明日の食卓

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著者 : 椰月美智子
  • KADOKAWA/角川書店 (2016年8月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041041048

明日の食卓の感想・レビュー・書評

  • 同姓同名の子供たち。
    ユウと名付けられた子供たちのうち、いったい誰が母親の手にかかってその短い命を終えたのか。
    推理と心理。
    恐怖と祈り。
    どうか、この子でありませんように。
    この母親でありませんように。

    怒りの持続時間はとても短いものだそうだ。
    そしてそれを暴力によって解決すると、人の頭はスッキリするようにできているらしい。
    だから暴力は繰り返されるのだと以前どこかで読んだ。
    それを知ったことで、子供を叩いていうことを聞かせてはならないと心から思った。
    いい加減にしろ、と手が出てしまった後のなんとも言えないスッキリ感と、その後から襲い掛かる苦々しい気持ちを私は確かに、今も、知っているからだ。

    あすみの子、優はまさに優等生。
    しかしレオンくんママの電話で、その評価は一変する。
    留美子の子、悠宇は兄と一緒になって大暴れ。
    とにかく全く言うことを聞かず、周りからの視線が彼女を追い詰める。
    加奈の子、勇はシングルの母を気遣う心優しい子。
    大変ながらも二人きりの生活を愛情深く育んでいる。

    それぞれの家庭の問題は、理解できるところ、共感できるところが多い。
    特に悠宇は息子と同じタイプで、母親の心労が自分と重なって辛く、同情溢れる。

    さて、結末はあまりに意外すぎて驚いた。
    あすみの家庭については全くもって予想外すぎて「その後」を何度も読み直した。
    加奈については物足りなかった。

    結末については疑問点が残るものの、母親の苦悩、父親の姿に現代日本の育児環境を強く憂えることとなった。
    一方で光一の母親は登場回数こそ少ないものの、「子どもを受け容れる」ことの大切さを感じさせる秀逸な人物であった。

  • 自分にも小学生の子どもがいる。
    だからこそ余計、さまざまな場面で「自分だったら?」「うちの子はどうなんだろう」と考えさせられた。
    あの子がいるからこそ私は母親をやらせてもらっている、そんな謙虚な気持ちをこれからも忘れずに、子どもを一人の人間として尊重していきたいと強く思う。

  • +++
    息子を殺したのは、私ですか?

    同じ名前の男の子を育てる3人の母親たち。
    愛する我が子に手をあげたのは誰か――。

    静岡在住・専業主婦の石橋あすみ36歳、夫・太一は東京に勤務するサラリーマン、息子・優8歳。
    神奈川在住・フリーライターの石橋留美子43歳、夫・豊はフリーカメラマン、息子・悠宇8歳。
    大阪在住・シングルマザーの石橋加奈30歳、離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日、息子・勇8歳。

    それぞれが息子のユウを育てながら忙しい日々を送っていた。辛いことも多いけど、幸せな家庭のはずだった。しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。無意識に子どもに向いてしまう苛立ちと怒り。果たして3つの石橋家の行き着く果ては……。
    どこにでもある家庭の光と闇を描いた、衝撃の物語。
    +++

    「ユウ」という名の子どもを虐待する母親の描写から物語は始まる。それに続いて、「イシバシユウ」という名前を持つ子どもを育てる三組の家族の日常が交互に描かれている。三組の家庭環境はさまざまで、抱える問題もそれぞれ違っているのだが、幼い子どもを育てる日々の大変さや慌ただしさには現実感が溢れていて、どこの家庭でも多かれ少なかれ経験があることと思われる。それが虐待へと繋がってしまうのは、ほんの少しのすれ違いや歯車のずれなのだが、渦中にある時には、とてもではないがそれに気づくことができない。客観的になれれば起こらないはずのことも、そのときにはそれが精いっぱいだということもあるのだ。世の中には、ほんとうに子どもが可愛くなくて虐待に走る親もいるかもしれないが、少なくともこの三組はそうではない。それなのになぜ、と痛ましい思いに駆られる。そして、ラスト近くに挟まれた「イシバシユウ」という子どもが母親の暴力によって死亡したという新聞記事。どの石橋家のことだろうと、胸がどきどきしてくる。このラストには、賛否両論あるところだと思うが、個人的には、ちょっとほっとさせられた。まったくの他人事と放り出せない切実さに満ち溢れた一冊である。

  • 母親目線の子育て系は苦手な上に三人も…としんどく読んでいたが、優の本性が見えたあたりから俄然面白くなった。キライじゃないよ、優。

  • 切羽詰まった母親たち。空恐ろしい話が描き出されている。 「息子を殺したのは私かもしれない」と母親が本気で思ってしまう。読み進めるうちに「誰であってもおかしくない」と思える。母親たちを追い詰めているのは社会?家族?子育て経験のある母親なら多少なりとも思い当たる節がありそうで。子育て期なんて過ぎてしまえばなんということもなく。「あの頃は可愛かった」だけが印象深く残っているものなのだけど。どうか母子とも無事に子育て期を過ぎてしまうことを祈ろう!

