侵蝕 壊される家族の記録 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041043363

感想・レビュー・書評

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  • 最後の参考文献のページを見て、やっぱりあの事件が元になってたのかとさらに心が沈みました。
    幕間と皆川家の時間が重なり合う第四章からエピローグ、私は泣かずにはいられなかったです。ホラーで泣いたのは始めてかも。
    山口葉月がなぜ長きに渡って色んな家庭に寄生することになったのかまでストーリー掘り下げられてたらもっと良かった。
    情状酌量の余地なんかないくらいあの女は酷いことしてきたけど、そう至る背景を見てみたかった。
    そもそも理由も無く、なんとなく家庭を壊し続けていたのなら、余計山口葉月という女に恐怖を覚えたことと思う。
    読み終わったあと、少しの間だけホラー、イヤミス小説読むの辞めようと思った。
    それだけ辛すぎる展開が続く本でした。

    家族への愛を失いそうになったら、過去に自分をたくさん愛してくれたことをたくさん濃く思い出して、憎悪をかき消せるくらい強い心を持ちたいと思えました。
    実際、皆川家と同じ状況に自分が陥ったらそれは無理かもしれないけど…。
    にしても美海ちゃん、最後まで本当によく頑張った。
    始めてハグしたい衝動に駆られるほどの登場人物に出会えました。
    小説の中の人物とはいえ、この先どうかみんなに幸あってくれと願わずにはいられないです。

  • 面白かったです。知らない人には子どもでも話しかけないようにします。

    (2018.12.12読了)

  • 怖かった…ヒトコワがやっぱり最恐だな。
    北九州の事件が思い出されるくらい、徐々に洗脳されて掌握されていく、まさに侵蝕でした。
    ただ、終わり方は意外でした。
    てっきり最悪な終わり方をするのかな〜と思ってたましたが、意外な形で終わりを迎えて、ほ〜んて感じです笑
    やっぱり櫛木理央作品はどれを読んでも面白いです。

  • 本来なら安心できるはずの自宅に赤の他人が棲み着いたら――
    オバケも怪物でもなくて、人間が一番怖い…

  • ずっと重苦しい。
    光は見えない。
    家の中、密室。

    人間誰もが、もっている「孤独感」「弱さ」に、そっと寄り添う、手をさしのべる女。
    少しずつ、確実に心を身体を蝕んでゆく。
    優しく、強く、縛りあげる。

    人の心を簡単に壊せる方法を知っている女にかかれば、皆、彼女にすがりつく。従順になる。

    人間が壊れてゆく描写がとてもリアルで、読んでいてとてもハラハラした。

  • 家族が他人によって、マインドコントロールされ結果、家族崩壊をする話。
    お互い憎しみ合い、自分たちで考えることをやめ、主犯格の命令に従うだけの奴隷と化していく姿は恐怖。オバケや幽霊よりも生きている人間が怖いと感じた。

    理性を保ち、正常な判断をするには
    適切な食事と睡眠が必要不可欠であると知った。
    あとは自分の悩みを話せる信頼できる人を周りに置くことも大切。
    被害者と加害者は表裏一体の時もあることを知った。たしかに世間のニュースでも「恨んで人を殺した」などあるし、自分が常に安全圏にいるのではなく、被害者にも加害者にもなりうる存在だと気付かされた。

    自分は他人に支配される訳ないと思っていたが
    案外そうでもないかも...
    自分の悩みや苦悩を全部さらけ出すのは快感であり、聞き上手な人はそれを受け止めてくれるためペラペラと話してしまうが、
    聞いてくれている相手は、実際胸の内でどのように考えながら聞いているのかわからないな、と思い
    日々の生活でもプライベート過ぎることは本当に信頼できる人のみに話そうと思った戒めの本になりました。

  • 見ず知らずの他人が家族の誰かに取り入って家の中に入り込み、いつの間にか支配し家庭を壊していく。話だけ聞くと信じ難いけれど、実際に似たような事件がかつて起きたというから驚く。

    不眠による判断力の低下、甘言、暴力と脅し、あらゆる手を使って他人を意のままに操るマインドコントロール。本当にそんなことが可能なのか分からないけれど、葉月の術中にはまり、互いに憎しみ合う家族の姿がもどかしい。何より身勝手な父親に腹が立つ。

    葉月の異様な厚化粧には何か意味があるのかとは思っていたけれど、そう来たか。ちゃんと伏線が張られてたー。
    他人に家を乗っ取られる恐さを描いた話だと思っていたら、ちゃんとミステリーだった。

  • ヤドカリ女!人間の壊れていく過程をマジで感じ怖くなりました。他人の家庭をジワジワ侵食することって出来るんですね。怖かったです

  • 続きが気になりすぎて時間忘れて一気読み。
    薬物とか催眠術とかそういう反則技抜きで、リアルな手法で主人公の家族が洗脳されていく様子たるや!
    いやー、すごいもの読ませてもらった。
    実写化希望。

  • 子供を巧みに使ってある一家に入り込み、いつの間にかその家庭を崩壊し乗っ取っていく恐怖の寄居虫女。平凡な女子高生の皆川美海の家に、その女はやって来る。美海の家族は、いかにして『侵蝕』されていくのか…。

    真っ白のロングワンピースに、肘まである白レースの手袋、白フリルが満載のポシェット、そしてもちろん靴下だってホワイトという、これだけでもだいぶホラーな出で立ちなのに、年齢不詳なまでの厚塗り(白塗り)メイクだって言うんだから、怖すぎます。
    しかも皆川家が『侵蝕』されていく途中の寄居虫女が憎たらしいったらありゃしない。自分の家なんだから、こんな奴ら蹴散らしちゃえよ!と思いながらも、先が気になって一気読み。角川ホラー文庫だったけど、生きてる人間が1番怖いのかもしれません。

著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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