完全版 1★9★3★7 イクミナ (上) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 88
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041049525

作品紹介・あらすじ

1937年中国で父祖たちはどのように殺し、強姦し、略奪したか。いかに記憶を隠蔽し口をつぐんできたか。自分ならその時どうしたか。父の記憶をたぐり、著者は無数の死者の声なき慟哭と震えに目をこらす。戦争の加害にも被害にも責任をとらず、総員「忘れたふり」という暗黙の了解で空しい擬似的平和を保ってきた戦後ニッポン。その欺瞞と天皇制の闇を容赦なく暴きだした衝撃作。文庫化にあたり大幅加筆、新章を加えた完全版。城山三郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 明治大学国際共同研究プロジェクト
    辺見庸『1★9★3★7』を国際的に読む
    ー世界から見た日本における加害の記憶ー
    https://bungakureport.wixsite.com/1937

    「完全版 1★9★3★7 イクミナ (上)」 辺見 庸[角川文庫] - KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321607000221/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
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      2022/03/04
  • 4.11/56
    内容(「BOOK」データベースより)
    『1937年中国で父祖たちはどのように殺し、強姦し、略奪したか。いかに記憶を隠蔽し口をつぐんできたか。自分ならその時どうしたか。父の記憶をたどり、著者は無数の死者の声なき慟哭と震えに目をこらす。戦争の加害にも被害にも責任をとらず、総員「忘れたふり」という暗黙の了解で空しい擬似的平和を保ってきた戦後ニッポン。その欺瞞と天皇制の闇を容赦なく暴きだした衝撃作。文庫化にあたり大幅加筆、新章を加えた完全版。』

    冒頭
    『わたしはこれから、かつてなされた戦争のこと、とくにその細部についてぶつぶつとかたろうとしている。なんのためかといえば、「いま」と未来をかんがえるためだ。いまはむずかしい。ほんとうは戦争の時代よりも、いまを表現するほうがむずかしいのかもしれない。いまはとてもじんじょうではない。』


    『完全版 1★9★3★7 イクミナ』
    著者:辺見 庸(へんみ よう)
    出版社 ‏: ‎KADOKAWA
    文庫 ‏: ‎288ページ(上巻)
    受賞:城山三郎賞

  • 日本人の戦争体験を否定したい、うやむやにしたい気持ちになるのがよく分かるが、しっかりと見据えなければいけないと思う。

    白井聡さんの本を読んで、個人にとっての戦争の内実を知りたくて本書に行き着いたが、本当に日本人の無思考と流れに身を任せる性格に、面食らってしまう。

  • いわゆる「南京事件」などをが起こった「1937年」という時代について、堀田善衞『時間』に対する考察などを中心に、言及した作品。安倍内閣が進める安保法制や「共謀罪」に対して危機感を覚えている点など、おそらく著者とわたしは軌を一にしているとは思うが、しかしどうにも共感できない面も多い。それは著者が天皇とくに昭和天皇に対してかなりの嫌悪感を示しているということに同意できないということもあるが、しかしそれだけではないだろう。文章の全体を覆っている雰囲気のようなものに、あまり共感できないのである。「南京事件」に対する同時代評のようなものを知れたことはよかったが、しかしもとよりこの事件が一部の右派が主張するような虚構でないということはわかっていたので、あらたに発見があったというわけではない。とくに得るものもなく、「1937年」を「肴」としてひたすら愚痴を聞かされているような感覚になる。第3回城山三郎賞を受賞しているようだが、評価された理由もわからない。戦争について読書を通して学ぶということはきわめて大切だと思うが、類書の多いジャンルでありわざわざ本作を読む必要はないと思われる。

  • [このクニは古来、主観的には無垢てあり、客観的に無恥なのだ。]

    いろいろと書いてあるのだが、とにかく、この一文が過去も現在もおそらくこれからも、このクニを表すに適切ではなかろうか、そのことだけでも十分。十分に絶望だし十分に納得だ。
    しかしとにかくいろいろ書いてあるのだ。頭がぐるぐるする。とても時間がかかり時々飛ばしたくなり、飛ばしてはまた戻る。
    亡くなる前に十分問うことが出来なかった父を打つ、執拗に想像して打つようなところはどうなのかと思い、その暗さと、細部へのこだわりが、何度も読みたくなくなるのだが、戦争のことも戦後のこともどうせわからぬ自分であるからそんな偉そうことはいうこともできず読むことが責務だろうかと思いとにかく読んだ。まだ上巻なみとは。堀田善衛、武田泰淳、のことは知らない話、作品のことで興味深い。最後の、毛沢東、三島、父とわたし、で息つく思い。面白かった。三島由紀夫が軍艦マーチ演奏していたとは読響の指揮をしていたとは、、、
    本当に無垢にして無恥なため、軍艦マーチはいまだに街中できくことができ、旭日旗も(日の丸も、、)合法的に普通にあることが、ドイツのナチス的なものへ排除と比して本当に小さい時から感覚的に不思議でもあり、自分の生まれた国(選べない、、)ながら恐怖のようなものを感じる、だから辺見庸さんが書いてることは少しわかると思う、が、とても深い絶望があると思った。

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著者プロフィール

小説家、ジャーナリスト、詩人。元共同通信記者。宮城県石巻市出身。宮城県石巻高等学校を卒業後、早稲田大学第二文学部社会専修へ進学。同学を卒業後、共同通信社に入社し、北京、ハノイなどで特派員を務めた。北京特派員として派遣されていた1979年には『近代化を進める中国に関する報道』で新聞協会賞を受賞。1991年、外信部次長を務めながら書き上げた『自動起床装置』を発表し第105回芥川賞を受賞。

「2022年 『女声合唱とピアノのための 風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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