鹿の王 3 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.14
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本棚登録 : 3823
感想 : 201
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041055090

作品紹介・あらすじ

攫われたユナを追い、火馬の民の族長・オーファンのもとに辿り着いたヴァン。オーファンは移住民に奪われた故郷を取り返すという妄執に囚われていた。一方、岩塩鉱で生き残った男を追うホッサルは……!?

感想・レビュー・書評

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  • 3巻に入ると、場所もどんどん変わるわ、新しい人がどんどん出てくるわ。
    お話について行くのが大変(笑)

    全部読み終わったら、じっくり映画を見たいなぁ(笑)

    このユナという幼子はかわゆいなぁ。

    さて、やっとこの巻の最後にヴァンとホッサルが出会い、ここからお話は一つに集約さ!ていくのだろうか。

    いよいよ次巻はクライマックスだろうか。。。
    うーん、楽しみ(*^▽^*)

  • 点と点が繋がり始めた。
    各国、民族の思惑が交錯する様が生々しい。彼らは自らの行いを信じて、己の民族を守る為に策を講じる。
    ヴァンとユナを含めた登場人物たちが、運命であるかのように同じ渦に巻き込まれてゆく。
    混沌とした人間の感情が、混ぜ物になり複雑な物語へと読者を導く。
    誰もが愛する者を守るために戦っていた。

    ツオル帝国に支配された国々に、根深く残る民族主義。それぞれの民族が抱えるツオルへの恨み、自由を求める思想は、何もおかしなものは無く、人としてごく自然な活動である。
    それとは裏腹に、各民族はツオルの政治の下に生き長らえてきた事実がある。もう後戻りできないほどに帝国に依存していることが窺える。

    ここから飛鹿の活躍に期待。

    以下、ネタバレあり。

    火馬の民は、民族の解放を願い、勝てない戦に散った。
    残したものは、ヴァンという独角の男に獣の知覚を植え付けたことかもしれない。
    体を離脱して、獣を操りツオル人を襲う能力は今後どう使われるのか。果たして能力は、その身を滅ぼすことはないのだろうか。

    ヴァン、ユナ、サエ、ホッサル、マコウカン。
    愛する者を守るため。彼らは国や民族の垣根を超えて、交わろうとしている。

    読了。

  • 盛り上がってきました〜‼︎

    もう誰が敵なのか味方なのかわからない‼︎

    全員集合で4巻へ(=゚ω゚)ノ

  • どんどんと盛り上がってきた!
    病の原因や、犬たちの謎、それぞれの思惑が時明かされていく3巻。
    ようやく彼らが顔を合わせる…!

    征服された国や部族たちの悲哀に苦しくなった…
    全員悪く思えない。
    単純な善悪はなく、人々が辛い想いを抱えて選択して動いていることがよく伝わってくる文章だった。
    加速度的に面白くなっていく。
    次は最終巻。
    どんな終わりを迎えるのか楽しみ。

  • 連れ去られたユナを追う途中で、矢に射られ意識を失ったヴァンが復活。
    火馬の民とまみえ、ヴァンを塩鉱で噛んだ犬たちがどういう生き物なのかを知ることになる。

    一方、ホッサルたちは黒狼病の治療法を求め、沼地の民の居住エリアへと来ていた。

    土地を奪われ、自分たちの大切な物を失くさんと蜂起する火馬の民。
    かくや、現状維持でことを荒立てたくないアカファ王。
    侵略してくるムコニア帝国。

    この国は、あちこちに火種があり、不満があり、憂いがある。
    人には人の数だけ考えや正義があり、それを貫くがために戦い疲弊していく。
    現実もそうだ。
    天啓だと信じたい物を信じ、突き進む先には、大概碌なことがないもんだ…

  • 第3巻で、事態のあらましが判明する。

    キンマの犬(黒狼と山犬の半仔)を操りアカファ辺境に住む東乎瑠人を襲わせているのは、東乎瑠人に恨みを持つ火馬の民の過激派と判明する。火馬の民の過激派を殲滅し、彼らの策略を未然に防げるのか、そして黒狼熱の治療薬の開発に成功することはできるのか。物語の焦点はこの2点に絞られていく。

