心霊探偵八雲 ANOTHER FILES 裁きの塔 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 1115
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041033654

作品紹介・あらすじ

大学内の時計塔で晴香が錯乱状態で発見された。「私が殺した」――晴香に殺人の容疑が降りかかるなか、八雲は彼女の無実を信じて独自の捜査を始めるが――。どこから読んでも楽しめる外伝シリーズ、待望の新作!

感想・レビュー・書評

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  • 今度は晴香が容疑者に?!
    “探偵役”である八雲が、晴香を信じきれないその理由とは…?

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    八雲と晴香が在籍する大学には、古い時計塔が立っている。
    今はもう、立ち入り禁止になっているその塔には、とある伝説があった。

    その伝説にまつわる心霊事件が持ち込まれ、調査しだした八雲と晴香。
    しかし晴香は、そこで起こった殺人事件の容疑者として捕まってしまう。

    晴香は犯人ではないと、必死に捜査する後藤刑事・石井刑事であったが、八雲は“晴香が犯人ではない”と言いきれない自分がいることに気づく。
    そんな八雲の心中にある、本当の想いとは…?

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    今回の「裁きの塔」は、前回読んだ「ANOTHER FILES 祈りの柩」同様、登場人物の多い作品です。
    「祈りの柩」よりは情報をつなげやすかったですが、ここで終わりだろ、と思ったところで飛び出してきた人物に、「えっ、あなたも関わってたの?!しかもそういう過去?!」と衝撃をうけました。

    事件そのものも読み応えありですが、わたしイチオシの本作見所は、“八雲の葛藤”です。
    後藤刑事、石井刑事らがこぞって「晴香は無実だ!!!」と信じて捜査するなか、八雲だけは「正直、わからない。あいつのことを信じられるほど、ぼくはあいつのことを知らない」というスタンスを取ります。
    読み手からすれば「えー?!あんなに一緒にいるのに?!」という感じなのですが、よくよく読んでいくと、そんな思いをもってしまう八雲の思考過程がよくわかり、「うむむ、このこじらせ男子め…」という感じでした。

    八雲のそんな迷いは、晴香と面会し、彼女本人の言葉を聞いたことで吹っ切れます。
    というか、晴香の八雲を信じる力がすごすぎました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    人を信じる信じない問題は、なかなか難しいですね。
    その人の過去を知っている・知っていないことが、信じられるかどうかにつながる!とは言いきれないですし、過去は清廉潔白であっても、未来はわからないのが人間という生き物です(泣)

    特に八雲は、常に“探偵役”でもあるため、冷静に捜査をすることが求められてしまいます。
    晴香を信じつつも、捜査上はあらゆる可能性を否定せずに考えるのって、難しいものだなあ…と思いました。

    でも八雲も今回の事件で、晴香が黙ってそばに居続けてくれるものだ、と無意識のうちに甘えていたことに気づいたようなので、八雲にはその気持ちを忘れずにこれからも生きていただきたいです。

  • 八雲シリーズ外伝第3弾。
    今回は晴香が殺人容疑で拘束され、八雲たちがその真相を追う。

    晴香の無実を無条件に信じる後藤。
    信じたいと思いながらも心が揺れる石井。
    何を信じればいいのか分からなくなってしまった八雲。
    三者三様の心の動きが興味深い。
    人を信じるのに根拠なんて必要ない。直情型の後藤ならではの理屈だけど、過酷な生い立ちから心を閉ざしていた八雲には理解できない感覚。こういう時、後藤刑事の単純さが救いとなる。

    この事件を機に八雲と晴香の仲が深まった感じ。もうすぐ本編の新作も出るみたいだし、そちらも楽しみ。

  • 大学構内にある、幽霊が出る時計塔。
    その中の小部屋に置かれた鏡は
    死者と再会できるという伝説の鏡…
    って、ハリ○タか(^◇^;)
    みたいな出だしですが
    いつもどおり一気に読めました。

    今回は、そのいわくつきの塔で
    同級生を殺害した犯人として
    晴香ちゃんが捕まってしまう!
    しかも何故か自供までしたらしい。
    最初はショックを受けた関係者一同だけど
    もちろん彼女がそんなことをするわけがないと
    真実の解明に乗り出す。
    最初は斜にかまえてた八雲も
    後藤の喝〜!で重い腰を上げる。

