- Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041044506
作品紹介・あらすじ
様々な種類の時計が時を刻む晩餐会。主催者の女流作家の怪死は、「完璧な事故」で終わるはずだった。そう、居あわせた榎本径が、異議をとなえなければ……。表題作ほか、斜め上を行くトリックに彩られた4つの事件。
感想・レビュー・書評
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防犯コンサルタント(裏稼業は泥棒)の榎本径と刑事事件弁護士の青砥純子コンビが様々な密室事件に挑むシリーズ作品第四作。
貴志さんの作品で唯一読んでいるシリーズだが、この作品だけ読み漏らしているのに気付いて今さらだが読んでみた。
密室トリックは様々ある。犯行後何らかの仕掛けにより現場を密室にする方法、密室ではない現場を犯行発覚後に密室だったように偽装する方法、密室内にいる被害者を外部から何らかの方法で殺害する方法、被害者自身が殺人に見せかけて密室内で自殺する方法…等々、ちょっと挙げただけでも切りがない。
もっと言えば密室の設定にも様々なバリエーションがある。鍵が掛かっている等の物理的理由で入れない状況の密室から、部屋自体は密室ではないが雪に足跡がないなど人が近付いた形跡がない状況的密室、衆人環視やカメラによる監視状況という意味での密室などなど。
今回収録されている四編は先に挙げたパターンもあれば違うパターンもある。
第一話「ゆるやかな自殺」はヤクザの事務所が舞台。犯人視点で描かれているが、その犯行方法は描かれていない。
トリックについてはそんなことで?と懐疑的になるが、これが堪らなく好きな人なら気持ちは分かるかも知れない。
第二話「鏡の国の殺人」は美術館で迷路を配置した企画展の準備中に起きた殺人。
アリスの世界との矛盾点からの謎解きは面白い出発点だが最終的には…。
第三話は表題作の中編。山荘で起きた殺人事件。やたら時刻が出て来てその時刻がわざわざ太字で強調されているので時刻のトリックであろうことは予想出来る。
綾辻行人さんの『時計館の殺人』ほどではないが、なかなかの仕掛けだった。面倒くさがりな私には無理な犯罪。
第四話「コロッサスの鉤爪」は潜水調査中に洋上で起きた事件。カメラと音声記録と人の目と、様々な要素で見守られた現場でどうやって殺害出来たのか。
榎本の範囲外かと思えば意外にも熱心にやっていた。
相変わらずポンコツな純子と呆れる径の図。よくこれで人の弁護を出来るなと逆に感心する。
肝心のトリックについては二話以降、作家さんにはすまないが付いていけなかった。純子のことを笑えない。表題作の題名でもある『ミステリークロック』に至っては画像を検索しても良く理解出来なかった。これは個人の理解力不足なので作家さんのせいではない。
全体を通して思うのは、現代の技術では大抵のことは出来てしまうということ。逆に言えば不可能と思われることも金と時間を惜しまなければ出来るので面白味はなくなる。
最終的には『そりゃ最先端テクノロジーならなんでも出来るよね』という冷めた感想になってしまったのが残念。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鍵の解除屋の榎本と弁護士の青砥とのコンビによる密室推理シリーズ。様々な状況の密室で起こった殺人事件に挑む。
相変わらずの二人のやり取りのゆるさが、先日読んだ同じ貴志さんの作品と比べても、ホッとする。とはいえ、トリックについては、「鏡の国の殺人」「ミステリークロック」辺りは、自分レベルだと、状況整理が追いつかず、理解できたか、ちょっと怪しい。
「ミステリークロック」では被害者がミステリー作家であることもあり、セルフパロディ的なところもあったり、榎本もいろいろポロリとしゃべったところにつっこまれたりと、相変わらずの気楽な感じがある。その反面、犯人の心理描写については、怖く感じさせられるところもあり、その辺はまた気楽な雰囲気とは異なり、よかった。
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中編集。最初の「ゆるやかな殺人」は他の本にも収録されていたようで既読だった。タイトルにもなっている「ミステリークロック」はトリックが細かすぎて小説で表現するのには無理があるのでは?映像だったらよくわかって面白かったかも。というわけで、最後の「コロッサスの鉤爪」が一番良かった。
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4話入った短編集。
表題にもなっているミステリークロックは、仕掛けが複雑でついていけませんでした。
4話目のコロッサスの鉤爪は1番良かったと思います。
弁護士の純子と榎本とのやり取りがしつこいというか、このやり取りはいるのか?と思ってしまい、ページを進める手が止まりました。 -
「ゆるやかな自殺」と「鏡の国の殺人」はドラマで見た話だった。
「コロッサスの鉤爪」が一番面白かったな。
深海というシチュエーション、トリック、動機、殺人犯のキャラ。最高。 -
12/29
貴志さんの小説の中ではインパクト低めの読み応え
ミステリークロックは映像化したらわかりやすそうだと感じた、時計を使ったトリックがいまいちイメージしづらかった
ゆるやかな殺人は読んでて楽しかった、特に新しい手法などはなくありきたりっぽいトリックだったが主観で語られる文が楽しく感じられた -
あの探偵のシリーズだったとは知らずに読み始め。この種のトリックはどうにも読むのが面倒くさくなってしまって表題作までたどり着けなかった。今はまだ読むべきタイミングではなかったということなのかも。