- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041055069
作品紹介・あらすじ
天才子役から演出家に転身したレイジは授賞式帰りの事故により抜け落ちていた20年前の記憶が蘇る。渋谷の街で孤独な少年を救ってくれた不思議な大人との出逢いと別れ、彼らとの過去に隠された真実とは―
感想・レビュー・書評
-
よくある感動シーンを寄越さず、当たり前のようにそっといなくなってることとか、信念を貫くためなのか譲れないものがあって突然今の大事な人がいるだろって人を残して死んでいくとか、気取ったところがない構成だった。
文章の節々に出てくる言葉には作者の知性を感じた。
読みやすいって感覚は間違いないんだなと、最後の対談読んで確認した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
加藤シゲアキ『Burn.-バーン-』
2017年 角川文庫
本作も芸能界、渋谷がテーマとなった長編小説でした。
今回は家族や家族のような存在をテーマにした物語でした。
著者曰く、とても悩んで書き上げるのにかなり時間を要した作品とのことですが、しっかり構成されたその展開にハラハラしながら一気読みでした。
『ピンクとグレー』の衝撃がつよかったので、2作目は少し迷いのようなものを感じたけど、3作目にして小説家として確固たるものを見つけたようにも感じました。
表面上だけではわからない人の深層心理や影、本心を描き、それらの人それぞれの乗り越え方、向き合い方、決着のつけ方など、ハードな一面もあり、テーマとしてはかなり重いけど、それらが軽やかに紡がれているのでとても読みやすく、おもしろかったです。
考えさせられましたけどね。
ずしりと心に響く素敵な作品でした。
#加藤シゲアキ
#Burn.-バーン-
#角川文庫
#KADOKAWA
#読了 -
今回も芸能界に関わる話で、面白かったけれど『ピンクとグレー』のほうが好みではあった。
でも加藤さんは、若いのに語彙や表現が本当に豊富で、すごいなと思う。人間臭さや、人間の心理を描くのが上手い。 -
加藤シゲアキ渋谷三部作、三作目。
〚ピンクとグレー〛〚閃光スクランブル〛でも感じていたが、現在と過去を交差しながら物語が進む展開なのにまどろっこしさがない。
子供らしい疑問、社会の不条理さ、社会と離れて生きる大人からの愛情を感じ成長する彼と、その出来事を心に鍵をかけ記憶をなくし大人になった彼の世界が交差していく。
どの登場人物にも共感できないのに、どこか自分でも感じていた言語化するには難しい社会への嫌悪感を、言語化してくれたような、解き放ってくれたようなそんな感覚になった。
そして物語の途中でタイトル「Burn.」の意味を理解した時に戦慄した。 -
加藤シゲアキさんのBuran
子役とホームレスとドラグクィーン。どんな風に物語が進むのだろうかと思いながら読み進めましたが、子役のレイジ。人間らしい感情を二人の出会いにより学んでいく。親子だけで無く他者の大人と出会い大切なことを学ぶ。普遍的に大事な事だとおもいます。過去と現在のシンクロさせ、描き方が素敵でほっこりしながら読めました。 -
およそ子供らしくない10歳の子役のレイジと、脚本家となった30歳のレイジとで交互に話が展開していく構成。
10歳の頃のレイジは、役になりきることが天才的(役というソフトをインストールすると表現されている)だが、どこか人間らしい感情のようなものが欠落しているような少年。徳さんとローズに出逢ったことで徐々に少年らしく、人間らしくなっていき、徳さんとローズをクラスメイトに貶された時の感情を爆発させるシーンは、前半を読んでいたからこそグッとくるものがあった。特に「右向け右で右を見る君達は機械と同じだ」というセリフをレイジが言ったことに、徳さんたちの影響力を垣間見た気がした。
死んだ時の質量の減少量が21gを下回るように、魂を燃やして生きたいと思った。 -
魂、もやせよが好き
-
面白かった。
子供とホームレスとニューハーフの話。 -
現在と過去が交互に描かれる構成。
ホームレスとドラッグクイーンという個性的かつ強くて、それでもどこか脆い2人と出会ったいじめられているこれまた脆いレイジ……3人の脆さがジェンガのように支えあっている感がありました。
あと都会ならではの“変化の早さ”も感じ取れますし、今まで読んだシゲ作品の中で一番おさまりが良かったと思いました。 -
TEA-OPACへのリンクはこちら↓
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00553452