ヘブンメイカー スタープレイヤー (2)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
4.01
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本棚登録 : 369
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041034668

作品紹介・あらすじ

気が付くと殺風景な部屋にいた高校二年生の鐘松孝平。彼は横須賀にむかってバイクを飛ばしている最中に、トラックに幅寄せされ……その後の記憶はなかった。建物の外には他にも多くの人々がおり、それぞれ別の時代と場所から、「死者の町」と名付けられたこの地にたどり着いたという。彼らは探検隊を結成し、町の外に足を踏み出す。一方、片思いの相手を亡くし自暴自棄になった大学生の佐伯逸輝は、藤沢市の砂浜を歩いていたところ奇妙な男に勧められクジを引く――。いつのまにか見知らぬ地に立ち、“10の願い”を叶えることができるスターボードという板を手渡された。佐伯は己の理想の世界を思い描き、異世界を駆け巡ってゆく……。先住民や来訪者、そしてどんな願いを叶えることのできるスタープレイヤーが共存する広大な異世界で、人間の本質を描きあげる。興奮と感動をよぶ、渾身のファンタジー長編、第二弾!

感想・レビュー・書評

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  • 楽しみにしていた小説第二作、期待を超えた仕上がりでした!!
    早世した想い人を生き返らせる、許せない悪人を呼び出し罰を与える、不慮の事故でなくなった善人を呼び出す。なんでもかなう10の願いがあれば誰しも興味を持つ内容が、実際に行うことにより何が起こるのか、人間の心理や宗教などを交えて、とてもわかりやすく、読みやすくシュミレーションをしてくれたイメージ。クーデターを起こした人に対する死以外の罰などもすごくよかった。
    また、最後、主人公が悲観にくれるのも胸を打たれた。
    三作目も待ち遠しい!!

  • 「スタープレイヤー」シリーズの2冊目は、願いを叶う力を得た青年の愚かしく道を誤りながらひとつの業をなし得ていくパートと、死からよみがえった青年たちの冒険譚のパートが交互になってつづられていきます。

    そのふたつのまったく違うような物語が、やがてひとつに寄り添っていき、その意味が解明されていく過程は、まさしく「世界の創生」の過程をみるような感慨を得ました。

    それをなし得たのは、自己中心的な欲望を叶えようとして挫折した青年。彼のその「馬鹿だなあ」という行動からのバベルの創生へのたった一人で歩んでいくプロセスは、人間のこれまでの愚かしい歴史を歩みなおしているかのよう。かくも人は愚かで、けれど見捨てきれない温かみのあるものか。ラピとのぎこちないふれあいのはぐくみを思い、そう、感じもしたのでした。

    物語はとてもときに冷酷に、さばさばと切り捨てるように進んでいきます。ラストの青年の姿は、あまりにも切なく孤独の極致のようにも感じました。だからこそ、人が育んでいく世界というものの危ういバランスとかけがえのなさを、思い知ることもできた、と思います。

    物を語る、世界を語る、人を語る。
    語る力に満ち満ちた、
    ただの異世界ファンタジーではない、
    フィクションの醍醐味を感じた小説でした。

  • 異世界で10の願いが叶うスタープレイヤーに選ばれた佐伯と死者の町に召喚された鐘松の話。スタープレーヤーと召喚者と交互の視点で見れる楽しさと、スタープレーヤーの数だけ願いが違う面白さ。他のスタープレーヤーの願いや生き方も気になる。

  • 副題に『スタープレイヤー2』とあり、続編と評されるのを目にしますが、具体的には前作の前日譚です。
    異世界に現れた日本を模倣した街「ヘブン」と地獄「バベル」を創造した男の壮大な建国叙事詩。
    ありとあらゆる力を手にした男の波乱万丈の冒険に胸が高まります。
    恒川光太郎節は封じられていますが(著者に新たな側面が加わったとも言えるが)、筒井康隆『旅のラゴス』のような放蕩録が好きな方にオススメです。
    人生で最高の一冊でした。

  • 面白い!!
    前作「スタープレイヤー」より、第二作のこちらのほうが断然面白いです!!
    こんな分厚い本なのに、思わず3度も読み直しました。
    滅多に自分が読む本は買いませんが、こちらは購入しようか検討中。


