美男の血 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041038826

作品紹介・あらすじ

日舞の風間流宗家に年子の兄弟が生まれた。兄・蛍一郎は跡継ぎを約束され、弟・京二郎は女形の大名跡の養子となり、歌舞伎役者の道へ。二人の兄貴分で、梨園の御曹司にして天才肌の風雲児・凱史、さらに女形としての大成を背負わされた部屋子の瑛――美貌と才能に恵まれ、芸道を究めんとする四人の男が、愛と葛藤の果てに掴んだものとは? 何代にもわたる血の宿命と、役者の凄絶な修羅を描く、極上の“歌舞伎”大河ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 日舞の風間流宗家に年子の兄弟が生まれた。兄・蛍一郎は後継を約束され、弟・京二郎は女形の大名跡の養子となり、歌舞伎役者の道へ。二人の兄貴分で、梨園の御曹司にして天才肌の風雲児・凱史、さらに女形としての大成を背負わされた部屋子の瑛。
    美貌と才能に恵まれ、芸道を究めんとする四人の男が、愛と葛藤の果てに掴んだものとは。
    何代にもわたる血の宿命と役者の壮絶な修羅を描く

  • 絢爛豪華な衆道地獄、芸の道は修羅の道、大河ロマンというか、時に昼メロ…
    しかし、迦陵頻伽も舞い降りた。
    …そんな感じの、読みごたえ十分なお話でした。

    梨園に詳しくない身としては、導入部の説明いろいろ読むのが少し大変でしたが、読み終わって、芸能界と一口に言っても、伝統芸能を守るというのは生半可な事ではないのだなと思いました。
    この本はフィクションで、キャラクターはもちろん架空の人物ですが、芸のためには、恋心も親子の情もねじ伏せ、ただ、その身はひたすら、伝統を入れ替えながら伝えて行く「器」であろうとする…
    今更ながら、そこに気付いた気がします。

    男同士の恋愛物で、時に女性キャラクターは邪魔に感じる事もありますが、清香さんは凄い。
    全然、彼らに負けていない!

    …結局…
    『卑弥呼』は成功したのでしょうか???

