけを、快いからと言って無闇に信じ込まないようにしないとね。

    さて、ギリシャ神話にも天岩戸伝説と類似エピソードがあるという(18頁)。
    いきなり衣をはだけ、下半身を見せる、だと!?
    お盆芸なんてレベルじゃない。
    娯楽の少ない時代、裸芸は東西共通の笑いだったということか。
    今も昔も、ではあるが、嫌がる人には無理強いは禁物。

    『日本霊異記』『本朝文粋』が下ネタを含む本だったとは。
    古文漢文は好きだったが、どちらもあまり面白くない本だったように記憶していたが、それは当たり障りのない、勉強用のエピソードだったようだ。
    ああ、十代で知っていれば、もっと面白く思えたかも!
    でも、こんなこと、学校で教えられるわけもないか。

    『壇ノ浦夜合戦記』はさらにひどい有様だ。
    「それ行かんとす。ああ、それ行けり」だもの。
    二次創作本だというが、作者がビッグサイトでのイベントを見たら大喜びするだろう。

    そして明治期には男同士の固い友情という名の妄想が名著を生み出している。
    『女の子に「呑み込まれ」、不幸になって』(258頁)いく男性たちは、己の心の弱さ、生きにくさをマッチョの衣をまとい必死で覆い隠すと、「オッサン史観」が生まれたのかもしれない。

  • ざっくり日本の文学史を学べる本。若干偏りがある感あるけれど。合間合間に入る週刊誌風のやつが乙女じゃないなぁと思ったりもするけれど。文学から見る女性の立ち位置の変遷が面白かった。谷崎の『美少女搭載おじさんモビルスーツ』のあたりがなるほど、と思った。

  • 古代から現代までの日本文学を「乙女の視点」で読み解いた本。『乙女の日本史』シリーズの第2弾。

    『万葉集』から『朝雲』(川端康成)まで、歴史に残る文学作品や作家たちを愛や性をテーマに解説しています。

    第1作(『乙女の日本史』)と同じように、日本文学に関するマンガ(主に少女マンガ)も紹介されています。

    日本史や日本文学の雑学を楽しく知ることができます。本書に登場する作品を知っていれば、さらに日本文学を楽しむことができます。

  • 買ったのは何年も前ですが、本屋さんで手に取って中を見て、一度棚に戻したことを覚えています。
    おふざけ系で内容が薄っぺらいのではないかと思ったので。
    でもやっぱり気になって、買ってしまったのでした。

    確かに深みはないかもしれないけれど、面白かったです。

    奈良時代は今よりも男女同権で、女性官僚も普通にいたし(和気広虫とか)、衣装も男女の別はなかったのに、平安になって少しずつ女性は家に閉じ込められるようになった。
    鎌倉時代までは女性の御家人もいたし、夫の財産とは別に妻の財産というのが認められていて、夫と言えども勝手に処分などできなかった。

    なんて日本の女性史を読んでから文学史部分を読んでみると、あら不思議。
    1000年も前から実は女性のしたたかさ、一途さ、心意気などあまり変わってはいない。
    世の中に求められる女性らしさは変わっても、持って生まれた本質はあまり変わってはいない。

    明治の文豪の小説も読みたいけれど、平安の女流文学に興味を持って行かれました。
    読んでも読んでも読みたい本って減っていかないのね。ふふ。

  • 女性向け、文学の歴史解説。
    ゴシップ要素が強く、コミカルに解説しているので、軽く面白く読めます。
    従来とは少し違った視点から、文学、作家を見つめ、解説しています。
    本書内で解説された文学が読みたくなってきます。

  • 再読です。ゴシップっぽいのは前作から変わらずですが、分かりやすくとっつきやすいです。日本人の感覚、昔から変わってないなぁと思うところもあれば、途中で変えられたところもあったことを知りました。古典もこれから読んでいきたいです。

  • 概ね楽しく読了。

    谷崎を「勝気な美少女が乗りこなす、おじさん型モビルスーツ」というなど、比喩が卓抜。

    ただ、何か所か、あれ?というところもあった。
    例えば、芥川龍之介の夫人、文についての説明。
    本書では久米正雄の妹となっているが、そんなはずはない。
    確かに彼女は芥川の友人の縁者だったが。
    彼女の旧姓は塚本。
    文の母の実弟、山本喜誉司が、芥川の中学時代の親友。

    ここだけならいいけれど、一つ見つけてしまうと、他の部分もにも間違いがあるんじゃないか…と疑ってしまう。
    そこが残念。

  • 上代文学→平安文学→中世文学→近世文学→近現代文学と奈良時代から20世紀中盤までの「日本文学」を「乙女」の目線で読み解く文学論です。 ―― http://bookmeter.com/cmt/53423327

  • 文庫本書き下ろしコラムが読みたくて、図書館から借りたけれど……面白くなかったかな(苦笑)。

  • 時代が変わると文学作品の見方も変わる、っていう考察が面白かった。
    昔々学校で習った文学史は、この作品は何派で…なんて覚えるだけのもの。
    けれどきちんと文学史を知りたいと思ったら、その土台となる時代の背景も理解しなきゃいけない…当然だけど。
    日本史編もそうだったけど、ちょっと品が良くない点はあるこのシリーズ。
    それでも、今まで通りじゃない新しい見方を教えてくれるのは新鮮です。

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著者プロフィール

堀江宏樹(ほりえ・ひろき)
1977年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒。
日本、世界、古代、近代を問わず、歴史の持つ面白さを現代的な視点、
軽妙な筆致で取り上げている。
綿密な検証と考察、臨場感溢れる描写には定評がある。
主な著書に『本当は怖い世界史』『本当は怖い日本史』『本当は怖い世界史 戦慄篇』『愛と欲望の世界史』『眠れなくなるほど怖い世界史』(以上、三笠書房《王様文庫》)、『乙女の日本史』『乙女の美術史 日本編』『乙女の美術史 世界編』(以上、KADOKAWA)、『三大遊郭 江戸吉原・京都島原・大坂新町』(幻冬舎)などがある。

「2022年 『本当は怖い江戸徳川史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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