明日の食卓

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著者 : 椰月美智子
  • KADOKAWA/角川書店 (2016年8月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041041048

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明日の食卓の感想・レビュー・書評

  • 子育てを甘く見ていた。自分もこうして育ったんだから同じようにしていれば大丈夫だと信じていた。

    テーマは重くて子育て、介護、発達障害、ひとり親世帯、離婚、貧困、虐待と様々な負の因子が絡み合って、読書中は母子二人っきりの転覆しそうな小舟に乗って海をあてもなく漂っているような気分になってしまいました。本当に子と二人っきりの閉ざされた世界。

    届いて読み始めましたが先が気になってしまい、2日くらいで一気に読み切りました。涙が出たりため息が出たり、「あぁ…」と言いながら天を仰いだり。

    私の子育ての一番苦しかった山場は通り過ぎたけど、あの一番苦しい時期にこの本を読んでいたら少しホッとしたかもしれない。本当に苦し時は読書も出来ないし働くママたちには時間さえないかもしれない。だけど一人でも多くの人にこの本を手に取ってほしいな…と願いながら本を閉じました。




    =追記です=

    読み終えてから『明日の食卓』…というタイトルについてずっと考えていました。ふと思ったことは育児が大変だった時は献立なんて考えられないし、今が精いっぱいで明日のことどころじゃない…。ましてや明日の献立なんて考えられない。うちが家族みんなそろって食べていたのは、口うるさい義祖母がいたからこそで、義祖母のような存在がいなかったら…、きっと各自それぞれ孤食だったと思う。明日も家族で食卓を囲めますように。それがささやかでもしあわせの証なのかもしれない。そんな風に思いました。

  • 子どもを育てたことのあるヒトなら、多分同じことを思うだろう。
    子育ては、24時間営業年中無休の仕事だ。大きくなっていけばそこに休憩も休日も増えていく。肉体的負担は減っていくが今度は逆に精神的問題が増えていく。生まれた時は天使のようだった我が子が、ある日見知らぬ化け物に見える時がある。自分の中に、子どもを愛しいと思う気持ちと同じ濃度で邪魔だとか憎らしいとかそういうネガティブな感情も存在する、そのことに気付き愕然とする。
    子育てに終わりはない。どれだけやれば100点満点という上限も、いつまでやれば終了という期限もない。そんななかで子どもを虐待し、命を奪ってしまう母親は決して特別な存在ではない。
    昨日私は子どもを殺さなかった。でも今日は殺してしまうかもしれない。そう、ユウくんママは今日の、もしくは明日の私かも知れないのだ。
    椰月さんが「明日の食卓」というタイトルにこめたのはきっと希望。けれど明日の食卓にその姿を見せない子どもが今日もどこかにいるのだ。

  • 椰月さんの本は『るり姉』に次いで2冊目。

    石橋あすみは36歳の専業主婦。
    石橋留美子は43歳のフリーライター。
    石橋加奈は30歳のシングルマザー。
    彼女たちの息子「石橋ユウ」は小学3年生。
    同じ名前、同じ歳の息子をもつ3人の母親。
    まったく違う環境の下、子育てをする3人。
    それぞれの悩み。
    歯車がひとつ狂えば、愛情は暴力へとつながっていく…

    シングルマザーの石橋加奈の生き方にエールを送りたい。
    ガンバレー!

  • 初めて読む作家だったが、先が気になって一気に読んでしまった。
    文字を追って文章を読んでいるという気がしない、直接内容を見ているような…
    時々そういう本に出会う。

    何軒かの「石橋家」いろいろな家庭だが、そこにはそれぞれ9歳の「ユウ」という名前の男の子がいる。
    平凡だが、ささやかに幸せに暮らしていた…
    はずだったのだが、だんだんとその家庭がゆがみ始める。
    怒りと暴力、傷つけあう家族たち。

