敵の名は、宮本武蔵

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著者 : 木下昌輝
  • KADOKAWA (2017年2月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041050804

敵の名は、宮本武蔵の感想・レビュー・書評

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  • それぞれの視点を切り口にしたストーリー展開が面白かった。身も蓋もなくてせつない小説でした。

  • 宮本武蔵と言えば、佐々木小次郎との巌流島の戦いで知られる剣豪。「小次郎、敗れたり」のひと言はあまりに有名だろう。
    子供の頃、武蔵のテレビドラマ(役所広司主演のもの)を見て、吉川英治の原作も読んだ。
    その武蔵を、武蔵に討たれたものたちの目から描く物語。これは何だかおもしろそうではないか。

    ・・・と思ったのだが、あれれ、何だか勝手が違う。
    沢庵和尚やお通、お杉婆や城太郎、吉川武蔵に出てきたお馴染の人物は出てこない。
    父の無二や巌流小次郎、吉岡一門は出てくるけど、何だかちょっと違う。
    ・・・ふぅん?

    戸惑いながら読み進めるうち、敵たちの目から武蔵が語られる7編の連作短篇を通じて、剣豪・武蔵の人物像が徐々に立ち上がってくる。
    有馬喜兵衛、宍戸、吉岡源左衛門、辻風、大瀬戸、津田小次郎、宮本無二。
    次々に倒される彼らの名が斜めに記された表紙が経文のようにも見えてくる。
    武蔵に倒されるものたちはそれぞれの軛を負い、それぞれ戦う理由があった。
    そして最も数奇な運命を背負うのは、武蔵自身だった。
    短篇それぞれをつなぐ、大きな糸が見えたとき、そういうことか、と感嘆の吐息が漏れる。

    宮本武蔵はそもそも生涯に謎の多い、伝説に彩られた人物である。
    前出の吉川「武蔵」は、大衆小説として「おもしろく」脚色された部分が多い。だが吉岡一門との決闘にしろ、巌流島の一騎打ちにしろ、異説は実は多い。そこをうまく突いて、別の「武蔵」を作り上げた意欲的な1作といってよいのだろう。
    宮本武蔵についてまったく知らない読者であっても堪能できそうな作りである。
    この武蔵の生い立ち設定にまったく違和感がないとは言えないが、それなりになかなか楽しく読んだのだった。


    *吉岡一門ゆかりの染織家の本を前に読んでいて、そのときのレビューでそういえば武蔵のことに触れていました(『日本の色辞典』)。本作でも「憲法黒」が出てきます。

  • 読了。ごく久しぶりの時代物。宮本武蔵という、ある意味手垢のついた題材を視点を変えることで大胆にアレンジしてみせた。外連味がありながらすっと読める文体で、先が気になりどんどん読んでしまう。血湧き肉躍る立ち合いの描写あり、そこがそう繋がるのかという綿密な謎解きありで、鳥肌の立つ感動があった。時代物にちょっとでも興味があるすべての人にオススメしたい一冊。

  • 語彙が乏しくて恐縮だが,面白かった.剣豪というより,人として武蔵の凄さを実感した.
    実はずっと前に読み終えていて,しかも私としては珍しく2度も読んだ.2度読むと,何気ない伏線があちらこちらに張ってあるのに気付き,既読でも楽しかった.
    人を理解するには,本人すら自分を正しく理解しているか疑問である「人」を理解するには,その唯一の手がかりは表に出てくる行動である.武蔵を理解するために,武蔵の行動を第三者の視点で描くということは,案外と王道なのかもしれない.

  • サクサク読める文章力はさすが。

  • 著者の作品を読むのは「宇喜多の捨て嫁」に続き2冊目だが、連作という形をとってとある人物やその周辺に多角度から光を当て浮き彫りにする、というパッケージングはほぼ同じと言っていい。
    確か5作ほどしかない出版点数の中、表現手法の幅が狭いんじゃ? と読者に危惧を抱かせることについてはいかがなものかと思うが、実は気になるのはその点ぐらいしかない、というほどに完成度は高く、面白い。
    展開はいかにもベタだなあと感じさせる部分もあるが、とにかく筆力が高くて上手いので、素直に没入できる。

  • 面白かったです。

  • 157回 直木賞候補作。連作短編

    宮本武蔵の父の悲哀を描いた作品。
    中番以降、俄かに面白くなる。

  • 連作短編7編
    宮本武蔵と闘った男達の語りを通じて武蔵を浮かび上がらせるという趣向で,今までと違った武蔵像ではあった.が,武蔵よりもその父親無二の心の闇が,武蔵の人生を支配する形で,哀れともやり切れなさとも何というか取り返しのつかない後悔の中で苦悩する思いが,心に残った.
    吉岡憲法の憲法黒とその後の逸話「武蔵の絵」など絵に関わる章が面白かった.

  • タイトルどおり、宮本武蔵と戦った者たちの視点で宮本武蔵を描いた本。結構血生臭い描写が続く。武蔵だから仕方がないか。淡々と描いているようだが、想像すると結構ぐっとくるものがあります。読んでも想像しないように!

    また、作者はいろいろな研究書などをもとに作者の考える武蔵像を作っている。自分の中に確固とした武蔵像がある人には辛いかもしれない。うまく表現できないが、たぶん、従来の武蔵像とは異なるはず。このあたり気になる人は読んでみることをお勧めします。

    短編集だが、全体を通して時の流れとともに武蔵の人物の変化が読み取れるので、面白い一冊に仕上がっていると思う。

    直木賞候補に挙がるのはうなずける。血生臭いのも多少は平気であればお勧め。

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敵の名は、宮本武蔵の作品紹介

剣聖と呼ばれた男の真の姿とは──。
島原沖畷の戦いで“童殺し”の悪名を背負い、家中を追放された鹿島新当流の有馬喜兵衛の前に、宮本無二斎と、弁助(武蔵)と呼ばれる十二、三歳の子供が現れた。弁助は、「生死無用」の真剣で果し合いをするというのだが……。(「有馬喜兵衛の童討ち」より)少女を救うため、避けられぬ戦いに命を賭す「クサリ鎌のシシド」、武蔵の絵に惹きつけられるも、一対一の勝負に臨む「吉岡憲法の色」、武蔵の弟子たちが見た剣の極地「皆伝の太刀」、武蔵と戦う宿命を背負った小次郎「巌流の剣」、そして次には……。敵たちの目に映った宮本武蔵。その真の姿とは──。著者渾身の歴史小説。

敵の名は、宮本武蔵のKindle版

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