蝶結び かわら版売り事件帖

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 34
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041038161

作品紹介・あらすじ

父とふたり暮らしのおみつは、父甚助の様子がおかしいのを心配していた。母に先立たれてから、三度ほど、突然人が変わったような口ぶりになっている時があるのだ──。生真面目で、かわら版を読むことだけが楽しみな父はどうしてしまったのだろう。
一方、かわら版売りの才助は、泥酔して目を覚ますと、見知らぬ女の股枕で寝ていた。さらにその部屋の隅には、死体の男が……。女の顔にも、死体にも身に覚えがない才助は、戯作者の青山孫四郎に先程の出来事を打ち明けるのだった。すると、驚いたことに孫四郎は、ひと月ほどまえのかわら版の記事に状況が似ているというのだ。創作のかわら版が現実になったのか? 才助と孫四郎は、事の真相を確かめようとするが──。

感想・レビュー・書評

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  • 読み終えて知ったが、これはシリーズ物の二作目らしい。
    だが読んでなくても大丈夫だった。

    瓦版売りの才助と文章と絵を書く元武士の孫七郎コンビが事件の謎を解いていくのだが、その事件というのが何とも不気味。
    というのも、過去に瓦版に載った事件(実際に起きたものもそうでないものもある)と似たような事件が続くのだ。
    中には孫七郎が書いた事件もあり、ちょっとした人助けやいさかいならともかく、遂に人を殺める事件まで起こる。
    一体誰が何のためにやっているのか。

    途中途中に挟まれる生真面目な職人とその娘の話がどういう意味を持つのかが分かるとゾッとする。
    しかしこんなに簡単に行くのだろうか、という疑問も湧くのだが。

    犬飼さんは吉岡清三郎シリーズが好きで他の作品もいくつか読んだのだが、吉岡清三郎シリーズを越える作品に出会えてないのが残念。
    この作品も才助のチャラチャラ加減は良いとして、孫七郎のキャラクターがイマイチ魅力的でなかったし、なんと言っても事件の陰惨さが読んでいて楽しくなかった。
    事件以上にシリーズのドラマとして楽しめる部分があれば良かったのだが、結局は職人の娘おみつの健気さ不憫さだけが印象に残った。
    タイトルの「蝶結び」も意味が分かるとあまりに切ない。
    だが現代でも感じる事件は起こるし、おみつの新しい「結び」が出来たことは良かった。

    それより吉岡清三郎シリーズ続編を書いてくれないかな。

    • moboyokohamaさん
      むしろ吉岡清三郎シリーズが読みたくなる感想文ですね。
      むしろ吉岡清三郎シリーズが読みたくなる感想文ですね。
      2019/09/13
    • fuku ※たまにレビューします さん
      コメントありがとうございます。
      吉岡清三郎シリーズはハードボイルドタイプですが、キャラクターが良くて文章の歯切れも良くて、個人的には犬飼さ...
      コメントありがとうございます。
      吉岡清三郎シリーズはハードボイルドタイプですが、キャラクターが良くて文章の歯切れも良くて、個人的には犬飼さんの作品で一番好きです。
      2019/09/13
  • かわら版売り事件帳の(おそらく)2巻。しかし、途中まで1巻を読んでいたことをすっかり忘れていた。続き物は題名で巻数がわかるようにしておいてほしい…
    いやー、さすがに無理があるだろという落ちと救いのない展開に辟易してしまった。青山がとにかく強いと言うことと、おみつが健気というのがよかったところだが、あとはなんとなく座りが悪いまま終わった。

  • 初めて読む作者の小説である。

    桶屋の職人甚助とおみつの災難を、かわら版売りの才助とその読売の執筆業をしている青山孫四郎とが、事件を解決していくのだが、、、、

    甚助の小心な生真面目な心の中に、妄想と空想で、かわら版の人物へと、求めて行っている。

    つい先日赤川次郎氏の 「鼠」シリーズを読んだところであるが、、、、
    この小説では、少しひねりすぎているように思われる。
    でも、親子の絆、夫婦の縁、仕事のつながりも蝶結びのようで、片側を引っ張るとほどけてしまうと、、、、
    最後の孫七郎の「ほどけたら、又結び直したらいい」の言葉は良かった。

    今、夫婦別称、単身赴任、卒婚、、、等、段々と人間関係も希薄のような感じがするようになってきた。
    今は、お墓も、ご先祖さんの眠る墓には、入らないし、夫婦墓も作らないと、言われている。
    コブ結びのように、固く結ばれても、こんがらがった糸よりかは、蝶結びの方が良い関係かもしれない。と、思いながら読んでしまった。

  • とても読みやすく、また、江戸の雰囲気を感じさせるような描写がよかった。
    登場人物も、口の達者なかわら版売りと、中身を執筆するちょっとお堅くて温かい人柄の浪人という組み合わせが新鮮だった。

    今まであまりかわら版にスポットを当てた作品を読んだことが無かったので、それも面白かった。

    ただ、私が早く読んでしまう癖のせいか、いまいち感情移入できず。
    まあ、かわら版売りの才助が、軽いのは仕方ない(もう少し意外な一面とかほしいけど)としても、浪人の孫四郎が、深い悩みを抱えているようでいて、それがもったいぶった割に尻切れトンボな感じ・・・

    夜鷹の話は、元締めの男まで持ち出さなくても良かったんじゃないかな~ 本筋にあまり関係ないし。孫四郎の元同僚の乱心も、原因となった事件でもあるのかと思いきや、特にそんなことも出てこないし。

    語り手も多すぎるのかな。うーん、いろいろ惜しい・・・

  • かわら版の原稿製作者である青山孫四郎と読み売りの才助が,甚助とおみつの父子のトラブルを解決する物語だが,日本橋を中心とした江戸時代の街の様子が目の前に浮かぶような巧みな記述が楽しめた.綾井一麻呂や花升のおかみのお京の存在も良かった.甚助ののめり込む性格につけ込んだ平八郎たちの企みを孫四郎が鮮やかに解決する手腕は見事だ.

  • 催眠術…いや、洗脳なんかねえ。

    まったく関わりのない、ある親子と戯作者に読み売り(かわら版売り)が縁を結んで解けてそして、という話。
    かわら版て毎日売り出すのだったら、作者大変だなあ。
    事件事故があれば面白おかしく書けるかも知れないけれど、そうでなければ切り売りして話を考えねばならんわけで。

    なんか続き物というか関連作品ありそう。
    というより読んだことあったなと思って自分の本棚検索したらやっぱりありました。

  • 真面目そのものの桶職人甚助には一人娘のおみつがいるが、かわら版の登場人物になりきってしまう癖がある。そんなところを利用され罪を犯してしまうが・・・
    かわら版の執筆を担当する孫四郎と読み売りの才助コンビが事件の真相を解明していく。江戸人情物。

  • 戯作者の青山孫四郎とかわら版売りの才助コンビで事件解決
    …真相がもやもや

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著者プロフィール

1964年大阪府生まれ。大阪教育大学卒。公務員を経て執筆活動に入る。2000年、『筋違い半介』で第68回小説現代新人賞を受賞、2011年『蛻』で第144回直木賞候補となる。作品は他に、『囲碁小町嫁入り七番勝負』『吉岡清三郎貸腕帳』『与太話浮気横槍』『やさぐれ』などがある。

「2016年 『蝶結び かわら版売り事件帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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