代償 (角川文庫)

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著者 : 伊岡瞬
  • KADOKAWA/角川書店 (2016年5月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041039922

代償 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • あまりにも過酷すぎる主人公の思春期の受難劇を描いた第一部は、読み進むのをためらいたくなる。
    しかし、彼の運命はどうなるのか読み進みたいし、彼の行動諸共もどかしい思いを引きずりながら、頁を捲らざるを得なかった。
    嫌ミスとも思える第一部に対し第二部は、思春期の関係を断ち切れずに、悪魔的犯罪者と主人公が法廷で争うリーガルミステリーとなっている。
    決着はどうつけるのか、題名通りどういう代償を与えられるのか、息を持つかせぬサスペンス溢れる展開に、読書の醍醐味を味わう。
    これまでも、小説その他でいろいろな犯人・悪人が登場しているが、これほど悪魔的な存在が描かれているのは稀有ではないか。
    「まったく人を顧みない、全く反省しない根っからの悪を書いてみたい」という、著者の思いは、見事に果たされている。

  • 99.9%の有罪率を誇る日本の刑事裁判。
    その裁判を自分の思う方向へと誘導し、操り、そして翻弄する。
    達也という人間の在り方を考えたとき、こんな人間に生きていく価値はあるのだろうか?と寿人と同じように感じ、そう感じてしまう自分に愕然とする。
    幸せだった圭輔の家族に突然訪れる不幸な出来事。
    その予兆は少し前から現れていたのに、まだ小学生だった圭輔にはどうすることも出来なかった。
    生まれながらにして悪人はいないという性善説は、残念ながら達也には当てはまらない。
    自分の手は汚さず、周囲を操り、常に自分の望み・・・他人の幸せは許せない、他人を不幸にしたい・・・を、淡々と叶えていく。
    たったひとり生き残った圭輔には、子どもだからという配慮のもと、すべての事実が知らされることはなかった。
    大人になってから聞かされた当時の事実に、衝撃を受けた圭輔の心情を思うと胸が痛くなる。
    終盤に向けての展開には、ただただ驚かされた。
    隠されていた真実、用意周到に張り巡らされた達也の思惑。
    過去に光があてられたとき、ようやく見えてくる汚され傷つけられ、虐げられた人たちの辛い思いが浮かびあがってくる。
    まっすぎに、自分の中に後ろ暗いものを抱えずに生きていけたら幸せだ。
    けれど、100%真っ白な人間なんているのだろうか。
    圭輔のどこか優柔不断で臆病な性格は、達也たち親子によって心に深く刺しこまれた楔によって形成されたものだ。
    けっして爽快感が残る物語ではない。
    辛く、苦しく、やりきれない痛みが、心にじわりと傷をつけていく物語だ。
    それでも、読んでよかったと思わせてくれた物語だった。

  • 伊岡瞬『代償』角川文庫。

    評判を耳にし、読んでみた。しかも、初読みの作家。面白い。これまで読んでいなかったことが悔しいくらいの面白さだった。

    第一部に描かれた多感な時期に主人公の圭輔を襲った悲劇。圭輔が行動を共にする達也への疑念。そして第二部に描かれる達也の悪魔のような本性と弁護士となった圭輔の正義のための闘い…

    善と悪の対決。不謹慎ながら、悪が徹底的に悪として描かれれば、描かれるほど物語の面白さは増すようだ。気付けば、まるで自分が悪に魅入られてしまったのではないかと錯覚するほど、物語の中にどっぷり浸かっていた。

    平凡な家庭に育った小学生の圭輔は突然、両親を失い、遠縁の達也と暮らすことになる。達也の継母の道子に身ぐるみを剥がされ、悲惨な人生を歩む圭輔は、長じて弁護士となる。ある日、弁護士となった圭輔に強盗殺人容疑で逮捕された達也から弁護を依頼される…