  • 美味しいご飯が出てくる話かと思っていたら全然違った。3人の母親の物語。苗字は全部「石橋」。そしてそこには9歳の息子「ゆう」くんがいる。そういう設定が好きじゃないからマイナスからのスタート。サイコパスの優くんの話は読んでて嫌な気持ちになるけど、そういう変な子もいるかもしれない。でも、悠宇くん巧巳くんの兄弟の話はあまりに大げさすぎて読むのがしんどい。加奈ちゃんの章が始まるとほっとする。勇くんがお母さんを守ろうとするシーンにはじーん、としてしまった。加奈ちゃんの夢を応援したい。

  • 子供はあきれるほど千差万別で、正解なんてありはしない。手探りしかないのに、普段接する機会の少ない人は「親なのになんでわからないの?」とか言うんだよ。わかんねーよ別人格だぞ。傾向と対策練るしかないのに、やつら例外ばっかだぞ!しかも人の痛みとかよくわかってないから、平気でぎっすり傷付けてくる分たち悪い。嘘もつく。

    家庭というのは大人(夫婦だけに限らず)の努力とコミュニケーションの賜物で、崩壊と維持は紙一重のところにあるんだ…

  • 冒頭の1ページにてユウ君を虐待している母親のことが書いてあり
    ここで殺めてしまったのか、日常的なことなのか断定できない状態で。
    ここで読むのをやめようとちょっと思ってしまいました。

    その次のページからは、
    イシバシユウという同姓同名で9歳の男の子、
    それぞれの家庭の話が、少しずつ描かれています。

    優君:しっかりとしていて手間のかからない子にみえたが
    次第に、学校では友達にいじめるよう命令したり、
    痴呆になった祖母や、母、父に対する態度が横暴になり、それが素の姿なんだと判明。
    父はあまり関わろうとしない。

    悠宇君:落ち着きがなく、弟と喧嘩ばかり
    夫婦ともフリーで働いているので、生活も厳しい。
    フリーカメラマンの夫は仕事を失っても前向きに仕事探しをしない。
    言われたら少し子供の相手をする。

    勇君:母子家庭。ギリギリの生活なので母は低賃金の仕事を掛け持ち
    母を助けようと家事を頑張るが、火傷を負ってしまい、
    虐待を疑いをもたれる。


    3つの家庭、どれでも冒頭のような状況は起こり得そうで
    どこの家庭の話だろうか?と思いながら読んでたし
    優君、悠宇君のお父さんには、腹立たしくなってきました。
    しかし、悲しい事件は、もう1人のユウ君の話でした。
    こちらのユウ君の家庭の背景が書いていないけれど、2歳下の弟がいるっていうところや
    息子2人と夫が喧嘩になるっていうところは悠宇君の家庭と似ているのでしょうけれども、
    驚いたというか…ミステリー仕掛けにしてあるようだったので
    今まで3家庭の話を読んできたのに、割って入るような、もう1家庭の話で
    残念というか。

    また冒頭のページでは、「ぐったりしたユウを見て、ひとつ仕事を終えたような感覚になる。もやが晴れるみたいに、ようやく頭のなかがクリアになっていく。」
    とありますが、
    最後の方にある、手紙で書いてあることと、齟齬がある気がするのです。

    悠宇君、勇君の家庭はこれから明るい兆しがありますが
    優君はヤバいですね。これから何か起こしそうです。

  • 3組の家庭の親子。家事・育児・夫・経済ともにうまくいくのは努力の賜物だ。全く問題のない家庭は珍しいのかも。

  • 17/02/10読了

    娘が昼寝中、または夜寝た後で読みました。
    なんだか疲れました。自分もいつそうなってしまうか分からない怖さが常にある。

  • 子供は思い通りにならないとはいうが、この日常を知れば、ちょっと騒いでいる子供を見ても、全てに親の顔が見てみたいという思考にならないと思う。そして、男親は本当にしっかりしてほしい。誰にでも起こり得る結末に、背筋が凍る。

  • これ読んだら、少子化が進みそう。
    独身女性にはおすすめしません。

    子育て経験(特に男子)がある母は、どれかのユウ君ママに当てはまると思う。
    小学生男子の子育ては、本当に大変。
    あとから思えばそんな時期も間もなく終わるんだけど、最中は本当にエネルギーを使うと思う。

    とりわけいちばん恵まれた環境にあるあすみさんちのユウ君の先行きが心配。

    しかしどのユウ君ママも一生懸命であるのに比べて、出てくる男が全員ひどい。
    さてこの先、ユウ君たちはどんな大人になっていくのだろうか。

  • イシバシユウという8才の男の子と母親の関わり方の落とし穴.いろんな事情のある3家庭の様子が交互に現れ,だんだんと緊張感が高まっていく.どんな家庭でも母子でも起こりうるかもしれなかった悲劇.

