彩雲国秘抄 骸骨を乞う 上 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041037409

作品紹介・あらすじ

シリーズ累計650万部突破の大人気シリーズ「彩雲国物語」。
その知られざる禁断のエピソード、ここに解禁! 衝撃の連作集!

数多の名宰相・名大官が名を連ね「最上治」の誉れをとる彩雲国国王・紫劉輝の治世。
だがその陰には、いまだ知られぬ多くの過去と未来、邂逅と訣別、生と死の物語があった……。
王の宰相・鄭悠舜が最後まで探し求めた“欠けた翼”とは? 玉座を狙い、そして破れた旺季。それでも歩き続ける彼の行く果ては? 
骸骨を乞う──それは主君への最後の別れ、去るときの言葉。魂を揺さぶる「彩雲国物語」真の完結巻! 上巻には2編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • ああついにでてしまったなと。
    この文庫版がでなければ、物語の余韻にずっと頭のどこかが浸かっていたかもしれないのに。それが良いことがどうかはわかりませんが。
    きっと今後発売のビーンズ文庫版も折をみて買います。

    何度読んでも泣きます。
    この物語(シリーズ)以上に、登場人物の人となりをみずみずしく感じたものがありません。
    ずっとずっとお気に入りです。

  • ハードカバーを購入していたにも関わらず、ずっと積んでいたため今回文庫になったのを機に、書き下ろしも収録されているしこちらで読了。

    悠舜の最期に泣きそうになった。
    大嘘吐きの姫家。君主には必ず疎まれロクな想いをしてこなかった一族。
    悠舜も例にもれず、一族が滅ぶかもしれないというのに紅家に見捨てられた過去があり、そのとき足が二度と使い物にならなくなるなどほんとロクな目に遭ってない。
    そんな難儀な人生を歩んできた。
    最期に劉輝という君主を手に入れられたのは、そんな悠舜の人生においてとても奇跡的なものだったと思う。
    旺季との出会いも奇跡だけれど、悠舜の願いを旺季では叶えてやれない。
    劉輝こそが叶えれたのだ。
    劉輝の薄闇の世界を知り、劉輝もまた悠舜の薄闇の世界を知り、お互い深いとこで繋がれていた。
    劉輝のあの執着は悠舜にとってはちょうど良かったのかもしれない、決して良いものではないけれど、悠舜にだけはあれが合っていたと思う。
    薄闇の世界を知ったものを決して手放しはしない劉輝。
    そして、その世界を知るのは悠舜と旺季だけ。旺季が知っていることは劉輝は忘れているから認識しているのは悠舜だけ。
    そんな悠舜を失った喪失感は尋常じゃなかった。
    本当に泣きそうになった。

    悠舜はロクな人生じゃなかったけど、凛と子供という宝物を手に入れられて良かった。
    凛はちょっと辛いけど、それでも悠舜と結婚したのが凛で良かったと思う。
    悠舜が旺季以外で唯一我が儘を好きなように言える相手。
    あの悠舜にそんな相手が出来たことは奇跡だよなぁ。

    旺季の最期もまた綺麗で切なかった。
    旺季と戩華の関係性が凄く好き。
    旺季から戩華への想い、がかな。
    認めれない、認めたくない相手。だけど、ひたすらその相手の行く先に自分も行こうと突き進む。
    旺季を旺季たらしめたのは戩華の存在があったのもあるよなぁ。
    旺季にとっての運命的な相手が戩華だったのだと思う。
    そんな戩華が死ぬと分かったときの旺季が読んでて切なかった。
    戩華が死ぬ?なんだそれ…、と悪い冗談、悪夢にしか思えなかったんだよな。
    自分をここまで競わせて人生を懸け(翔け)させた者が死ぬ、ってのは受け入れがたいよな。
    戩華の最期に旺季が泣いたシーンは一緒に泣きそうになった。
    戩華を死なせた後、一人で声もなく泣く旺季に胸が痛くなった。

    獏は莫耶の化身なのかなやっぱり?
    やけに莫耶に拘るし、色々と莫耶との関係性が気にかかったし。
    莫耶と言えば、莫耶の認めた相手は旺季だったんだな。
    巡り巡って旺季の手に戻ったところは笑った。
    なかなかしつこいな莫耶(笑)
    最期に使った剣が莫耶ってところがまたいい。