    さて、本物語に登場する勢力はおおざっぱに5つ。すなわち征服民である東乎瑠人(王幡侯ら支配階層、そして移民政策により東乎瑠王国辺境からアカファに移り住んだ人々)、被征服民であるアカファ人(旧アカファ王国の支配階級及び庶民)、アカファの地をかつて(アカファ王に譲るまで)支配していたオタワルの貴人達、各部族単位でアカファ辺境に暮らす辺境の民(居住地を追われた火馬の民、その従僕的な沼地の民、隣国ムコニア王国兵の侵入に悩まされている山の民等)。

    これらの勢力の利害が錯綜しているので、ちょっと複雑だが、物語に厚みというかリアリティーが出ていると思う。

    本作でなかなかいいなと思うのは、これらの勢力それぞれに立場があり、それなりの理があり、思いがある点。邪悪な者が登場しないので安心して読める。

    例えば、キンマの犬(黒狼と山犬の半仔)を使って東乎瑠人に対してテロを起こそうとしている火馬の民の過激派には、同情すべき過去(居住地を追われ生活や文化を奪われてしまったこと)があるし、東乎瑠人の征服政策・領地経営にさえも、領地を無難に治め、経済を活性化させ、隣国の侵攻から領地を守るという点で功績がある。旧アカファの支配層にも、日和見なところはあっても征服者(東乎瑠人支配階級)とアカファ人の間を取り持ち社会の安定に寄与しようとしているし、オタワルの貴人達は医術を始めとする科学技術において独自の地位を築き、尊敬を集めている。

    最終巻でどのような結末を迎えるのかだろうか。

  • 連れ去られたユナを追いかけて、〈火馬の民〉の集落に辿り着いたヴァン。〈火馬の民〉は東乎瑠帝国の侵攻により故郷を奪われて、強い怒りと復讐心を抱えていた。ヴァンは族長のオーファンから岩塩鉱を襲った犬、体に起こっいる異変の真相を知る。一方で、医術師ホッサルは黒狼熱の治療法を探すために岩塩鉱で生き残った男を追いかけていた。黒狼熱は本当に神がもたらした裁きなのか。

    思想の違いにより大国と小国がぶつかり合うことで翻弄されてしまう市民。ようやく主人公たちが出会い、物語は最終局面へと向かっていきます。

  • 感染症をテーマにした壮大なファンタジー

    以下、3巻の公式あらすじ
    -------------------------
    全てを諦めた男と、救いをもとめる医師。二人の運命が交わる激動の第3巻!

    攫われたユナを追い、火馬の民の族長・オーファンのもとに辿り着いたヴァン。オーファンは移住民に奪われた故郷を取り返すという妄執に囚われていた。一方、岩塩鉱で生き残った男を追うホッサルは……!?
    -------------------------

    これまでの登場人物達が交差したり
    それぞれの思惑や、意図、更なる目的などが入り混じって、より一層面白くなってきた


    全部の感想は最終巻を読んでから

  • 1巻と2巻が起承なら、
    3巻は転です。

    急展開で物事が進み、明かされていきます。
    キンマの犬の秘密。
    裏返ること。

    その中で火馬の民には、胸が痛くなります。
    征服されれば故郷を追われ、平穏だった生活が奪われる。

    読み終わった後に、
    ブックカバーをとって、
    装丁を見ると、何とも言えない気持ちになりました。

    次が最終巻。
    あっという間です。

  • 3巻。
    辺境の民、ケノイらの動きと、アカファ王の思惑。

    ラスト4巻にむけて一気に進みます。

  • 物語は大きく前進。
    新たな登場人物 オーファン、ケノイも加わり、世界もさらに広がっていく。

    第3巻のテーマは望郷。
    そして、大義のための正義は本当に正しいのか?
    そのための犠牲は仕方ないのか?
    また「自分の身体の中には、意識の及ばないところでたくさんの活動が絶え間なく働いている」という医療文学でもある本書らしい記述も印象的。

    ヴァンが飛鹿《暁》と再会するシーンにはグッときた。さて、最終巻へ!

  • 様々な思惑でヴァンに迫る彼ら彼女ら...。スピリチュアルペインに分かりやすい理屈なんてないのだ...。意外なところで繋がっている人物相関図を書き足しながら読み進める。読み進めたいけど読み終わりたくない気分で第4巻に突入します!

