井伊直虎 女にこそあれ次郎法師 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041044797

作品紹介・あらすじ

戦国の世に、井伊家の領主となり井伊直虎を名乗った女性がいた。天文十三年、井伊家の当主・直盛のひとり娘の祐の運命は、その年を境に激変した。井伊家家老の裏切りにより、今川義元に謀反の疑いを持たれた、井伊直満と弟の直義が、駿府で生害させられたのだ。井伊家は、命を狙われる直満の子・亀之丞の秘匿を決行。許婚の亀之丞と引き裂かれた祐は、出家を決意し、次郎法師を名乗るが──。直虎の生涯を描いた傑作歴史長篇。

感想・レビュー・書評

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  •  戦国時代から安土桃山時代にかけ、遠江国の井伊谷を治めた井伊家の女当主である次郎法師こと、井伊直虎の生涯を描いた歴史小説。
     主人公に関する史料自体は乏しく、出自や性別について研究者の間でも議論の分かれる人物ではあるが、本書は、江戸時代中期(1730年)に龍潭寺の住職が著した『井伊家伝記』による通説に基づいて書かれている。
     (表題も『井伊家伝記』の記述、“次郎法師は女こそあれ井伊家惣領に生候間”から来ている。)
     大河ドラマでも取り上げられた題材だが、著作は十年以上前に刊行されており、相関図や人物描写はさほど一致しない。
     井伊氏の始祖・共保が井戸より出生した伝承に始まり、今川・松平・武田と強大な隣国に囲まれ、乱世の理不尽に翻弄され、常に侵略と略奪の危機に立つ小国の悲哀と艱難辛苦、女性領主の奮闘が活写される。
     父・直盛への慕情や、かつての許嫁・直親への思慕、彼の遺児・直政の養育に臨む母性など、女性としてのさまざまな心の機微が、女流作家の手で繊細に綴られ、奥行きのある説得力を持つ。
     史実の隙間を縫うように、細やかに紡がれた『女の物語』は、戦国の世を影から支えた、名もなき女性たちの忍耐と尽力の一つの象徴と言えるのかもしれない。

  • 大河ドラマのキャストを思い浮かべながら読了。大河ももう一度見たくなった。
    大変な一生だなぁ。しんどかっただろうなあ。
    この人たちが生きた先に、私が生きているのだと、ふと思う。

  • 本日始まる大河ドラマに間に合った!というのは、どうでもういいが
    この本は少ない直虎の史実に、歴史的事実を組み合わせて、
    小説というより歴史をたどるような感じだったので、
    そこを、どうドラマ化してあるのか、「大河」が興味深い。

    つまり、枠組みは理解したので、フィクション仕立てがカギ。
    という話も私事で、どうでもいいか。

    時代がどうあれ
    長年生きてきて思うのは「自分は自分であること」ほど難しいものはないということ。
    甘えているわけではないが、自信がぐらつくことの多さ。

    ことの決断、実行、対処。
    すんなり出来たためしがないこと。
    これでよかったかの、反省・後悔、多々。

    ただ、事実が厳然とあるのだから、それを受け止めないでは前に進めない。
    それが孤独で厳しい現実なのである。

  • 600ページの長ーい小説。でも飽きることなく最後まで面白く読めました。
    梓澤要の本をはじめて手にとりました。男性の小説家と思っていましたが、読み始めると文章がなんだか女性っぽい。調べてみたら女性でした。
    永井路子や杉本苑子の女性小説家の歴史小説が好きなので、親しみやすかったです。
    梓澤要の別の小説もぜひ読んでみたいです。

  • 久振りのノンフィクション?
    読み始めたら、次の大河ドラマの主人公と知れるが知らない方が良かった。
    原作本でないので無視して読んだがどうしてもテレビを意識せてこの場面は?と云う読み方、知らなかったくらい地味な存在をどう盛り上げるのか?
    伏線としては直政の血縁背景か?

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著者プロフィール

1953年静岡県生まれ。明治大学文学部卒業。1993年、『喜娘』で第18回歴史文学賞を受賞しデビュー。歴史に対する確かな目線と骨太のドラマを織り込んだ作風で着実な評価を得てきた。作品執筆の傍ら、2007年から東洋大学大学院で仏教学を学ぶ。2014年『捨ててこそ空也』で、第3回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。主な作品に『百枚の定家』ほか。

「2016年 『井伊直虎 女にこそあれ次郎法師』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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