水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.72
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  • (26)
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本棚登録 : 2443
感想 : 192
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054956

作品紹介・あらすじ

ごく普通の家庭の生々しい現実を強烈にえぐり出した、 珠玉の連作集。

『ふがいない僕は空を見た』『よるのふくらみ』の実力派が贈る、珠玉の連作集

セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。
仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。
自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。
出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。
父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。

文庫化に際し、オリジナル短編、一編追加収録。

感想・レビュー・書評

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  • R3.10.8 読了。

     「かそけきサンカヨウ」の映画化になると知り、先に小説を読んでみたいと思った。植物と家族にまつわる短編集。不思議なことだけど、各短編には登場人物の老若男女問わず「その気持ち、わかるよ。」と頷ける部分が多くあった。
     また、どの短編も読んだ後にじんわりと温かい気持ちにさせてもらった。癒された。
     特にお気に入りは「ゲンノショウコ」。ラストは感動して泣きそうになってしまった。
    あとは「ちらめくポーチェラカ」と「かそけきサンカヨウ」も好きな作品ですね。きっと自分の身近にも誤解や遠慮や思い込みで、距離をとっている家族や友人や職場の同僚がいるんだろうなあ…。
     窪美澄さんのほかの作品も読んでみたいですね。

    ・「お父さん、言葉は少ないけれど、お母さん、お父さんの言いたいことはわかるのよ。やさしい言葉をかけられたって、態度がそうじゃなかったら、なんだか悲しいじゃない。お父さんはね、やさしい人よ。私がそう思っているんだからいいじゃないの。」

  • 普通の家族に定義はあるのでしょうか。足るを知るとは思いながら、ただなんとなくだけでなく、時には強引に、普通の家庭を手に入れたいと、思ってきたような気もする。
    なにげない毎日をやり過ごしている家庭は、さりげない思いやりと幾許かの各々の忍耐によって築かれているのだろうと思う。
    “かそけきサンカヨウ”で、突き詰めないでぼんやりとさせたまま家族を続けられなかった夫婦。
    全てを語り合う事が、最良でない時もあるけれど、
    全てを隠し合う事は、最良になる時はないのでしょう。

    昭和の家庭小説と読み比べると、一般的な家庭表現も随分変化している。昭和の終わりの男女雇用均等法施行あたりが境界でしょうか。登場する男性陣が家事と育児を分担する。親との同居も少ない。普通は普遍ではないんですよね。どの家庭も、これからがある家族に描かれていて、読み心地が好きな作品でした。

    • かなさん
      おびのりさん、こんばんは!
      いつもいいねをありがとうございます。
      窪美澄さんの作品、私今回初めてこの作品を読みましたが
      なんだか、スゴ...
      おびのりさん、こんばんは!
      いつもいいねをありがとうございます。
      窪美澄さんの作品、私今回初めてこの作品を読みましたが
      なんだか、スゴくいい感じですね…。
      今は「夜に星を放つ」を読んでいますが、
      おびのりさんは他の作品も結構読まれてますね。
      おすすめとかありますでしょうか??

      あと、今回フォローさせて頂きたいと
      ご挨拶に伺いました!
      どうぞよろしくお願いします。
      2023/04/29
    • おびのりさん
      かなさん、こんばんは。フォローありがとうございます。
      窪美澄さんは、なんかすごく良い感じで読み切った感があります。
      水やりと夜に星とふがいな...
      かなさん、こんばんは。フォローありがとうございます。
      窪美澄さんは、なんかすごく良い感じで読み切った感があります。
      水やりと夜に星とふがいないぼく、あたりが好きでした。
      私は、レビューが大雑把で申し訳ないですが、よろしくお願いします。フォローさせていただきます。
      2023/04/29
  • 家族やママ友に関する悩みを、少し前向きに考えられるようになっていく短編集。特に主人公に感情移入したのはこの2篇。