    なぜ、皆同じ苗字、そして同じ名前(漢字はちがう)の子どもにしたのだろうかと思ったが、多分、『どこの家庭でも起こりうる』という事なのだろう。

    母親は本当に大変だ。
    心配事が絶えない。
    子育ては責任が重い。
    全てが肩にのしかかってくる。
    そして、「夫」というものはどうしてこう、幼稚で自尊心ばかり強いのだろう。
    そして、心が狭い。
    「おちょこの裏側ぐらいの心の狭さ」という表現に笑ってしまった。
    まず、子育てを自分の事として考えていない。
    面倒なことからは顔をそむけて、全部妻に押し付ける。
    責めると機嫌が悪くなる。
    肝心な時に頼りにならない。
    一番貧乏だが、加奈の家庭が、子供の人柄も含めて一番まともに思えたが…どこが違うのかと思ったら、夫がいなかった。

    夫が妻の話を聞いて協力してあげるのが一番だけど、無理なら、友だちでも良い、警察官でも良い、児童相談所の職員でも良い…
    誰か、彼女たちの叫びに耳を傾けてあげてください。

  • 別の場所で小学3年生の3人の石橋ユウを育てる3人の母の話。

    どの家庭も、少しずつ不幸に苛まれていき、母達はギリギリのところで子育てをしている。
    最初に提示されていた虐待しているユウの母親は誰なのかを考えさせる展開です。

    子育ては深い愛情と大変さの両方を持つもの。
    事件となってしまった虐待は、どこの家庭でも起こった事だったかもしれないと思わされます。
    子育て終了間近ですが、母達の気持ちは思い当たることもあり、興味深い読書でした。

  • 怖い作品だった。子を持つ親だったら誰でも考え得る問題。自分の子は良い子なのだろうか。自分の見ている子どもと、外での子どもは違うのだろうか。子どものことをちゃんと理解できているだろうか。子どもが悪いことをして、それを受け入れる覚悟は?子どもを殴らないでいられる自信は?
    この物語には、3つの家族が登場します。それぞれの家庭には、同姓同名の「イシバシユウ」。家と学校では別人格のような子。兄弟で毎日喧嘩をしては親を困らせる子。貧しい母子家庭で育ち、素直に育っているのに、学校で給食費とかが盗まれるのを疑われる子。
    本当にどの家庭のことも他人事とは思えなかった。ただ、読んだ後は子どもを大切にしようと、改めて思える作品。

  • こちら、ブクログの献本で当選した一冊。
    ブクログさん、お世話になっております。

    私は3歳になる娘が居ますが、産まれる前まではもっと今とは違った子育てを想像していました。
    爽やかなと言うかにこやかなと言うか。

    3組のイシバシ家、一番共感出来たのは二人兄弟のお母さん、留美子。

    虐待になるかそうじゃないかの境目って本当に紙一枚の差だと私は思います。
    その日のうちにリセット出来なかったイライラが積もりに積もって、プチんときてしまうのだろうなと。

    あぁ、本当に世のお父さんもお母さんも毎日お疲れ様です、と声を大きくして言いたい。

    終盤はかなり急ぎ足になっていた様に思え少し残念でした。
    全体的にかなり引き込まれて読めていたので、3組のイシバシ家のその後がかなり気になってしまいました。

  • 献本企画でいただきました!!
    親にとっては他人事とは思えない切実な一冊。
    子どもを、親の所有物としてみては決していけないということ。一人の人格なんだときちんと認めなければいけないということを思い知らされました。

  • ユウという子が虐待されているシーンから物語は始まります。


    そのあとに3人の母親と3人のイシバシユウくんが登場。
    母は年齢も環境もそれぞれ異なるのだけど、息子は同姓同名で同い年の3人。この中の誰が虐待をされるのか…?と思いを馳せながら読み進める。


    読み進めていると、3人のなかで留美子があれ?もしかして…。と感じたりするんだけど、結末は違ったなあ。


    でも母3人のそれぞれの葛藤もすごくわかって、子育てやしつけってほんとに難しいなと思う。
    子によって違うし正解もないし。


    自分も母になって思うことは、ほんと探り探りだしわかんないことだらけ。今はまだ赤ちゃんだからいいけど、話したり自分の意思をもったりしたら大変なんだろうなと思う。
    成長はうれしいけど、自分の思い通りにいかないことも多々あると思う。
    冷静に対処しなきゃと思ってもできないことも多いだろうし。


