あとは野となれ大和撫子

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著者 : 宮内悠介
  • KADOKAWA (2017年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041033791

あとは野となれ大和撫子の感想・レビュー・書評

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  • 舞台は中央アジアの沙漠の国・アラルスタン。後宮の少女たちが主役。かなり異国情緒あふれるラノベ?エンタメ系で今までになく読みやすく、まさにノリノリ状態である。(そのぶんSF要素が少なく物足りない)。今までこんなことなかった…登場する飲み物や食べ物がおいしそうで、お茶やスパイスなど香ってくるようなこういう情景を描くのも珍しいな…と感動。とあるお菓子の行方が気になる。これは続きありでしょ、これは。宝塚っぽいところもあり夢落ちならぬ劇落ちじゃなくてよかった…とホッとした。

    面白いんだけど想像が追いつかない展開や場面が多々あって、奇想天外すぎて呆気にとられてしまったところもある。ロシア(元ソ連)と周辺諸国の力関係や水や油田などの利権…たくさんの要素が絡み合い、ジャミラの故郷の場面ではつい涙がこぼれてしまった。わからないことがあったので検索しながら読んだけどショックなことが多かった。あまりに現実に近い要素もあったので物語なのか実際にあった事件(または存在していた人物)なのか、少し混乱しながら読了。

    『カブールの園』では日系人強制収容所に触れ、この『あとは野となれ大和撫子』では主にロシア(ソ連)とその周辺国について取り上げている。私は今まで何も知らないで生きてきたんだな…と、そう思ってしまった。

    ナツキがよく口にしていた「やることはやった、あとは野となれ」ってセリフが、とても遊牧民っぽく強さやしなやかさを感じた。若さっていいな。沙漠も国も政治も恋も文明も地球の再生力もみな未知だ。表紙もタイトルも内容も色彩豊かでいいなと思った。個人的にはSF作品の方が好みなので評価は星3.5で。続きがありそうな終わり方なのでぜひぜひお願いします。(直木賞候補作品)

  • ああ面白かった。非常に後味の良い極上のエンターテインメントでした。女性の立場が複雑なイスラム圏の国で立身する女性たちの物語です。シビアな現実がコミカルな表現力で柔らかく描かれています。酒見賢一「後宮小説」、高野秀行のソマリアレポート2編、須賀しのぶ「また、桜の国で」などを連想しながら読みました。雑然と読み漁った読書から得た文化や歴史の知識がイマジネーションを助けてくれました。この多幸感があるから読書はやめられません。内容に触れるとネタバレ祭りになりそうなので、あえての自粛ですw

  • 2017年上半期直木賞候補作品。
    中央アジアの小国アラルスタン。大統領が射殺され、国内の政情が不安定に。そこで後宮の若き女性たちが、アイシャを中心に立ち上がり臨時政府を立ち上げる。対テロリスト、対周辺国対策だけでなく、国内にも問題が山積する中、彼女達は国を、そして自らを守れるか・・・
    状況としてはかなりシリアスな設定だが、ユーモラスな箇所も多く楽しめる。中央アジアの歴史や情勢を知っていれば、更に面白く読めたかも。
    各編の最後に組み込まれている「ママチャリで・・」の日本人旅日記も面白かった。

  • 壮大なエンターテイメント作品だと思います。
    他の人のレビューにもありますが、なじみの薄い中央アジアが舞台で、政情や気象風土、土地の人々の構成など、いろいろ考えさせられる部分もあります。その意味ではシリアスですが、それを上回るポップでハチャメチャなガールズで作品を盛り上げていると思います。
    章の終わりの「ママチャリで世界一周」のコラム風のエピソードが物語とリンクして楽しみが増しています。
    物語ですから、何でももありですが、反則それすれのどんでん返しの連続で、まんまとはめられてしまいました。
    「盤上の夜」しか読んでいませんでしたが、正反対な印象の作品です。それだけ広い懐の作家さんということなのでしょう。他の作品も読まなきゃ。