  • この作品も一気読みさせる内容だった。

    ラストまで緊張感が続いて、これどうなる?どうなるんだ?とページを捲る手が止まらなくなった。
    と同時に、ものすごく胸糞悪くなる感情も湧くので、昨今 流行の"イヤミス”的な立ち位置にあるんだろう。

    この作者の本は初めて読んだのだが、よくもここまで悪人の中の悪人を書き出したなあ、と。
    読んでもらえれば分かると思うのだが、本当にここに出てくる道子、達也の親子は心底腐ってる、色々な意味で。

    主人公、圭輔もこの親子によって大切なものを随分失って運命を狂わされたのだが、唯一の救いは友人の寿人と牛島夫妻の存在ではないだろうか。
    最後の最後、汚名と数々の非道のツケを正面切って返した部分には拍手を送りたい。
    そして、圭輔の今後の人生が幸せと安穏の日々であることを願わずにいられなかった。

  • これほど作品に対して心を動かされるというのも、なかなかないと思います。それほどに衝撃的な作品でした。
    読んでいて、ある人物に対するモヤモヤ、イライラが最高潮に達します。笑 主に1部で。
    2部において、この心の蟠りが少しずつ解消されていくかなという感じです。
    終わりかたとしては、個人的にもこれ以上はないのではないかというほどスッキリしています。

    人間の持っている欲や卑しさ、それに対抗する努力や勇気。様々な要素を交ぜ合わせ1つの物語に仕上げた素晴らしい作品だと思います。
    ミステリーとしは非常にオススメ出来る作品です。

  • 典型的なサイコパスの犯人にじりじりと追い詰められていく恐怖を描いた作品。
    サイコパスといいうと、こういった天才的な犯罪者ばかりが取りざたされるが、逆に凄い業績を残す才人も同じサイコパスとしての資質を備えているらしいが・・・才能の使いどころを間違えると大変なことになるなとつくづく思う。
    読んだ後に知ったのだが、本作はドラマ化されているらしいが、話の筋は本作とは違っているそうだ。ドラマの方も見てみようと思う。

  • こんなに悪い奴、憎い奴がいるのかと思ってしまった!悪役キャラの悪党ぶりが物凄い!
    胸糞悪い!笑
    しかし物語は手が止まらない一気読み!
    これは是非とも読んでいただきたい!
    読んだらわかる!!笑

  • 最初から胡散臭い感じが伝わってきた。そして、どうしようもないじれったさ、あまりに欲深く人間性の欠如した親子。そんな状態の中で、味方になってくれる人と出会え少しはホッとしたり出来る。しかし、社会人になってまた奴は現れる。関わりたくなくてもその網に自分から懸かってしまう。いつその網から逃れリベンジ出来るのか?天才的な悪人はこれでもかと攻めてくる。じれったさとなんとか一矢報いてくれと願いながら読み進めた。奴が最後までなめた態度でいたことと圭輔が弱腰に感じたところはもうひとつスッキリしない。それにしてもこんな悪人と関わるような事が死ぬまで無いことを願うばかりだ。

  • 続きが気になって最後まで読んでしまった。達也だけでなく、小さなものから大きなものまで色んな代償があったように感じる。
    達也みたいなやつは命ある限りなん度も繰り返すだろう。そんな人がいることが悔しい。自分もこれから出会うかもしれないと思うと恐ろしい…

  • 序盤かなり胸糞悪くて、何でこの本を選んだのか…と後悔もしたけど、展開が変わっていく中でどんどん引き込まれていきました。所々、動悸がしたりして、緊張感も半端なかった!

    私は空いた時間に少しずつ読みすすめたのですが、一気読みすると更に面白く読めたんだろうなぁーとおもいました。

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代償 (角川文庫)の作品紹介

不幸な境遇のため、遠縁の達也と暮らすことになった少年・圭輔。新たな友人・寿人に安らぎを得たものの、魔の手は容赦なく圭輔を追いつめた。長じて弁護士となった圭輔に、収監された達也から弁護依頼が舞い込み。

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