    でもそういう色々を乗り越えて、子供も親も成長するんだろうなーと考えてる。

    かっとなって一時の感情で叩いたり殴ったりすることは簡単かもしれないけど、自分は大人って言い聞かせて深呼吸して落ち着くことが大事なんだろうな。


    日常的に虐待が行われていたわけじゃないし、虐待死させてしまった母親も本当に我が子を殺すつもりなんてさらさらなくて、その時制御できなくていきすぎてしまっただけだって、思った。


    この事件を通して、同姓同名の子をもつ母親たちも我が子との関係だったりを見直したりして、少しよい方向に進めてるのが何よりだった。


    それにしても、結末は本当に意外だった!

  • 読みながら、これはよくあることなのではないかと、身につまされながら読み進めました。散らかしっぱなしでケンカ後ばっかりする兄弟、サイコパス(?)の優も全然いないことないと思います。ごく普通の家で起こりうること。現実はこれより厳しいかも。

  • ユウという男の子が虐待で亡くなったという話のあとユウと同姓同名の息子をもつ3つの家庭の物語が描かれる。どの家庭にも問題があり、虐待ギリギリの状態になっていくので、どの家庭の母親が起こしたのだろうかとちょっとミステリーっぽくなっている。最後に答えは出るがそれよりも、とにかくこの3つの家庭の話が今の母親から見れば共感することばかりなのではないだろうか。そして父親のふがいなさ。最後に救われる話もあるがやっぱり気持ちはちょっと沈んでしまった。

  • 同姓同名の子供たち。
    ユウと名付けられた子供たちのうち、いったい誰が母親の手にかかってその短い命を終えたのか。
    推理と心理。
    恐怖と祈り。
    どうか、この子でありませんように。
    この母親でありませんように。

    怒りの持続時間はとても短いものだそうだ。
    そしてそれを暴力によって解決すると、人の頭はスッキリするようにできているらしい。
    だから暴力は繰り返されるのだと以前どこかで読んだ。
    それを知ったことで、子供を叩いていうことを聞かせてはならないと心から思った。
    いい加減にしろ、と手が出てしまった後のなんとも言えないスッキリ感と、その後から襲い掛かる苦々しい気持ちを私は確かに、今も、知っているからだ。

    あすみの子、優はまさに優等生。
    しかしレオンくんママの電話で、その評価は一変する。
    留美子の子、悠宇は兄と一緒になって大暴れ。
    とにかく全く言うことを聞かず、周りからの視線が彼女を追い詰める。
    加奈の子、勇はシングルの母を気遣う心優しい子。
    大変ながらも二人きりの生活を愛情深く育んでいる。

    それぞれの家庭の問題は、理解できるところ、共感できるところが多い。
    特に悠宇は息子と同じタイプで、母親の心労が自分と重なって辛く、同情溢れる。

    さて、結末はあまりに意外すぎて驚いた。
    あすみの家庭については全くもって予想外すぎて「その後」を何度も読み直した。
    加奈については物足りなかった。

    結末については疑問点が残るものの、母親の苦悩、父親の姿に現代日本の育児環境を強く憂えることとなった。
    一方で光一の母親は登場回数こそ少ないものの、「子どもを受け容れる」ことの大切さを感じさせる秀逸な人物であった。

  • 冒頭のページで、読むのをやめようかと思った。
    が、読み進めるうちに、どんどん読み込めた。それに、読みやすかった。

    同じ名前「イシバシユウ」を持つ、三か所で生きる母親の話。
    優という一見しっかりとして、手間のかからない息子を持つ母親あすみだが、家庭では一見いい子にしているが、学校では友達にいじめるよう命令したり、違う顔を持つ。後半からだんだんと素顔が出るようになりあすみゃ父親、痴呆になった祖母に対する態度が横暴になって行く。発言も子供らしくなく、斜めに構えた発言などが怖かった。