    『ちらめくポーチュラカ』
    他人の悪口を言うのが好きな人って、どこにでもいる。「女の世界」って色々大変だよねぇ。

    『サボテンの咆哮』
    すごくいい旦那さん。奥さんもお義母さんたちも頭が固すぎる。少し歩み寄った気もするが、まだまだ苦労しそうだな。武博の実家での場面がとても良かった。不器用なおじいちゃんと孫のやりとりがとっても温かくて泣けた。

  • 人の柔らかい部分に触れられたくない部分に冷たく突き刺さる短編小説。
    それでも向き合わないと乗り越えられないのかな。
    逃げてしまったら刺さったままになってしまうのか。
    現実ではどちらを選べば良いのか難しい。
    作者さん、初読みでした。
    こんなヒリヒリするお話に希望も繋いでくれるお話、大好きになりました。

  • "かそけきサンカヨウ"と"ノーチェ・ブエナのポインセチア"が素敵なお話だった。それぞれの家族が形は違うけど、幸せになろうと、あったかい家庭にしようと頑張ってる感じがほっこりした。自分が高校生の頃に義理の妹に大事な本を破られたら1週間はふてくされてるなと思った。陽ちゃん大人だな。
    "ちらめくポーチュラカ"はなんかベタなママ友同士の話だった。

  • ⭐️3.3

    窪さんの作品は3冊目です。
    ふがいない〜と夜のふくらみの2冊が
    なかなか官能的だったので
    自分に合うかな?と思ったけど
    その2冊とは全然違う心温まるお話だった。
    家族の形は人それぞれ。
    うちの息子も障がいがあり兄弟児問題に直面してるので読んでて辛かったです。。
    かそけきサンカヨウ と
    ノーチェ・ブエナのポインセチアが
    個人的に凄く好きだった!

  • この本を読んで、世の中には色々な家族の形があること、他人同士が一緒に生きていくことの難しさを感じた。

  • 崎山蒼志の新曲「幽けき」今泉力哉の映画『かそけきサンカヨウ』主題歌を書き下ろし | 財経新聞
    https://www.zaikei.co.jp/sp/article/20210611/625065.html

    水やりはいつも深夜だけど 窪 美澄:文庫 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321612000244/

  • どのお話も良かったです。言葉にできない本音や、生きづらさを表す文章がすっと入ってきた。
    傍から見ればどこも悪くない、今の世の中でどれだけ幸せか、そう見える人にも、こう思うことは多少なりともある。「最近僕が、通勤途中の電車の中や、会社のトイレに座っているとき、あるいは風呂につかっているとき、ふと、考えてしまう。あったかもしれないもう一つの人生」砂のないテラリウムより。なんかわかります。トイレに座っているときとか。
    高校生「陽」の、父親の再婚相手美子さんとの、揺れ動く心情を描く、「かけひきサンカヨウ」は心に残りました。父親がこのようなことを言うんです。家族や夫婦間では、突き詰めないで、ぼんやりさせたまま続けたほうが良いこともある。と。どちらがどれだけ悪いとかはっきりさせないほうがいいこともある。と。お父さんだなあと思いました。

  • 子供の頃、私は早く大人になりたかった。
    してみたいことを制限される窮屈な子供の世界とは違い、大人の世界は今よりもっと広々と自由なものだろう、と勝手に思い込んでいた。
    けれど、実際の大人の世界はそんなに甘いものではない。
    女友達やママ友との距離感、子育て中の妻の扱い等で思うようにいかず悩んだりと情けない。
    育てている鉢植えに一人でそっと水やりをするように、深夜に一人、凹んで乾いた心にひっそりと水やりをして自分の気持ちを整理し、折り合いをつけようとする大人達。
    けれど、水やりし続けることで少しずつ乾いた気持ちにも水分と栄養が満たされていく。
    水やりは続けることに意味がある、と気付かせてくれる短編集。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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