  • 『盤上の夜』『ヨハネスブルグの天使たち』に続く直木賞ノミネートですが、いやはやびっくりしました。
    宮内さんってシリアスなSFを描く人、というイメージだったのですが、ここまでポップで明るいガールズ冒険小説で勝負してくるとは。
    人を食ったようなタイトルしかり、正直過去作と同一の人物が書いたものとは思えません。文体も違いますし。
    まさに新境地、という言葉がぴったりの作品だと思います。

    本作は評価に迷いました。
    はっきりいって設定自体は荒唐無稽で、ストーリーもご都合主義満載です。
    架空の国家アラルスタンの成り立ちの部分は細かいところまで作り込まれていますが、いくら小国とはいえ、大統領が暗殺される事態になったら国連やアメリカが黙っちゃいないでしょう。そこに触れないのはおかしい。
    国内情勢が不安定な中、政治そっちのけでお芝居に夢中になるあたりも不自然。というか常識的に考えてあり得ない。
    と、途中までは意地悪く突っ込みながら読んでいたのですが、そういう細かいところに目くじら立てて読む話ではないという気にもなってきました。
    宮内さんがやりたかったのは、現実世界との整合性なんかは二の次で、日本人にはなじみのない社会を舞台に、とにかく軽快で楽しい成長小説を描くことだったのではないでしょうか。
    そういう意味では十二分に合格点を与えられる出来だと思います。
    さまざまな困難を乗り越えて明日への一歩を踏み出すというのは、まさにエンタメ小説の王道の展開ですから。
    登場人物がみなキャラ立ちしているところも好感が持てます。私が好きなのは吟遊詩人のイーゴリです。

    それでもあえて言うと、政権委譲に至った場面だけは、個人的にはもうちょっと描き込んで欲しかったですね。
    そうすれば「国家をやってみる」ことへの重みがぐっと強まり、後の展開に一段の深みが出たと思います。

  • 面白かったけど、ちょっとわかりにくい部分が多数。
    後宮の女性の特徴なのか、みんな同じ話し方だし、誰が話してるのか誰の視点なのかがわかりにくい。
    でも、SFの要素あり恋愛要素ありエンタメ要素ありであきさせない。
    終わり方もよかった。

  • アラルスタン?あれ?中央アジアってよくわからない…そのよくわからないところに緻密な世界観を構築してるリアルなファンタジー。冒険小説であり少女小説であり成長小説でありSF小説であり恋愛小説でした。こんなジャンルのお話読んだことない。時々出てくる料理の香辛料効いた感じとかお茶の清涼感とか乾いた海の乾燥のイメージとか五感を刺激されながら夢中に一気読み!

  • <野にも海にも,吹き抜ける少女たちの風>
    本の厚み対して,とても読みやすかった.
    読みやすい中にも,政治や宗教,紛争や世界のとらえ方を各キャラクタが述べる個所では考えさせられることもあった.
    自分がトルコに行ったことあるからか,物語の舞台の民族衣装や料理,し好品もなんだかイメージしやすかった.
    随所に入る詩歌は,トールキンっぽいなと思ったら参考文献にはいってて,ファンタジー要素を感じたのもそこらへんが関係しているのかも.
    アニメとかでも見たい.

  • 中央アジアの小国を舞台に行き場を失った少女たちが繰り広げる冒険譚。ファンタジー好きが喜びそうな設定で、「国をやってみる」ことになった女性たちの活躍がいきいきと輝いて眩しい。何よりもタイトルがクールだ。

  • アラル海が干上がった土地に、アラルスタンという国があるという設定。大統領が暗殺され、議員たちも逃げ出したので、後宮(女性の教育の場)の少女たちが政府を立ち上げる。参考文献の多さから、難しい話かと思っていたけど、軽いノリで読みやすかった。学園物。章ごとにはさまれるママチャリの男の話がよい。

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あとは野となれ大和撫子の作品紹介

かつて中央アジアに存在した海。塩の沙漠となったそこは今、アラルスタンという国だ。だが大統領が暗殺され残ったのはうら若き後宮の女子のみ。生きる場所を守るため、ナツキたちは自分たちで臨時政府を立ち上げ!?

あとは野となれ大和撫子のKindle版

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