  • 三人の10歳の少年 イシバシユウ君の物語

    ○優秀で優しいと思われていた息子が、実はクラスの発達障害の子を使って他の子をいじめさせていたという事がわかる。段々本性を表し、周りを苛立たせ、親を批判し、認知症の祖母を足蹴にするようになる。母親はひたすらうろたえるばかり、父親は怒るだけ。将来が心配な子供
    ○男二人兄弟は、言うことを全く聞かず、いつでもどこでも好き放題暴れまくる。フリーカメラマンの夫が職を失い、フリーライターの妻は本格的に仕事復帰するが夫は育児をちゃんとしてくれない。
    とにかく、恐ろしい程多動の子供たち。普通の子供とは思えないひどさは少し現実離れしているように感じられた。
    ○貧しい母子家庭に育ち、その境遇をしっかり受け止めて明るく生きる息子。母親もいくつもの職をかけもちして、一生懸命子供を育てていて、温かい家庭を築いている。しかし、ろくでなしの弟が現れて、その平和な生活にも大きな波が立つ。健気で優しく賢い子供

    どの家でも、母親は一生懸命子育てをしている。男たち、しっかりしてほしい。

  • 「この本を読んで救われた」

    子育てに悩んでいた知人から言われて読んだ。
    どの部分が、どう彼女に響いたのだろうか。それを考えながら読んだ。

    ごく普通の夫婦と子どものいる3つの家族。一見どの家族も幸せそうだが、少しずつ歯車がくるっていく。夫婦の歪みを子どもは子どもながらに敏感に感じるのだと思った。夫婦生活は忍耐だ、ということを耳にするが、忍耐している母を子どもは見ている。例え母子家庭だとしても、生活が苦しかったとしても、自分に正直に生きて愛情を注いでくれている母を、子どもはきちんと見ている。

    子どものことが何よりも大切なはずなのに、押さえきれない衝動。虐待、というニュースや新聞の字面だけでは察し得ない母親の葛藤。きっと彼女も、この本を自分ごととして読んだのだろう。そして、自分の子育てや決断が間違っていなかったのだと勇気を持てた。良いタイミングでこの本と巡り会えて良かった。あるいは、自ら求めて探し出したのかもしれない。

    読んだことで救われる。本には、そういう力がある。この本を自分の職場にも置いて多くの方に読んでもらおうと思う。一人でも救われる母が増えると良い。

  • イシバシユウという同姓同名で9歳の男の子を育てている3人の母親たち。
    順番にその生活が描かれていく中で、一体誰が我が子を殺めてしまったのか。

    あすみは裕福な家庭で義母と同居し、育児に歓びを感じながら専業主婦をしている。
    一人息子の優は心優しく、成績も良く、なにもかも順風満帆なはずだった。
    フリーランスで共働きの留美子は、悠宇と巧巳のやんちゃ盛り兄弟に手を焼いて毎日怒鳴ってばかり。
    仕事が増えるつれ家庭にしわ寄せがきて、夫との関係も冷え切っていく。
    母子家庭で勇を育てる加奈は、休みなく働き詰めの毎日。
    しっかり者の息子と寄り添うようにささやかに暮らす2人はとても幸せだったが、加奈の弟の正樹が現れて…。

    どの家族も、それぞれ問題を抱えていた。
    外側からどんな風に見えても実際のことは分からない。
    3人の母親全員にイシバシユウを殺めてしまう可能性を感じてしまいました。
    本当に紙一重の緊張感に、続きが気になってページをめくる手が止まらなかったです。

  • 2017.1.14読了 図書館
    3人のイシバシユウ君とその家族のお話。
    優君がどんどん変わっていくのが怖かった。果たしてあすみさんはあの人に救われるのか。

  • 冒頭のページで、読むのをやめようかと思った。
    が、読み進めるうちに、どんどん読み込めた。それに、読みやすかった。

    同じ名前「イシバシユウ」を持つ、三か所で生きる母親の話。
    優という一見しっかりとして、手間のかからない息子を持つ母親あすみだが、家庭では一見いい子にしているが、学校では友達にいじめるよう命令したり、違う顔を持つ。後半からだんだんと素顔が出るようになりあすみゃ父親、痴呆になった祖母に対する態度が横暴になって行く。発言も子供らしくなく、斜めに構えた発言などが怖かった。