    悠宇という弟と喧嘩ばかりしている、落ち着きがなく騒がしい子供を持つ母親留美子。夫婦ともフリーで働いているので、生活も厳しい。二人の男の子は片づけない、喧嘩ばかり、いうことを聞かないとそれだけで生活は大変。加えて、フリーカメラマンの夫は仕事を失うが前向きに仕事探しをしない。生活の切り盛りを、すべて一人で行っている留美子の慌ただしさが伝わってくると同時に、家事・育児に積極的でない夫に腹が立ってしょうがなかった。

    勇というけなげで、貧しくとも家庭の状況をわかっており、母を助けようとする子を持つ母親加奈。早朝のコンビニから契約社員で働く化粧品会社、そして夜はまたコンビニと働きづめのシングルマザー。節約しながら暮らしている生活ぶりも大変だが、貧困の連鎖にならないよう勇のことを一番に考えているところに好感が持てた。弟にお金を取られたり、変なママ友に因縁、楽に稼げる仕事を進められても生活スタイルを大きく崩さす、二人で懸命に生活している姿がよかった。物わかりのいい息子という点も安心できた。

    三つのそれぞれの生活から、どんな家庭にも一見外からでは分からない悩みや、困った事象を抱えており、それを抱えながら生活しているということがとらえられていた。
    それぞれ、どんな結末になるのか、落としどころをどうするのか最後まで飽きることなく読めた。

  • 可愛いはずの我が子に当たってしまう。いけないと思いながらもイライラをぶつけてしまう。私には子どもがいませんが、世の中の母親は大なり小なりそのような葛藤を抱えているのだろうと改めて感じました。

    「イシバシユウ」を殺めたのはどの母親なのかという答えももちろん気になって読み進めましたが、母と子の関係の在り方、家族の在り方を深く考えさせられました。

  • ブクログのページに宣伝が出ていたので購入しました。ハードカバーだったけど、ちょうど読み漁っている毒親とか虐待とかがテーマだったので文庫で出るのを待たずに・・・

    読み応えがありました!3組の家族を描いていますが、名前の漢字の違い、家庭環境の特徴などをきっちりと書いてくれているので、意味を理解しながら読み進めることができました。

    リアルで心に刺さりますね。ネタバレはしたくないのでこれ以上は書けませんが、すばらしい内容でした。
    とても読み応えがあります。
    椰月美智子さんの他の本も読んでみたいです!

  • 最初のページで鼓動が速くなる…9歳の息子に苛立ち手をあげ、さらに反抗してくるので思わず蹴り上げる…

    先が気になって2日で読んでしまったけど、寝ながら読んでもちっとも眠くならない本だった(汗)

    子育てをする母の目線で描かれている。夫への不満や同級生の親への苛立ちなど、どこの家庭にもあるであろうことだけど読んでいてとても嫌な気分になった。ぐらい主人公に肩入れをしてしまった。

  • 読んでいて、ページを捲るのがもどかしいくらい、とても夢中になって読みました。専業主婦、共働き、シングルマザー。様々な家族構成での母親の子育ては、波乱が次々と待ち構えていて、切羽詰まった母親の、してはいけない子供への暴力が生々しく著されています。そして、登場する夫たちの父親としての心の未熟さや子育てへの無関心さに苦しむ母親たちにとても感情が揺さぶられました。
    現在進行形で子育てをしている男性やこれから子供が生まれる男性こそ読むべき一冊だと思いました。

  • 「イシバシ」“ユウくん”への虐待シーンから始まる本書は、多くのことを考えさせられる作品だった。

    専業主婦の石橋あすみ, フリーライターの石橋留美子, シングルマザーの石橋加奈。
    全員の共通点は、苗字が「石橋」であることと、“ユウ”という8歳の息子がいること。

    冒頭のシーンで虐待されてしまっているのはどの“ユウくん”なのかを考えながら読み進めていく。
    どの家族も、小さな問題こそ抱えているものの、親子関係については至って順調で、幸せそうな印象を受ける。

