まことの華姫

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 576
感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041046432

感想・レビュー・書評

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  • 畠中恵の江戸時代物。
    シリーズにもできそうですが、今の所これ一作ですね。

    江戸時代の両国界隈。
    夜になっても見世物小屋でにぎわっています。
    あたりを取り仕切る地廻りの山越親分の娘・お夏は、姉の死に父親が関わっているのではという疑いを抱いていました。

    姫様人形を遣う腹話術で人気が出てきた月草という芸人。
    この人形の華姫が真実を語るという噂が立ち、お夏は出かけていきます。
    月草もなかなか美形だけれど存在感が薄く、華姫のほうがずっと生き生きしているよう。
    客席と掛け合い、人気を博していて、追っかけまでいる?

    子供が行方不明になったままの夫婦が改めて子供を探したら、7人も名乗り出てきた。果たして、どの子が本物か。
    華姫が盗まれてしまい、誰が何のために?
    月草が探した結果は‥
    西国での放火事件が江戸にまで影響し、今になって‥?

    華姫がいきいきしていて魅力的。
    もしかしたら‥生きているんじゃないか?とか。
    最初は表紙イラストのイメージで読みましたが、最近、文楽を見る機会があり、文楽のお人形だともう本当にちょっとした仕草が色っぽくて目が釘付けなんですよ!すっかり、そのイメージになりました。
    ヒロインは13歳の女の子なので、他のシリーズと違った展開ができそうですよねえ。
    続編が出たらいいなー!

  • 畠中さんの時代物は、時代劇か?ファンタジーか?推理か?
    悩むところですが、良作を紡いでいることは変わり無し。
    今回も、ほんわかした雰囲気ながら、
    きっちり推理。江戸の情景もしっかり。
    “まこと”=真実を知ることの重みを紡いでいます。
    華姫の声音は月草・・・とわかっていても、
    人形の彼女が話しているような錯覚?
    もしや、本当に“まこと”がわかるのか?
    ・・・なんとも不思議。
    ほぼ月草の過去の話が短編全体に散りばめられています。
    はて、2作目は出るのかな?
    お夏ちゃんと月草の今後も知りたいところ。

    そして・・・おじじ殿って・・・何者?
    知識・落ち着き・人あしらい
    ・・・なんか注目してしまった♪

  • 人形遣いの月草とその人形華姫が謎を解いていくストーリー。
    口を動かさずに人形を操ることの出来る月草は現代でいうところの『いっこく堂』さんのような操り手。
    物語だから、というのもあるのか本当に華姫という1キャラが確立していて華姫の口の悪いところや生意気な口調が何ともかわいらしい^^
    はじまりと終わりがお夏の語り口調っていうのも何だかよかったです♪
    1作品完結、といわずシリーズ化して欲しい一冊でした♪

  • こちらはまた畠中さんの新シリーズと言うことで良いのでしょうか。それとも1冊で完結?
    しゃばけとまでは行かずとも、うずら大名よりは続けやすそうな設定だな、と思いました。

    ヒロインが13歳と若いので、これから年を重ねていく分も続けられるのでは……。縁談話とかも。

    畠中節はそのまま、最近の作品の中では楽しめた気がします。何となく、人形師の芸人、月草は高橋一生さんで脳内再生されてました。彼の繰る姫様人形、お華が魅力的。

    何度も何度も、お華は木偶人形、月草が操っていて、声色を使って語っているのも月草なのだ、と但し書きされるのですが、されればされる程、お華って実は生きているんじゃないかしら? と思わせるんですよね。まるでフラグ。その不思議さの匙加減が丁度良いのです。

    短編5篇からなる一冊。
    切なく仄暗い過去を持つ人形師と、姉を亡くしたばかりの地回りの親分の娘とが謎解き、事件を解決していく、悲しい、恐ろしい真実を見抜いて知っていく物語。

    だけれど語り口、全編通した雰囲気はほのぼの和やか、愉快。優しいのです。

    そう言えば、人形師の月草、宮部みゆきさんの作品に登場する若先生、青野利一郎と雰囲気が似ている……。こう言うキャラクターが好きなのかもしれません。

    以下引用
    “月草の背から、馴染みの声が聞こえてきて、お夏はにこりと笑った。”

    背中から、と言ってるわけです。
    背に背負ったお華が話していると。やはりお華が直接話しているとしか思えない描写です。

    まあ、いっこく堂さんも缶の中に閉じ込められた風に聞こえる腹話術なんかされますから、不可能では無いのかも。

    それと、『昔から来た死』では、現代よく目にする、他人のイラストや歌声を自作と言って憚らないツイッタラーなんぞが脳裏に浮かびました。それで評価されて嬉しいのだろうか、と見かける度に首を捻ってます。

  • 人形探偵、”まことの華姫”が謎を解くミステリ、、って江戸ものではないですが現代もので腹話術の人形が名探偵というのはすでにあるのでそんなに目新しくはないですが、文楽人形というのが美しくて良いビジュアルだと思います。人情話もからめて畠中作品らしい軽く読みやすく、リラックスにいい。

  • 江戸時代の町人って、元気があるよなあ。
    大変なこともいっぱいあったんだろうが、
    毎日生きることに全力だね。

    月草と華姫のやりとり、
    私も間近で見てみたいものです。
    別にまことを伝えてくれなくてもいいから。
    知ることはとても大事だけれど、
    知ると後に引けなくなることも多いからね。

  • 月草はお嬢さんのことを忘れられずにいると思ったら、お夏ちゃんのことを気にかけてるのかな?
    でも、お夏ちゃんはまだお人形に夢中な子どもな訳で。好意を持たれてるなんて夢にも思わないんだろうな。

  • 哀しい過去を持っていても日々を暮らしていく芸人の話。
    とても優しい人なんですね。
    華姫、観てみたいです。

  • 華姫。新シリーズの始まりかな。お江戸は”大丈夫な町”余所でやっていけなくなって、本当に、どこにも行く当てがなくなった時、流れて来て大丈夫な、数少ない場所。余所から来る人が多いから、長屋に住む人たちだって新顔の誰かに、根掘り葉掘り、昔を聞いたりしない。流れ着いた人形遣いの月草のもとに人情あふれる江戸っ子が集まってくるから、姫様人形の華姫にまことを語らせるシリーズは続くかな。月草の秘密はもう少し取っておいてもよかった気がしたけど。

  • 「まことを話す」という触れ込みの「まことの華姫」という人形と、それを操る人形遣いの江戸時代日常系ミステリー。特にファンタジーは無く、現実的である。謎解き部分は「しゃばけ」なんかと同じような雰囲気。
    目新しさはないので内容だけなら☆3だけど、装丁が素敵なので☆+1。

著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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