マガイの子

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 49
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047606

作品紹介・あらすじ

【第22回日本ホラー小説大賞〈優秀賞〉受賞後第一作】

===
「ナバリ・イズミ神話大系」とも呼ぶべき独自の、魅力的な宇宙観。その新たな切り口から噴出する、新たな謎〈ミステリー〉と恐怖〈ホラー〉に戦慄せよ。
   ――綾辻行人
===

僕の姉は「取り替えられた」魔物なのか? 「マガイ」のおぞましい真実とは

 「山に棲む『紛(まがい)』という魔性の獣が里の子供を攫って喰らい、己の子とすりかえる」「『紛』の子は見かけは人間だが、長ずるに従って徐々に獣の本性を表し、里に災いをもたらす」
 現代社会では迷信扱いされる民話だが、鞍臥の人たちは今でも、心のどこかで信じている。なぜなら、あたしがその「マガイの子」だからだ――。

 いまは東京で美大生をしている坂見風哩は、8年前に「お山」で従兄が惨殺された現場に立ち会っていた。従兄の死体は獣に食われたようだったが、風哩には事件時の記憶がない。腫物のように扱われる田舎を出たものの、不穏な出来事が周りで続いている。セクハラ教授とのトラブルで訪れた風変わりなスクールカウンセラーとの話で、夢に見る「マガイ」のことをついしゃべってしまい……。
 一方、まだ鞍臥に住んでいる高校生の弟・怜治は、8年前に姉を助けてくれた円藤老人が、砂原という謎の研究者と最近共にいるのが気になっている。砂原ら「聖泉協会」の人間は「お山」の「磨崖仏」を調べているというのだが……。

感想・レビュー・書評

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  • 家族が異なるものになっている。
    ただ物理的に距離あったり、なんらかの事情があるっていう設定が好きなのかな?自分の知らないところで、兄弟が…

    ホラーではなくダークファンタジー。
    妖怪とか化け物ではなく、そういう種族。
    外界から介入してくる存在が好きなのか?という印象。
     
    一人称で読みやすかったし、なにより風ちゃんの言動が面白かった。セルフつっこみのところとか。
    風ちゃんの愛しい化物の正体は、なんとなくわかった。

    民話系ホラーかと思いきや、ダークファンタジーだったので物足りなさを感じたけど、『二階の王』の著者と思うと変に納得。

    謎の爽やかさを残して終わるところも不思議で面白い。

  • ホラーから途中でSFに様変わり。
    正直、情景のわかりづらさと関係者数珠繋ぎのラストにがっかりした気持ちが先行してしまったのだけど、弱い立場の彼らが犠牲になる事件が後を絶たない今、「不条理な死を迎える瞬間の身を灼き尽くすほどの憤怒」というのはストレートに心に突き刺さってきた。読了後、急に「マガイの子」の真実が現実と相まって胸の中でぐるぐると渦を巻き出す。着眼点の素晴らしさが最終的に浮き上がってきて、がっかりから一気に印象が覆った変わり種。
    帰ってきた側の様々な生き方や親の複雑な想いをもっと深く知りたかった。

  • 迷信扱いされる民話をめぐるミステリー。排他的な村をモチーフに伏線が回収されていくストーリーが好きなので、一気に読み進めたけど、根底は「ホラー」(ファンタジー?)なので、リアリティーのある伏線回収を求めていた私には、最後までマガイの正体に期待していて、結末がちょっと物足りない感じ。亜人のIBMとか刻刻のカヌリニみたいなやつを思いだした。
    綾辻行人Anotherは初めから「ホラー」だと思ってたから「現象」のルールとか伏線回収は面白かったな。(アニメ版)

  • 夏!ホラー!ってノリで読み始めたけど、これはそんな単純なホラーじゃなかった。
    始まりの舞台は馴染みのあるホラー臭がぷんぷんしてたのに…
    この感覚を味わって欲しいからこれ以上は語らないけど、読後は怖いというより何だか考え込んでしまうような作品だったな。

  • 神隠しから帰った子は「マガイ」の子と入れ替わっている、という伝承を基にするホラー。このような伝承は実際にもありそうなのですが。その真の意味は……うわー、嫌だなあそれ。いかにも現実的な感じが、さらに嫌。
    「マガイの子」と疑われる風哩と、彼女の身の回りで起こる怪異の数々。なかなかに気味が悪くて落ち着かないのだけれど、風哩の一種飄々としたキャラクターがいいなあ。その分「恐怖」というのはあまり感じにくいのだけれど。ユーモラスにも感じる部分があります。
    そしてすべての真相はなかなか意外なものでしたが。あれがそんなにそこここで起こってるとしたら……でもありそうな感じですよねえ。恐ろしいのは異形の者だけではないのだなあ。

  • 取り替え子をモチーフにしたホラー長編。魔物に子供が喰われると、その子供の紛い物「マガイの子」が帰ってきて災いをもたらすという伝説を信じる村の人々。この因習に悩まされて育った姉弟。都会に出た姉、田舎で受験勉強に励む弟、二人に忍び寄る魔の手。非常に好みの題材です。
    怖さは控えめ。閉ざされた姉弟の記憶、村で活動する謎のNPO団体、誰が味方かわからない不安な感覚、サスペンス色が強くテンポよいストーリー。特に終盤は一挙に加速しながら、予想を超えた壮大な展開に。SF的な雰囲気も醸し出す独特の雰囲気。

  • ドキドキさせられる、追い詰められる感

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著者プロフィール

(なばり・いずみ) 1970年、東京都生まれ。明治大学卒業。現在、会社員。本作『二階の王』で第22回日本ホラー小説大賞〈優秀賞〉を受賞し、デビュー。ほかの著書に『マガイの子』『噴煙姉妹』がある。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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