    しかし、途中から、それぞれに家庭の綻びが出てきて、親子関係や夫婦関係の雲行きが怪しくなり、「もしかしたら、“ユウくん”は3つの家庭全員のユウくんではないのだろうか?」という思いも過った。

    この点の落とし所や最後のタネ明かしは、ミステリー好きな私も面白く読むことができた。

    けれども、それよりも、この3つの家族の描写や、それぞれの家族の話に登場する別の家族の描写が、何より印象的で心に訴えてくる。
    どの描写も大袈裟ではなく、程良いリアリティーがあるから、自分に子どもがいるわけではないのに、それぞれの母親の気持ちや行動を疑似体験している気分になる。
    そして、絶望的になる。

    子育ては闘いだ。
    母親と子どもの。
    父親と子どもの。
    母親と父親の。
    母親とママ友の。
    時に、祖父母と子どもの。

    本書に散りばめられた多くの子育ての問題を、私もこれから否応なく経験していくのだろうか。
    その時、自分一人の力で闘い切れるだろうか。
    人を一人育てることが、こんなにも葛藤の多いことだったなんて、深く考えたことはなかった。
    子どもを産み、育て上げることへの責任感を独身女性でも感じることのできる、小説というジャンルでは括り切れない、とても良い≪作品≫だった。

    もし、これから自分に子どもができたとしたら、出産する前に再読したい、そんな風に思った。

  • 今どきのストーリーとしてはあり得るけど、何かドタバタして、収拾が付かないうちに終わったって感じ。
    留美子の家庭が耀子の家庭のようにならなくて良かったね

  • 虐待のシーンから始まる。それを読んだ瞬間、この本を読むのをやめようかと思った。それぐらい、衝撃的だった…。
    一見聞き分けのいい子のいる裕福な家庭。
    ドタバタ喧嘩が絶えない男兄弟のいる家庭。
    シングルマザーの家庭。
    どの家庭を見ても、ほんと男って…責任感ないんだろう。自分のことばかりで…。世の中、オトコがもっときちんとしてたら、母親頑張ってる人たちが救われるだろうに…。ちょっとしたことでいい。屈託のない笑顔、優しい声かけ…ちょっとしたことで母親は救われるのだから。
    なんだか辛かった…。紙一重なんだよね、本当に。虐待してしまうまで自分が制御できない状態になるのは。心に余裕を持って子育てするなんてなかなかできない。思い通りにならないことだらけの中で、本当に頑張ってるのだ、母親たちは。当たり前に母親になるんじゃない。みんな理想の母親になろうと必死でもがいてるのだ。

    私も辛かったたなぁ…頑張りすぎたんだと今になれば分かる。あの頃に私にそっと寄り添ってあげたいきもち…。

  • 息子ユウを虐待死してしまった母のニュース。三人のユウと母たち、裕福な夫婦のいい子・賢い子、貧困シングルマザーと頑張る息子、フリーランス夫婦の兄弟げんかが絶えない息子たち。

    どの家庭にも可能性はあったのに、描かれなかった第4の家庭。

  • 同じ石橋「ゆう」という名の小3の男児を持つ母親3人の子育て物語、というには悲惨過ぎるのだが。

    それにしても父親のだらしないことと言ったら。

  • 虐待になってしまうのも紙一重?
    母親の方に…

  • この人の本はこれまで1冊しか読んだことがなくて、その印象はちょっと独特な世界観と文章を書く人・・・?だったので、これは思いのほか読みやすいと思った。
    話自体が自分の好きなミステリー調だったからかもしれない。

    この本は冒頭に「ユウ」という子供が親に虐待されている様子から始まる。
    そして、続く本文では「ユウ」という子供をもつ3人の母親の様子が入れ替わり立ち替り描かれていく。
    だから、最初にひどい虐待を受けて、もしかしたら死んでしまったかもしれない「ユウ」はこの3人の子供の内の誰なんだろう?となる。
    それこそがこの物語を読み進める原動力になり、ラストを知った時はちょっと作者のあざとさを感じてしまった。
    まあ、それはそれとして・・・読んでいてひしひしと伝わってきたのは女性であり、母親であることの難しさ。

