明日の食卓

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 184
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041041048

作品紹介・あらすじ

息子を殺したのは、私ですか?

同じ名前の男の子を育てる3人の母親たち。
愛する我が子に手をあげたのは誰か――。

静岡在住・専業主婦の石橋あすみ36歳、夫・太一は東京に勤務するサラリーマン、息子・優8歳。
神奈川在住・フリーライターの石橋留美子43歳、夫・豊はフリーカメラマン、息子・悠宇8歳。
大阪在住・シングルマザーの石橋加奈30歳、離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日、息子・勇8歳。

それぞれが息子のユウを育てながら忙しい日々を送っていた。辛いことも多いけど、幸せな家庭のはずだった。しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。無意識に子どもに向いてしまう苛立ちと怒り。果たして3つの石橋家の行き着く果ては……。
どこにでもある家庭の光と闇を描いた、衝撃の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 可愛らしい装丁とタイトルからは全く想像もつかない重い話でビックリでした。だんだん読んでるのが辛くなりながらも先が気になって一気読み。犯人は、きっと...なんて想像していたけどなんだか噛み合わない!?最後の最後にそういうことだったのかぁ〜とまんまと騙されてしまいました。

  • 同じ名前の男の子を育てる3人の母親の話。

    些細なことで家庭が崩壊し、その怒りが子供へと…
    虐待の一歩手前で止まってはいるようだけど、他人からしたら虐待と思ってしまう。
    それぞれが悩みを抱え、子供の面倒を見て行くのは本当に大変だ。
    周りに相談できる人がいないと虐待は消えない。

    子育ては、楽しい反面、大変なことも多い。

    亡くなったイシバシユウくんが、この3人の誰かの子なのか?とドキドキした。

  • 子どもを育てたことのあるヒトなら、多分同じことを思うだろう。
    子育ては、24時間営業年中無休の仕事だ。大きくなっていけばそこに休憩も休日も増えていく。肉体的負担は減っていくが今度は逆に精神的問題が増えていく。生まれた時は天使のようだった我が子が、ある日見知らぬ化け物に見える時がある。自分の中に、子どもを愛しいと思う気持ちと同じ濃度で邪魔だとか憎らしいとかそういうネガティブな感情も存在する、そのことに気付き愕然とする。
    子育てに終わりはない。どれだけやれば100点満点という上限も、いつまでやれば終了という期限もない。そんななかで子どもを虐待し、命を奪ってしまう母親は決して特別な存在ではない。
    昨日私は子どもを殺さなかった。でも今日は殺してしまうかもしれない。そう、ユウくんママは今日の、もしくは明日の私かも知れないのだ。
    椰月さんが「明日の食卓」というタイトルにこめたのはきっと希望。けれど明日の食卓にその姿を見せない子どもが今日もどこかにいるのだ。

  • 凄くリアルで、子育て中のお母さんに是非読んでもらいたいお話だと思いました。私には、三人のお母さん達それぞれ子供への愛情が伝わってきたので、そこまで思ってもらえる子供が羨ましいなという気持ちになりましたが、それでも応援したくなったり、育児の大変さに共感したり、色々考えさせられて良かったです。

  • 同じ年齢9歳の同じ名前<イシバシユウ>と彼らを取りまく家族の話。学校ではごく普通の小学3年生だが、家に帰るとさまざまな親子関係があった。

    母親がユウを死に至らしめるシーンから始まる。
    母親に殺されてしまうのはどの<ユウ>なのか、

    裕福な家庭に生まれ親の前では良い子を演じていながら、心には親をも見下す激しい感情をもつ優(ユウ)。
    貧しいながらも母や周囲の人を思いやり、友人の理不尽な嫌がらせにもまけず、母とのささやかな喜びに無邪気に喜ぶ勇(ユウ)
    自由奔放。弟と常に一緒に騒いだり悪戯を企んだり殴り合いの喧嘩をしたり、、、元気あふれる悠宇。

    2人として同じ子供はいない。正解の子育てもない。さまざまな家族背景の中で、懸命に母は息子を愛し育てようとしている。子供に手をあげるなんて考えても見ないような母親たちだが、少しのきっかけでその幸せが崩れ始め、子供の頬をぶつこともある。感情を流れを止められず、虐待に至ってしまうのも紙一重。どこの家庭でも起こりうることなのだと思った。

    読み始めは湊かなえ作品かと思うくらい、恐ろしい闇を感じたが、最後は椰月さんらしくほんの少しの救いが垣間見られた。
    奈々さんがもっと何か絡んでくるのかと思った。そうしたら湊かなえ作品になってしまうか笑笑

  • 映画公開の番宣を見て読んでみようと思った。
    苗字は同じ、漢字は違うが同じユウという子供をもつ3人の母親。
    表面上は幸せそうな家族でも、沢山の苦悩がある。
    自分はどうだったろうか?と自分の子育てを振り返りながら読んだ。
    ここまではないが小学生の時はちょっとした事でも学校から連絡が来たっけ。
    ままならない葛藤でカッとなる事はとてもわかる。
    3家族の中でもまだシングルマザーの親子には明るさが救われる。
    どうなるのかとハラハラして読んだが、意外なユウ君の話になって、なるほどと。
    文章の運び方が上手だな。初めて読んだ作家さん。他にもいろいろ読んでみたい。

  • 椰月さんの本は『るり姉』に次いで2冊目。

    石橋あすみは36歳の専業主婦。
    石橋留美子は43歳のフリーライター。
    石橋加奈は30歳のシングルマザー。
    彼女たちの息子「石橋ユウ」は小学3年生。
    同じ名前、同じ歳の息子をもつ3人の母親。
    まったく違う環境の下、子育てをする3人。
    それぞれの悩み。
    歯車がひとつ狂えば、愛情は暴力へとつながっていく…

    シングルマザーの石橋加奈の生き方にエールを送りたい。
    ガンバレー!

  • 穏やかな話かと思いきやとんでもない話だった。子供を持つことが恐くなる。

  • 読みすすめるごとに状況が変化していき、
    子どもを想う気持ちは変わらないはずなのに
    何か歯車が合わなくなったかのように
    子どもに手をあげたりする場面があったり
    だんだん読むのも苦しくなっていきました。

    虐待がダメなことなんてわかってるし
    子どもを可愛く大切に思ってるのも変わらなくても
    親と子ども、それぞれ違う人間で、
    考えてることがわからなかったり
    意思疎通が難しいときもあります。
    自分の環境や気持ちが良くない時だったり
    タイミング悪く嫌なことが重なり
    思わず暴力になってしまうのもわかる気がします。
    わかるからこそ、読み進めていると
    自分もこうなる可能性がある、と感じ
    読むのが途中からだんだんしんどくなりました。

    ハッピーエンド、とはいかないですが
    結末は予想とは違いました。
    気をつけよう、と思って気をつけるにも一人では限界があるように思います。
    誰か支えてくれる人、助けてくれる人を見つけておくことが大切だな、と思いました。

  • 子どものいる生活が当たり前になってる自分に、当たり前を分析してその本流にあるものをハッと気付かせてくれることの多かった作品。イシバシユウくん9歳を取り巻く4家族の話。夫婦、家族、学校、兄弟、子ども、、それぞれの家庭環境の物差しで図る子どものポジション。いずれも母からの目線で描かれていて、子どもの年齢も近いことから、自分事と思た出来事も多数。生まれてきてくれたことに感謝しようと再確認した良本。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

椰月美智子の作品

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