    タンタンの旺季への想いには驚いた。
    そうか、御史やってたら旺季は尊敬の対象だよな。
    それにしてもあそこまでタンタンが旺季のことを尊敬してたとは。
    ボケ老人の行には笑った。

    旺季の最期を看取ったのはやっぱり晏樹だったか。
    そうなる気はしてた。
    皇毅でも悠舜でも獏でもなく、晏樹だろうなって。
    その晏樹のことは下巻に書いてあるっぽいから早く読まないと。

    読みた過ぎて角川の買ったけど、ビーンズからも出るんだな。
    あっちは挿絵がついてるようだからビーンズの方も買う。

  • 基本的に彩雲国に出てくる登場人物は不器用な方々が多い。悠舜、旺季、晏樹、と朝廷のトップに位置する人たちほど己の信念があり、それを曲げて生きることは叶わないのでしよう。
    本編では秀麗側に感情移入して読んでいたのでそれほど違和感なく読んでいたのですが、最後にこれを出してくるとは。
    本当に恐ろしいのは誰なのか。

  • 単行本で既読。悠瞬と旺季のそれぞれの話。
    生立ち、生きた時代を克明に描いています。
    二人とも、なんか遣る瀬無い&切ない人生だったね。
    生き切った・・・そんな人生。

  • 紫劉輝の治世になったあとの彩雲国の世界。本編のエピローグ的な短編集
    「雪の骨」では、王の宰相であった鄭悠舜が最後まで探し求めた欠けた翼。鄭家の悲しい運命に逆らうこともできずに、求めるものは手に入らず、求められるのは軍事的な力。紅秀麗たちと出会っても、一歩引いている理由が読めた。
    「霜の軀」は、王座を狙い、王座まであと一歩だったにも関わらず、紫劉輝に譲った旺季の物語。彼の生い立ちから最期まで。彼を支えた信念や仲間たちの話が読め、かなり重めの話だった。

  • 実は発売当初に読み終わっていたが、改めて読んでの感想。
    まず初めに、「骸骨を乞う」には単行本と文庫本で収録されている話に差異がある。単行本と文庫本で比較した際、私は「冬の華」が収録された文庫本をおすすめする。本編が好きな方は、きっと「冬の華」をみていただいた方がいい。
    「骸骨を乞う」は短編集だ。どれも本編とは違う視点から、より一層彩雲国物語を深めたストーリーとなっていた。当時、今まで文庫本として出していた彩雲国物語を単行本として出したのも、読者へ視点の差異を見せる意図があったように思う。あくまでも文庫本は劉輝と秀麗に寄り添った物語なのである。「骸骨を乞う」は、あえてその視点から外されている。単行本のみだと私には塩辛く、ある面から真正面に見た彩雲国の景色は胸に刺さった。その景色すらひっくるめ、更に別の視点で見つめ直すことができるのが「冬の華」だった。

    彩雲国物語は、私にとってずっと忘れられない物語である。魅力的な登場人物たちは誰もが己の信念を持ち、それぞれの考えを巡らし、生き生きと立ち回る。誰が悪とも正とも断じることができない中で長い長い物語を締めくくるのにふさわしい短編集であった。そして読了後の充実感と喪失感から読者の私たちは逃れられないだろう。

  • 本編を最後まで読まずに読みました。

    悠舜と旺季の物語。

    現在と過去が交錯しながらのお話の進め方は好きなのでそれ程分かりづらいとは思わなかった。
    抽象的な表現と長文で読むのに時間はかかりました。

    本編1巻の頃はラノベのコメディ色の強いお話でしたが、まったく違います。このダークな外伝好きです。半分影を纏った登場人物達が本編で出てきたらまた違った読み方で読めるなぁと思います。

  • 懐かしさとともにいろんなキャラクター達が蘇ってきた。
    悠舜も旺季も賢いのに、不器用過ぎる。
    だからこそこんなにも愛おしいのかな。
    彩雲国物語はキャラクターが魅力的で大好き。
    本当に色褪せない物語。