    やっぱり怖いのは
    幽霊より人の執念よねぇぇ〜。

    そのころ、八雲のもとに
    またしても晴香が「トラブル」を持ち込む。
    級友が何かに取り憑かれたようになって
    怯えているから助けてくれというのだ。
    その現象は彼女がいつわりの樹の下で
    待ち合わせをした日から起きているらしい。

    事件現場で後藤刑事と鉢合わせした八雲は
    そこで殺された被害者の霊を見て
    ふたつの事件がつながっているのではと
    疑いを抱くのだが…。

    私のお気に入りの石井刑事
    今回は被害者や関係者が知人だったこともあり
    なんだかつらい巻でした。
    でも、これで大きく成長するのかなぁ。

  • ■晴香が殺人犯ーー!?

    キャンパスの中心にそびえ立つ時計塔。その最上部の小部屋にある鏡に祈りを捧げると、 死者と再会できるという伝説がある。 晴香の友人・美樹の知り合いが幽霊に取り憑かれ、 八雲に相談を持ちかけた。時計塔に赴いた晴香は、そこで殺人事件の容疑者として捕らえられてしまう。晴香の無実を信じる八雲たちだが、捜査班からは動かぬ証拠を突きつけられてしまい……。

  • 久しぶりに八雲シリーズを読みました。
    亡くなった人の霊が関わっていることと、文芸サークルの部員と顧問、その縁者など狭い人間関係が複雑に絡んだ事件の真相は、驚きでした。一度読んだだけではピンとこなかったので再読が必要かなと思いました。
    晴香ちゃんに容疑がかかった今回の事件で、八雲君が今まで以上に悩んだり、彼女のことを気にかけたりするような場面があったりして読み応えがありました。
    今後の話も楽しみです。

  • 学生の頃、流行っていたけどとうとう読む機会がなかったな、と急に思い立ったので古本で購入。キャラクターも会話の文体も、昔懐かしいライトノベル★って感じ。ああ、安心する(笑)

    シリーズがたくさん出ているので、面白かったら揃えて読もうと思ったのですが、ヒロイン晴香のキャラが肌に合いませんでした。トリック?オチ?もやっぱり古くて。
    こうしてみると、最近デビューする若い作家さんたちは、昔に比べるとこなれてるんだなぁ、ということを思った一冊でした。

    でも、キャラクターも構成もシンプルなので、さらっと文字を読みたい欲求を解消するには良いと思います。

  • 晴香が殺人事件の容疑者になる話。八雲と晴香の話が好きなので読み進めるのが楽しかったが、ミステリーとしてはちょっと物足りなかったので★4つ。

  • 再読。
    後藤さんは桐野さんの件があってから、ちょっとマイルドになってきたようでヨカッタヨカッタ〜。あとは石井くんを癖みたい殴らなくてなればいいんだけど(笑)
    晴香ちゃんが犯人?ってなって八雲くんとの距離がグッと縮まる回。

    「信じてた」と言う晴香に、八雲が「分かってる」って言って晴香の頭にポンと手を置くシーンは、惚れてまうやろ〜〜!!!ってなった。

  • 06月-06。3.0点。
    心霊探偵八雲、アナザーファイル。大学の時計塔に、死んだ人と会話できるという噂が。塔で会話した友人が変だと相談を受けた晴香。また事件に巻き込まれることに。。。

    相変わらずのスピード感。まあまあ面白い。少しずつ近づいていくふたりの距離。

  • 面白かったー、全然わからなかった。
    八雲がちょっと遥香ちゃん疑ってておいいいって思ったけど、ちゃんと最後は信じたからまぁ良しとする。
    ってか思ったんだけど決定的な証拠が服のルミノール反応って言うけど普通犯行後に血のついた服とか燃やすなりして処分しない?洗って部屋においてある方がいかれてると思うんだけど。
    もう少し物的証拠を詰めたほうがいいと思う。

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著者プロフィール

2003年『赤い隻眼』でデビュー。改題した「心霊探偵八雲」シリーズでブレイク。様々なエンタテインメント作品を発表し続けている。

「2023年 『怪盗探偵山猫 深紅の虎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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