鬼の家

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 57
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041052730

作品紹介・あらすじ

京都の千本通りの側にある豪邸は、資産家の夫が愛妻のために建てたものだ。ある夜、行き倒れの男がやってきて、すべては狂いだす――。闇に蠢く影は、異形の者か人が生み出したものか。人間の本質を抉りだす恐怖譚。

感想・レビュー・書評

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  • 人は寂しいと鬼になる。

  • 資産家の夫が愛妻のために建てた、京都の千本通りの側にある豪邸。
    ある夜、行き倒れの美しい男がやってきてから、すべてが狂いだす――。

    闇に蠢く影は、異形の者か人が生み出したものかー?

    6つの恐怖譚・・・というわりには、そこまで怖くもなく。
    いつものエロさもなく。なんがか淡々とした感じで、ちょっと期待外れだったかなー。

  • 先生の別作、恋地獄に似ている

  • 2020/7/11

  • 京都のとある旧家の一時代を連作で描いた作品。趣深い雰囲気がありながらも、じわじわとした恐怖に苛まれ、どろどろとした情念に恐れおののくホラーです。この家にいる「鬼」がひどく怖いのだけれど。棲む人たちがおかしくなっていくのは本当にその鬼のせいなのかどうか、という部分にもまた考えさせられて、それがじわりと怖い。
    でも鬼が生まれる「寂しさ」というのがなんだか悲しくって胸に迫ります。恨みとかでない分切実というかなんというか、やりきれない思いになります。だからといって、怖さが薄まるわけではなく、むしろ深まりますけれど。

  • 寂しいが積み重なって「憎い」に変わる。心の空虚に忍び込み、破滅に誘うものの正体は?

    『人の心の中で何よりも恐ろしい感情は「嫌い」やのうて「寂しい」やないやろうか。』
    明治に建てられた美しい屋敷を舞台に、そこで暮らす一族を何代にも渡って描いた連作集。
    しっとりほの暗く官能的な作品。崖っぷちに立っている様な、ほんの一押しで崩れ落ちてしまいそうな危うさを感じさせる。
    官能小説家である花房さんの著作なので、どんだけエロいかとドキドキしましたが(笑)そういう感じではないですね。
    複雑に絡む一族の家系図を作ってみたくなりました。

  • 2018年、6冊目は花房観音。

    京都、千本通。そこはかつて千本の桜が餓えられていたといわれる。一方、死者を送る千本の卒塔婆があったともいわれる。そして、そのあたりは、人を喰らう鬼がいた、宴の松原と呼ばれる場所でもあった。
    その千本通の近くに、明治時代に建てられた豪奢な洋館。そこに住まう松ヶ谷家の物語。

    明治の時代から時を繰りながら、語り手を変え、紡がれる、連作短編的、六つの話。今回もタイトルのみ紹介。

    第一話 桜鬼
    第二話 鬼の子
    第三話 鬼人形
    第四話 奥様の鬼
    第五話 守り鬼
    第六話 寂しい鬼

    ホラー、怪談の要素を纏わせつつ、寂しさ、禁忌、性癖、確執……etc。と、背徳と情念絡ませた作者お得意のパターン。

    ……では、あるが……。展開&オチが好きな、第二話(『花祀り』思い出すよね)。頭の三行でわしづかみにされちゃう、第五話。等々、面白いし、読ませる力も充分なんだが、全体的には、物足りなさを感じちゃうのよね。この作家さんへのハードルが上がってるのかもしれないが……。

    そういったこと踏まえて、全体評価は、少し辛めの★★★☆☆。

  • 2013、14年の「Mei」に掲載された3話、2015年の「小説野性時代」の1話に書下ろし2話。

    千本の桜があったという京都の千本通り(かつての朱雀大路で千本の卒塔婆があったとも)に明治期に建てられた豪華な洋館とそこに住む松ケ谷家の代々の人々と鬼の怪奇譚

    薩摩出身の陶器商吉二郎は妻桜子のために洋館を建てるが、留守がちで桜子の寂しさに鬼が付け入ってしまう。夫の「事故死」後、桜子は使用人の李作と再婚し、屋敷は社交場、享楽の場となったことが第2話の桜子の息子(実は享楽に供された桜子の娘が15で産んだ子)が家の秘密を語る独白でわかる。
    第3話は桜子の孫塔一郎の妻の独白で、性の快楽の果てに気づいた真相が怖く、第4話は塔一郎の息子の最初の妻が病死した後に後妻となった若い女を使用人が狂死させ3番目の妻となるのが怖い。
    第5話ではその息子文彦はが事故死し、親友の牧雄が文彦の双子の兄綾彦に絡め取られ、肉体の自由と恋人を奪われる。最後は綾彦の娘桜子が住まいを移して洋館をカフェや結婚式場にして成功するが本当の動機と結末は一層怖い。

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著者プロフィール

兵庫県豊岡市生まれ。
京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。
著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『好色入道』『偽りの森』『花びらめぐり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』など多数。
現在も京都でバスガイドを務める。

「2020年 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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