- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041047613
感想・レビュー・書評
-
そろそろ彼らに出会う前の人生より出会った後の人生の方が長くなっただろうか。
私はいかんせん人に影響されやすいたちで、家族や知人が面白いと言っていたものに後追いで乗っかってしまうことが多かったのだが、この古典部シリーズは珍しく誰の影響も受けず、書店でジャケ買いしたものである。アニメ化よりも前の、まだライトノベルとして出版されていた頃、高野音彦さんの表紙に引かれて手に取ったのは事実であるが、裏表紙の「甘く苦い青春」的な惹句が決め手であったように記憶している。
実際苦い。主人公折木奉太郎はわずかなヒントを組み上げて鮮やかな推理を導き出す名探偵であるが、なんというか、後味の悪い話が少なくない。誰かの胸の内に仕舞っておけば、誰かが我慢していれば、それはそれで丸く収まるはずだったことを、彼の推理が真実を詳らかにするのだが、その代償がどこかに残る、そういう苦さである。ドラマの「相棒」でたまにそういう回がある。本書にもある。
本書は短編集形式で、奉太郎たちの過去が多少語られたりもするのだが、未来の話は少ない。表題にもなっている「いまさら翼と言われても」において若干の動きがあるくらいか。となるとこれを受けた長編も準備されているのかもしれない。
期待は膨らむが、そろそろ「私が(あるいは作者が)生きている間に完結するのか」を心配すべき頃合なのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
6話それぞれ面白かった。古典部シリーズは未読だけど改めて興味を引かれたのでそのうちに是非読んでみたい。独白スタイルが調子よくて四人の関連性が初めて読む者にも理解できる気がするね。
独特の語り口が私には気持ち良かった。 -
古典部シリーズ、最新作である。古典部の部員の過去などに迫る話がメインで、中でも奉太郎の過去の話が良かった。現在の奉太郎が省エネになるきっかけや作中で奉太郎が作った小説(同人誌的なもの)も当時中学生とは思えない程の見事な作品だと感じる。その他の人物らが過去に何を抱え、もがき悩んでいる様子が伝わり、それを一つ一つ超えて、高校生2年のいまに至っているのだろうと感じ、抱えている物の重さに複雑な気持ち、お嬢様がゆえの苦悩、時間の経過待ちなところもあると感じた。古典部部員は現在2年生、今後を描いた続きがあるのに期待。
-
古典部!奉太郎をはじめ、皆成長してる。中学の卒業製作は今の状態で気付いてる人いるのかしら。気になる。
-
摩耶花の存在感を示した巻。プロを目指すには漫研は邪魔だってこと?ノートを盗られたとき、里志を怒らなかった摩耶花、いい子だな。折木なら渡さなかったとか、私なら言いそう。古典部の女子2人、迷っていた摩耶花が足元を固め、逆にえるが揺らぎ始めた。「鏡には映らない」、人を呪わば穴二つを奉太郎が示した。「連峰は晴れているか」小木先生の笑み、考えれば考えるほど怖い。安堵のあまり洩らした笑みならいいけど、少なくとも奉太郎はそうは受け止めていないようだ。えるの父親がえるにそんなこと言ったってことは、千反田家に何かあったのかな。
-
連作短編6編
折木奉太郎の中学時代を切り取った「鏡には映らない」と「長い休日」が良かった.
表題作ではまだ謎が残っている.えるの進退やいかに?次巻が気になる. -
ほろ苦い青春群像が描かれる古典部シリーズの最新作。それぞれの少しずつ未来へ、先へと惑いながら歩んでいく姿が丹念に描かれていました。
驚かせるとか、トリックに凝っているとか、そういうギミックを楽しませるのではなく、あくまで古典部のメンバーの思いに焦点を強く当てているようで、だからミステリというより、しっとりした切ない印象のほうが強く後に残りました。
表題作が特にそうで、おそらくはこのタイトルからある程度推し量れるものはあるでしょうが、この言葉からつづくあてのない慟哭を感じると、やるせなさが募るのです。
彼ら彼女らがこれからどういう道を選ぶのか、選ばざるを得ないのか。
「わたし、気になります」
と、言って良いのか…、はばかれるような、そんな重さも感じた物語でした。 -
高校生のときにあれこれ考えてたかな?
地元高校に進学したのではなかったから、友人とのあれこれがこれほど濃密ではなかったような。
以前から知っているというのと、高校からの付き合いというのではちょっと違うかも。
でも、いいな青春。
いまさらながら、友人たちとのあれこれに悩んでみたい。 -
古典部シリーズ。
連作短編。いつもはホータローの語りで進んでいくが、今回は古典部メンバー各々の視点で語られていた。久々に読んだが、やはり面白い。
ホータローの口癖のルーツみたいなものもわかり、えるの言葉が良かった。
ホータローがものすごくイイヤツになっていた。