- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041047781
作品紹介・あらすじ
錯綜する虚構(フィクション)と現実(リアル)。
妖怪が各地に出現し、荒んだ空気が蔓延する日本で“妖怪狩り”が始まり――。
榎木津平太郎、駆ける!
富士の樹海。魔人・加藤保憲の前に、ある政治家が跪いていた。太古の魔物が憑依したその政治家に、加藤は言い放った。この国を滅ぼす、と――。妖怪が出現し騒動が頻発すると、政府は妖怪を諸悪の根源と決めつけ、駆逐に乗り出す。世相は殺伐とし、民衆は暴力的となり、相互監視が始まる。妖怪専門誌『怪』関係者は、この異常事態の原因究明のため、村上健司らが入手した呼ぶ子を出現させる謎の石の研究を続けるが……。
感想・レビュー・書評
-
〝破〟の名の通り、大いに盛り上がってまいりました!
それぞれの場所で並行に発生していた事象が、徐々にクロスオーバーしてくる面白さ、ベタですが気持ちいいよね。
実在する固有名詞がガンガン登場し続ける本作品なわけですが、ここに来てこの世界観がすごく生かされているんではないかと思います。このぶっ飛んだ事象の数々、創作キャラクターだと、いよいよ地球によく似たある星で…感が強くなってしまうのではと思うのですが。
いかんせん実在の地名、社名、人物名、作家、編集、有名著名有識者!とてんこ盛りなので、色々な騒ぎの「こんなことが起こるなんて!?」という衝撃が、等身大で伝わって来るわけです。
ところで、ソーシャルメディア時代の民意の暴走、みたいなものがこの作品の重要な軸を担ってると思うわけですが。
この作品は極論で、こうはならない理由はいくらでもあると思うけれど、しかしこの状況、初出当時より単行本、出版当時より現在と、どんどんリアリティは増していることがすごいなと思います。
他人を裁きたい欲求、正論を振りかざしたい欲求が、強まって暴走して行く世の中を的確に予見している作品でもあるなと。何年か後にまた読み返してみたくなるわけです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本がとんでもないことになってしまっています……嫌だなあこんな世の中。いいじゃん妖怪くらいいくら湧いたって! 可愛いもんじゃん妖怪なんて。……でも邪神に乗っかられるのはたしかに困る(笑)。
馬鹿馬鹿しいお話のようにも思えるけれど。事件やなんやが起これば何かに原因を求めて排除しようとする、ってのは現実にもあって、面白くない傾向ですねえ。いつの世の中でもあることかも。なので、こういう風潮になるのは決して絵空事ではないぞ、と思えば恐ろしい話です。妖怪だの幽霊だのの方がよほど平和なのは確かだなあ。
にしても実在のようなあの人やあの人のキャラが凄すぎて。なんかね、フィクションだと思っていてもそういう印象で見てしまいそうです。 -
突如面白くなってきました。バカでアホらしいが、アイロニカルで深いです。含むところ非常に多い。特にクトゥルーが出て来てしまった頃から興奮度が上がりました。
「懐くものなのか太古の邪神。」
懐かれてみたいです。そして西村真琴博士が出て来た時点で、どんなにレオが話そうが話しがズレようがぶれなく面白さが加速。最後は大先生登場でフハッ!!急でどない始末するのか非常に楽しみです。
名台詞もたくさんでてきまして、印象に残ったのは荒俣が言う
「そうだよ。バカなんだよ。情動にどっぷり浸かっている者には己の愚かさなど判りはしないだろう。一方で、理が勝ち過ぎている者にとっては、情動に寄ったものはすべてバカにしか見えない。妖怪は狭間に涌いて。思い切りバカな面体を晒すことで、人間にわきまえるということを示してくれる。そういうものだヨ。こいつらは」(P294) -
妖怪とはなんなのか、の概念みたいなのが書かれててなるほどなーーと読みながら納得しました。
妖怪は見えるものじゃなくて現象だし、ただ水木先生みたいな人が絵として実体化というか現象をキャラクターにしたことで生まれたんだなあと思いました。人によって同じ妖怪が違って見えるのが面白いし、実際は何もないっていうのがとても京極さんぽくて楽しかった…あとやんわり震災とか政治のことを言ってるようでいいぞもっとやれと思いました -
続き物だった!!
調べもせずに読んで気付いて、序破急の破。
知ってる作家さんがいーっぱい。知らないだけでこれも作家さん?と思いながら。
「今この国は無法ですよ。有事じゃないけど平時ではない。警察同様、今まで介入できなかったことにも介入して来ますって。つうか、こっそり法改正してる可能性もあるし」
これ今じゃね?とか。 -
大先生ー!!!
-
荒唐無稽だけど、面白い。
-
面白かった。