殺意の対談 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 486
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041055960

作品紹介・あらすじ

人気作家・怜子と若手女優・夏希の誌上対談は、和やかに行われた。……表向きは。実は怜子も夏希も、恐ろしい犯罪者としての裏の顔を持っていて……。対談と心の声で紡がれる、究極のエンタメミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 対談記事の上辺だけの会話&真実の心の声で物語が展開! 人間不信の闇に浸れるミステリー #殺意の対談

    ■きっと読みたくなるレビュー
    雑誌記事の対談形式で綴られる本作、しかしながら対談中の登場人物たちの心の声も同時に描写されるという人間性を垣間見れるミステリー。各記事ごとに短編形式になっていますが、対談が進行するにつれて…

    面白い試みですね。さすが元お笑い芸人の藤崎先生らしい、読者をニヤニヤさせてくれるサービスが満点です。かなり邪道な構成ではありつつも、物語としてもよく組み立てられていて見事。練りに練った小説であることが伺えます。

    本作、十重二十重にも入り組んだ人間関係がめちゃくちゃ面白い。
    ちょっとやり過ぎて説明描写が多いのが気になりますが、各キャラクターのゲスい人間性と黒い関係性が強烈で、読んでてニヤりとすることが多かったです。いやー私ったら性格悪っ

    登場人物で特に大好きなのは、とある女優。
    変態的な価値観が大好き!こんな悪女にギタギタにされるくらい、男前に生まれたかったなぁ~ まぁでも、今もそれなりに幸せだからいいけども。

    思いっきり人間不信に陥ること請け合いの物語ですが、馬鹿馬鹿しくて楽しい気持ちにもなれる奇妙な作品でした。面白かった!

    ■きっと共感できる書評
    本作のあまりにも低俗な登場人物たちを見ていると、ふと現実に起きている悪事について考えてしまいます。

    詐欺や強盗などの犯罪が絶えないことが、本当に残念でなりません。きっと悪いことに手を染めてしまう彼らも、やりたくてやっている訳ではない人も多いでしょう。

    もし生まれながらにして自身を守るために嘘や暴力を働かなくてはいけない環境ならば、自然と悪の人間性が培われてしまうでしょう。素直に優しく生きていくには、ほんの少しでも幸せの感情がないと難しいのかもしれませんね。

    ありがたいことに、今の私は人を裏切ったり、迷惑をかけずに生きていられる。父と母、たくさんの友人、仕事仲間、そして今の家族に感謝したいと思いました。

  • 対談に挟まれる心の声という構築が斬新。著者の心配とは裏腹に大変読みやすい作品だった。

    一章での土台作り 二,三章でのデモンストレーション、そして【テレビマニア】をトリガーにした怒涛の伏線祭りに後半の畳み掛けが凄い。
    さすがは元お笑い芸人 、リズムが気持ち良い。SMLの小ネタやまるですれ違い漫才を見ているかの様で、口角を上げながら楽しんでいた。

    後半の急激に濃ゆくなるミステリ感との温度差には、構えていなかった自分の背中にピシッと喝を入れられる。急いで今までの完全ノーマークだった伏線達を纏めるのに必死だったがこれもまた楽しい。

    面白かったです!

  • あいつを殺したい!
    そんな殺意を抱く人は滅多にいないと
    思う。“あの人イヤ、私の目の前から消えてほしい”それくらいなら、沢山の
    人が抱く思いだと思う。


    この本は少し変わっている。
    七つの雑誌対談記事があり、その対談者
    の心の声が会話中に記されている。
    口ではいいことを言って、心の中では
    とんでもないことを考えている。
    そんな本なので、対談形式の部分は少し
    読みづらい。
    目次の次ページで“・・・・大変奇抜な形式なので・・・・最後までお付き合い頂ければ・・・”
    と、藤崎翔さんの一文があった。
    ということで、★は三つ。

    この本は図書館本、と言っても市内の
    図書館に無く図書館さんは東京都立図書館から借りてくれた!この本の前に読んだ本と一緒にだった。この場合は、特別
    に本はビニール袋に入って来る。
    駅の返却ポスト厳禁。直接カウンターへ
    返す。駅のポストは便利だと今更思う。


    殺意の対談、というだけあってこの本は
    おぞましや~!殺されまくる!
    殺しの真実は?と週刊誌は騒ぎ立てる
    けれど・・・・

    2023、9、29 読了

    • ポプラ並木さん
      最近、藤崎作品読みました。
      奇抜な内容でした。
      これは読みにくそうね。
      リーダビリティーって読書で重要な要因だよね。
      確かに最近読ん...
      最近、藤崎作品読みました。
      奇抜な内容でした。
      これは読みにくそうね。
      リーダビリティーって読書で重要な要因だよね。
      確かに最近読んだ本もあっちこっち飛んで、難しかったです。
      2023/11/08
    • ポプラ並木さん
      最近、藤崎作品読みました。
      奇抜な内容でした。
      これは読みにくそうね。
      リーダビリティーって読書で重要な要因だよね。
      確かに最近読ん...
      最近、藤崎作品読みました。
      奇抜な内容でした。
      これは読みにくそうね。
      リーダビリティーって読書で重要な要因だよね。
      確かに最近読んだ本もあっちこっち飛んで、難しかったです。
      2023/11/08
  • また藤崎翔氏の他の作品とも印象が違う。いつも誰もやってないものを作ろうという意欲を感じるし、今作は一層ややこしい構成をまとめあげてちゃんと驚かせてくれるのが凄い。珍しい構成だな、こんな感じの短編なんだな、と思ってると全然そうではないし、短編として読んでもちゃんと面白い。もしかしてこの話が後の作品にも活かされてるのかな、こういうのが好きなんだな、というのもあるし、それがしっかりツボった。