  • 花に舞う鬼 大幅加筆修正 女形おやま、おんながた 花の銀座 凱史やすふみ 柳沢利章 京から江戸へと伝播 御法度 エロティシズムを喚起させる前髪 野郎歌舞伎 隆盛 日本舞踊の宗家そうけや家元 表裏一体の関係 竹馬ちくばの友 虎視眈眈 猛禽の雛 蛍一郎けいいちろう 梨園りえん 修練の賜物 京二郎きょうじろう 世襲せしゅう 梨園の名跡みょうせきにとって大切なのは芸の伝承であり、生物的遺伝子ジーンよりも文化的遺伝子ミームが優先される。 天真爛漫 妖艶で聡明 どれほど優れた人間が血反吐を吐いても決して届かぬ高みへ、何かの拍子にふわりと昇れる人種を''天才''と言う。弛まぬ努力と強固な意志で全てを補う''秀才''とは、生まれながらに背負っている役割が違う。 濡れ縁 反故ほご 風間亮介 藤村らんじゅろう蘭寿郎 忙殺 名前の格と主従の系統 乃木坂 初手しょて 後見人こうけいにん 荒淫の灰汁 夭折 翳りを含んだ深い二重 ファミリービジネス 懐柔 ハンガーストライキ 氷宮瑛ひのみやあきら 舞踊ありき 扇子の打擲ちょうちゃく 歯牙にもかけない 醜態 掟破りは黙殺されつつあった エゴイストでなければ、役者''花''は咲き誇れない。 立役者 平服 漁色家ぎょしょくか 色香 排泄行為と同じで、溜まった熱を放つだけなのだ。 霞右衛門かえもん 貌かお 箍が外れたように笑転げ 役に入り込むメンタリティが観客を打ちのめす演技力へと転化するのだが、その点で蛍一郎は他の追随をを許さなかった。 役と感情がリンク 芝居と現実を混同する傾向 恍惚とした表情 演技の幅が広がる 服装の倒錯 男性特有の闘争本能や吹き上げるような衝動を、女の鋳型へ強引に押し込めることで生まれる雁字搦めの不自由さが、衝動となり美しさとなる。 そこには感傷も罪悪感もない 哀しく澄んだ色 豪放磊落な笑い声 接ぎ穂 艶く 美丈夫 遊郭の花魁の恋や心中 悪口雑言 金木犀きんもくせい 母親の感情の刃 複雑な心の襞ひだ 禁忌 踏襲 僭越といきどお憤らず 同性との恋愛は表現の引き出しに入れる財産程度の感覚 翻意する 破戒 煉獄の苦しみにあっても笑ってみせよう きょうき驚喜 訃報ふほう 八汐やしお 如何なる蕾も咲かねば花たりえず、また花すらも甘い果実ではない。芋虫は蛹へと姿を変え、時を待って蝶に変化する。ひとつの命も、形を変えるごとに、生きる意味と価値を変える。それが命の辿る道である。 私は男に生まれたからこそ、女形になった。この世に咲き得ぬ幻の''花''…それが私だ! 累かさね 一卵性双生児 男は幾つになっても子供だ。だから女ばかりが歳をとり、強くなる。 恍惚の表情 傀儡 斟酌もせず 禅の精神 脆弱を嫌い 美の神髄を際立たせ ハイパー歌舞伎 装置転換を一瞬で行う回り舞台 プロジェクト保章 和洋折衷 かぶ傾く青息吐息あおいきといき ポリティカルな政治的な 仲を取り持つフィクサー 死を待つ人の迷い無き顔 遊び人特有の洒脱な人生哲学 雪月花 煉獄の炎に灼かれ 京二郎のジャガー 役者と女房は、共に戦う戦士である。目標に辿り着く為に、人としての常識も情けも切り捨てて、欲しいものに喰らいつく''獣''であればいい。夫がそれで大きな仕事をなし得れば、妻はよしとするのが最も美しい形であった。 栄枯盛衰 ''できる役者''という名声など、創造の現場では常に過去のものだ。新しい自分に生まれ変わらなければ、役者は死んだも同然。繰り返し裸に剥ぎ取られ、血塗れでのたうちまわることでしか、人は創り変えられない。 もう何も望まない。身体など繋がなくとも、あなたが私の中に入った。これほどの結びつきがよもや地上で望めるとは思えない…あなたは私で、私はあなただ 徹頭徹尾 恋ならばいつかは冷める。しかし、叶えられない夢からは、覚めることができない。脈々と受け継がれた''血''を原石とし、日々の研鑽がそれを磨く 修介 保章 役者としても、日舞の宗家としても名を遺すことなく逝った天才の落とした種が、いつしか大輪の花を咲かせる日を想像して

  • よかった〜。梨園の娘既読。花に舞う鬼は積読中だったんだけど、これは一気に読了。さて、これを読んだ上で梨園の娘再読せねば!

  • BLですよ、と書いておくと、偏見になるのかな。
    でもどう読んでもBLだし。とはいえ古典の演目はその当時のリアルな恋愛事情が反映されていてか、BLの意識は当たり前だから、むずかしいところです。

    でもこれはいえる。
    エログロな小説だったと。
    濃厚すぎて、引く。
    でも、気になる。どんどん読んでしまう。
    でも、・・・・嫌な人は嫌だろうな、気持ち悪いって思うかもしれない・・・・。BLについてはどうとも思わないけど、主人公への執着やら、複雑に絡み合う三角関係やら・・・・げっそり

    単行本の時よりは大幅加筆修正した、と書いてあったので、また印象がちがうのかもしれませんね・・・

    結局死因はなんだったのか。ストレス?それも無理ないと思う。しかしどこらへんにそこまでの魅力があったのかいまいちわからない。わき役たちの個性が強すぎるからかなぁ

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著者プロフィール

東京都在住。テレビ番組制作プロダクション勤務を経て、フリーの放送作家に。ドキュメンタリー番組、情報系番組等を手がける。著作に『梨園の娘』『美男の血』「桜花傾国物語」シリーズなど。

「2018年 『小説 昭和元禄落語心中』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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