  • おかしいとは思っていたんだ。後追い狩人の中でも素晴らしい腕を持つというサエが、怪我をしていたとはいえ、なぜ2年の間ヴァンの前に現れず、ヨミダの森で偶然のように遭ったのか。しかし、その時から怒涛の展開が始まっていたのである。

    「鹿の王」は書き下ろしだ。この書だけで、一つの世界を造ってしまったのだから、一つの書に「書かれていない」様々な思惑を入れ込むのは、当然かもしれない。以前の作品よりもかなり大人向きの書物になっている。ホッサルとミラルの大人の恋も描いているし。

    敵対する大国の狭間に存在していた小国の、生き残り戦略、小さな部族の、しかし忘れらない恨み、その真髄を知ってもなお、「戦は、自らの手を汚してやるものだ。おのれの身の丈で、おのれの手が届くところで」と言い切るヴァンの強さ。複雑な国のパワーゲームのなかで、人の生きる道をさりげなく示す。これも、確かに大人の物語ではある。

    2人の主人公がいるということでも、かなり異色の物語である。物語の終盤に入った3巻の最終章で、ついに出逢う2人。おそらく、これ以降、ラストに向けて突っ走るのだろう。

    2017年8月22日読了

  • おもしろい
    一気読みして、そのまま4巻へ
    この興奮と感動をうまく文章にしたいのですが、できなくて悲しい…
    とにかくおもしろいんです

    鹿の王の映画はこの壮大で深い物語をどう2時間にまとめたのか気になるなあ

  • ヴァンと飛鹿の対面のシーンはほんの少し見ものでした。ヴァンとユナの再会、ヴァンとホッサルの対面、ミラルの感染、まだまだ色々ありそう。複雑な人間関係はネタバレを見ながら確認。未だ落としどころが分かりません。鹿の王はまだ登場していないよね?う~ん、だんだん辛くなってきた。何故辛い思いをして読んでいる?妻に言わせると、最後が面白いんじゃない!という言葉で、うん、頑張る!と最後の気力を振り絞る。でも~姫川玲子のハイキック、右ストレートを今すぐ見たいよ。姫川、今すぐ一発ぶん殴って、目を覚まさせてくれないか?

  • 攫われたユナを追うヴァンと、謎の伝染病である黒狼熱の治療法を必死で研究するホッサル。さまざまな国や民族の思惑が交錯する中、二人の人生の線が初めて交錯する。

    自然と人間が共生する世界でのファンタジーなのだが、しっかりと背景が作り込まれており、リアリティを感じられて面白い。最終巻が楽しみだ。

  • ヴァンとサエと火馬の民、ホッサルとトゥーリムと沼地の民、各出会いがありそして出来事の様態、それぞれの思惑が明らかになっていく。。。「承」~「転」の巻。ひとつひとつの文章が頭に染み込んでいく感覚、読む同じ早さで脳裏に情景が広がっていく感じ。。。幸せの時間(笑)。まさに、犬ならず物語に「裏返り」没入しました。

  • この巻で、やっと話の大枠・全体像がぼんやりと見えてきた。整合性は取れてるような気もするけど、何となく物足りなくも感じた印象。

  • たくさんの疑問や、隠された陰謀、想い、人と人との繋がりが、するすると解けていくようでおもわず息を詰めるようにして読んでしまいました。ヴァンやサエ、ホッサルやミラルの運命がどうなるのか、4巻がとても楽しみです。

  • ヴァン側とホッサル側でそれぞれ話が進んでいくなかで、人との関わり合いが変化していく。簡単に、敵味方、良い悪いでは無いんですよね。集団の中の正義と、自分の思いや考えが必ず一致するわけでは無いので、その時にどうするのかとか。結局、自分で決めるしかないのですが。

  • アカファ王やアカファの複数の氏族の想いが明かされて行く。
    ヴァンは、ずいぶんと複雑な事情の渦に知らぬ間に巻き込まれているようだということが、この巻で見えてきた。
    マコウカンの出身氏族と近隣氏族の歴史や暮らしが、どう変化して来たのかも明かされる。
    そして新薬開発に大きなヒントをホッサルが得る。
    非常に展開が早いが、物語の構成がしっかりしていて、細部まで手抜かりなく描かれているので、映画を観ているように映像が浮かびながら一気に読むことが出来た。面白い。
    そしてこの作者はやっぱり凄いと痛感する。

  • うおわ。
    西加奈子の解説にもミクロとマクロが使われていて、ちょっと恥ずかしい。

    さて、後半戦。

    黒狼と山犬を掛けて生まれた「キンマの犬」を使役していたのは、火馬の民であった。
    彼らは、暖かな平地でしか育たない火馬が、寒冷地に追いやられることによって痩せ衰えてゆくことに憤りを覚える。
    もう一度、東乎瑠から自分たちの故郷を取り返すために犬に襲わせる。