    悠宇という弟と喧嘩ばかりしている、落ち着きがなく騒がしい子供を持つ母親留美子。夫婦ともフリーで働いているので、生活も厳しい。二人の男の子は片づけない、喧嘩ばかり、いうことを聞かないとそれだけで生活は大変。加えて、フリーカメラマンの夫は仕事を失うが前向きに仕事探しをしない。生活の切り盛りを、すべて一人で行っている留美子の慌ただしさが伝わってくると同時に、家事・育児に積極的でない夫に腹が立ってしょうがなかった。

    勇というけなげで、貧しくとも家庭の状況をわかっており、母を助けようとする子を持つ母親加奈。早朝のコンビニから契約社員で働く化粧品会社、そして夜はまたコンビニと働きづめのシングルマザー。節約しながら暮らしている生活ぶりも大変だが、貧困の連鎖にならないよう勇のことを一番に考えているところに好感が持てた。弟にお金を取られたり、変なママ友に因縁、楽に稼げる仕事を進められても生活スタイルを大きく崩さす、二人で懸命に生活している姿がよかった。物わかりのいい息子という点も安心できた。

    三つのそれぞれの生活から、どんな家庭にも一見外からでは分からない悩みや、困った事象を抱えており、それを抱えながら生活しているということがとらえられていた。
    それぞれ、どんな結末になるのか、落としどころをどうするのか最後まで飽きることなく読めた。

  • 可愛いはずの我が子に当たってしまう。いけないと思いながらもイライラをぶつけてしまう。私には子どもがいませんが、世の中の母親は大なり小なりそのような葛藤を抱えているのだろうと改めて感じました。

    「イシバシユウ」を殺めたのはどの母親なのかという答えももちろん気になって読み進めましたが、母と子の関係の在り方、家族の在り方を深く考えさせられました。

  • 崩壊していく家族。切なくなるな。
    一方で母親目線でかくとこうなるのか。あまりにも一方的過ぎないか?と、若干感じるのは、自分の過去に重なりあう部分を感じるからかな。

    それにしても悲しいな

  • 子供への虐待、子供の貧困について報道され話題になって久しいが、この小説はそのような事態はどこの家庭にも起こりうると提唱しているように感じる。
    居住地も家庭環境も経済状態も異なる3組の家族、その家族には同姓同名の8歳の男の子がいる。彼らの生活動向等の物語りが並行してすすんでいく。全く異なる環境の中にいる子どもたちだが、成長の過程での親の接し方、育て方、家庭環境、そして遺伝的要素も含まれるであろうーーで人間は形成されていく。親にとってはどんなときでも子どもは宝であり、深い愛情を持っているのであるが、ちょっとした親との意思疎通のすれ違いや回りの人間関係で、親子関係が微妙に不安定になっていくこともある。閉鎖された家族関係が多い現代、原因は多様であり一概に決めつけられない。この時点でほんの少しでも外部の風が吹けば、彼らはまた平安な日常へ戻っていくのだろう。しかしその救いの手がなかったとき・・・
    終盤、子供を死に至らしめる事件が起こり、いったいこれはどの家族に起こったことなのかとミステリー要素も含みながらストーリーは展開していく。最後は三家族それぞれの新たな一歩が示されている。そこへ至るまでの物語はそれぞれに辛さや悲しさ等も読者に感じさせるが、明るい一歩であるという余韻を残しているのには救われる。
    この作品を読む限りどのような悲惨な子供への事件でも、もともと親は深い愛情を持って子供に接している、ちょっとした歯車の狂いで子供への虐待は増幅していくのだと思った。

  • 正解もマニュアルもない中で、毎日子育てに孤軍奮闘しているお母さんたち。一番大変だった時期を過ぎたであろう今なら笑って話せることも、当時の自分にはいっぱいいっぱいだったことを思い出した。でも楽しいことの方が圧倒的に多かったなぁ。それにしても出てくる男どもがあまりに幼稚で情けない。
    あすみさんちの優くんだけは、危険なにおいがした。どんな大人になるのだろうか怖い。
    明日も幸せな食卓を囲むことができますようにと願って、読了。

  • 人の生活ってホントにちょっとした事で脆く壊れるんだなあと恐ろしく思った。幸せそうでも何があるかわからない。
    そして3人のお母さん達の頑張りっぷりに比べて、ここに出てくる男の人達のカスイことと言ったら!自分が女だから尚更そう思うのかもしれないけど、男って・・・って思ってしまう。
    世の中のお母さん達の大変さを実感!自分はまだまだだなあ

  • 悲しい、育児は大変。

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