    スタープレイヤーは読まなくてもいいので、こちらの「ヘブンメイカー」をおススメします。
    恒川光太郎さんはホラーが好きで、ずっとホラーを描いて欲しい!と思っていましたが、
    ヘブンメイカーを読んだら、こちらの続編も読みたくなりました(苦笑。

    • みつきさん
      >LUNAさん
      (*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)名作ですよ!
      ビックリしました。
      前作とは趣きもスケールも違ってて。
      ...
      >LUNAさん
      (*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)名作ですよ!
      ビックリしました。
      前作とは趣きもスケールも違ってて。
      これはもっと宣伝して、いろんな人に読まれ、
      評価されるべきですよねエ。
      (でも恒川さんのホラーもまた読みたいなぁ・・・(#^.^#)
      2018/02/20
  • こっちの方が俄然面白かったじゃないの!

    スタープレイヤーの続編。今回の主人公はずっと片思いだった幼馴染の女の子をストーカーに殺されてしまった絶賛絶望中の大学生男子。

    初期の主人公は彼女をスタープレイヤーの世界で復活させるべく,故郷の町を丸ごと作ったり,結構な無茶をやらかす。

    もう一人の主人公はバイクで事故にあって死んだはずの高校生男子。気づけばスタープレイヤーの世界に転送されてて,そこで同じように転送されてきた数千人単位の死んだはずの人たちと共同生活を始める。

    話は交互に語られていって,まあ最終的にはつながるんだけれども,一方のスタープレイヤー男子のほうは呼び出した彼女とだんだんギクシャクしだしたり,いろいろな出会いがあるほどに歯車が上手く回らなくなっていく。

    他方死んだはずの高校生男子のほうは,周囲の人と協力して現地の生き物や植物を発見したり,新聞作ったり,あるいは周辺を探検したりして,大変ながらに前向きに楽しく社会を作っていく。

    結局最後は二つの物語が収束するんだけれども,1よりも面白かった理由はいろいろなことがそれなりにすっきり解決したからだとおもう。1でもあった,地球での犯罪者に対する復讐も,スタープレイヤー男子の最後のお願いも,対立する現地の部族の争いごとの行く末もしかり。

    もとはホラーを書く人なんですね。このシリーズの続きが出たらまた読みたいなあ。

  • 前作がいまひとつな印象だったけれど、
    今回はけっこう楽しく読み切った。

    なんでもありな願いを10個叶えるという
    途方もないお話なので、
    今回もその規模が途方もなかった。

    なんでもできるって、その責任を取るという意味でも
    (周りを巻き込むという意味でも)
    すごくたいへんなことなんだな。

  • スタープレイヤーという大きすぎる力を持った佐伯くんの、数奇な運命。真の意味で「サージイッキ」となる後半から特にワクワクする。私もラライエで飛び回りたい。
    前作より壮大で、かつ恒川光太郎味(?)がありとても面白く、興奮した。ただその分、人間くさいドロッと感も濃ゆく、元気な時じゃないと読み切れない。実際、初読時は華屋とのいざこざ辺りで挫折した。
    2年越しにリトライしてよかった〜。
    スタープレイヤー、3冊目を読みたいな。

  • 以前読んだ『スタープレイヤー』の第2段。初版は15年だけど、文庫で読んだ。
    同じ設定で違う場所で繰り広げられる物語。
    文庫あとがきを読んで、
    こういう「異世界に転生して無敵」みたいな設定がよくあることを知った。
    へー。その手の小説を全く読まないからな。
    おそらく恒川さんの世界は、他の多くの作品とは違う、
    深さや手ごたえのようなものがあるんじゃないだろうか。
    スターボードの持つ力と、力によって生まれた世界と、もとから存在する世界。
    恒川さんの使う言葉にはへんな臭みがないのですんなりと入っていける。

  • 『しがない大学生が作り出す壮大な世界の記録』

    抽選でスタープレイヤーが当たった大学生の、別世界での活躍(暗躍?)を記録したクロニクルを軸に物語は進む。
    前作をさらにスケールアップし、スターボードの使い方も高度(姑息?)になって、面白さ倍増!

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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