  • 対談の形式で、裏の本音も描かれるという
    事でしたが、こんなに黒い本音だとは…

    みんな黒過ぎる、と言うか真っ黒

    また、各対談の繋がりもあり、
    最終話まで十分楽しめます

    藤崎翔さん、今のところハズレなし

  • 大きな賞を受賞してプレッシャーのかかる2作目とは思えないほどの力作 ブラックエンターテイメント (笑)

    なごやかに盛り上がった対談の裏に潜む黒ぃ本音
    ・女優:夏希が殺したのは原作者:怜子の生き別れた息子だった。
    ・日本代表FW争い ベテラン水沢は上田を追い落とそうと色々 罠を仕掛けるが、罠をことごとく見抜いた上田は逆に女を送り込みドーピングさせてゆく…が、水沢は裏の痔の薬を入れ替え…
    ・人気ロックバンド Vo:Shioriはメンバーだけじゃなくマネージャー 専属カメラマンとも…
    ・清純派女優:江本莉奈は人格破綻者 夏希と俊也の殺害計画を立てるが…
    ・生き別れた息子 ヒロヤを夏希が殺した事を知った怜子は夏希を殺そうとするが、手違いで莉奈が死んでしまう、莉奈の復讐の為 インタビュアー:谷川になりすました夏希
    ・ダイナマイトを抱いた土門

    各章に渡って複雑に入り組む人間関係 対談(会話)形式と声の声 で構成される分 説明っぽい場面も多かったが、それを差し引いても二転三転するものに引き込まれる。

    著者のヒット作『逆転美人』のトリック(草案)がもぅ あったのかっと思う圧巻の作詞力。【凄い!】の一言でした。




  • 人がサクサク死ぬ話に嫌悪感のない方は是非!!
    対談形式で書かれた作品ですが、モノローグ長いので展開スムーズです。最終的に全話つながるので、長編の読後感です。後半になればなるほどつじつま合わせ大変なはずですが、力技でがっちり固めてあります。
    最後、吉本新喜劇的に膝から崩れ落ちそうになりますが、映画のエンドロール後の小ネタみたいでよしです。
    もったいなくてネタバレさせられません。「超絶変化球ミステリ!」と紹介されていましたが、ものすごい豪速球の変化球来ますよ。

  • 実は「私情対談」の改題とは気づかず読んでしまったので既読だったけど、やっぱり面白かった。
    読み進めていくうちに人間関係が少しずつ分かってくるところとか。ずっと同じ形式な割に飽きさせないストーリーで好き。

  • 藤崎翔の本、2冊目読了。ツイッターで見かけ、HPで試し読みして、「続き気になる…」ってことで速攻でお昼休みに職場近くの本屋さんでいそいそと購入したのが最初の「神様の裏の顔」。で、その後、本屋さんでたまたま同著者のこの本を見つけ、タイトル、帯、あらすじ…これも面白そう、ってことで、速攻お買い上げ。

    とにかく面白かったです。でも、1つ後悔したのは、登場人物の相関図を書きながら読めば良かった、って事。書かなくても、何とかついては行けたけど、日にち開いて読んだときに、「えっと、この人は確か…」と立ち止まってしまいました。逆言えば、一気読みすれば良かったかも。

    SMLのしおりが書いた「メッセージ」、あれに隠されたメッセージに気がついたとき、ビックリしました。その手法が、結構、インパクト強いな、と。改めて、この短いメッセージに捻りを3つも効かせる作者の筆力に度肝を抜かれました。

    ボキャブラリーのないあたしは、バカの一つ覚えみたいに「面白かった」しか感想が書けないのですが、逆言えば、その一言に尽きます。「神様の裏の顔」と、この本の両方に共通するのは、人の闇を書くのがうまいな、ということ。これに特筆していると、イヤミスになりそうなのに、なってないんです。男性作者ならではなのか、元芸人のセンスを生かした軽快な話運びのなせる技なのか、いずれにしても、読者を惹きつける作者さんの1人には間違いないと思うので、今後も見つけたら、読みたいと思います。

  • これほど話が入り乱れた対談は珍しい

    作家、俳優、女優、サッカー選手、バンドメンバー、ライター、それぞれがそれぞれの対談をする中でそれぞれがなにかしら「死」にかかわっている。一つ一つの対談が実際の話した言葉と腹の中の言葉で書かれている為お互いをどう思っているか分かりやすい。しかしこれほど「死」(殺人)にかかわっている人たちが揃っているのも不自然ですがどこかで全ての人が繋がっていて最後はややこしくなっているので読み応えありました。

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著者プロフィール

藤崎 翔(ふじさき・しょう)
1985年、茨城県生まれ。茨城県立竜ヶ崎第一高等学校卒業。高校卒業後、お笑いコンビ「セーフティ番頭」を結成。ネタ作りを担当。2010年にコンビを解消し、小説を執筆。、2014年、初めて書いた長編ミステリー「神様のもう一つの顔」(のちに「神様の裏の顔」に改題)で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、小説家デビューする。著書に『私情対談』(のちに『殺意の対談』に改題)『こんにちは刑事ちゃん』『おしい刑事』『恋するおしい刑事』『お隣さんが殺し屋さん』がある。


「2018年 『時間を止めてみたんだが』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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