    3人の女性の内、最初に登場する女性は経済的に恵まれていて子供も聞き分けが良い子で、彼女自身も子供が好き。とても幸せそうに見える。
    所が、いい子だと思っていた息子が友達を虐待しているという疑いがもちあがる。

    次に登場する女性はライターの仕事をしている女性で、ほぼ休業中だったのに、ある時次々に仕事が入って来るようになる。その頃、皮肉にもカメラマンの夫がメインの仕事を失う。
    彼女には2人の子供がいて、2人はいつもケンカをしていてヤンチャ。
    家はハチャメチャだし、失業したダンナはもう一人の子供のようで、仕事をしながら青筋を立てて仕事をする様は見ていても「これじゃ、気が休まらないわ・・・」と思う。

    最後に登場する女性はシングルマザーで朝、昼、夜、1日13時間仕事をしている。
    誠実に仕事に取り組む彼女は、子供2人とささやかながらちゃんとした暮らしをしている。
    それが絶縁状態だった実家とまた交流をもつことになり、ある事件がー。
    さらに、子供に同級生のお金を盗んだという疑いがもちあがる。

    最初は経済的に一番苦しい3番目の母親が一番しんどいし、大変だ・・・と思っていたが、話が進むにつれてその印象が変わっていく。
    もちろん、大変は大変だけど、それがまだ見えているだけまだましなのかも・・・と思った。
    何といっても彼女が貧困に流されず、とてもきちんとした考えをもって地に足つけて生きているというのが将来の明るさを感じる。
    それに比べて、最初の女性は習い事をするくらい経済的にゆとりのある暮らしをしているが、いつも現実から目をそらしている。
    子供にもダンナにもバカにされているが、その現実を認められない。
    そして、そんな彼女の行きつく先はー。
    2番目の女性はとにかく気持ちがよく分かる。
    こんな状況だったら「あーーー!!!」と叫んで何もかもメチャクチャにしたくなる。
    可愛くてたまらない子供なのに、ある時は憎いし、計算高い一面がチラッと見えたりもする。
    母親だからこそ分かるその感覚・・・。

    3人それぞれ、全く違う個性と人生を生きている女性で、共通するのは「ユウ」という子供がいるということ。
    実はどこかでつながりがある・・・というありがちなパターンもなし。
    だけど、3人とも自分なりに子供を愛して自分なりに必死に生きている。
    必死に生きているんだけど、それがいい方向にいくのかどうなのか分からない。
    そんな3人の明日の食卓はーどうなるのか?とタイトルを見ながら思った。
    例え貧しい食卓でカップラーメン、菓子パンひとつしかなくても、それを囲む家族の心がつがなっていれば幸せだし、もしかしたら食卓を囲む人がいるだけでも幸せなのかもしれない。
    だけど、そんな当たり前のことはあって当たり前とおざなりにしてしまいがち。
    本当に苦しくて泣きながら一人で食卓に向かってた時のことを思いだして、そんな見当違いの感想をもった。

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明日の食卓の作品紹介

息子を殺したのは、私ですか?

同じ名前の男の子を育てる3人の母親たち。
愛する我が子に手をあげたのは誰か――。

静岡在住・専業主婦の石橋あすみ36歳、夫・太一は東京に勤務するサラリーマン、息子・優8歳。
神奈川在住・フリーライターの石橋留美子43歳、夫・豊はフリーカメラマン、息子・悠宇8歳。
大阪在住・シングルマザーの石橋加奈30歳、離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日、息子・勇8歳。

それぞれが息子のユウを育てながら忙しい日々を送っていた。辛いことも多いけど、幸せな家庭のはずだった。しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。無意識に子どもに向いてしまう苛立ちと怒り。果たして3つの石橋家の行き着く果ては……。
どこにでもある家庭の光と闇を描いた、衝撃の物語。


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