  • 裏話や秘話的なエピソードは好きなのだけど、この物語に関しては、うーん。という感じの感想でした。なんというか、わかりづらいです。悠舜の生い立ちや、旺季の人生観、晏樹の目的、皇毅の正義。物語が込み入りすぎてとても理解しづらい。本編のような明るさはなく、劉輝の性格は仄暗くて、王の側近たちは暗愚で利己的。最上治と言われた劉輝の治世の、これはどの辺りの話なんだろうと。
    物語の深淵に近づいている感にはゾクゾクするけど、いまいち全体の構図が見えてこなくて、読むのが早すぎたかなと思ってしまいました。漫画やアニメの方ではずいぶん話が進んでいるようだから、ちゃんとそちらに目を通してから読めばよかった。小説はまだ茶州篇がひと段落したばかりだもの。

  • 悠舜の話はとても良かった。
    旺季のほうはちょっとわかりずらかった

    いずれにせよ、これを本編に入れ込まなかったのは正解。
    薄闇のようなけっして明るくはないその後、なので。
    人によってはあれで完結を好む人もいるはず。

    でもこれはこれでいいと思う。
    むしろあれで終わらない方が個人的には良い。

    2017.8.16

  • 何度読んでも同じところで涙が邪魔をして文字が読めない。温かくて哀しい、そして優しい物語。

  • 彩雲国物語本編では語られなかった話を補完する意味合いを持つ外伝集。常に何か含む所のあった王の宰相鄭悠舜と、王座を狙うも紫劉輝に阻まれた門下省省令の旺季の2人が死ぬまでの話が上巻では書かれている。旺季に助けられながらも、劉輝の王としての資質に感銘し宰相として仕えた悠舜のエピソードが良かった。旺季の生き様もいいなと思う。長い期間読み続けてきた彩雲国物語の締めとして下巻も続けて読んでいきたいと思う。

  • 彩雲国物語、真の完結巻(上巻)。悠舜と旺季の生き様。旺季のこと苦手だったんだけど、人間味もあってものすごく慕われるのわかった気がする。かわいいおじさまじゃないか。秀麗とタンタンが出てきたの嬉しかった。劉輝の闇…深いな。「骸骨を乞う」という言葉を初めて知った。

  • まさに本編の裏側。死に行く人々の別れの物語。
    本編の明るさを印象として残して起きたいのなら、こちらはお薦めできません。
    が、これはこれで薄暗くて、厚みのある内容。
    本編では三人の側近の一生懸命さも、こちらでは迂闊でバカで高慢に見えるという・・・立場によっては見え方もとらえ方も違うということですね(まだ若いし・・・)。
    本編の王様のとらえどころのなさも納得(本編時には妙によくわからん王様だと思っていたが)。こんな薄暗い闇の持ち主だったとは。
    悠舜の最期や、旺季の信念のある生き様も読み応えのある上巻でした。

  • 単行本で読了してはいたが、大幅加筆修正しているというので文庫本も読んでみた。
    単行本を読了してから年月が経過してるので、細かくどこどこの部分が加筆修正されてるとはっきりとは把握できなかったが、とにかく読み応えあった。

  • 単行本既読。冷静に読み返してみると、色々ぼかした文章なので「判りにくいな」と思うのと、黎深は子供の頃は悠舜に冷淡だったのに、国試後は親友扱いなのは何故なのか不思議なのと、物語の後半に旺季が登場してからというもの、王の取り巻きデキル美形三人組が薄っぺらな愚臣と成り下がり、まるで主役交代みたいな風に変化してきたのは何故?と、いろいろ腑に落ちないな。でも雰囲気はやっぱり好きで引き込まれる。

  • 言葉が補われ、微妙なニュアンスが受け取りやすくなっている。ハードカバーで刊行されたものも夢中で読んだけれど、文庫版を読む方がオススメ。

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著者プロフィール

茨城県生まれ。2002年10月「彩雲国綺譚」で第1回ビーンズ小説賞の読者賞・奨励賞をダブル受賞。03年11月、受賞作をもとに改稿執筆した『彩雲国物語 はじまりの風は紅く』で作家デビュー。同シリーズは11年7月に本編が完結し、累計650万部を超える大ヒット作となる。他の著作に「レアリア」シリーズ、『エンド オブ スカイ』がある。

「2023年 『彩雲国物語 十六、 蒼き迷宮の巫女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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