    一方で、アカファ王国はもはや東乎瑠なくしては成り立たないほどに「変化」していた。
    また、黒狼病はアカファ人であっても無害ではない。結局、火馬の民を一時は野放しにしておきながら、ここに来て手の平を返すことになる。

    「長い戦を経て……多くの血を流して、ようやく得た均衡ですから」

    複雑に絡み合い、変質し終えた状態を、元どおりに分離させることは、容易ではない。
    けれど、人間はそれを心で受け容れられない。
    まるで、病を治すために神意に背くことを拒絶するかのように。
    それを、古い考えだと一蹴することが出来るだろうか。
    例えば、理解を得られたとしても、事実が救いにはならないのだろう。

  •  幼いユナを追うヴァンは、ついにホッサルと出会い、謎の病の秘密が少しずつ明らかになっていく。

     1,2巻続けて読み終わり、この3巻が出てくるのがとても待ち遠しかったです。

     前巻まで追われる者ヴァンと追うものホッサルの物語がそれぞれ進んでいましたが、この巻でやっとこの二人が出会うことで、物語のスケールがさらに大きくなった感じがしました。

     独特の世界なのに、今のこの社会の矛盾を映し出しているかのようで、自分を取り巻く世界と比べながら考えさせられました。

     次巻の結末がとても気になってしょうがありません。

  • 再読。

    ついに犬たちの正体。
    犬たちを遣わした人々。
    2巻でホッサルたちが辿り着こうとしているところが明確になりました。

    追い詰められた人の狂気。
    初めは被害者であっても、意思を持って仇をなそうとすれば加害者になってしまうこと。
    科学の時代ではない(科学の思考のない)人の、宗教観・思想の偏り。
    なんだか最近聞いたような構図で浮かび上がってくる怖さ。
    この怖さをヴァンは「妄執」と呼びました。

    そう思っていても、その妄執を正義だと妄信している者の気持ちに浸かってしまえば、同調もできてしまう。

    それぞれの立場があって、いろんな国、戦、そこに生きる人、支配者、そういうものの中で、登場人物達の位置付けと動かし方に3巻目でまた深さを感じます。

    それぞれがそれぞれに、自分の立場の中で、自分にできることをするしかない。
    自分にできることに一生懸命になるしかない。
    それを感じました。

    ↓ネタバレ

    p.150
    ヴァンの言葉
    「……戦は」
    「自らの手を汚してやるものだ。おのれの身の丈で……おのれの手が届くところで」

    妄執に取り憑かれた人の気持ちを理解しつつ、共感もしつつ、またそこに近しい人がいたにも関わらず、やはりヴァンは強かった。
    身の丈に合った行動をすること。
    ヴァンは足るを知る人物だからこそ、自信を持ちすべき事を見失わないんだろうな。

  • 自分は飽き性であるが、この作品とハリーポッターは継続できる。

  • 起承転結の転に当たる3巻!
    物語が一気に動きました!!
    様々な思惑がぶつかり合い、多くの者がそれに翻弄されています。
    大国が小国を侵略すれば、恨みを募らせる者が生まれるのは仕方の無いことなのでしょう。
    しかし、恨みの矛先を罪のない市民に向けるのは間違っていると思います。
    「この国のトップが行う政治がムカつくから、この国民は全員許せない」とか言うのって、現代でも時々見られる光景ですね。
    短絡的思考は視野を狭くさせます。危険です。
    次が最終巻。
    恨みを吹き飛ばすような希望の光が降り注ぎますように。

  • 文庫版は全4巻構成なのでそれぞれちょうど起承転結の位置付けといった感じで、本巻は「転」。これまでバラバラに進んでいた登場人物たちが結び付いて一気に盛り上がって参りました。序盤で予想していたよりずっと複雑に各勢力、個々人の思惑と行動が絡んでいてものすごく面白い。

  • 物語が進み始めた感じの3巻、あっというまに読んでしまった。敵味方がはっきりしないような、微妙で複雑な登場人物同士の関わりが面白い。

  • 国や部族間の思惑、善悪が露わになってきて入り乱れる。それぞれの想いを見ると、何が悪いと一概に言えない。読みながら、思わず考えてしまった。どうすれば、平和に安心して皆が暮らせるのか?

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上橋菜穂子の作品

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